No.377342

【意味怖】意味がわかると怖い話【いみふ】

最近、うちが繋げてるスカイプ通話で、「意味がわかると怖い話」の朗読が流行ました。たぶん、すぐに解ります。意味怖というか、鬱話に近いかもしれません。

2012-02-13 21:06:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:901   閲覧ユーザー数:875

 消防で働く友人の話。

 

 秋から冬にすっかり変わった十二月。空気も乾き、忙しくなるらしい。

 その日も、引継ぎ後から、友人と、友人の同僚Aは防火服に身を包み、

 車両に乗り込んで現場に向かったそうだ。

 現場の状況は芳しくなかった。

 そんな中、野次馬の中から、

「中野三兄弟がまだあの中に」「えっ、まだ小学生低学年くらいでしょ?」

「かわいそうに」「早く消して」

 などの声を同僚Aが聞いたそうだ。

 友人が確認したら、兄弟が中にいるのは間違いないとのことだった。

 

 友人は、隊長に報告後、すぐに同僚A と二人で、要救助者捜索の為、炎の中に入っていった。

 消火活動を続けていたことで、火の勢いは停滞していたが、建物が持ちそうに無い状況だった。

 友人と同僚Aは、一階の奥、階段辺りで要救助者を二人発見したが、救助した兄弟に意識はなく、

 一刻を争う状況だった為、友人は急いで救助した兄弟を連れて外に出た。

 救急に二人を預けたところで、家が崩れ始めてしまった。そのとき同僚Aはまだ中にいた。

 

 助けた兄弟は、奇跡的に一命を取りとめ後遺症もなかったが、

 残念ながら、同僚Aは殉職してしまったとのこと。

 友人は、あのとき同僚Aがついてきていないことに気づいていればと、そのことを悔やんでいた。

 けれど、友人はこうも言っていた。助けた人の声を聞くと、

 危険な仕事だとわかっていても、やめられない。

 私は、なんとなく「助けた人の声って?」と友人に聞いた。

 実は昨日、その火事の中野さん夫婦と、無事退院した兄弟が、挨拶に来たらしい。

中野さん「また家族四人で暮らせるのは、友人さんと同僚Aさんのお陰です。ありがとうございます」

兄弟「「たすけてくれて、ありがとう」」

 

 そのとき、私は気づいてしまった。この悲劇の真相に。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択