…リーン…チリーン…
月の下で鈴の音が鳴り響く。
…リーン…チリーン…
その音は、とても悲しいようで、どこかやさしいく心に響く。
船の上で酒を飲んでいる彼女は、夜空を見上げながらその音を聞いていた。
「ふぅ、やはりおいしくないな。なぜこんなにも辛いのだ…」
彼女はそう言いながらも酒をやめることができなかった。
「頭!今回狙う予定の相手発見しましたぜ!」
「分かった。皆の者戦闘準備だ!!」
部下から、目標発見の報を聞いて、彼女は酒を置くと声を張り上げて全員に指示を出す。
オオォーーー…
彼女の言葉に、全員が雄叫びを上げて、これからする事になる戦闘の準備に取り掛かった。
彼女の名は、姓は甘、名は寧、字を興覇、真名を思春という。
「鈴の甘寧」の二つ名で知られ、後に呉武の一角として、その名が大陸中に知れ渡る事となる女性。しかし、この時はまだ呉の将ではなく、義賊と呼ばれている錦帆賊の棟梁であった。
「全員の準備完了しやした!いつでもいけまずぜ!!」
その言葉を聞いた思春は、一度目を閉じて何かを思う。
しばらくした後、思春は目を開き、目の前に集まっている部下達に向かって声を投げかけた。
「…皆の者!民に重税をかけ、私腹を肥やす者を我々は許しはしない!鈴の音とともに黄泉地へと送り届けてやれ!」
「全員抜刀!…突撃せよ」
ウオオォォーー…
雄叫びを上げながら部下たちが船に乗り移り、長江を赤く染めていく。
もちろん思春も部下達と同じく、船を襲う。
一人、…また一人と命を奪いながら、昔唯一心を許した人の顔を思い出しながら、心で懺悔する。
(一刀…お前は今の私を見たら悲しむだろうか?それとも笑うか?いずれにしても、良い顔はしないだろう。しかし、この鈴と共に誓った想いを実現する為に色々考えたが、今の私にはこんなことしか思いつかなかった。一刀…こんな事しか出来ない私を、どうか赦して欲しい。)
思春は心の中で涙を流しながら、また一人命を奪うのだった。
時は漢王朝末期。
己の欲に塗れた中常侍により、民達は虐げられ、本来なら民を守るべき立場にある皇帝も、いまや言いなりとなってしまった時代になってしまった。
民達は日々絶望にくれ、何時しか明日への希望すら持てなくなっていた。
そんな時、ある噂が大陸を駆け巡る。
その噂は、民にとって希望なのか、それとも絶望を加速させるものなのか?
それは分からないが、唯一つ言える事がある。
長らく止まってしまっていた時代が動き出したと言う事だ。
曰く、『空より降る白き光、その恩恵を受け、大陸に平穏をもたらす者現る。その者の名は天の御使いなり』
今ここに、空へと上る若き英雄達の物語が始まろうとしていた。
次回から今日の思春ちゃんも再会させてもらいます。
楽しみにしていてくださいね。
それにしても…
友人Aェ…
酒に酔ったからって私のパソコンを勝手に弄らないでくれよ…。
何で次の日プロット所か、恋姫二次小説全部消えてんだよ。
………はぁ。
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今まで更新できなくてすみません。
決して恋姫熱が冷めた訳じゃなかったんですが、何故か恋姫のアイディアがまったく出てこなくなり、しかもプロットまで消されてしまうという大事件があって…。
恋姫を書く自信が無くなってしまってました。
他の二次とかは色々書いていたんですけどね…。
ですが、今日ここに復活させてもらいます。
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