No.404944

魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)--10 刹那と雷刃

ケイさん

魔法少女の世界へ飛ばされた、ガンダムマイスター刹那・F・セイエイと魔法少女達のとある一日。魔法少女リリカルなのはA'sと機動戦士ガンダム00のクロスオーバー作品……などという大それたものではなく、物書き未経験の素人による処女作で駄文です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。

2012-04-08 17:39:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12150   閲覧ユーザー数:11393

--刹那と雷刃--

 

昨年暮れに終えた【闇の書事件】。

あれから三カ月ほど経った。

冬の寒さもだいぶ和らぎまもなく春が訪れる。

新しい出会いがあるであろう春。

そう感じさせる暖かな日差しが降り注ぐ。

 

そんなある日……。

 

 

アルバイトを終え、帰路に着いていた途中、声をかけられた。

「見つけた!」

「フェイト?……いや、違う。何者だ」

姿が似ているため、一瞬フェイトかと思ったが……違う。

髪は水色、瞳は紫。

フェイトは金髪で赤い瞳だ。

何より纏っている空気が違う。

「僕は『力』を司るマテリアル!その名も、雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)!!どうだ、カッコイイだろ!」

「……」

「カッコイイだろっ!!」

「ああ、カッコイイ……な」

「そうだろう、そうだろう」

なんなんだ?

 

レヴィのテンションについていけず、困惑していると今度はフェイトが来た。

「刹那!」

「今度は本物のようだな。どうした、フェイト」

「実は……って、レヴィ!?」

「オッス、オリジナル」

右手を上げて挨拶するレヴィ。

「フェイト?」

「あ、ごめん。実はレヴィを探していたんだ。話をしていたら、急に飛んで行っちゃって」

「僕はこいつを探しに来たんだ」

「レヴィ・ザ・スラッシャー……だったな。俺になにか用か?」

「レヴィでいいぞ」

「で、レヴィ。用件はなんだ?」

「え~と……ところで、君の名前はなんだっけ?」

「……刹那・F・セイエイだ」

「セツナ・エフってことは……君もオリジナルと同じで僕に関係しているの?」

「オリジナル?」

「私の事だよ、刹那」

「……すまない、話が見えない」

「えっとね、レヴィは闇の書の構築体(マテリアル)で、私が闇の書に魔力を蒐集されたのと取り込まれたのが原因なんだと思うんだけど、私を元に姿が作られたんだ」

「闇の欠片とは違うのか?」

「うん。記憶も意識もしっかりあるよ」

「……よく分からないが、フェイトに似せているのか。その割には、性格は正反対のようだが……何故オリジナルと呼ぶ?」

「私のこと呼べないんだ」

俯いて、何やら暗くなるフェイト。

「ヘイトってちゃんと言えるぞ」

えっへん!と胸を張るレヴィ。

言えてない。

刹那もフェイトも同じ事を思った。

「でも、オリジナルの方が言いやすいからそう呼んでる」

そうか?

 

「それで、俺の名前と何か関係があるのか?」

「セツナ・ヘイト・セイエイ。が正しいんだろ?」

「……は?」

「ヘイトじゃなくて、フェ、イ、ト!」

「ヘイトだとHになるぞ。それに、フェイトのFではない」

「あれ、そうなの?てっきり、君も関係者かと思ったんだけどな~。ほら、僕の髪の毛の先。黒いし」

ほらほらと言って、髪を見せるレヴィ。

「それは関係ないだろう。クロノも黒髪だしな。だいたい、俺は蒐集もされていないし、取り込まれてもいない」

「そっか~」

「用件はそれだけか?」

「ううん」

「なら……」

「僕と戦ってくれないかな?」

「なに?」

「ちょ、レヴィ!?」

「セツナって強いんだろ?オリジナルが言ってた」

「フェイト?」

「うっ」

視線をフェイトへ移すと少しバツが悪そうに目をそらした。

「俺にはお前と戦う理由がない」

「僕にはあるよ。やっと外に出られたんだ。力をうんっと振いたい。強いヤツと戦って、勝って、僕の強さを証明するんだ!」

「フェイトがどう言ったかは知らないが、俺は強くない。少なくともフェイトの方が上だ」

「あれ、そうなの?」

そんなことないと思うけど、と刹那の言葉を心の中で否定するフェイト。

デバイスが不完全でありながらも、ジュエルシードの暴走体や傀儡兵を圧倒でき、守護騎士達とも互角に戦える刹那が自分より弱いとは思えない。

「う~ん。でもさ、やってみなきゃ分からないじゃん?だから、戦おう!」

「……はぁ」

ため息を一つつき

「刹那?」

「エクシア」

《セットアップ》

刹那の体が光に包まれ、次の瞬間には鎧を纏った姿が現れた。

「オオ!……って、あれ?なんか……」

「見てのとおりだ。俺のデバイス、エクシアは破損している。だから、バリアジャケットも完全ではない」

「ボロボロだね」

「この状態で……全力を出せない俺と戦って、例え勝ったとしてもお前は嬉しいか?」

「え?う~ん、それは……」

「嬉しくないだろう?だから、お前とは戦えない」

「う~……わかった」

引いてくれたか。

「でもさ、セツナのそれ、カッコイイな!もちろん、僕のバルニフィカスの方がカッコイイけど!」

そう言って、右手に持っているデバイスをクルクルと器用に回して突き出す。

「……」

「それ完璧だったら、もっとカッコいいかもな!見てみたいな~」

「確かに見てみたいかも」

レヴィの言葉にフェイトも呟いて同意する。

「オリジナルもこう言ってるし。そんなわけで修理しよう!」

「何がそんなわけなのかは分からないが、修理はしない」

「どうして!?」

刹那の拒否に声をあげるレヴィ。

「エクシアに搭載されている技術を他者へ見せるわけにはいかない」

「え~!」

不満の声をあげるレヴィに対して、フェイトは特に気にしていない。

以前、自分も同じことを言って同じ答えが返ってきたから。

「悪いな」

そう言うとバリアジャケットを解く。

「む~」

レヴィは納得できないのか、頬を膨らませて刹那を睨む。

 

それにしても……。

レヴィの様子を見ながら思う。

フェイトを元に具現化したというレヴィ。

確かに姿はそっくり。

デバイスもバリアジャケットもフェイトの色違い。

だが、性格は正反対。

出会った頃に比べれば、フェイトも子供らしい表情を見せるようなったが、まだ少々大人びた感じがある。

だが、レヴィはフェイトを元にしていると言われても信じられないくらい活発で子供っぽい。

いや、子供なんだが。

 

そういえば、闇の書に取り込まれた時に母と姉に会ったと言っていた。

自分が望んだ優しい母、プレシア。

自分とは違い活発で元気な姉、アリシア。

いつも優しく時には厳しい家庭教師、リニス。

自らの使い魔、アルフ。

暖かな、優しい夢。

そのまま夢に身を任せたかった。

けれど戻ってきた。

今を共に生きる大切な人達がいる世界へ。

 

アリシアの記憶を受け継いで生まれたフェイト。元々はアリシアのように活発な少女だったのかもしれない。

幼い頃は、よく外を駆け回っていたと、アルフから聞いたことがある。

今のフェイトの性格は、リニスの失踪や母親との関係が起因しているのは確かだろう。

フェイトを元にしたレヴィ。

ならば、レヴィの活発なところは、フェイトが自分の(なか)に閉じ込めているもう一人の自分なのかもしれない。

アリシア、フェイト、レヴィ。

姿はそっくりだがそれぞれ個性があり、もはや別の存在だ。

 

そんな事を考えながらフェイトを見る。

「な、何、刹那?」

「いや……レヴィ」

まだ膨れているレヴィに視線を戻す。

「なに?もしかして、戦ってくれる気になった!?」

目をキラキラさせて聞いてくる。

「戦わないと言ったはずだ」

「ぶー!」

コロコロと表情を変えるレヴィを見ていると、本当に人間の少女のように思える。

なのはも年頃の少女らしく表情豊かだが、レヴィはそれ以上だ。

根は悪いヤツではないのだろう。

 

「レヴィ……何をしているのですか?」

ふと、背後から声がした。

「あ、シュテルん」

振り向くと、茶色の髪の少女が立っていた。

聞き覚えのある声。

見覚えのある服とデバイス。

「シュテル」

フェイトは知っているようだ。

「貴女は、ナノハのご友人。フェイト・テスタロッサ。それに……」

こちらに視線を合わせ、

「はじめまして。私は『理』を司るマテリアル。星光の殲滅者(シュテル・ザ・デストラクター)といいます。以後お見知りおきを……刹那・F・セイエイさん」

脚を揃えて、長いスカートを少し持ちあげ、優雅に会釈する。

「シュテル……レヴィと同じマテリアルか」

「はい」

「なのはが元になっているのか?」

「そうです」

レヴィとは真逆で、感情の起伏がほとんどない。

出会った頃のフェイトに近い。いや、それ以上かもしれない。

それに、なのはを元にしているのであれば、シュテルはなのはの内にいるもう一人の人格かもしれない。

あのなのはに、こんな一面があるのかと思うと信じられないが。

 

「何故、俺のことを知っている。初対面の筈だ」

「ナノハから聞きました。強い剣士だと」

今度はなのはか……とため息をまた零す。

「それに、オリジナルの記憶もある程度持っていますし、貴方は守護騎士や闇の書の防衛プログラムと戦いました。闇の書の構築体である私達は中から見ていました」

「なるほど。で、何をしに来た。お前も戦いを挑みに来たのか?」

「貴方との戦いは、心躍る楽しいものになりそうですが、今日は違います」

「ならば……」

「レヴィ」

「何?」

「何、ではありません。あなたが油を売っている間に、ディアーチェが【砕け得ぬ闇】について手掛かりを得ました」

「本当!?」

「はい。ですから、早く合流しなくてはいけません」

「わかった!」

「そういうわけですから、今日のところは失礼します」

「おい」

「では」

シュテルが再び優雅に会釈をすると、二人とも体を浮遊させる。

「バイバイ!セツナ、オリジナル!……あ、今度会った時は戦ってよね!!」

「置いて行きますよ、レヴィ」

「待ってよ、シュテル~~~ん!」

 

「……行ってしまったな」

「……うん」

「まるで嵐みたいなヤツだったな」

嵐の様なレヴィに、嵐が過ぎ去った後のような静かなシュテル。

フェイトの別の一面を見たような気分。

もし、フェイトがレヴィのようだったらと、ふと思う。

……騒がしい日々……か?

「……疲れるな」

「刹那?」

「なんでもない。それより、いいのか?」

「何が?」

「レヴィとシュテルだ。追いかけなくていいのか?」

「あ」

「砕け得ぬ闇とか言っていたな。何か企んでいることは確かだ。悪いことでなければいいが」

「うん……そうだね」

レヴィとシュテルが去ってから、どうもフェイトの様子がおかしい。

「どうした?」

「レヴィ……最後まで名前で呼んでくれなかったなって」

ああ。そのことか。

「あれは、わざとではない。素だ、気にするな」

「わかってるつもりなんだけど……」

「練習すれば呼べるようになるだろう。それに……」

「?」

「お前の名を呼ぶ人間がちゃんといる」

「え?」

刹那が視線を上に向けると、

「フェイトちゃ~ん!」

バリアジャケットを纏ったなのはが飛んできた。

「なのは」

「フェイトちゃん、刹那君。こっちに、私にそっくりな女の子が来なかった?」

なのはにそっくりな少女といえば、シュテルしか思い浮かばない。

「シュテルのことか?」

「シュテルを知ってるの!?」

「自己紹介された。先程まで、もう一人のマテリアル。レヴィと一緒にいた」

「そうなんだ」

「それで?」

「うん。なんか、砕け得ぬ闇がどうとかって言って、飛んで行っちゃったから探してたんだ」

「砕け得ぬ闇が何かは分からないが、レヴィを連れて何処かへ行ってしまった」

「探さなきゃ」

「そうだな。フェイト、行くぞ」

「え?刹那君、手伝ってくれるの?」

「戦闘は厳しいが、人探しくらい問題ない」

「ありがとう。刹那君!」

「……」

満面の笑顔で礼を言うなのは。

かたや、フェイトはまだ少々落ち込んでいた。

「フェイトちゃん、どうしたの?元気ないみたいだけど」

なのはが心配そうにフェイトに話しかける。

「レヴィに名前を呼んでもらえないことを気にしている」

「う……」

「あ~。あの子、なんでかフェイトちゃんの名前を呼べないんだよね」

「だが……」

「「?」」

否定の言葉を口にする刹那をフェイトとなのはが不思議そうに見つめる。

「レヴィに名前を呼んで欲しければ、何度もレヴィに言えばいいのではないか?なのはがお前にしたように」

「あ!」

一年程前の出来ごとを思い出し、声をあげるフェイト。

「そうだよ!フェイトちゃん、きっと呼んでくれるよ!」

「うん。私、頑張るよ。なのは」

どうやら、いつものフェイトに戻ったようだ。

レヴィの様に元気過ぎるのも考えものだが、落ち込んでいるフェイトも調子が狂う。

……?

調子が狂う?

そう思ったのか?俺は?

「刹那」

「なんだ?」

「ありがとう」

「礼は必要ないと思うが?」

「いいの。私が言いたかっただけだから」

先程の暗い表情はどこへ行ってしまったのだろうか。

「……そうか。それよりも、行くぞ二人とも」

満面の笑顔で答えるフェイトから少し視線を外して二人を促す。

「「うん!」」

元気よく答えるなのはとフェイトは、刹那の後をついて行く。

 

【ガンダムマイスター】と【魔法少女達】は星が煌く夜の空を駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、マテリアルが俺を元にしたら、どんなヤツが出てくるのだろうか。

 

『チョリ~ス』

 

!?

「幻聴か!?」

「どうしたの、刹那?」

「顔色が悪いよ?」

「い、いや。何でもない」

「「?」」

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読了おつかれさまでした。


 
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