No.407353

【獣機特警K-9】トライスター姉妹の二人旅・その弐【交流】

古淵工機さん

これ(http://www.tinami.com/view/406354 ) の続き。まったりいこうよ二人旅。
出てきた観光名所は全て箱根にある観光スポットがモデル。
「歴史的なガラス工芸品を展示している美術館」は、箱根ラリック美術館。
で、登山鉄道…これはもう箱根の登山電車ですね。
アローグ公園は強羅公園。

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2012-04-12 22:50:51 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:791   閲覧ユーザー数:749

午前10時。

列車は大きなトラブルもなく、定刻どおりにエノーカー・クエレ駅に到着した。

「いやー、思ったより速かったね」

「ホントねー。これからドコ行こうか?」

ネフティスはガイドマップを取り出して悩んでいたが、あるスポットが目に留まった。

 

「あ、姉さん。ここなんかどうかしら?」

「いいわね!行ってみましょ!」

二人は早速、クエレ駅前から出ている観光地周遊バスに乗り込んだ。

満員の乗客を乗せたバスは、ゆっくりと動き出す。

バスに揺られることおよそ25分。

まず二人が訪れたのは、歴史的なガラス工芸品を展示している美術館。

「キレイな装飾ね…私には真似できないわ」

「そりゃそうよ、ここにある作品って職人さんたちが作ったものよ。私たちロボットは精度の高い作業には優れてるけど…」

「あー…わかる。こういう、『作品の温かみ』ってどうしても出せないのよね」

「何事も適材適所って…」

と、言いかけたネフティスだったが、ふと見るとイシスはがっくりとうなだれていた。

「はあ…なんか、なんで私たちロボットに生まれちゃったんだろうって気分になったorz」

「ね、姉さん!ほら元気出して!次行こう次!」

さて、美術館を後にした二人は、再びバスに乗り込みクエレ駅に戻ってきた。

改札の前に来たところで、イシスが尋ねる。

「あれ?もう帰っちゃうの?」

「いやいやー、実は一度乗ってみたかったのがあってね」

そう言ってネフティスが指差した先には、赤い小さな電車が止まっていた。エノーカー登山鉄道だ。

エノーカー登山鉄道は、急勾配の続く山道を3段のスイッチバックで登っていく。

沿線の景色が何よりも美しく、観光客には人気の『動くスポット』といえるだろう。

「これで終点のアローグまで行って、公園に立ち寄ろうかなーって」

「ああ、そういうことね。それじゃ早速乗りましょ」

二人は意気揚々と電車に乗り込む。ドアが閉まり、電車はゆっくりと動き出した。

山を登っていく電車の車窓に映るのは、急峻な地形が織り成すダイナミックな風景。

V字型に美しく刻まれた谷の下には、力強くも美しく駆け抜ける清流。

鉄橋に差し掛かったとき、誰もがその光景に圧倒されていた。

「うわー、高いなあw」

「落ちたらいくらロボットでもバラバラになるわね…死にはしないだろうけど…」

「あれ?ネフティスったら高所恐怖症だったりする?」

「実はちょっとね…w」

電車はおよそ40分かけて、終点のアローグ駅に到着した。

二人は早速、アローグ駅から降りてすぐの場所にある公園に向かった。

「さて、じゃあ温室でも見ていこうかしら」

「そうね!行きましょ行きましょ!」

アローグ公園内の温室には、南国ムードの漂う香りが広がっていた。

栽培されているのは、美しい花をつけたブーゲンビレア。

これらのほかに、色鮮やかに咲き誇るハイビスカスなど、色とりどりの花が二人の周りに広がっていた。

 

「花を見てると心まで癒されてきちゃうな。まるで日頃のファイトの疲れが揉みほぐされてくみたい」

「そうよね。私もここ数日前までハードな任務だったから、わかる気がする」

「それにこの香り…はぁ、関節部分が自然にゆるゆるになっちゃうような気分…w」

「あー、それあくまで『そういう気分になってる』だけだから、ちゃんとメンテはしないとダメよ。あ、せっかくだからフレグランスオイルでも買ってかない?」

「あー、それいいかも。ハイビスカスの香りを漂わせながらリングイン!ってのも悪くないかもねww」

と、いかにもロボットらしい会話をしていた二人は、温室を出ると公園内の売店に向かった。

二人はそこでフレグランスオイルを買ったあと、公園内にあるカフェで昼食をとることにした。

二人が注文したのは、フィッシュアンドチップスとハンバーガーのセット。

「あ、このハンバーガー、肉がとっても美味しいw」

「だよね。すごくジューシーだし。フィッシュアンドチップスも揚がり具合がいい感じよ」

「ところで姉さんw」

「え?どうしたの、急に笑ったりなんかして」

ネフティスはイシスの顔を見て笑っていた。

「ちょwwwほっぺにケチャップついてるwwww」

「ええ!?wwやだもうw」

午後2時。エノーカー最大の湖であるシルフロール湖上を行く遊覧船の中で、二人はゆったりとしたときを過ごしていた。

「フフッ」

「どうしたの姉さん?顔に何かついてる?」

「いやね、こうやって二人で一緒に出かけるのも随分久しぶりだなって」

「あ、考えてみればそうよね。お互いスケジュール詰まってたし」

「ねえ、今度また休みが取れたらどこ行こうか」

「そーだなー、西海岸とかドライヴなんてw」

陽光が湖面に反射して、窓の外がまるで黄金色に輝いているようだった。

そして、その光を受けた二人の笑顔は、きっと他のどの観光客よりも眩しかったのだろう。

その後、再びクエレ駅に戻ってきた二人は帰りの列車に乗り込む。

「ふー、今日は楽しかったわね。ねえネフティス…ネフティス?」

イシスがふと横に目をやると、ネフティスはぐったりとシートにもたれかかり、寝息を立てて眠っていた。

「…ふふ、遊び疲れて寝ちゃったのね。私も一眠りしようかしら…」

イシスはそう言うと、ゆっくりとまぶたを閉じてつかの間の眠りにつくのであった。

エノーカーの街で姉妹水入らずの旅行を楽しんだトライスター姉妹。きっと、いい旅の思い出が出来たことだろう。

ラミナ・セントラル駅到着まで1時間半。それまでの間、どうぞごゆっくり。おやすみなさい。

 


 
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