No.393412

クラス代表戦と因縁の機械(ロボット)

十河さん

クラス代表戦。

2012-03-17 23:23:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2128   閲覧ユーザー数:2081

中庭

 

「ふぅ、やっと終わったわね。」

 

鈴は植木鉢の後片付けを終え寮に戻ろうと歩き出す。

 

「ご苦労さん。」

「わっと。」

 

唯から缶ジュースを投げ渡され、鈴は慌てながらもそれをキャッチ。

2人は近くのベンチで話をする。

 

「どうだった?一夏と箒は。」

「素質はあるわ。」

「そうか・・。」

 

そこからしばらくの間2人は話をせず、風の音しか聞こえなかった。

唯が話し出す。

 

「なぁ。」

「どうしたの?」

「俺が人じゃなくなったことを知っているのはお前と束、愛琉だけだ。いつか話さなきゃいけないよな・・。」

「・・そうね。」

 

唯は鈴に自分が人じゃなくなったことを話している。

鈴はそのことに驚くも唯を受け入れてくれた。

 

「大丈夫よ、一夏たちもきっと受け入れてくれるって。」

「・・だといいんだがな。」

 

唯は空を見上げる。

空は満天の星空があった。

 

「ISって何なんだろうな。束は宇宙開発を目的に作ったはずなのに・・。」

「・・・。」

「それがいつの間にかスペックを持て余すという理由だけで兵器としての開発が進んでいる・・。どうして人は重力に縛られることしか考えないんだろうな・・。この空を抜ければ未知の世界があるっていうのに・・。」

 

唯はそこまで言って自嘲気味に笑う。

 

「って、俺が言えた義理じゃないよな。俺もGNドライブとツインドライブを搭載した黒百合を作ったんだから・・。」

「唯・・。」

 

唯は暗くなった空気を変えようとクラス代表戦ことを話す。

 

「さて、明後日だな。クラス代表戦。」

「そうね。」

「なんかイヤな予感はするけど・・全力で一夏と戦ってくれ。」

「そのつもりよ。誰が一番唯にふさわしいか決めなくちゃいけないから。」

「ははは。」

 

鈴の言葉に唯は笑い声を上げる。

だが、唯の予感は現実のものとなってしまう・・。

 

月曜・クラス代表戦当日

 

ピットでは一夏に鈴の専用IS・甲龍のスペックを説明するためにモニターを開いていた。

ピットには2人のほかに真耶、千冬、束、箒、セシリアがいた。

 

「いいか、鈴のIS・甲龍の武装・・まずは近接ブレード・双天牙月。近接戦闘では互角だが注意すべき点は連結させて投擲してきたときだな。ブーメランのように戻ってくるから気をつけろ。それよりも問題はここだ。」

 

唯はある武装が搭載されている場所を拡大する。

 

「この武装・衝撃砲だ。砲身が見えない上にどこにいてもほぼ射程圏内だ。しかも燃費がいいと来たもんだ。」

「白式とは正反対だね・・。」

「一応左腕のところにビームバルカンを装備しておいた。この武装は連射性に優れている。だがこの武装はあくまで牽制用と割り切れ。あとは零落白夜を使うタイミングをしっかりと見極めろ。じゃなきゃエネルギーの無駄遣いで『シールドエネルギーエンプティーでおしまい』っていう事になってしまうからな。」

「うん、わかった。」

「織斑、そろそろ時間だ。」

「はい、・・唯、勝ったら何かご褒美頂戴?」

 

一夏は唯を見上げるように見る。

一夏もかなりの美少女でスタイルもいいので唯は双子の姉とはいえドキドキしてしまう。

 

「わ、わかった・・。考えておくから行ってこい。」

「うん!」

 

一夏はピットを後にし、唯はため息を吐く。

 

(ったく、一夏のやつ、俺以外にもいい男がいるだろうに・・。)

(いっちゃんは再会したときから唯に好意を持っているよ?)

(困った姉さんだこと・・。・・何事もなければいいんだがな・・。)

 

唯はユリと会話を交わした後コーヒーを6ついれ、千冬の元に向かう。

 

アリーナ

 

「来たわね。一夏。」

「鈴!負けないよ!日本代表候補生としての力を見せてあげる!」

「ならあたしは中国代表候補生としての実力を見せてあげるわ!」

 

『それでは両者、試合開始!』

 

ピット

 

コーヒーを飲みながらモニターで観戦している唯たち。

 

「さて、始まったか。」

「一夏と鳳、どちらが勝つんだろうか?」

「一夏のコンセプトは完全に近接戦闘型。鈴は近接戦闘よりの万能機っていうところか。だが白式の燃費が悪い。逆に甲龍は燃費のよさが売りだからな。一夏が勝つにはどれだけ早く決着をつけられるかどうかとビームバルカンをどう使うかが鍵を握る。」

 

衝撃砲をかわしつつ後退した一夏は鈴と再び向かうあう。

 

「へぇ~やるじゃない。」

「こっちには優秀な軍師兼鬼教官がいるからね・・。お姉ちゃんとしてあまり無様な姿を見せられないよ。」

 

2人の会話を聞いた千冬はどのような訓練を施したのかを唯に聞く。

 

「織斑弟、どのような訓練を施したのだ?」

「ん?金曜と日曜にセシルと箒に協力してもらって訓練しただけだけど。」

「いえいえ、唯さん。」

「あれはすざましい訓練だろう・・。」

 

セシリアと箒は一夏に施した訓練を思い出す。

その訓練の内容とは・・。

 

「オラオラオラァ!!」

「わぁ~!?ちょ、ちょっと待ってぇ~!」

 

一夏は懸命に逃げる。

唯はGNフィンファンネルによるオールレンジ攻撃を仕掛けながら高速移動しつつGNビームガトリングを乱射していた。

 

「大体オールレンジ攻撃をしているときに動けるなんてそれなんて反則ぅ~!?」

「一夏さん!止まっている暇はありませんわよ!」

「わわわ!?」

 

セシリアのブルーティアーズによるオールレンジ攻撃もプラス、一夏の動きが止まれば・・。

 

「一夏ぁ!覚悟ぉ!」

 

箒が近接ブレードで切りかかり、セシリアが絶妙なタイミングでスターライトMK-2改(唯と束の手で改造。燃費と威力の向上に成功。)による援護射撃が飛んでくる。

 

「にゃあ~!?」

「まだまだいく・・あれ?弾切れか?」

「・・!スキあり!」

 

GNビームガトリングの弾が切れ、スキありとばかりにGNフィンファンネルのビームを潜り抜け突っ込む一夏。

だが、それが罠だと後悔するのは少し後。

唯はGNビームガトリングを収納、次に取り出したのは・・。

 

「ショットガンって近ければ近いほどダメージが大きいんだよな。」

「ゲッ!?」

 

GNビームショットライフルをショットガンモードで放つ。

至近距離でビームの拡散弾を受けた一夏のシールドエネルギーが切れる。

 

「一夏、弾が切れたからって突っ込む癖を直せ。特に俺の場合武装が豊富なんだから。」

「うう・・。」

「明日はお前らと出かける約束があるから休みな。日曜日にまた弾幕鬼ごっこをやるからな。」

 

その言葉を聴いた一夏は絶望したという・・。

 

ピット

 

「まぁ、弾幕鬼ごっこをしたぐらいだけどな。俺が弾幕を張って一夏の動きが止まったら箒が切りかかってセシルが援護射撃するっていうものだ。」

「・・・。」

 

真耶は弾幕鬼ごっこを想像してしまってゾッとする。

アリーナでは2人が再び動こうとしていたそのとき、何かがアリーナのシールドを破って落下してきた。

煙が晴れ、その物の姿が明らかになる。

それを見た唯はすぐにマイクで2人に言う。

 

「一夏!鈴!すぐに退け!」

「え?え?」

 

一夏は何がなんだかわからずに混乱する。

するとロボットみたいな何かが動きを見せる。

 

「ウラギリモノ・・。ジャマ・・。」

 

ロボットらしき何かはそういうとなにやら音波攻撃を繰り出す。

すると一夏と鈴は頭を抱えて苦しみだす。

 

「あああぁぁぁ!!」

「あ、頭が・・割れる・・!」

 

ISのコントロールができなくなった2人は墜落。

幸いにもISがショックを吸収したおかげで重傷にはいたらなかった。

 

ピット

 

ピットでも混乱していた。

唯はそのロボットを見て顔をしかめる。

そのロボットは唯にとってとても因縁のある相手だったのだから。

 

「謎の機械の墜落でシールドを貫通!!レベル4です!」

「あれの仕業だ。システムクラックに少し時間がかかるだろう・・。」

「解除にかかる時間は?」

「30秒ほどだ。だが、それを聞いてどうするつもりだ?」

「俺が行く。あれのことはよく知っている。」

「どういうことだ?」

 

唯は目を伏せるがすぐに千冬を見る。

 

「俺の過去に関係している・・といっておく。とりあえず一機捕獲でいいか?」

「・・ああ。気をつけてな。」

 

唯はピットを後にする。

姉とパートナーを救うために・・。

 

カタパルト

 

唯はすでに黒百合を纏い、ロック解除を待っていた。

 

「唯くん!ロックが外れました!」

「了解した。・・織斑唯。黒百合。飛翔する!」

 

唯はアリーナに飛び出す。

一体のロボットが一夏に近づき、ナイフを展開して振り下ろそうとする。

 

「コロス・・。」

「させると思うか?」

 

瞬間、ロボットの体が斜めにバッサリと切れる。

唯の左手にはビームサーベルが握られていた。

ロボットたちは一斉に唯の方を見る。

 

「ウラギリモノ・・。」

「オマエガ・・。」

「ママヲコロシタ・・。」

「カタキヲトル・・。」

 

その言葉を聞いた唯は笑い始める。

 

「フフフ・・。アハハ!人形ごときがこの俺に勝てるとでも?」

 

そう言って唯はヒートロッドでロボットの一体を捕縛して振り回す。

ぶつけられたロボットたちは火花を上げ機能を停止、捕縛したロボットを投げつけてメガキャノンを放ち爆発させる。

 

「ふむ、こんなものか。」

 

9体いたのが一気に5体になる。

その鞭さばきにセシリアたちは戦慄する。

 

「唯さん、すごいですわ。」

「黒百合は鞭も装備していたのですね。」

 

だが、千冬たちは気づいていなかった。

箒がいなくなっていることに・・。

唯は超越したスピードを駆使して4体爆散させた後、残り一体を探す。

ラストターゲットを発見、接近しようとするがアリーナに声が響く。

 

「唯!負けるな!」

「箒!?」

 

箒の声に驚き、一瞬反応が遅れてしまう。

ロボットは箒のいる場所に向かって肩のビームキャノンを展開する。

 

「箒逃げろ!」

「・・!?」

 

箒は一歩も動こうとしなかった。

否、動けなかったといったほうが正しい。

唯は模索する。

ビームキャノン発射まで時間がない。

ならば切り札を切るまでと!

 

「IS-Dを使う!」

 

唯が叫ぶと黒百合が装甲が展開、黒の装甲の間から赤く輝くサイコフレームが露出。

そしてブーストを全開にして一気に接近。

千冬たちの目には赤の残像しか見えていなかった。

 

「うおおおぉぉぉ!!」

 

両腕のビームトンファーでビームキャノンを破壊。

続けてビームサーベルをブーメランのように投擲して両腕を切り落とす。

 

「聞こえていたらよく聞け!!卑怯者!!」

 

両手にビームガトリングを持ち乱射、続けて両肩にハイパーバズーカを構えて放ち、ビームマグナムを放つ。

 

「俺の仲間たちに!!手を出すなー!!」

 

叫びながらメガキャノンを高出力で放ちロボットは爆発。

この間、わずか45秒。

全ての敵を倒した事を確認した唯はIS-Dを解除、装甲が戻る。

 

「はぁ、はぁ・・。任務完了・・。(これを送ってきたのは間違いなく卑怯者・・。これは何かの幕開けなのか・・?)」

 

唯は胴体と頭だけになったロボットを持ち帰る。

こうしてクラス代表戦は幕を閉じた。

 


 
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