No.391829

全ての終焉 6

ラグエスさん

6話

2012-03-15 15:03:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3515   閲覧ユーザー数:3355

第6話『学園長いやいや、妖怪長からの試練』

 

~ネギの部屋~

 

 

 

あれから、色々あったが眠りについて朝になった。

布団を畳んで下に降りた僕は赤いソファーに座る。

 

「何か忘れているような気がするんだよ。何だっけ?」

 

ドッジボールはあまりどうでもいいかな?

あれから、会った事無いから別に無くて良いよ。

上級生を完全否定するネギ、あまりに酷いが。

 

「ふぅ……そういえば、今日は学園が休み」

 

後ろからいきなり抱きついてきた。

誰だ!と思い、後ろを向くと木乃香さんだった。

というか凄く抱きついてくる回数が多い。

前は、そんなに抱きついてくる事が無かったぞ?

 

「木乃香さん、いきなり何を……」

「ネギ君って抱き心地がすごく良いねんも~」

 

ギュ~っと抱きしめる力が強くなる。

別に苦しくないんだけど、背中に当たってる。

 

「木乃香さん、当たってますって!」

「何が?……ネギ君、おませさんやな~」

 

さらに、背中にマシュマロみたいな物が当たる。

みたいな物の中身は決して言ってはいけないのだろうか?

アホらしくそう思っているネギは思考を巡らせていた。

 

「ネギ君、ウチとこういう事するん嫌?」

 

わざわざ上目遣いの体制になって聞いてきた。

やばいやばいやばい!! 子供の体にはなってるけど中身は変わっていないぞ!

このままだと……理性がってまだ中学生だぞ!

 

「木乃香さん、別に嫌じゃないですがもう少し変えてくれたら」

「抱き方? こっちの方が抱き心地が気持ちいいやん」

 

変更を要求するが無駄に終わった。

先ほどの体制から前に切り替えて抱きしめる木乃香さん。

 

「仕方が無い……」

 

木乃香さんの抱擁から逃れる為に瞬動を利用するか。

残像する程度のスピードで抱擁を外して青いソファーに移る。

本当にヤバかった。特に理性が。

 

「もう~、ネギ君のいけずやな~」

「木乃香さんは僕の事で遊んでるんでしょ?」

「別に遊んだりしてるつもりはないんやけど?」

 

これでも一応、男の子として見てるぞ!って表情されても説得力が無い。

いや、あってたまるか!

明日菜さんの様子を見ようと上のベットを見ると布団だけだった。

もぬけの殻だ。とか表示されるような雰囲気。

 

「明日菜さんがいないんですが」

「明日菜? 明日菜ならネギ君が起きる前に出て行ったけど?」

「朝食は?」

「何かな~、用事あるんやって。制服着て行っとるからな~」

「え?」

 

でも、今日って休日なのに……。

木乃香さんも用事だけという事だけしか知らない。

何処に行ったんだろう。別に心配って訳でも無い。

 

「今日は休日やろ? 何で制服着て行ったんやろう~」

「そうですね」

 

明日菜さん、ドジった?

優雅に木乃香さんのお茶を飲んで和んでいたら、

足音がドタドタとさせながらこの部屋に入ってきて

 

「聞いて!木乃香、ネギ」

 

嬉しそうにしながら、こちらに来る明日菜さん

何だろう、この嫌な予感は。

 

「何と! 図書館の中に魔法の本があるんだって!」

 

やっぱり、って事はあの条件が来るのは今日なのか?

あの条件とは、2-Aのテスト合計順位をビリから上位にさせる試練。

 

「とりあえず、僕は行く所があるから行ってきますね」

「ええ! ネギは気にならないの?」

 

よくそんな呑気にってアレは僕だけか……

前の状況を思い出したネギはテンションが最低になった。

明日菜さんが何か言ってるけど、スルーして転移魔法を使った。

 

 

~学園長室~

 

 

面倒くさいけどドアから入った。

ある意味、普通の事なんだけど僕の居た環境は人がいなかったし。

学園長は僕を見てニヤニヤと企んでそうな表情をしていた。

その企んでいそうな学園長が僕にこう言ってきた。

 

「ネギ君もそろそろ学園に慣れたじゃろ? それで一つの試練をやろう」

「はい!?」

 

いらん! 何で慣れたら試練を受けなきゃいけない!

突っ込み所が満載過ぎる。つい、間抜けな声が出た。

まず、入ってきた瞬間、言われた言葉がこれだぞ?

前と全然違うじゃないか、誰だ? こんなに狂わしたのは……。

自分のせいなのに八つ当たりするネギ。

学園長がネギの態度を見ないフリしつつ、説明を続ける。

 

「実はのぅ、2-Aのクラスのテスト順位がビリなんじゃよ。

そこで、ネギ君の出番じゃ! ネギ君の力でビリから離脱させてほしい」

「この前の仕返しですか?」

 

マスターの件でどうしようもない出来事を僕がやったせい?

学園長はネギの言葉にビクンと反応して僕から目を逸らす。

 

「気のせいじゃ、それにもし、この試練をクリアすれば3-Aの担任はネギ君が担当できる!」

 

人差し指をこちらに向けて、どうじゃ。という表情されても……。

ようするに、前とは違い仕返しになっただけなのか、

ほう? なら、こっちにも考えがある。

僕は魔女でもビビる様な笑顔になり、

 

「この事を、木乃香さんにOKなんですね?」

 

ちょっとだけ笑いを込めて言った。

すると、学園長の反応が変わり

 

「ちょっと待つんじゃ! これは元からネギ君への条件じゃぞ? 

決して。仕返しとかじゃないぞ?」

 

滅茶苦茶な事を言ってるけど、本音をボロっと出てるな……。

これだと話が進まないから了承する事にするか。

僕は図書館島の事を思い浮かべた。

 

「わかりました。次、こう言う事をしたらわかりますね?」

 

魔力をこの部屋だけ感知できないように開放する。

スパークが走っていないだけありがたいと思いなさい。

完全に魔王化へチェンジするネギが笑みを浮かべた。

 

「わかった……。とりあえず、これを渡しておこう」

 

学園長が紙にペンで書いて僕に渡してきた。

僕はそれを受け取った。

そこに書かれていた事とは何か?

 

『ネギ君の正式教師の採用試験 

担任クラスである2-Aのテスト順位をビリから離脱せよ! 

順位がビリじゃなければ、正式な教師にしちゃうぞ! 

ビリなら即クビじゃ 学園長より』

「何だ、これ……」

 

僕はそれを読み、小声で感想を述べる。

書き方が変わってないか? 僕の気のせいだったりしないよね?

いちいち考えてると意味が無いから、それをポケットの中にしまった。

 

「用はそれだけですね?」

「そうじゃ。ネギ君は何か用かのぅ?」

「別にありません。では……」

 

結局、学園長の思惑になったけど、逆に図書館島に入れる第1段階の手間が省けた。

図書館島に何かやるか、の考えを頭の中にしまい、

もう見られている影のゲートを使って、この場から去った。

 

 

~ネギの部屋~

 

 

影のゲートを使って戻ってきたのはいいんだが、

木乃香さんの影を利用してしまったから、木乃香さんの前に出てきてしまった。

驚いて目を見開いていた木乃香さんだが、いきなりおなじみの行動をされた。

真正面だから近くにマシュじゃなくて! 顔も近いし……。

 

「こ、木乃香さん!?」

「ネギ君からきたやん」

「いや、これは影のゲートを使ったからで!」

 

言い訳をするも無駄な行動に過ぎなかった。

すると、いつの間にか帰ってきていた明日菜さんが僕と木乃香さんを見て

 

「あんたら! 何やってんのよ!」

 

って魔力と気の同化なんて使うな!

木乃香さんも退く気配がしない。

木乃香さんが明日菜さんに水を注ぐ。

 

「ヤキモチ焼くくらいなら、明日菜もやればええやん」

「な、何を言ってんのよ!って何か落ちてる」

 

いきなり同化をやめて下を見る明日菜さん。

何だろうと思い、明日菜さんの視線を辿ると、

学園長からの試練が書いている紙だった。

それを明日菜さんが拾って紙の中身を読んだ。

 

「なんて書いてあるの? ネギ君の正式教師の採用試験 

担任クラスである2-Aのテスト順位をビリから離脱せよ! 

順位がビリじゃなければ、正式な教師にしちゃうぞ! 

ビリなら即クビじゃ 学園長よりって何よ、これ!!」

 

大声で叫んでいた明日菜さんだが、木乃香さんの反応はと言うと、

 

「ふ~ん、おじいちゃんがこんな事をネギ君にさせるんや……」

 

明日菜さんと違って静かなんだが、表情が笑顔なのが怖い!

ああ~、もう面倒の雰囲気になったな!

僕は明日菜さんと木乃香さんにこう言った。

 

「今から図書館島に行きましょう。成績が悪い人を集めてきてくれませんか?」

「何で図書館島なん?」

「ネギ……」

 

木乃香さんが疑問に思い、明日菜さんが心配そうな表情になっていた。

図書館島で勉強すれば、同じ結果に出るだろうと甘い考えを出す。

僕の真剣な表情に、明日菜さんと木乃香さんが頷いた。

 

「わかったわ。とりあえず、集まったら連絡するわ」

「ウチもハルナとのどかを呼んでこな」

 

明日菜さんと木乃香さんがこの部屋から出て行った。

出て言った後のドアを見つめる。

 

「これで、ある程度の事が出来るはず……

図書館島のあの地下には利用できる魔法の本があったはず」

 

あの地下とは、ゴーレムから叩き落とされ、落とされた場所の事。

水で濡れているはずの本が濡れていない魔法と明らかにわかるあの場所。

以前、あそこで見つけた魔法の本の中に計画に必要な本があった。

 

「これでまた一つ、僕の計画が進んでいる訳か」

 

ニヤッと笑みを浮かべた僕は様子を見にこの部屋から出た。

 

 

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