No.410621

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(~mission~)

こたさん

.ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。――――

【作者からのお知らせ:暫く更新が遅くなるかもです】

2012-04-18 20:08:59 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1172   閲覧ユーザー数:1136

プシュ―――ッ!

 

目の前の透明なガラス戸の自動ドアが開く。

「へ~ここがギルドか~。」

ソニックは興味深そうに周りを見回した。

プラネタワーから歩いて約20分、様々な形に建設された建物やビルの間を歩き、辿り着いたのは一見周りの建物とあまり変わらない少し小さいが極普通のビル内にギルドがあった。普段からあまり人が出入りしないのか、あるいは偶然人が居ないのかギルド内は静寂に包まれていた。そのため広めのギルド内の空間でもソニックの声が少し大きく感じられた。

数席のカウンターの係員達が少し退屈そうに口元を押さえながらあくびをしていた。

壁面には数え切れないほどのモニターが設置されており、クエスト名や報酬といった様々な情報が書かれており、中でもカウンターの上部に設置されたモニターには先程プラネタワーの謁見室でイストワールから見せられたのと同じような円グラフが映し出されていた。

しかし、やはり大半を赤いゲージが占めていることに変わりはなかった。

「「「「…………」」」」

 

―――四人はいつの間にかグラフに見入っていた。

 

「……あいちゃん、最初になにをするんですか?」

その視線を最初に外したのはコンパだった。

「そうね、まずは簡単な依頼から受けようかしら?ネプギアのリハビリのためにも。」

そう、ネプギアは三年間もずっとギョウカイ墓場に捕らえられていたのだ。恐らく体が鈍ってしまって思うように戦えないだろう。

「リハビリ……ねぇ。」

ソニックが言うとネプギアは何だか申し訳無さそうに俯いた。

「どうした?」

ソニックが尋ねる。

「……いえ、なんだか皆さん私のために――」

「そんなの気にしないでいいわよ。」

「え?」

ネプギアの言葉をアイエフが遮る。

「そうですよギアちゃん。そんなに気にすることないですよ。」

「Don’t worry!」

コンパとソニックも笑顔で言う。

それでもネプギアは逡巡している。

「でも……」

「あーもう、気にしなくていいってのに!まぁいいわ、さっさとクエストを受けるわよ。」

そんなネプギアの煮え切らない態度に苛立ったのか、アイエフが眉間にしわを寄せモニターに映し出されたクエストを振り返る。

「…………」

ソニックはそんなネプギアを一瞥するとクエストを探し始めた。少し遅れてネプギアとコンパもクエストを探し始める。

 

数分後、四人はギルド内に設置されている背の高い丸い机の周りに集まった。

「どう、何か良さそうなクエストはあった?」

アイエフはまるでリーダーのように一同に尋ねる。

「なんか、クエストが多すぎて訳分かんなくなってきたぜ……」

「確かに多いですぅ……」

「アンタ達今まで何やってたのよ!?」

頭を振るソニックに目を回すコンパにアイエフが一喝する。

「ネプギアは?」

「簡単なクエストって言ったらやっぱりEランクのクエストかなって思って探してたら

『スライヌ討伐』というクエストを見つけたんですけど……」

「あ、アンタもそれ選んだのね?私もそれがいいと思ってたのよ。」

「スライヌ?」

ソニックが首を傾げる。

「犬の顔をしたスライムのモンスターよ。大したことない敵だからまぁ良いんじゃないかしら?」

「……良いのかそれ……」

「え?」

「いや、何でもない。」

言いながらもソニックは呆れたように額に手を当てる。

(――何だよ『スライヌ』って……完全に某クエストゲームの雑魚モンスターだろ……)

そんなソニックに気が付くことなくアイエフはカウンターの方へ歩いていった。

「すみません、クエストを受けたいんですけど……」

「――ッえ!?あ、ハイ!」

ボーッとしていたのかカウンターにいた若い女性の係員がビックリしたように飛び上がる。

「………」

それに驚いたのかアイエフも目を丸くしていた。

「すいません、お客様がいらっしゃったのが久しぶりで……」

「そんなに前だったんですか?」

「ええ、確か最後に来たのが三年前……」

その言葉に再び沈黙が流れる。

無理もないだろう。

三年前と言えば女神が捕まった時なのだから。

「でも嬉しいです。お客様が来てくださることには。」

係員が椅子に深く座り直すと、あからさますぎる営業スマイルを作る。

「ハァイ♪今回はどのような御用件で?」

そして先程とは別人のような声と態度で接してくる。

アイエフだけでなく他の三人も目を丸くした。

「いやだから、クエストを―――」

「あ、そうでした~!では、どのクエストをお受けになりますか~?」

「E-①『スライヌ討伐』を―――」

「かしこまりました~!ではこれをお持ちください!」

と言いつつ、係員は何やら野球ボール程の大きさの緑色の球体を渡してきた。

「これは?」

「モ●リ玉です♪クエスト完遂後、この玉を地面に投げれば一瞬にしてギルドに帰って

来られるという優れものです!」

 

―――バタッ!

 

背後で聞こえた鈍い音に三人が振り返る。そこに居たのは三人に背を向けて倒れている

ソニックだった。

「そ、ソニックさんッ!?」

ネプギアが慌てて駆け寄り上体を抱き上げる。

「!?」

ソニックの顔を確認するとネプギアの表情は一変した。

「モ……モド●……玉………」

何故か白目で泡を吹いているソニックが念仏のようにその名を口にしていた。

 

 

 

 

ここはバーチャフォレスト。

 

プラネテューヌから北西にある大きな森だった。

いや、森というより草原と言った方が適当かもしれない。そこまで木が多いわけでもなく、周りを見回すには十分なほど視界は晴れ渡っていた。小川が流れ、その畔には誰が住んでいるのか分からないが小さな小屋があった。

柔らかな日差しに爽やかな風が吹き、サワサワと草の揺れる音が響く。思わず恍惚としてしまいそうな風景ではあったが、一方でこの森には似つかわしくないモンスターも潜んでいた。

 

 

「ヒュ~♪Beautiful!」

『この先、バーチャフォレスト』と書かれた大きな看板の下でソニックは乾いた口笛を吹いた。

「……ったくアンタは。世話が焼けるわね。」

そんなソニックの背後でアイエフが溜息混じりに言う。

結局あの後アイエフ達は泡を吹くソニックを全員の力を合わせてとりあえずプラネタワーまで運ぼうとしていたのだが、道中ソニックが何事もなかったかのように起き一同の顔を見るや否や「Hey guys!」と声をかけたのであった。

それがアイエフの怒りを買ったらしくアイエフがソニックを追いかけ回していたが、結局追いつかず断念し……と思っていたら走っているうちにいつの間にかここへ来ていたのだ。

アイエフの背後では先程までそんな二人を必死に追いかけていたのか、息が切れて膝に手を置き呼吸を整えているネプギアとコンパの姿があった。

「二人共……速いですぅ……。」

「こ……こんなに走ったの……久しぶりかも……。」

「まぁ、アンタは三年間も捕まってたからね。」

途切れ途切れだったが何とか言ったネプギアにアイエフが突っ込む。

「!?」

しかし、アイエフがカッと目を見開く。

走行距離が距離なのと速さが速さなだけあってネプギアとコンパの汗の量が尋常ではなかったのだ。その汗で彼女らの服がベッタリと地肌にくっついていたのだ。

アイエフは普段から自主トレや任務があるためこういう運動(?)には慣れていたが、何せ相手は新人ナースに女神とは言え三年間も捕まってろくに動いてない女神候補生であったのだ。慣れていなくても無理はなかった。

 

バッ!

 

まるで瞬間移動でもしたかのようにアイエフがネプギアとコンパの前に立ちはだかった。

「あいちゃん?」

「アイエフさん、どうかしたんですか?」

ようやく息が整った二人が尋ねる。アイエフは頬に汗を垂らし二人に告げる。

「アンタ達……透けてるわよ……」

「「!?」」

ようやく状況が把握できたらしくネプギアとコンパは頬を紅く染めた。

「……相手は人間ではないと言え男よ。そんな状態のアンタ達を見たら何をしでかすか分かったもんじゃないわ……。」

アイエフは怪訝そうに看板の上に立っているソニックを見上げた。

 

一方のソニックはそんなアイエフ達に気づくことなく腕を組み看板の上でバーチャ

フォレストを見渡していた。

 

―――ソニックの心はこの森の美しさに琴線に触れていた。

 

(美しい……)

 

表情には出ていなかったが、ソニックの脳裏はこの単語で埋め尽くされていた。

言葉にできないような感動で胸が満たされており、このような感情は久しぶりだった気すら起こしていた。

(――ッと、こんなこと思っている場合じゃねーな。)

ソニックはアイエフ達を振り返る。

「「「!!」」」

しかし、ソニックの視線が三人に向けられると三人の肩がビクッ!となった。

それより何故アイエフがネプギアとコンパの前に立ち守るかのように両手を広げてこちらを睨みつけているのかが気になった。

「お?どうした?」

「わ、私を食べないでくださいです……!」

コンパが何故か更に震え出す。

その横でネプギアが何故か顔を真っ赤に染めて身を屈めていた。

ソニックの頭上に「?」が五つ程出現する。

「……Hun?何言ってんだ?」

「とぼけても駄目よ。この二人には手出しさせないわ!」

アイエフの言葉にソニックは怪訝そうに首を傾げる。

「……スライヌを討伐しにきたんじゃねーのか?さっさと行こうぜ。」

溜息をつきながらソニックはアイエフ達に踵を返しさっさと歩きだしてしまう。

アイエフは目を丸くする。

「……あいつ、コンパ達に反応しない?」

「あいちゃん、やっぱり考えすぎじゃないですか?」

「やっぱりハリネズミにはコンパとネプギアの身体の価値が分からないのかしら?」

「か、身体の価値って何ですか?アイエフさん。」

「身体の価値は身体の価値よ、ネプギア?(じゅるり)」

「何か今変な音がしませんでしたかッ!?」

コンパとネプギアは身震いしながらアイエフから離れる。

「……まぁいいわ、さっさとスライヌ片付けちゃいましょう。」

そう言うとアイエフもソニックの後を追うように歩き出す。

「コンパさん、とにかく私達助かったみたいですね……。」

「はいです……。」

二人は懸念そうにしながらも歩きだした。

 

四人が移動し始めてから十分程経った。

しかし、着実に歩を進めているにも関わらず周囲の風景には少しの変化も見られない。

それに輪をかけるかのようにモンスターも皆無だった。

コンパとネプギアの汗も次第に乾き、一同が気にすることもなくなった。

 

「おっかしいわねー、この辺にいてもおかしくないはずなんだけど……」

怪訝そうに辺りを見回すアイエフの隣で、コンパは近くの草むらを見つめていた。

「コンパさん、どうしかしたんですか?」

そんなコンパが気にかかったのかネプギアが尋ねる。

「いえ、草むら歩いてたら出てこないかなーと思いまして。」

「そんなポ●モンじゃあるまいし―――」

 

バッ!

 

「おわッ!?」

独り草むらを歩いていたソニックの眼前に丸っこい半透明の物体が五匹程姿を現した。

 

ババッ!

 

ソニックは大きくバックステップをしネプギアの隣へ着地する。

「出ました!スライヌです!」

「――出るのね。」

アイエフを除き一同は身構える。少し遅れて呆れ顔だったアイエフも身構えた。

「ヌラー!」

「ヌラララー!」

スライヌが小さくポヨポヨ跳ねながらよく分からない声で吠えてくる。

見た目こそ水色のゼリー状の球体に犬のような鼻と耳がついており可愛らしかったが、その声で一気に可愛さが失せた。

まるで変態のおっさんのような声だった。

「………」

(おいおい……)

ソニックは少し間延びした顔つきになった。

そんなソニックに気づくことなく一同はそれぞれ武器を構えていた。

アイエフはぶかぶかのコートからカタールを。

コンパはどこからか取り出した巨大な注射器を――その大きさは恐らく彼女の背丈と同じ位だろう。

そして―――手に持っていた小さな機械のようなものから伸びるビームソードをネプギアが構える。

 


 
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