No.393321

IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・

ISさん

第13話『転校生はセカンド幼馴染』

2012-03-17 21:45:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8945   閲覧ユーザー数:8563

 

 

 

 

「これより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、玖蘭、オルコット。試しに飛んで見せろ」

 

 

 四月も下旬。

 俺がこっちの世界に転生してきてから、もうすぐで一ヶ月になろうとしている。

 

(もう一ヶ月か……)

 

 この新しい世界・環境でそれなりに楽しめている……楯無さんについては保留だが。

 

 

「どうした玖蘭、早く展開しろ」

 

「あ、すいません」

 

 ――なにを惚けていた?

 

 ――ああ、ティエリア。いや、もうすぐでこっちに転生してきて一ヶ月だな、って。

 

 ――そうだな。時間が過ぎるのは早いものだ……早く機体を展開しよう。怒られたくは無いだろう?

 

 ――ああ、そうだったな。…『マイスターズ』起動。

 

『『マイスターズ』起動。選択《セレクト》GNY-001F2『ガンダムアストレアTYPE-F2』』

 

 普通なら、その展開されることを意識したりして装甲を展開させるが、俺についてはティエリアがやってくれる。

 ……ISにあると言われてる深層心理と対話ができて、理解しあえればこんな感じに出来るのだろうか? 出来たら良いと思うけど……ダブルオーライザーの意識共有空間ならできるのか?

 

 まあ、そんなことはさておき。いつも通りネックレストップからGN粒子が放出されて、それが俺の体に装甲を創る。

 機体は前回と同じくアストレアTYPE-F2。深紅の機体だ。

 展開にかかる時間は―――大体0.3秒くらい。

 

 ISはフッティングを完了させると、その登録操縦者の身にアクセサリーとなって待機する。

 俺だったらネックレストップ、セシリアは左耳のイヤーカフス、一夏は……右手首になぜか防具であるガンレット。

 

 

 俺が意識を現実世界にしっかりと引き戻したときには、一夏の『白式』も展開が終わっていた。

 

 

 

「よし、飛べ」

 

 織斑先生に言われ、セシリアに続くように上昇する。

 俺のイメージとしては、GN粒子で浮き上がる感じ。

 それからかなり出遅れて、しかも俺たちと比べのろのろとした速度で、一夏が俺とセシリアの居る高度まで上がってくる。

 

「何をやっている。玖蘭の機体はともかくブルー・ティアーズと白式では、スペックは白式のほうが上だぞ」

 

 そして、いつも通り厳しい織斑先生。

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分にあった方法を探すのが建設的でしてよ」

 

「十人十色ってわけだ。OK?」

 

「そう言われてもなぁ。大体、空を飛ぶ感覚自体あやふやなんだよ。何で浮いてるんだ、これ」

 

「説明しても構いませんが、長いですわよ? 反重力力翼と流動波干渉の話になりますもの」

 

「わかった。説明はしてくれなくていい」

 

「賢明だな。一夏の頭じゃ一割理解できればいいほうだ」

 

「お前ってたまにとことん酷いこと言うよな……オブラートに包むとか無いのか?」

 

「無いな。……その方が楽しいから」

 

「コノヤロウ!」

 

 やっぱり一夏弄りは止められない止まらないんだぜ。

 ちなみに原作どおり一夏に惚れたセシリアは、このごろ毎日のように一夏の訓練に付き合っている。

 原作との違いといえば、俺が言ったあの言葉をしっかり理解してくれているようで、箒とセシリアがそれぞれの分野で一夏の訓練をしてることくらいか。

 え、俺? 一夏の模擬戦相手だぞ。……いじめてるだけだけど。

 

「あの、一夏さん、よろしければまた放課後に指導して差し上げますわ。そのときは二人きりで―――」

 

 

「一夏! いつまでそんなところに居る! 早く降りて来い!」

 

 コアネットワークの通信に介入して、セシリアの台詞を遮った箒。

 下……ここは上空二〇〇メートル。地上で山田先生のインカムを奪った箒がそれに向かって怒鳴ってる。

 ちなみにGN粒子は、コアネットワークを介した通信の妨害は出来ないようだ。ただしこれは通常濃度の場合で、高濃度の粒子空間を形成した場合どうなるかは今のところ不明。ティエリアもやってみなければ分からないとのこと。……高濃度粒子空間を作ったら、妨害以前に意識共有空間を生み出しそうだけどな。

 

 

「織斑、玖蘭、オルコット、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地上から十センチだ」

 

「了解です。では、お先に」

 

 まずセシリアが降下。危なげなく完全停止を成功させる。

 

「んじゃ、次は俺が行くわ」

 

 上体を入れ替え、頭を下にして降下。

 ティエリアから停止限界点突破の注意が出されたところで、体勢を元に戻して粒子を噴射、停止。

 

「んー、十一センチか。惜しいな」

 

 

 そして最後は一夏。

 地上向けて加速して―――

 

 

 

 ギュンッ―――――――――ズドォォンッ!!!

 

 

 うん、墜落したね。

 地面にクレーター作って。

 

「馬鹿者。誰が地上に激突しろと言った。グラウンドに大穴を空けてどうする」

 

「……すみません」

 

 

 

 その後、一夏の身を心配して来たセシリアに箒が突っかかって――

 

「おい、馬鹿者ども。邪魔だ。端っこでやっていろ」

 

 織斑先生に怒られるという……最近毎日だよな。見てて飽きないからいいんだけど。

 

 

「織斑、武装を展開しろ。それくらいは自在にできるようになっただろう」

 

「は、はあ」

 

「返事は『はい』だ」

 

「は、はいっ」

 

「よし。でははじめろ」

 

 姉弟漫才ご馳走様です。

 

 一夏は右手を前に突き出して、その手首を左手で掴む。

 その右手の中から光の奔流があふれ出して、光が収まると武装――雪片弐型――を《形成|かたな》した。

 

「遅い。0.5秒で出せるようになれ」

 

 はい、一夏の一週間の訓練結果は一瞬で蹴られましたとさ。

 

 

「次、玖蘭。展開しろ」

 

「了解」

 

 今のアストレアに武装は展開していない。

 ある武装は、腕の装甲内にあるGNバルカンだけだ。

 

 展開するのは、プロトGNソード。

 右腕のハードポイントに装備されるそれが、もとよりそこにあるようにイメージを固める。

 GN粒子が量子的な揺らめきの中から放出され、それがプロトGNソードを構築した。ここまで0.6秒。

 これはティエリアの補助無しで、今の俺の最速。

 補助……というかティエリアに言って展開してもらうと展開が0.1秒で終わる。ということで、戦闘中はもっぱらティエリアに展開してもらってるのが現状だ。

 

「後一歩、と言ったところか。お前は0.3秒で出せるようになれ」

 

「分かりました」

 

 さーて、またオープンクローズ・エンドレスでもやりますか。

 これはネーミングそのままで、展開と収納をひたすらに繰り返す……初展開のときからやってるやつだ。

 

 

「オルコット、武装を展開しろ」

 

「はい」

 

 左手を肩の高さまで上げて、腕を横に突き出す。一夏のように光の奔流を出すことなく、一瞬で光から武装――スターライトmkⅢ――が構築された―――ってちょ!

 

「流石だな代表候補生。―――ただしそのポーズはやめろ。横に向かって銃身を展開させて誰を撃つ気だ。正面に展開できるようにしろ」

 

 そうだそうだ! 今銃身が俺のほう向けて展開されてんだよ!

 しかも展開と同時にマガジンはセットされて、セシリアの視線一つで安全装置《セーフティー》は外れるから余計にたちが悪い。

 

「で、ですがこれはわたくしのイメージをまとめるために必要な―――」

 

「直せ。いいな?」

 

 セシリアを一睨みで制圧した織斑先生。良い兵士が育成されそうだ。

 

「セシリア、近接用の武装を展開しろ」

 

「えっ。あっ、はっ、はいっ」

 

 何を考えていたのかは知らないが、焦るセシリア……以外とレアな光景――でもないか。最近一夏関連なら焦ってばっかりだし。

 スターライトmkⅢを《収納|クローズ》して、近接用の武装……確かインターセプターだったっけ? を展開《オープン》させようとするセシリア。

 

 ―――が、展開させようとしている右手の中で光がまとまらず漂っているだけ。

 

「くっ……」

 

「まだか?」

 

「す、すぐです。―――ああ、もうっ! 《インターセプター》!」

 

 セシリアは、かなーりヤケクソ気味に武器名を叫んだ。すると、光はまとまって武器が構成される。

 コレは初心者用の武装展開方法で、プライドが高く代表候補生でもあるセシリアにとっては屈辱的なんだろうな~と、他人事の俺。

 

「……何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」

 

「じ、実戦では近接の間合いに入らせません! ですから、問題ありませんわ!」

 

「ほう、先の戦闘では初心者である織斑にも懐を許していたように見えたが?」

 

「あ、あれは、その……」

 

 俺の場合、全武装を破壊してやったけどな。

 理由? プライドを砕いてやりたかったからだが?

 

 

「時間だな。今日の授業はここまでだ。織斑、グラウンドを片付けておけよ」

 

 土を探してる一夏に話しかける。

 

「よっ」

 

「ああ、拓神。手伝ってくれ―――」

 

「がんばれ」

 

 思いっきり笑顔で言ってやる。

 いや、やっぱり楽しいね。一夏弄り。

 あ、そういえば明日か。鈴がここに来るのは。

 


 
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