No.331345

真・小姫†無双 #20

一郎太さん

というわけで、華雄と霞がヤバい。
今日最後。
どぞ。

2011-11-07 22:56:33 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9370   閲覧ユーザー数:6292

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『J( 'ー`)し(自分の名前)…』

 

を書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#20

 

 

会議も終わり、七乃と霞、そして華雄に搾り取られた翌日。俺はヘロヘロになりながら食堂に向かった。

 

「ご主人様っ!?」

 

食堂に辿り着けば、月と詠、そして空が食事を終えてお茶を飲んでいるところだった。侍女という立場ではあるが、空もそれを気にする事無く接している。

 

「……な、何か…栄養のあるものを………」

「えぇと、その、すぐ作りますから、何とか生き延びてくださいっ!!」

 

げっそりとやつれた俺の姿を見て、月は厨房へと走っていった。

 

「兄様、どうしたのじゃ、そんなにやつれて?」

「あぁ、空か……」

 

洛陽とは違い、質素―――あくまで宮中と比べてだが―――な服に身を包んだ空が問いかけてくる。

 

「ちょっと…長江までトライアスロンしてきたところだから、心配しなくていいぞ………」

「?」

 

俺の返答に、さらに首を傾げていた。

 

「また変な事してたんでしょ?」

「詠は相変わらずのツン子ちゃんだな………」

「ツン子って言うな!」

 

可愛らしく目を吊り上げる詠に、少しだけ元気が出た。

 

 

 

 

 

 

月お手製の料理を食べた後、俺は街に繰り出していた。2つほど用事があったからだ。

城から伸びる街1番の大通りを進み、中央広場で南に曲がる。5分程進んだところにある広場付きの建物へ辿り着いて、俺は扉を開けた。

 

「………一刀?」

 

赤い癖っ毛が少女が俺を出迎えた。

 

「よっ、恋。準備はどうだ?」

「ん…あと、もうちょっと」

 

恋が背後を振り返る。それに倣って彼女の後方に視線を向ければ、広場のそれぞれの場所に、コーナーが出来ていた。

中央にあるひと際ひろい柵で囲まれた場所には犬が走り回り、猫が日向ぼっこをしている。

壁沿いの木々には大小さまざまな巣箱が設けられ、鳥が出入りしていた。

その反対側に作られた柵付きの人工池の真ん中に浮かぶ岩には大蛇が身体を半分ほど乗せている。

また別の一角では、トラとパンダがじゃれ合っていた。牙も爪も立ててはいないから、仲良く遊んでいるだけである事がわかる。

 

「いい感じだな。あとは餌の準備や糞の処理の手続きが済めば、開園だな」

「ん…そっちはねねが頑張ってる」

「なら安心か」

 

ここは南陽初の幼稚園だ。共働きの親の子や戦で親を亡くした子どもの面倒を見る場所である。値段はその家庭の財政状況を踏まえて5段階に設定しており、予約もすでに20件ほど出されている。

併設されている動物園に関しては、大人に対しては料金を設定する。まぁ、激安だから、維持費だけ賄って利益は出ないがな。

 

「頑張れよ、園長先生」

「ん…楽しみ……」

 

激励の言葉と共に頭を撫でれば、気持ちよさそうに目を細める。とても可愛いです。

 

 

 

 

 

 

ひとしきり恋の頭を堪能した俺は、もう1つの用事を切り出した。

 

「――――――それでな、恋。今日はもう1つお願いがあるんだけど」

「なに?」

「俺の事を一刀と呼ぶのはやめて欲しいんだ」

「っ…」

 

しまった。言葉を間違えた。

見れば、恋の瞳にみるみる涙が溜まり、いまにも溢れそうになっている。

 

「一刀…恋に名前呼ばれるの、嫌?」

「いや、その、嫌なわけがない!」

「じゃぁ…なんで?」

 

抱きつく事はしない。だが、それでも俺に歩み寄り、胸元をぎゅっと握って目に涙を浮かべている。

 

「………あー、その、な?俺と恋は仲良しこよしなわけだ」

「………(こく)」

「で、もっと仲良くなる為に、呼び方を変えて欲しいなー、って思ってるんだ」

「…?………呼び方を変えたら、もっと仲良くなる?」

 

あぁ、心が痛む。俺はいま、無垢な心を言葉巧みに騙しているのだ。だが、俺はここで挫ける訳にはいかない。俺の……そして俺の友である(ろり)(こん)達の為にも!

 

「あぁ、もちろんだ。という訳で、恋には、今度から俺の事を『おにぃ』と呼んで欲しいんだ………ダメか?」

「(ふるふるっ)………じゃぁ、今から一刀のこと、おにぃ、って呼ぶ」

「………もっかい言って」

「おにぃ…」

「もう一回」

「?……おにぃ」

「セキトー!鼻血が止まらないよー!!」

 

あまりの破壊力に、俺は現実から逃亡した。

 

………………血の匂いに惹かれた虎とパンダと大蛇に追いかけられたのはきつかったが。

 

 

 

 

 

 

恋の愛虎にガジガジと頭を齧られていると、門の方から声がかかった。

 

「恋殿ー!ただいま戻りましたぞー!」

 

ねねだった。

 

「おかえり、ねね…」

「ただいまなのです!あぁ、主殿もいらっしゃったのですね」

「邪魔してるよ。それで、契約は取れたか?」

 

俺が問いかけるまでもなく、ねねの小さな腕には竹簡の束が抱えられていた。

 

「もちろんなのです!こっちが犬と猫のエサで、こっちが鳥ですぞ。で、これが虎と蛇で………あぁ、そうでした。やっぱりこの辺りでは笹を扱っている商人もいなくて、パンダの分だけはまだなのです………」

 

未契約の動物を思い出して、途端にねねはしょんぼりする。

 

「申し訳ないのです、恋殿………ねねの力不足で………って、主殿?」

 

俯くねねの帽子を取って、頭を撫でてやる。

 

「言っただろう?困った事があったら、ちゃんと俺に言えって」

「はいなのです…でも、ものがないのに契約なんて………」

「それなら大丈夫だ。兄貴は物知りだからな」

「「?」」

「実は、パンダは肉も食べるんだ。だから笹が手に入らないなら、トラと一緒のものをあげればいいさ」

「そうなのですか!?」

 

俺の言葉に、ねねはぱぁっと笑顔を見せる。

 

「あぁ、本当だ。今度一緒にあげてごらん」

「はいなのです!」

「恋も、2頭が喧嘩しないようにちゃんと言うんだぞ?」

「ん…大丈夫……この動物園で、1番強いのは、恋………」

「「………………」」

 

それが誇張でも何でもなく、俺とねねは思わず身震いした。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

「ねぇねぇ」

「………」

「どうされました、桃香様?」

 

平原。3人の少女が歩いていた。

 

「私達の芸名だけど、どうしようか?」

 

劉備、関羽、趙雲の3人だ。

 

「そうですな……陳留では『数え役満☆姉妹』というのが人気だそうで。我々もそれにあやかって――――――」

 

義勇兵はいない。3人だけだ。

 

「――――――『華蝶☆三姉妹』というのは如何ですかな?」

「えーっ!それはダサいよ!もっと別のにしよう!」

「なんと!?桃香様にはこの名に込められた尊い意味が理解できないと言うのですか?」

「意味なんてあるの?」

「それはもう山よりも高く長江よりも広大な――――――」

 

関羽を他所に、劉備と趙雲は盛り上がる。

 

「………………本当に南陽に行こうかな」

 

関羽はひとり、溜息を吐く。

 

劉備軍は解散していた。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、劉備軍が終わっていた。

恋ちゃんはかわいすぎた。

 

 

というわけで、またいい感じに暖まったら上げる。

 

ではまた次回。

 

バイバイ。

 

 

 


 
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