No.394316

高みを目指して 第3話

ユキアンさん

人生はままならないわね。
ようやく零樹が落ち着けたと思ったらこの有様。
次に会えたら一発殴りたいわ。
もう、会えることは無いけど。
byリーネ

2012-03-19 08:30:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2950   閲覧ユーザー数:2782

強化、確認、行動開始

 

 

side 零樹

 

大魔王軍に入ってから早くも半年が過ぎ去った。この半年で他の軍団長達とも友好関係を気付けたと思う。特にヒュンケルとは一番仲が良い。ああやって一つの事しか考えずに生きている者程オレに取っては眩しい存在だからこそいざというときの切り札を渡し、色々な技術すらも与えた。これで原作の様にダイ達の仲間になればバランとすら戦えるかもしれない。そのバランにも息子が今も生きているという事を軽く教えてある。その事をもっと詳しく教えろと問いつめられたが生きているという事しか分からないと良い、もし見つかったら連絡するとも約束した。まあ原作と同じ場所に連れて行くだけだがな。他にもハドラーとも仲が良い。原作序盤のハドラーは私欲にまみれて残念なキャラだがオレたちという人間の力の凄さを見せつけた結果、原作終盤の様な漢気溢れ、どっしりと構えれる魔軍司令となった。

だが、少し予定外の事が判明した。まずはバランの息子は双子だということ、更にハドラーが破れた際アバン以外にもう一人アバン並みかそれ以上の力を持つ女賢者レインがいたという。

めんどくさいがそいつらが誰なのかはすぐに分かった。オレたちの世界にも居た他の世界から神々によって送られて来た者。つまり転生者が居るという事だ。

過去に相手をした事があるがどんな能力を持っているか分からない以上保険を色々用意しておく必要があると考えられる。

そのために装備の開発から行なった。結果だけ言うとオリハルコンの装備がオレたちの力に耐え切れずに壊れた、加工の最終段階で。返せよオレの睡眠時間。諦めて父さんが作った武器を使用する事が決定した。

さらに少しでも地上の戦力を削る為に鬼岩城をブラザーズとシスターズを投入した上で強化魔改造中だ。魔界に来る際に見つけた鉱石を使い強度を上げたり魔力砲を取り付けたり生産工場を増設したりバリアを張れる様にしたり、ぶっちゃけ何処かの移民船団の旗艦みたいな事になっている。もちろん外見に変化はほとんど無い。少し色が変わった位だ。これはバーンが自分の完全体を想像して作ったものだから外見は出来るだけ変えない様にと言われているからだ。

 

 

 

 

 

さらに二ヶ月の時が過ぎた。今日から大々的に侵攻を開始するためバーンパレスから軍団長が殆ど居なくなった。残っているのはバーン、ミスト、キル、それからハドラーとオレたちだけだ。サーチャーをデルムリン島に飛ばしているのでアバンと件の女賢者レインが到着するのも確認したし、ダイの隣に兄を名乗る男の子も確認した。そして外見からすぐに転生者だと分かった。なぜなら女賢者の方はコードギアスのC.C.の姿を、ダイの兄は5D'sの遊星を子供にした様な姿をしているからだ。感じれる力はそれほど高くない。高くないと言っても賢者としては最高峰だし、子供にしては極端に高い。情報通りアバンやダイ以上の力は持っているのだろう。中身はどうか知らんが。とりあえず姉さん達に報告してから眠りについた。

 

 

 

 

 

久しぶりに夢を見た。

視界を覆い尽くす程の鎖が存在する夢を見た。そしてその鎖に覆われている何かを見たところで夢から覚めた。

この夢は一体なんだったんだ?

 

 

 

side out

 

 

 

 

side リーネ

 

「何かが大量の鎖に覆われている夢?」

 

「ああ、しかも明晰夢だった。だが心当たりがさっぱり無いんだ」

 

「それを見たのは何時?」

 

「今朝だ。今までも明晰夢を見る事はあってもそれはいつも悪夢だったが今回は全く違う意味が分からない物だったんだ。だから外部から何か干渉があったと思うんだ」

 

「それの解明を手伝って欲しいと」

 

「そうなんだ」

 

「構わないわよ。私もその夢が気になるから。とりあえずは夢に一緒に潜れば良いかしら」

 

「それでお願い。眠りの霧で無理矢理寝てから夢渡りをするから、寝てから5分程経ってから潜って来て」

 

「分かったわ」

 

話が終わるとその場で零樹は眠りの霧で椅子に座ったまま眠りについた。慣れているのね。それも仕方ないわね。二度も愛する者を守れずに壊れてしまったんだから。その頃に無理矢理寝る為に眠りの霧を使っていたんでしょうね。三度目は大丈夫だったからこそ、ここまで立ち直ったのでしょうけど、その為に自分を捨ててお父様の様に振る舞って本当にそれで良いの、零樹。

……見ているだけしか出来ないなんて、情けない。私ではどうする事も出来ない。不甲斐ない姉を許して頂戴。

 

「そろそろ5分ね」

 

零樹の隣に椅子を持って行き零樹の夢に潜る。

 

 

そこは確かに鎖で覆われた何かがある空間だった。零樹も居るけどこの明晰夢を維持する事に集中しているみたいだからそっとしておき出来る限りの情報を集める。

まずは鎖、何らかの力が込められている見ただけどよく分からないわね。

次に空間を見渡してみる。そんなに広くはなく鎖に覆われている何かを中心に1kmといったところかしら。特に変なところは一切ないわね。

最後に中心にある何か。近づいて触ろうと

 

 

 

 

----コナイデ----

 

 

 

 

 

次の瞬間、鎖の魔力に弾かれる様に夢から追い出された。

今のはまさか!?

 

「姉さん、何か分かったかい」

 

こちらに戻されるのと同時に零樹が目を覚ます。

 

「あまり分かっていないは。分かった事は二つ。あの中心にあるのは、いえあの中心には誰かが居るという事と、鎖がそれを守っているという事よ。おまけに私は嫌われたみたいだからもうあの夢に入る事は出来ないわね」

 

「誰か?オレたちに干渉できるという事は…………神」

 

「いえ、違うでしょうね。あそこに居る誰かがあなたに害を及ぼすとはあまり考えられないわ」

 

「なぜそう思うんだ」

 

「強いていうなら女の勘ね」

 

嘘だ。本当はアレが誰なのか見当がついているからこそ断言できるだけだ。だけど何故今になってなの?どうしてもっと早く現れなかったの。伝えるべきじゃない。今の状態の零樹が知ればまた壊れる。いえ、今度こそ完全に狂う。そんな事は絶対にさせない。でも、それでも零樹が昔みたいに笑える様になるにはあの子の正体を知る必要がある。

 

「分かった。今はそれで納得しておくよ」

 

チャンスは一度だけ。失敗すれば絶対に問いつめてくるのは分かっている。絶対に失敗するわけにはいかない。気付かれない様に魔力を瞳に集める。いつかは真実を知る必要があるでしょうけど、それは今ではない。これからするのはただの時間稼ぎ。この時間の間に誰かが零樹の心を癒せなければ私は零樹をこの手で葬る。それが良いのか悪いのかは分からないけど姉として、そして私自身あんな零樹を見ていられない。それならいっそ楽にしてあげた方が良いと私は考える。

 

「零樹」

 

部屋を出て行こうとする零樹に声をかけ振り向いた所に魔眼で強力な暗示をかける。

『明晰夢を疑問に思わず、詳しく探ろうと思わない』

そういう暗示、というよりもギアスに近い。これに言霊を乗せればギアスになるといった方が正しい。

 

「どうしたんだい」

 

「ハドラーが二日後にアバンと決着をつけに行くのは聞いているわね」

 

「ああ、それに付いて行く予定だが」

 

「転生者の処遇だけどあなたに任せるわ。最悪、バランの息子の方も殺して構わないわ」

 

「判断基準はどうする」

 

「ハーレムとかを考えているなら即処分。力に溺れている様な感じでも処分。それ以外なら今回は保留。後々に全員で話し合ってからどうするかを決定するわ。処分方法は任せるわ。ただし原作のキャラに力を使っている所を見せない様にしなさい」

 

「了解。任されたよ」

 

そう言って部屋から出て行く零樹を見送る。どうやらバレずにすんだようだ。これで幾らかの時間が稼げる。その間に零樹の心の傷を癒せる者か、自分で完全に立ち直れる事を祈るしか無いわね。

 

 

side out

 


 
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