No.386264

【獣機特警K-9】二人の警部の昼下がり【交流】

古淵工機さん

考えてみれば、エルザは機動部隊一個を任されてるはずだから階級はそれなりに上のはず。
そんなわけでK-9隊の隊長であるエルザの階級は警部ってことにしてみました。

じゃあなんで、階級が同じはずのミンスター警部に対して敬語を使っているのか?
実はそこにはちょっとした理由があるんだよ、と言うお話。

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2012-03-03 23:45:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:905   閲覧ユーザー数:862

ここはプラネットポリス、K-9隊が配属されている「ラミナ警察署」。

その中央ロビーにたたずみ、物思いにふける女性が一人。

K-9隊のリーダーであるロボット、エルザ・アインリヒトその人であった。

「…ふぅ」

ため息をつくエルザ。そんな彼女に一人の男が近づいてきた。

 

「やあ、エルザさん。こんな所にいたんですね」

と言って、コーヒーを差し出す男。署内きっての推理のプロ、ジース・ミンスターであった。

 

 

「これはミンスター警部、ご苦労様です」

「ははは、呼び捨てでかまいませんよ。階級は同じ警部のはずですから」

そんなミンスターの言葉をよそに、エルザはコーヒーを一口飲むや、すぐにミンスターのほうに向き直りこう切り返した。

 

「いいえ警部。今は階級が同じでも、警部は私にとって尊敬に足る存在です。とても呼び捨てなどできませんよ」

「…ふむ」

「思い返せば7年前。私が配属された頃ですね…当時私は巡査部長ということで配属されていたのです」

「そうですね。言われてみればそうでした」

「そんな私に捜査のあれこれを教えてくださったのがあなただったんです。まあ、あなたは私にとっての恩師みたいなものですから」

「恩師…ですか?」

「ええ。だからとてもではありませんが、警部を呼び捨てなんて…」

 

するとその言葉を聞いたミンスターは微笑んで返した。

「なるほど、確かに…そう考えてみれば、あなたの『心の師』というのも悪くないかもしれません」

「警部…」

しばらくの間をおいて見つめあう二人。

そして、ミンスターは立ち去る間際にエルザに声をかけた。

「そんなあなたもいまや後輩を教える身。指揮官としての頑張り、期待していますよ」

「はい。警部もどうか、無理はなさらずに」

「ははは、お気遣いどうも。あなたのような教え子ができて幸せですよ」

 

そう言って立ち去るミンスターを、エルザはただ、笑顔で見送っていた。

エントランスに差し込む陽の光が、暖かくまぶしい午後のひと時であった。


 
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