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超次元ゲイムネプテューヌmk2 Reborn 第五話 再会

ネプテューヌ新作「神次元ゲイムネプテューヌV」のティザーサイトがオープン!!

今回は衣装が変わる上に主役が4女神に復権!

楽しみだなー!!

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2012-04-13 01:53:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1462   閲覧ユーザー数:1408

現在ラステイション教会前

 

教会の前には二つの影があった。

影の持ち主、ノワールとユニは教会の扉の前に立っていた。

少し前から二人はそこに立ち続けていた。

だがそこから一歩を踏み出すことをしなかった。

しない、と言うよりは出来なかった。

自分達は死んだ。

それは恐らくケイも十分に知っているはず。

どんな顔で帰ればいいのか見当さえもつかなかった。

 

ユニ「……やっぱりお姉ちゃん、帰るの止めようかな?」

 

視線を下に向けて不安気にユニが言葉を漏らす。

 

ノワール「ここまで来て何言ってるのよ。覚悟を決めて…行くわよ!」

 

腕を組みながら呆れた声でノワールが口を開く。

やがて決意したように声を上げ、目の前にある重々しい扉に手を掛けた。

ゆっくりと前に押し開くと扉は静かに音を立てて開き、扉の延長線上にある人影がノワールとユニの方に振り返った。

 

「ようこそ。プラネテューヌ第2教…会……へ……。」

 

ノワールとユニにとっては聞き覚えのある声が二人を出迎えた。

その声はどこか震えていた。

銀髪のショートヘアに黒をベースにしたスーツと水色のネクタイを身につけたラステイションの教祖、ケイの表情は驚きの色を隠しきれなかった。

 

ノワール「……ケイ。」

 

ノワールが声を震えさせて口を開いた。

目は涙で潤みながらもケイをしっかりと視界に捉えていた。

 

ケイ「……最近ろくに寝ていないからね。こんな幻覚を見てしまうのかな……。」

 

ケイは独り言の様に呟くと視線を下に落とし、顔に手を当てて目をふさいだ。

だが声の震えは治まることを知らなかった。

 

ユニ「幻覚なんかじゃないわよ、ケイ。私達は正真正銘、ラスティションの女神候補生ユニとその姉のノワールよ。」

 

ユニが静かに語りかけた。

声はやはり震えており、目も潤んでいる。

 

ケイ「…ノワール、ユニ……本当に、そうなのかい?」

 

声の震えを増しながらケイがそのままの姿勢で呟いた。

声の震えはやがて体にもその震えを移らせた。

 

ノワール「……そうよ、ケイ。帰ってきたのよ。」

 

直後、ケイの手の間から涙が止めどなくあふれ出した。

もうケイは感情の制御などできるはずがなかった。

ノワールとユニは静かに、そして素早くケイに駆け寄り思い切り抱きしめた。

二人の目からも次々と涙があふれ、頬を伝った。

 

「おかえり…。」

 

ケイは静かに二人の耳元で囁いた。

 

ノワール・ユニ「……ただいま。」

 

ノワールとユニは静かに返した。

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

現在ルウィー教会

 

ロム・ラム「ただいまー。」

ブラン「…ただいま。」

 

扉が開く音と共によく通る二人の声と一人の静かな声が教会内に響き渡った。

少し前ならばそれは日常的な光景だった。

だが今、この光景は非日常的な、と言うよりあるはずの無い光景だった。

それでも三人の声に聞き覚えのある1つの影はまさか、とは思いつつも声の方向へ走った。

 

「えっ……、ブラン様!それにお2人も…。」

 

水色のロングへアに赤いフレームの眼鏡をかけ、赤のモルタルボードを被ったルウィーの教祖、ミナは驚きの表情を顔に浮かべながら呆然と三人を見つめていた。

 

ラム「ミナちゃん、おなかすいたー!」

ロム「おやつ…。」

 

二人はミナに寄り添ってスカートの裾を引っ張りながら声を上げた。

ミナはその様子を見るなり声を上げて泣きそうになった。

だが手を口に当て、まぶたに涙をためながら必死にこらえていた。

 

ブラン「私ものどが渇いた……。何か飲み物がほしい。」

 

軽く微笑みながらブランはやさしい口調でミナに語りかけた。

 

ミナ「……はい。少し待っていてください。」

 

涙声を気づかれないように必死に隠しながらミナは反転して廊下を静かに歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミナ(三人とも…よくご無事で…。)

 

心の言葉は声にならなかった。

厨房の前に来た時点でまぶたは涙を支えきれなくなり、頬を伝いながら地面に落下した。

いまだに整理のつかない状況の中、ミナは今ある奇跡にただただ感謝するばかりだった。

 

 

 

 

 

  ◆

 

 

 

 

 

現在リーンボックス教会

 

ベールは教会の扉の前にたたずんでいた。

おもむろに目の前の重々しい扉に手を掛け、ゆっくりと押し開いた。

扉は特有の音を立てながら弧を描いて開き、教会の中をあらわにした。

 

――活気が無い

 

恐らくこの光景を10人に見せたら10人がそう答えるであろう。

本来、広間を照らすはずの照明はほとんどがその機能を失っており、あちこちが長い間使われていなかったように埃を被っていた。

 

ベールは周りを見回しながら黙って廊下を歩き進めていた。

その足取りは1つの部屋の前で突如として止まった。

 

{ベールの部屋}

 

その部屋にはそう書かれた札がぶら下がっていた。

部屋の前で軽く深呼吸をついた後にドアに手を掛け、静かに押し開いた。

 

 

電気も何も点いていない薄暗い部屋。

その隅には1つの人影があった

影は生気を感じさせないまま顔を腕の中に沈めてうずくまっていた。

影の持ち主はベールがとてもよく知っている者だった。

 

ベール「チカ、チカ!」

 

ベールの言葉に反応してうずくまっていた人影はビクリと身を震わせ、静かに顔を上げた。

ベールは影に近づいて両膝を着き、目線を人影の位置に合わせた。

緑髪のロングへアにどことなくベールに似た服装をしている女性、チカは座り込んだままベールの方に振り返り、ベールと目を合わせた。

 

チカ「お…ねえ…さま。」

 

それはチカが約一ヶ月ぶりに発した言葉だった。

チカの目にはすでに大量の涙があふれ、頬を伝っていた。

 

ベール「ただいま、チカ。ごめんなさいね。心配を掛けて。」

チカ「あああぁ、うあああああああああああああぁぁぁぁあああああああああああ、お姉さまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ベールの言葉を聞き終わると同時にチカはベールの胸に飛び込んだ。

ベールの胸の中に顔を埋め、声の限りに泣き声をあげて涙を流した。

チカの悲しみを受け止めるようにベールは右腕でチカの頭を撫で、左腕でチカを抱きしめた。

慈母のようにチカを見つめるベールの目にも涙が浮かんでいた。

 

 

 

 

  

  ◆

 

 

 

 

 

 

現在プラネテューヌ教会前

 

ネプテューヌ「うーん…。」

 

教会の前でネプテューヌは1人悩み、唸り声を上げていた。

ネプテューヌはネプギアの目の前で死んだ。

ネプギアはもちろんそれを事実として知っている。

だからなお、切り出すことが出来なかった。

視線を落としたまま腕を組み、何度も扉の前で右往左往を繰り返しながら考え込んでいた。

 

ネプテューヌ「どうやって言ったらいいんだろう…。やっぱりいつもどうり、ただいまー、って言った方がいいのかな? それとも……ブツブツ。」

 

何分か考え込んでいるうちに扉のノブが動き、触れていないはずの扉はゆっくりと開かれた。

 

イストワール「先ほどから一体どちら様です……えっ?」

 

扉を開けたのはイストワールだった。

先ほどから扉の前で右往左往する人影を窓越しに遠目で眺めていたイストワールは不審に思って様子を見に来ていた。

最初は犯罪組織の残党ではないかと警戒の眼差しでその人影を睨んでいたはずだった。

だがネプテューヌを視界に捕らえた瞬間にイストワールの表情が一気にガラリと変わった。

その表情は驚きと喜びに満ち溢れており、目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

 

ネプテューヌ「えっ…あっ、えっと…これは…そのー……ただいまー、いーすん。なんちゃって…。」

 

いきなりの対面にネプテューヌはどうしてよいかわからずに、困惑してあいまいな返事しか出来なかった。

だがそれ以上に驚いていたのはイストワールだった。

しかし、イストワールは最初こそ動揺していたが、やがて笑顔になり

 

「おかえりなさい。ネプテューヌさん。」

 

少し涙声になりながらもそう返した。

 

ネプテューヌ「……うん。ただいま、いーすん。」

 

改めてネプテューヌはイストワールにそう言った。

 

イストワール「ネプギアさんは今部屋にいます。中へどうぞ。」

 

イストワールに誘われるがまま、ネプテューヌは教会の中に入り、部屋へと一緒に向かった。

ネプテューヌはふと教会の中のあちこちに目をやった。

自分が死んでから何も変わらない。

床も天井も壁も、何もかもが……。

だが彼女は不安だった。妹が、ネプギアが変わってしまっていないだろうかと。

死んでからどれだけたったかわからない。

何があったかもわからない。

もし変わってしまっていたら、自分はネプギアを受け入れられるか、否、ネプギアは自分を受け入れてくれるのか、怖くてたまらなかった。

 

イストワール「少し待っていてください。」

 

部屋の前に着くと、イストワールが小さな声で言った。

その後、イストワールはドアを軽くノックした。

ドア越しに小さく返事は返ってきた。

 

ネプギア「はーい。」

イストワール「ネプギアさん。よろしいですか?」

 

イストワールはドアを軽く開けてその場にたたずみ、ネプギアに話しかけた。

とっさにネプテューヌはドアの裏に回って身を隠した。

 

ネプギア「いーすんさん?どうしたんですか?」

 

それは何気ない言葉だった。

だがネプテューヌにとって聞き覚えのある声は以前と全く変わらずに聞こえてきた。

その瞬間に涙があふれそうになったが、口に手を当てて必死にこらえた。

 

イストワール「ネプギアさんに面会の方がいらしていますよ。」

ネプギア「面会?」

 

突如としたイストワールの言葉にネプギアは首を傾げた。

 

イストワール「ええ。ネプギアさんがよく知っている方ですよ。どうぞ。入ってきてください。」

 

イストワールが言い終わると扉の影からネプテューヌが部屋に入り、ネプギアを見つめた。

ネプギアにとって今、最も会いたくて、それでも会うことを許されないはずの人物。

それはあの時となんら変わらず、ネプギアの前にたたずんでいた。

ネプギアの目には大粒の涙があふれていた。

まもなくそれは頬を伝って地面に落下した。

 

ネプテューヌ「ネプギア…。」

 

ネプテューヌはやさしい口調でネプギアに話しかけた。

 

ネプギア「……ほん…と…に?」

 

まともな思考が働かないのが現状のネプギアはうつろにもそう答えた。

 

ネプテューヌ「今まで…辛かった?」

ネプギア「…うん…。」

 

次の瞬間、2人は互いの方向に走り出した。

2人ともそれぞれの胸に飛び込んでいって互いに強く抱き合った。

もう互いに涙が止まらなかった。

 

ネプギア「お姉ちゃん、うあああああああああああああああん。お姉ちゃああああああああああああああああああああん。お姉ちゃん、お姉ちゃぁぁぁん。あうゥウうゥゥうゥ」

ネプテューヌ「会いたかった…ネプギアぁぁ、ネプギアぁぁぁぁぁ。ごめんね、辛い思いを一人にさせて、ほんとにごめんね。」

 

ネプテューヌはネプギアを抱きながら涙でおかしくなった声色のままネプギアに謝りだした。

 

ネプギア「なんでおねえちゃんが謝るの? 私がいけないのに…。悪いのはお姉ちゃんじゃないのに。」

ネプテューヌ「ううん…。悪いのはお姉ちゃんだよ…。辛い思いを押し付けて。ずっと謝りたかった。ごめんね、ネプギアぁ。」

 

 

涙で顔がくしゃくしゃになりながらもネプテューヌはネプギアに自分の思いを吐き出した。

 

ネプギア「こっちこそごめんね。私、ずっと後悔してた…。あの選択をしたこと。お姉ちゃんの命を奪ったこと。ずっと謝りたかった。ごめんね、お姉ちゃん。」

 

ぎゅ――……

 

互いに抱きしめる強さがさらに強くなった。

それでも涙は止まらなかった。

 

ネプテューヌ「もう絶対に離れない。本当にずっと一緒にいようね…。」

ネプギア「うん…。大好きだよ。お姉ちゃん。」

 

ネプギアの深層心理がふと言葉になって口からもれた。

 

ネプテューヌ「私もだよ、ネプギア。」

 

ネプテューヌは涙まみれの笑顔でそう返した。

 

 

「うあああああアアあああああああああぁぁあああァァァァああああああああああああん。」

 

 

涙は枯れる事を知らなかった。

イストワールはそんな2人の様子を影から慈母のように見つめていた。

 


 
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