No.344711

三人の御遣い 獣と呼ばれし者達 巽編 拠点1 自由人達の鎮魂歌

勇心さん

どうもお久しぶりです。勇心です。
過去最長の投稿期間となってしまった今回の拠点
皆様に楽しんでいただければ嬉しい限りです

2011-12-08 07:01:13 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:2650   閲覧ユーザー数:2271

 

周喩「待てえええええぇぇぇぇぇ!!この馬鹿者『三人組』がぁぁぁああ!!!」

 

 

城内に周喩の声が響き渡る

周喩が叫んだその先にはとてつもない速さで城内を駆け回る三つの人影があった

 

孫策「あははは♪待てと言われて待つ奴はいないわよ~」

 

一つは孫策

 

黄蓋「甘いぞ、冥琳!こんな上等な酒を隠したところで、わしらの鼻を誤魔化すことは出来んぞ!」

 

一つは黄蓋

 

 

 

そしてもう一つは―――

 

 

 

 

 

兵衛「はっはーーー!!元居た世界じゃ酒なんて飲む機会なんてなかったからな!この酒は全力で!俺達が!!ありがた~く頂くぜーーーー!!!」

 

 

そしてもう一つは

 

すっかり城内の暮らしに慣れて盗人丸出しの犯行に及んでいる

 

巽兵衛だった……

 

ことの経緯は思いの他簡単だった

 

数日前のチンピラ騒動の一件で兵衛の城内、そして街での評価は急激に上昇した

 

兵衛は正式に客将として迎えられ、今では街の人気者になった。

 

現在は街で子供達と遊んだり、暇な時間にお遊び半分の武術指南を兵士達につけたりして毎日を楽しく過ごしている

 

そんなある日のことだった

 

 

 

孫策「ねえねえ、兵衛♪」

兵衛「ん?何だよ、孫策。昼飯でも食いに行くのか?」

孫策「や~ね~、そんなのさっき食べたわよ」

兵衛「そうなのか?だったら一体何の用だよ?遊びに行くつもりなら無理だぞ。俺、金ないし……」

孫策「あははっ、違う違う。そんなことよりもっと楽しい―――もとい、美味しい話があるのよ」

兵衛「……美味しい話?」

黄蓋「応とも!ついさっきわしの隊の兵士に聞いたのじゃがな―――」

兵衛「……黄蓋さん、いたんだ?」

黄蓋「……さっきから居たわ。そんなことはどうでも良い!話を続けるぞ」

兵衛「……話し?ああ、そう言えば美味しい話がどうとか……」

黄蓋「そうじゃ、わしの隊の者に聞いたのだが……どうやらここ最近、冥琳が倉に上質な酒を仕入れたという噂があってのぅ」

兵衛「酒?……たかだか酒ぐらいでどうしてそんな噂が広まるんだよ。確かに周喩が酒なんか仕入れたりするのは珍しいと思うけど、その程度でそんなに騒ぎ立てる事なのか?」

孫策「違うわよ。噂になってるのはそんなことじゃないわよ」

兵衛「そんなことじゃない?だったら一体どんなことが噂になってるんだ?」

孫策「あのね……噂になってるのは『冥琳が酒を仕入れたこと』ではないの。噂になっているのは『冥琳がその酒を厳重に管理しろと命じたこと』なのよ」

兵衛「厳重に管理?酒でそこまでするなんて……一体どういうことだ?」

黄蓋「さあのう……真意は分からんが、わしらにも話していないということはそれなりに貴重な酒であることは確かなのだろう」

兵衛「いや、貴重かどうかはともかくとして……二人に話さないのは、単に話すと『飲ませろ!』ってうるさいからじゃ……」

孫策・黄蓋「「何か言った(かの)?」」

兵衛「……いえ、何も」

孫策「まあ、いいわ。話を戻すけど……要するに私たちが言いたいのは―――『私たちに隠れて一人で上等な酒を飲もうなんて許せない!!』―――ということなのよ!」

 

 

……

 

 

…………

 

 

………………は?

 

 

何を言い出すのかと思いきや、いきなり孫策は拳を胸の前に掲げるとそんなことをほざき始めた。

その様子を見た兵衛は溜息混じりにそんな孫策を諭す。

 

兵衛「別に周喩が一人で飲もうとしているなんて決まったわけじゃないだろ?大体周喩なら一人で飲むくらいなら二人のことも誘いそうだけどなぁ……」

孫策「い~や!絶対に冥琳は一人で酒を飲むつもりなのよ!間違いないわ!!だって、その証拠にこの前、図ったかのように私と祭に禁酒を言い渡してきたんだもん!きっと私達に禁酒をさせている間に一人で美味しいお酒をこっそり飲むつもりなのよ!!」

 

それでもぶれない孫策伯符

挙句の果てに黄蓋までが「そうじゃ!そうじゃ!」とのたまう始末

 

もうこの二人は止められない

 

そんなことを思いながら、兵衛は諦めに近い嘆息を漏らす

 

兵衛「……そんで?つまり二人はどうしたいん?」

 

そしてすでに答えが明白な疑問を投げかける

 

二人はそんな兵衛の反応を見ると決意が篭った瞳でこう答えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫策・黄蓋「「無論、奪いに行くまでよ!!!!!」」

 

 

そして、現在……

 

有言実行とは正にこのことだろうか

 

孫策たちはものの見事に倉から目当てである酒を手に入れた

 

―――否、略奪した

 

酒を奪うことに成功した三人は城の中を縦横無尽に駆け回る

 

孫策「―――とまぁ……こんな感じでお目当ての酒を手に入れたものの……」

 

走りながら孫策は呟く

 

黄蓋「ん?どうしたのだ、策殿?折角目当ての酒を手にしたのにその浮かない顔は……」

 

走りながら黄蓋が問う

 

孫策「別に浮かない顔なんてしてないわよ。ただ……」

 

そう言うと、ちらりと後ろを振り返り―――

 

兵衛「よっしゃーーーー!久しぶりの酒だぜ!いや~、こっちの世界に来る前は飲もうとすると、いっっっっつも!!一刀に止められてたからな~」

 

明らかに回想中の時と態度の違う兵衛を見て孫策は溜息を漏らした

 

孫策「ただ……誘ったときは全然乗り気じゃなかったくせに、いざ酒を手にしたら一番はしゃぎ始めるんだもん、彼。流石の私も呆れて物も言えないわよ」

黄蓋「まぁ……のう……」

 

そして二人は再度、兵衛の方に視線を向け―――

 

孫策・黄蓋「「…………はぁ~~~~」」

 

大きく深い溜息を吐いた

 

三人の逃走は未だに続いていた

 

周喩の命により数十名の兵士が導入されてからどれだけの時間が経過しただろうか

 

周喩はその後、各兵士達に的確な指示を送り三人を幾度となく包囲する事に成功した

 

しかし―――

 

 

 

 

兵衛「ははっ、甘い甘い!こんな囲み方で俺らを捕らえられると思うなって」

 

孫策「中々良い策だったけど、まだちょ~と詰めが甘いわね♪」

 

黄蓋「悪いが、そう易々と捕まってやるわけにはいかんのぅ」

 

 

 

 

―――しかし、如何に有能な軍師と言えど、蟻で象を捕獲することは出来ないのだ

 

三人の一騎当千の実力は兵士達の挟撃策や待ち伏せによる包囲網を次々と掻い潜る

 

周喩「くっ……忌々しい」

 

その様子を周喩は苦虫を噛み潰したような顔で見る事しか出来なかった

その夜―――

 

周喩は自室にて頭を抱えていた

 

それもそのはずである

 

昼間の自由人三人による『倉襲撃事件』では、まんまとしてやられたのだ

頭を抱えない方がどうかしている

まったく、奴らは自分達が何を盗んだのか本当にわかっているのだろうか?

 

ただでさえ、普段から自由すぎて目も当てられない孫策と黄蓋の二人に加え、巽兵衛という人外の化け物とも呼べる獣(馬鹿)が加わったのだ

実際問題、城内の兵士達だけではあの怪物達を捕らえることは至難の業だろう

 

三人の特徴を考えるだけでも気が滅入る

 

孫策の野性的な勘

 

黄蓋の経験

 

そして、兵衛の桁外れの戦闘能力

 

余りある才能を持ったこの三人ならば、今後の呉の独立、そして行く行くは天下に覇を唱える事すら難しい事ではないだろう

 

それを思うとなんという―――

 

 

なんという才能の無駄遣い!!!

 

 

しかし、才能を無駄遣いしているとはいえ、それほどの三人を相手取るのだから、最早正攻法での捕獲は至難ではなく不可能と言うべきかも知れない

 

 

 

そう……

 

 

 

『正攻法』では……

 

 

 

 

 

 

周瑜「……ふふふ、覚悟しろよ……雪蓮、祭殿、そして―――巽」

 

 

月の明かりに照らされて、周喩は妖艶に、そして不吉で不気味な笑みを浮かべた

翌日―――

 

黄蓋は街の警邏に出かけていた

 

昨日の『倉襲撃事件』の影響により未だに騒がしい城内

 

たかが酒を盗んだ程度でこれだけの騒ぎになってしまうというのは一体全体どういうことなのか

 

どちらにしても城内に居ると冥琳にどんな小言を言われるかわかったものではない

 

いや、むしろ小言で済めば良い方かもしれない

 

あの冥琳が兵まで導入してきたのだ

 

それだけ怒っているという事なのだろう

 

黄蓋「これは……ほとぼりが冷めるまで城には戻らん方が賢明かのぅ」

 

黄蓋は溜息混じりにそんなことを呟いていると―――

 

???「黄蓋様!」

 

どこからか声がした

 

黄蓋が周りを見回すと街の一角の料理店にこちらに向かって合図を送ってくる集団が目に付いた

その者達は見慣れた―――というか自分の隊の部下だった……

 

黄蓋は料理屋に足を運ぶと部下達の座っている卓まで近づく

卓の上には兵達が注文した料理に加え、いくつかの空になった酒瓶転がっていた

 

黄蓋「なんじゃ?皆揃って真昼間から酒盛りか?」

 

兵士A「いやいやいや、黄蓋様だけには言われたくないですよ」

兵士B「そうですよ!それに我々はちゃんと正式にお休みを頂いているので何の問題もありませんよ」

兵士C「それよりも黄蓋様も一緒に飲みませんか?久しぶりに黄蓋様の武勇伝聞きたいですよ、俺!!」

兵士B「いいな、それ!!折角だし、一緒に飲みましょうよ、黄蓋様」

 

声を掛けた瞬間に怒涛の如く話を進められた

黄蓋はその反応に若干の違和感を覚える

いつもは自分が無理矢理部下達を誘って、酒につき合わせるのに

今日に限って真逆の立場になるとは……

普段なら絶対にこんなことはないのに……

 

その後、色々と悩んでみたものの、結局―――

 

黄蓋「うわははっはは!飲め飲め~、もっと飲まんか~」

兵士A「黄蓋様もじゃんじゃん飲んでくださいよ~」

兵士C「そっすよ~、金の心配ならしなくて良いですから~」

兵士B「今日は私達が払うので気兼ねなく飲んでください」

黄蓋「そうか?何だか悪いの~♪」

兵士A「気にしないで下さいよ。私達は黄蓋様の武勇伝を聞くことが出来ただけでも幸せなので、これくらいはさせてください」

兵士B「そうですよ、気にしないでどんどん飲んでください」

兵士C「そうっすよ~」

黄蓋「そうか?じゃあ、どんどん飲むか~」

 

 

この有様になっていた

 

最初のうちは警戒しながら飲んでいた黄蓋だったが、部下達の接待の上手さや酒のせいもあってだんだんと疑っていた事が馬鹿らしくなってしまい、結果として酒盛りに積極的に参加する羽目になっていた

 

しばらく部下達と酒を堪能していると卓の上の酒瓶が軒並み空になっていることに気付いた

 

黄蓋「……ん?なんじゃ、もう酒がないのか」

兵士C「そうみたいですね~、どうしましょうか?」

兵士A「ないんだったら、場所を変えればいいだけだろ?何処か他に酒が飲める場所なかたっけ?」

兵士C「あることはあるけど……どこも店の中は人が一杯でとてもすぐに飲める雰囲気じゃないぞ?」

兵士A「それじゃあ、どうする?このまま、諦めて帰るか?」

 

その言葉にその場にいる全員が酔った頭で悩んでいると―――

 

兵士B「あのさ~……」

 

一人の兵士が手を挙げた

兵士はぽりぽりと頬を掻きながら、ばつが悪そうな顔で話し始める

 

兵士B「俺、ひとつだけ心当たりがあるんだけど……」

 

 

黄蓋達は街のはずれにある

 

黄蓋「……おい。本当にこんなところに酒を飲める場所があるのか?見たところ……どこも随分と寂れておるようじゃが……」

 

兵士B「大丈夫ですよ。え~と、確かこの辺りに……あっ!あった、あった!あそこですよ、黄蓋様」

 

そう言って兵士は辺りを見回すとその寂れた街の一角を指差した

 

黄蓋「なんじゃ、ここは?こんな寂れた店に本当に酒が置いてあるのか?」

兵士B「見栄えは確かに悪いですが、中は結構凄いんですよ?中に入ればきっと黄蓋様も気に入りますよ」

黄蓋「そ、そうか……」

 

兵士の押しの強い一言に黄蓋は勢いで頷いてしまい、そのまま店の中へ入っていた

 

黄蓋は店の中に入ると店内の様子に驚きを隠せなかった

 

店の中は薄暗く、わずかに見える周りの机の上はまるで雪が積もったかのようにほこりにまみれている

それどころか、机や椅子の脚は所々が折れていたり、欠けていたりと家具としての機能を果たしているものは少なく、上の方に目を向けるとあちこちでひび割れた窓ガラスが目に付いた

 

そして何より……致命的なまでに欠けているものに黄蓋は気づいた

 

―――否、気付いてしまったのだ

 

 

 

この店には

 

 

 

 

 

酒どころか

 

 

 

 

 

『商売をしている形跡』すらないということに……

 

 

黄蓋「…………おいおい、冗談じゃろう?」

 

黄蓋は信じられないものを見たためか、知らず知らずのうちにそんな言葉を口にしていた

そして、同時に悟ってしまった

 

 

今の自分が『罠』にかけられた鼠のようなものだということを

 

 

黄蓋「まさか……!?」

 

バタンッ!!

 

罠に気付いた黄蓋の後ろでは勢いよく閉められる扉の音がした

 

慌てて後ろを振り返る黄蓋の目にはすでに部下の姿はなく、その光景が雄弁に今の黄蓋の状況を物語っていた

 

黄蓋「くっ!開けろ!おい、開けんか!!」

 

ドンドンッと扉を何度も叩く黄蓋

すると扉の向こうから部下達の懺悔の声が聞こえてきた

その声を聞いて黄蓋はホッと胸を撫で下ろした

 

黄蓋(ふう~、どうやら…このわしに対して無礼を働いたことを悔いておるようだな?まったく…誰に唆されたか知らんが、悔いておるということは、まだ完全に性根が腐っておるというわけでは―――)

 

兵士A「うぅっ……すみません、すみません…こうしないと、この前の『侍女との逢引』を不問にしてもらえないんです。すみません……すみません…」

兵士B「俺も…こうでもしないと『黄蓋様の下着あげない』って…うぅっ……」

兵士C「俺なんて『孫策様の下着』だぜ……」

 

 

 

 

 

 

……性根は完全に腐っていたようだった

 

 

 

 

 

 

黄蓋「この馬鹿共が!いいからさっさとここを―――」

 

???「……祭殿」

 

状況の変化に対応が間に合っていない黄蓋に誰かが声を掛けた

声の主は店の奥からゆらゆらとした足取りで姿を現し、黄蓋に話しかける

 

???「やっと、捕まえましたよ、祭殿」

黄蓋「……御主、何者じゃ?」

???「おや、お分かりになりませんか?いつもいつも会っているのに……随分と冷たいのですねぇ?」

 

そう言うと声の主は蝋燭に火を灯すと、その火を自身の顔まで近づけた

そして、火に灯されて浮かび上がった人物の顔に黄蓋は目を丸くする

 

黄蓋「め……冥琳」

周喩「ええ、その通りです。あなたの大好きな冥琳ですよ~。おや、どうしたのですか?お顔色が優れないようですが……」

黄蓋「い、いや…ちょっと待て……」

周喩「まるで一番会いたくない人物に会った人のようですよ?今にも―――『お、おい!何でお前がここにいるんだ!?まさか兵士達を唆してわしを嵌めたのか!?もしや、昨日盗んだ酒の件をまだ怒っていて、これから折檻でもしようというのか?か~~~、何とみみっちい奴じゃ!!あのくらい笑って許すというくらいのでかい器じゃなくて呉の軍師が務まるか、この馬鹿垂れが!!!』―――とでも言いたそうなお顔ですが?」

黄蓋「お前はサトリか!?」

周喩「いえいえ、サトリなどと滅相もない。ただ…祭殿ならこのようなことを口にするのではないかと勝手に推測してみただけのこと……どうやら、勝手な推測は当たっていたようですね。……そして残念ながら、祭殿のその推測もまた―――」

 

次の言葉を口にする瞬間、周喩の口は三日月のように妖しくゆがみ、

 

周喩「―――正解です」

 

 

黄蓋を地獄のどん底に突き落とす一言を吐き捨てた

 

 

 

『倉襲撃事件』から二日後―――

 

本編の主人公である巽兵衛は憂鬱な気分で城の中を徘徊していた

 

兵衛「はぁ~、憂鬱にもなるってもんだろ?二日前に酒を盗―――もとい、頂戴したけど、よくよく考えたら俺たち……とんでもないことしたんだよなぁ……」

 

改めて二日前にしでかしたことを思い返すと、未だに兵衛は頭が痛くなった

いえいえ、別に二日酔いだからというわけではないですよ!?

勢い余って……とはいえ、『あの』周喩から酒を盗―――ああ、もういいや!!

あの周喩から酒を盗んだのだ

それなりの仕置きは覚悟すべきだろう

…というか昨日無事に一日を過ごせたこと自体が僥倖と言うべきかもしれない

しかし逆に言えば、その無事だった一日があるからこそ恐ろしいとも言える

出会ってからほんの数日だが、周喩の厳しさはかなり理解できるようになった

まぁ、こうも毎日孫策や黄蓋とのやり取りを見ていれば理解したくなくても理解してしまうというものだが……

要するに俺が言いたいのは…だ

彼女は―――

周喩公瑾という女性は、ミスには寛容だが惰性や悪事(この場合自身のしたことを言いたくはないが)には容赦がない……本当に容赦がないということだ

そして、その時の彼女の行動力は迅速の一言に尽き、そして驚嘆に値する

 

 

つまり―――

 

 

つまりだ!!

 

 

そんな行動力と大軍師などと呼ばれるような頭脳を有している彼女が

このまま素直に俺達を許すだろうか?

いやいや、そんなの分かりきってることだろう?

言うまでもないとは正にこのことだ

 

 

答えは当然……

 

 

……

 

 

…………

 

 

 

NOhhhhhhhhhhhh!!!!

 

 

 

 

そう心で叫んだ瞬間、兵衛はその場を飛び退いた

 

ドガガガガッ!!!

 

すると、先ほどまで兵衛が立っていた場所には無数の矢が突き刺さる

兵衛はすぐさま矢の放たれた位置を察知すると、その方向に向かい体勢を立て直す

体勢を立て直し、ゆっくりとその場に立ち上がると矢を放った人物―――

正確には『矢を放つように命じた人物』に話しかける

 

兵衛「おいおい、いきなりかよ……周喩?」

 

兵衛が話しかけた先には数十名の兵を引き連れて不敵な笑みを浮かべる周喩の姿があった

 

周喩「ふふっ……いきなりでもない限り、お前を捕らえられると思っていないのでな。それなりの手段を取らせてもらったまでのこと……悪く思うなよ?」

 

周喩は腕組みをすると、悪びれもなくそう言った

この状況から察するにどうやら二日前の酒を盗んだ件についてだということは、ほぼ間違いないだろう…

何とか誤魔化さなければ!!

 

兵衛「……悪く思うも何も、俺には周喩に捕まらなきゃいけない理由に見当もつかないのだが?」

周喩「おや、呉の天の御遣い様ともあろうお前が、まさか自分が犯した過ちに気付いていないのか?そんなことはなかろう?ほら、二日前の事だぞ……本当に心当たりがないのか?」

 

やっぱりそのことか!!

だが……

甘いぜ、周喩!

そう簡単に俺が自分の罪を認めると思うなよ?

俺はポーカーフェイスには多少の自信があるんだ

なぜなら俺は、いつも一刀達と賭け麻雀や賭けポーカーをやって幾度となく、イカサマを成功させてきた兵衛君だぜ?

お前の誘導尋問など、饒舌な話術で切り抜けて見せるわ

喰らえ!!!

 

 

 

 

兵衛「……ナンノコトヤラ?」

 

 

 

 

……

 

 

周喩「……片言になっているぞ?」

 

 

 

 

 

 

やってもうた!!!!

 

 

 

ちきしょう!誰だ!?『hahaha!切り抜けてねーじゃん(笑)』とか言った奴は!!

 

しょうがねーだろ!?あんな美人に問い詰められてんだぞ!

そりゃ緊張で失敗だってしちゃうでしょ?

くそ~、美周郎め!中々手強いじゃないか!!

 

 

 

そんな調子で兵衛が慌てふためいていると、目の前の周喩は呆れたように深い溜息を吐いていた

 

周喩「はぁ~……往生際が悪いぞ、巽?お前は他の二人に比べれば少しは良識があると思っていたのだが、どうやら私の勘違いだったようだな。まぁ、いいだろう。そこまで白を切ろうというのならこちらも流石に―――」

 

言うと、周喩は右手を上げて後ろにいる兵達に合図を送る

 

周喩「―――実力行使に出るしかなくなる」

 

その瞬間、兵達はすぐさま弓を構えると兵衛に向かって一斉に矢を放つ

無数の矢は一直線に兵衛に向かっていき、その全ての矢が兵衛の四肢に正確に命中する軌道上を飛んでくる

本来ならば、すぐにでも回避行動を起こし弓矢の殺傷圏内から距離を取らなければならない

しかし―――

 

兵衛「おいおい……これは流石にこの狭い通路じゃ避けられないぞ?」

 

しかし、兵衛の言葉通り、現在の状況から殺傷圏内の外に逃げる事は非常に困難だった

 

現在の彼は城内の通路に居る

つまり、通路ということは自身の左右が壁に遮られており、大きな動作をとることが出来ない。

―――要するに避けることが出来ないのだ

更に加えて、兵士達が狙っているのは兵衛の四肢

四肢を狙うという事は体の四隅を狙うという事でもあり、それは左右への最小限の回避行動すら許さず、今兵衛に可能な事と言えば前後への移動程度だけだった

しかも、その前後移動すらも所詮は矢の射線上に過ぎない

そのことがより一層兵衛の回避を不可能のものにしていた

正に八方塞

 

 

だが、そんな窮地に立たされているにも関わらず……巽兵衛は―――

 

 

―――何故か余裕の笑みを浮かべていた

 

ニヤリと笑ったかと思うと兵衛はいきなり後ろに飛び退いた

 

しかも、ただ飛び退いたのではない

飛ぶ方向に用いるベクトルを横方向(この場合は後ろ)よりも、縦方向に多く使ったのだ

当然、見た目的には『後ろに飛び退く』と言うよりも『後ろに飛び跳ねる』という結果になった

確かに前後左右に逃げ場がないのなら残った選択肢は『上下』しかない

その考えはわかる

 

……しかし、残念な事にその作戦すら失敗と言わざるを得ない

 

確かに飛び跳ねることには成功した―――成功したのだ

 

だが、成功したのは飛び跳ねること『のみ』で、大前提としてクリアしなければならなかった『射線上から外れる』という問題を決定的なまでに、致命的なまでに失敗していたのだ

結果として兵衛の跳びは『高さ』が足りず、自身の両腕を狙った兵士達の矢の命中範囲内に十分すぎるほどに入ってしまっていた

挙句、空中に跳んでしまったため、この状態からの回避は最早不可能だった

 

その光景を見て勝ちを確信した周喩からは自然と笑みが零れ

 

万事休すと思われた

 

 

 

その時―――

 

 

 

 

 

 

兵衛「いやいやいや…勘違いも甚だしいぜ、周喩よ?何を勝ち誇ってんだい?誰も別に『避ける』―――なんて言っていないぜ?」

 

 

 

 

 

 

他でもない、絶体絶命の状況に立たされている兵衛自身が不敵にもそんなことを口にした

 

周喩「な…に……?」

 

どういうことだ―――そう口にしようとした周喩だったが、それよりも早く兵士達によって放たれた矢が兵衛に直撃寸前まで迫っていた

 

そして、矢が眼前まで迫ったその瞬間―――

 

 

 

兵衛「……『避けられない』なら―――」

 

 

 

―――兵衛は周喩が問おうとしていた答えを口にした

 

 

 

兵衛「―――『受け止めれば』いいだけだ」

 

 

 

口にすると同時に兵衛は自身に向かってくる無数の矢を目にも留まらぬ速さ……迅さで一本残らず掴み取った

 

 

城内の通路には周喩を初め、複数の兵士達が立ち尽くしていた

周喩は先ほどまでのやり取りを思い返すと自然の自身の体を抱きしめていた

 

先の件、結果だけを言うならば周喩達は兵衛を捕らえる事は出来なかった……

しかし、それはあくまで結果『だけ』を言っただけであり、周喩の目論見としては予定通りに過ぎなかった

だが、予定通りと言っても読み違った状況は確かにあった

その唯一の読み違いと言えること

それは兵衛の対処法だ

当初、周喩の予想ではあの狭い通路の中、『逃げられる』という結果自体には大体の予想が出来ていた

数日前のチンピラとの騒動であれだけの実力を見せ付けたのだ……当然といえば当然だろう

しかし、その『逃げられる』という結果に行き着くまでの過程という意味においては周喩の予想とは大きくかけ離れた内容となった

あの狭い通路では前後左右の動きを封じられ、回避という選択肢を削られた状態では如何に兵衛と言えど『矢を打ち落とす』という選択肢以外ない―――そう周喩は踏んでいたのだ

 

なのに―――

 

周喩「なのに……『掴み取る』―――だと……?まったく…」

 

どこまで―――

 

周喩「一体どこまで…化け物なんだ、おまえは?」

 

そんな呆れとも、怯えとも取れる言葉を周喩は口にし、

 

周喩「…だが、しかし……『武力』だけが戦いではないぞ、巽?最後の最後は『智力(ここ)』がものをいうのだから……」

 

自身の頭を指差すと、意味深な言葉を残していった

 

周瑜達の襲撃を切り抜けた兵衛は中庭の茂みに隠れていた

 

あの後も何人かの兵士達に待ち伏せをされたが、兵衛はそれら全ての障害を難なくとかわし、難なくとあしらった

 

ならば何故、隠れているかって?

 

幾人の兵士達をあしらうことが出来るのに、何故コソ泥のように逃げ隠れしているのかって?

 

そんなの…答えなんて決まってるじゃん?

 

 

 

 

 

 

 

 

兵衛「面倒くせーーーーーからだよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

決まってんじゃん!!!

 

俺だぞ!?

 

面倒事が大嫌いな巽兵衛君だぞ!?

 

だから隠れてんだよ!!

 

悪いか!?ちきしょーーー!!!

 

 

と、そんなやけくそ気味な言葉を叫んでいると―――

 

???「…ね……兵…る?」

 

どこからか声が聞こえてきた

兵衛が周りを確認すると後ろにはこそこそとこちらに近づいてくる孫策がいた

 

兵衛「…孫策、お前今までどこに……」

 

二日間まったく姿を見せなかった孫策に素直に、率直に問いかける

 

孫策「ま、色々とあってね……それよりも兵衛こそどうしたのよ?」

兵衛「そんなの…見ればわかるだろ?遂に周喩がお冠になっちまってな!さっきまで周喩率いる厳つい森の熊さん達との追いかけっこに勤しんでたってわけだ……」

孫策「あらら……そりゃ、また災難だったわね」

兵衛「……まったくな」

孫策「それで結局、一人でこんな所に隠れんぼってオチなわけね♪」

兵衛「嬉しそうな顔で言われると全力否定したいところではあるが……まったくもってその通りなのがなんとも腹立たしいぜ。てっ言うか、お前のせいでもあるんだぞ、孫策?」

孫策「あははっ♪ごめん、ごめん」

 

そんなやり取りをひそひそと続けていると、孫策は思いついたかのように手を合わせた

 

孫策「そうだ!いいこと思いついちゃった♪」

兵衛「おわっ!!びっくりした~!どうしたんだよ、孫策。また、ろくでもないこと考えたのか?」

孫策「ひっど~い!!それじゃ、まるで私がいつも悪い事ばっかり思いついてる問題児みたいじゃない!」

 

……違うとでも?

 

内心、兵衛はそんなことを考えていたが口には決して出さなかった

言えば絶対に孫策から怒られるし、何より周喩から隠れいている身としては、これ以上騒がしくするのはまずいと思ったからだ

 

兵衛は溜息を漏らすと仕方がなしにその孫策の『いいこと』について聞いてあげることにした

 

兵衛「それで?その『いいこと』っていうのは具体的に何のことなんだ?」

孫策「もう、恥ずかしいこと聞かないでよ!兵衛のスケベ♪」

兵衛「もう、あんた何だよ!意味わかんねーよ!!」

 

バシバシと兵衛の肩を叩いてくる孫策

色々な意味で凄く痛い…

 

兵衛「……もう、いいから。早く教えろよ。結局のところ何がしたいんだ?……もしかして、また酒でも盗みに行くつもりじゃないだろうな?」

 

一抹の不安を払拭するために兵衛はどストレートに孫策に問いかける

これでまた酒を盗みに行くなどとのたまわれたら、それこそ周喩に殺されかねない

何としてでもそれだけは避けたい

 

しかし、兵衛のそんな予想を裏切るかのように孫策はケラケラと笑いながらそれを否定した

 

孫策「違うわよ~♪そんなことより……もっと―――い・い・こ・と♪」

兵衛「!!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、兵衛の心拍数は爆発的なまでに上昇した

孫策は艶のある声をさせながら、じりじりと兵衛の方に近づいてくる

呼吸は激しく乱れていて、瞳は憂いを帯びていて、まるで『何か』を期待しているかのような―――そんな印象が見て取れた

 

 

 

……『何か』だって?

 

 

おいおい、セニョリータ

 

 

そんなこと言わずもがな分かるでしょう?

 

 

人目のつかない場所で―――

 

 

色っぽい声で迫られて―――

 

 

挙句、憂いを帯びた瞳でみちゅめられたら―――

 

…噛んだし

 

見つめられたら―――

 

 

やることといったら一つでしょう!?

 

 

ごめんなさい…師匠

 

あなたのことは愛していましたが

 

これが男の性なのです!!

 

 

巽兵衛、今大人の階段を昇ります!!

 

 

兵衛はそんな阿呆なことを考えながら孫策の方に向き直ると、いきなり視界を遮られた

 

兵衛「……え?」

 

自身の身に何が起きたのか、まるで把握できていない兵衛はそんな間抜けな声を出す事しか出来なかった

反応するまでに数秒が経過し、慌てて自身の目元に手を当てると布らしき物で視界を塞がれていることに気がついた

 

兵衛「えーと……そ、孫策?これって…どゆこと?」

 

アレを想像していた兵衛にとって、そんな質問をすることが現状出来る精一杯の努力だった

そして、兵衛の質問に視界に写らない孫策はいつのまにか兵衛の耳元まで近づいてきており、そっと優しく呟いた

 

孫策「だから、言ったでしょう?『いいこと』って。…大丈夫、優しくするから♪」

 

 

 

 

つまり、あれですかい?

 

 

 

 

目隠しプレイってやつですかい?

 

 

 

 

孫策主体で俺を苛め抜いて悦に浸るという

 

正にSとMが混合した大人の遊びをしようってかい?

 

 

 

おいおいおい、如何に俺でも流石にそれを楽しむなんてことは―――

 

 

 

……

 

 

 

…………

 

 

 

……ありだな

 

 

 

いや、意外とありかもよ、コレ?

 

痛いのはあんま好きじゃないけど、いわゆる一つの経験ってことで納得すれば―――

 

いやいやいや、ヤバイだろ、それ

 

そんなことして変な性癖に目覚めて一刀達に変な目で見られたらどうすんのよ?

 

いや、でもな~

 

こんなオイシイ状況滅多にないし、ここらでいい思いしたいっていう願望も無くは無いわけで……

 

って、おいおい!

 

そんなことを考えていたら今度は手を縛り始めましたよ!?

 

でも、アレだな

 

両手を一つに縛られると、なんか手錠されている気分になるな

 

……え!?

 

挙句の果てに、場所移動ですか!?

 

おいおい、まさか孫策の部屋で本格的に―――てか?

 

おいおい、大胆だな

 

いや~、マジか~

 

マジか!?

 

ガチじゃん!?

 

本気じゃん、孫策!!

 

いや、これはもう覚悟決めるしかないね、コレ!!

 

それこそ男の取るべき態度ってもんでしょ!?

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えていると微かに人の話し声が耳に飛び込んできた

話し声がだんだん近づいてくると―――

 

???「やぁ、巽。十分、楽しめたか?」

 

誰かが兵衛に話しかけてきた

 

話しかけてくる『誰か』はその言葉に続くように、状況の飲み込めない兵衛の目隠ししている布を取る

 

急に目隠しを外された兵衛は太陽の光に一瞬目が眩んだ

 

しばらくすると、眩んだ目も回復し、改めて目の前の『誰か』を確認した

 

すると目の前には―――

 

 

こめかみをピクピクと動かしながらこちらを睨んでいる周喩が立っていた

 

兵衛「…………………どうぇえぇぇぇぇえぇええええ!?」

 

あまりの状況に兵衛は思わず叫んでしまった

 

周喩「はっはっはっ!そこまで驚いてもらえるとここまで仕組んだ甲斐があったと言うものだ」

兵衛「な…に……?仕組んだ…だって?」

周喩「ああ、その通りだ。全ては私の仕組んだものだ。通路での戦闘も貴様に逃げられるのは予想の範囲内。最初から武力で貴様を捕らえることが出来るなんて思っていなかったのでな。少しばかり趣向を凝らしてみたのだよ」

兵衛「……趣向だと?」

周喩「ああ。私は貴様に通路で逃げられた後、雪蓮に貴様の捕獲の協力を要請してな。雪蓮も快く承諾してくれた」

兵衛「ちょっと待て!!何で孫策が協力なんてするんだよ!?孫策だって酒を盗んだ一人だぞ!?なのに何で孫策は捕まえないで俺だけ捕まえんだよ!どう考えても理不尽だろ!?」

周喩「その通りだ。だから当然、雪蓮にもそれなりの罰は与える……が、それもお前や祭殿に比べれば比較的軽いものにするつもりなのでな。そこはアレだ……『取引』というやつだな」

 

悪戯っ子のように舌を出して微笑む周喩

 

正直、そこまで可愛らしくするほど、内容は可愛いものではありません

 

兵衛「じゃあ、なんだ?さっきまでの孫策が俺とイイ雰囲気作ってたのはつまり―――」

周喩「ああ、お前を捕獲するためだ!!」

兵衛「知りたくなかったよ、そんな現実!!」

 

やられたよ!

 

やられちまったよ!!ちきしょーめ!!!

 

男の純情踏み躙りやがって!!

 

ていうか俺も馬鹿かよ!?

 

今時、色仕掛けに引っかかるなんてどこのル○ン三世だ!?

 

こんなことなら欲望に負けずに師匠一筋でいるべきだったぜ

 

マジで死ぬほど後悔するわ!

 

…ん?

 

というか―――

 

兵衛「なぁ、周喩?」

周喩「ん?どうした、巽?」

兵衛「……黄蓋さんは?」

周喩「ああ、祭殿なら……」

 

周喩は思い出したかのように後ろを振り返ると城の渡り廊下を指差した

指し示された方向を確認すると渡り廊下の一角にとても不自然に、そしてさりげなく、ちょこんと体育座りをしている黄蓋の姿があった

黄蓋はガタガタと震えており、「…冥琳恐い…メイリンコワイ…めいりんこわい……」と呪文のようにぶつぶつと呟いていた

 

周喩「…と、まぁ……あの有様だ」

兵衛「…………」

周喩「どうした、巽?急に黙り込んだして、腹でも下したか?」

兵衛「……一つ聞きたいんだが?」

周喩「何だ?」

兵衛「黄蓋さんがあんなになっちゃうほどのことを……俺達はしちゃったの?」

周喩「さあな」

兵衛「じゃあ、聞き方を変えるけど……俺達の盗んだ酒って、もしかしてヤバ気なものだった?」

周喩「ああ、大したものではないよ。たかだか、『帝への献上品』というだけのことだ。さして、お前が気にするような代物ではないから安心しろ」

兵衛「安心出来ないよ!!もろじゃん!もろアウトの対象じゃん!!俺達取り返しのつかないことしてるじゃん!!」

周喩「はははっ!ようやく理解してくれたか。まぁ、酒は別の物を用意したから問題はない。安心しろ」

兵衛「そうなの!?な~んだ、良かった~」

 

周喩の一言に救われた気分になった兵衛

 

しかし、次の瞬間、周喩の表情が目に入ったことでその良い気分が一転して最悪の気分に変わった

 

周喩「何を助かった顔をしているのだ?酒の件は片付いたとは言ったが、お前への説教についてはこれからなのだぞ?……覚悟は出来ているだろうな?」

兵衛「いや…ちょ……待…―――」

 

兵衛はずるずると周喩の部屋まで引き摺られ、数分後―――

 

 

 

兵衛「ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

 

この世のものとは思えない断末魔を叫んだ

 

数日後、城内では黄蓋と同じように渡り廊下で体育座りをする兵衛の姿があった

 

後日、兵衛はこう語る

 

 

兵衛「周喩を怒らせるのはもうこりごりだ……しばらくは酒は遠慮したいですね、はははっ……」

 

 

あとがき

 

 

どうも勇心です。

 

恐らく、待っていなかったと思いますが

 

一応言わせていただきます

 

お待たせてして申し訳ありません

 

内容固まらなくて気付いたらこんなことになってました

 

今回の兵衛の拠点はかなり思いつきで書いたのがほとんどなので

 

内容が意味わかんなかったり、

 

「ナニ、コレ?」

 

って、言いたくなる内容ばかりだと思います

 

ですが、そこは何卒寛大なお心で読んでいただけると助かります

 

 

 

そして、次回予告

 

 

まぁ、烈矢の拠点ですけどね

 

 

内容的には一応烈矢と春蘭の決闘後のノリで書くつもりです

 

 

頑張って書きたいと思っているので、出来れば見捨てないで読んで下さると嬉しいです

 

今後もよろしくお願いします!!

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
12
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択