No.323457

【改訂版】真・恋姫無双 霞√ 俺の智=ウチの矛 二章:話の三

甘露さん

今北産業
・執事な
・おうどんの小麦粉
・世知辛いよぅ

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2011-10-24 22:40:53 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7106   閲覧ユーザー数:6234

/一刀

 

 やたら情緒不安定な霞を色々ギリギリストライク気味な無茶振りを受けたりしてなんとか宥め寝かせると、俺はようやっと床に着いた。

 とっくに日付は云々どころか、余裕で朝日昇りかけちゃってます。

 

 「しっかし、霞は一体どうしたんだろうな」

 「……んんぅ」

 

 俺の生活を劇的ビフォーアフターした張本人のデコをうりうりと指で押す。

 あ、ちょっとだけ寝苦しそうな顔になった。

 

 思い出せば、霞という存在は何時の間にか俺に食いこんで、順調にプライバシーとか生活圏とかを占領していった輩だ。

 この世に記憶を受け継いで(と俺は思っている)生まれた身の俺は、そんな交わりを13年間せずに生きてきた筈だったのに。

 また、親しいと世間一般の主観でそう言える人たちとも、一線を越えることは無かったのに。

 この霞、もとい張遼文遠は何食わぬ顔で俺の中へ入り込んできた。

 それは生活圏を土足で辺り構わず犯される様な感覚では無く、何か温かいモノが包み込んでくるような感覚で。

 

 「……初めて、だよなぁ」 

 

 思えば改めて生を受けて13年。

 俺は早々と世界に勝手に絶望して、早々と交わりを拒み断ってきた。

 よくよく考えれば、いくらなんでも畳4畳半の世界で全てに絶望するなんてそれなんて井の中の蛙lv,100。

 ……なんか井の中のryってカッコいいな。

 

 もしかすれば、俺は前の分の記憶補正も含め早熟厨二病だったのかもしれん。

 誰も俺を分かってくれない。ってのは中二のテンプレだし。

 

 でも、俺はどうあれ人間嫌いには遅かれ早かれなっていたと思う。

 未来の日本のような綺麗事だけを並べたてる似非善人も居ないが、代わりに慈愛やら慈悲やら無差別の愛とかそういうものも無い。

 親でさえ喰うか食われるかだ。逆に人間不信にならない奴は居るのかと小一時間問い詰めたい。

 実際、会う奴会う奴どう食ってやろうか考えてる様な連中ばかりだし、打算的じゃない人間なんていないし。

 俺も例に漏れず打算的に近づき、何人かを己の糧にして喰っちまってるし。 

 

 でも、そんなシビアな損得感を抜きに接することが出来る人間に、俺は出会えた。

 

 このむにゃむにゃと幸せそうに睡眠を貪る彼女は、俺が張った壁をなんなくスルーしていつの間にか溶け込んでた。

 俺も霞相手には損得感云々よりも、この人にどうすれば喜んでもらえるのか、どうすればもっと親しくなれるのか、それが先に出てくる。

 それは、とても貴重でとてもうれしいコトなんじゃないかと思う。ある種の、殺伐とした中にある清涼剤の様な。

 

 そんな唯一無二の“親友”。

 

 ……親友?

 そう言えば、俺にとって、霞とはなんなんだろうか。

 その逆も然り、霞にとって俺とはなんなんだろうか。

 

 俺にとっての霞、と問われ真っ先に思いつくのは、やはり親友。

 リアル僕は友達が少ないどころか僕は友達は居ないな俺にとっての、初めての友人。

 

 でも……本当にそれだけか、なんて問われると、俺は間違いなく即答できない。

 大体だ、前世は年齢=彼女いない歴な俺が、こんな可愛い女の子と半身の様に親しく付き合って憧れや妄想を抱かない訳がない。

 こちとら童貞だよなんか文句あんのかコラ。

 

 

 でも、俺の想いが叶うことで俺は幸せになれるだろうけど、イコールで霞の幸せには結び付かない。

 今こそ普通に霞と時間を共有しているものの。俺と霞は根本から相交われない、超えられない壁がある。

 俺は唯の貧民の孤児で、霞は一地方を治める豪族のお姫様。

 

 住む世界も感性も価値観も何もかもが異なる組み合わせなんだ。

 だから俺と霞は最初に衝突した訳だし。

 

 今は霞の気まぐれで、俺はこの子の傍に居られるけども。

 それが霞の幸福につながるかといえば否としか答えられない。

 何も持たないガキな俺が、愛だけで愛しい人を幸せに出来る訳がない。

 ここは、ドラマや映画とは違う、現実なんだ。

 駆け落ちしたところで、街から子供二人が放り出されれば待ってるのは追剥ぎか獣か。

 大体、霞がその提案を受け入れてくれるともあまり思えない。

 霞には想い人がいて、俺は彼女の親友でしかなくて。

 

 どちらが彼女にとって大切かは俺は分からないけど、この子は優し過ぎるから、俺が怒鳴っただけで全ての人間に同情しちゃうほど底抜けに優しいから。

 何となくだけど、着いてきてくる気も多少はする。

 でもそれはlikeであってloveじゃない。そんなのは霞にとって不幸でしかない。

 

 「んみゅぅ……かずとぉ……」

 

 ふと眼をやれば、完全にリラックスした寝顔。

 信頼されているのをひしひしと感じる。

 なのに俺ときたら、あまりにも無防備なそれに邪な感情が芽生えて……。

 いかんいかん。霞の信頼を裏切るとか最低だ。

 霞の気持ちは分からないけど、少なくとも俺はこの子の居場所になれている。

 この寝顔が何よりの証で、それだけでも十分幸せなコトだ。それを、壊してしまうことは真名の誓いへの背信りで、親友への裏切りだ。

 

 

 ああ、やっぱ俺霞んこと好きだわ。首ったけだ。

 俺の想いは到底叶わないだろうけども……。

 

 

 

 願わくば、君の笑顔がずっと守られますように。

 

 

 

 **

 

 

 朝日が窓の隙間から漏れ、薄暗い部屋を淡く照らしている。

 遠いところで鶏の鳴き声が聞こえて、それを合図にしたみたいに、霞の瞼がゆっくりと開いた。

 

 「おはよ」

 「ん、にゅ……おはよ……っ、かかか一刀っ!?」

 「うん俺だよ。どうかしたの?」

 「っいやいやいやどうもせぇへんで!? 

  ベ、別に朝から一刀ん顔が目の前にあってちょっと吃驚したけど嬉しかったとかそんなんちゃうで!?」

 

 おぅ、平常運転だね。んじゃ始めるか、霞の無茶振りその一。

 

 「ん、今日も元気そうじゃん。んじゃ、今日は如何なさいますかお嬢様?」

 「っっ!? いいいきなりなにゃ、っぅ、舌噛んだ……」

 「大丈夫でございますかお嬢様、傷の具合はどうでしょうか? 治療が必要なら今すぐにでもご用命くださいませ」

 「別にこんなんどーってことあらへんわ! そ、それよりもその喋り方はなんなんやっ!?」

 「……お気に、召さないでしょうか?」

 「いやそんなことはあらへんで!? むしろなんか新しい領域に目覚めそうっちゅーか、むしろバッチコイって感じやけど、ってなに言わすんじゃ!」

 「流石お嬢様、頼まれても居りませんのにノリ突っ込みとは」

 「それ褒めて無いやろ!?」

 「その通りでございます」

 「殴ってええか?」

 「いきなり普通のテンションになられると私、聊か困ってしまいます」

 

 おお、霞が困ってる困ってる。珍しいモノが見れた。

 さて、このやたらと丁寧口調な俺だが、これこそ霞の無茶振りその一。

 

 『……一刀が、前言っとった“ひつじ”んなってウチに優しくして欲しい』

 

 涙目上目づかい頬赤らめてちらっと俺の顔を窺う霞さんに頼まれて、正直きゅんきゅんしました。

 しかも内容が優しくして欲しい、なんて言われた日には、ねぇ?

 しかし俺、好意を自覚したら何となくふっきれた気がする。綺麗な一刀のタグ外さないで!

 

 

 という訳で、俺は一日執事になった。

 ひつじってのは、霞にこの執事の話をしたのが結構前だから覚え間違いしてたそうだ。

  

 

 「あ、もしかしてアレなん? 昨夜のウチの無茶振り」

 「無茶振り、と自覚がありつつ依頼するお嬢様の意地悪さに私感動してしまいました」

 「良し殴る、ゼッタイ殴る、無駄無駄言いながら殴ったる」

 「やめてください しんでしまいます」

 

 **

 

 「んで、それいつまで続けんねん」

 「え、一日中ですけど」

 

 何言ってんだこの霞。

 

 「そのなんや可笑しなコトほざく奴見る目止めや」

 「滅相もありません」

 「はぁ……そりゃうれしいけども、なんや納得いかんわぁ。じゃあ、今日はひつじな一刀と一緒に何すればええん?」

 「それはもちろん、次の無茶、コホン。お嬢様の依頼に従って行動させて頂きます」

 「  」

 

 あ、固まった。まぁひつじさんも含め相当恥ずかしいコトばっか言ってたしねぇ。

 

 「因みに依頼は108式までございます」

 「嘘やっ!」

 「はい、嘘です。昨夜お嬢様は5つ無茶振りを成されましたので、其れに従って行動させていただく所存でございます」

 「……一刀、アンタ実はウチおちょくって玩具にしとるんとちゃう?」

 「そんな事ありませんよ」

 「目ぇ見てその台詞もっかい言ってみろや」

 「ソンナコトアリマセンヨ」

 「カタコトなっとるやんけ!」

 

 関西弁だと突っ込みが上手くなるのかしらね?

 まぁいいや。それにしてもなんで霞の言葉って関西弁に聞こえるんだろうか?

 

 「ではお嬢様、次の無茶ふ……依頼に行かせて頂きます」

 「もう無茶振りでええよ」

 「いえいえ、そう言う訳にも行きませんので。

  次の無ち、依頼は……

 

 『ウチ、一刀ん手料理たべたい』でございます」

 

 「な、ななっ、ウチそない恥ずかしいコト言うたん!?」

 

 おおっ、これもまた珍しい反応。なんか霞って弄り甲斐があんなぁ。 

 

 「その通りでございます」

 「たんまやたんま! そない恥ずかしいんは無し無し! ウチ無理やてっ!」

 「いえ、お嬢様の無茶依頼は絶対でございますので」 

 「それってウチが絶対なん?」

 「無茶振りが絶対です」

 「……」

 

 ジト目で睨まれてしまった。スルーするけど。 

 

 「という訳でお嬢様、少々ご足労願えますか?」

 「ええけど、何処行くん?」

 「とりあえず市場までよろしくお願い致します」

 「ういうい」

 

 

 ~少女(とオマケ)移動中~

 

 

 「着きましたねお嬢様」

 「なんや一瞬で着いた気ぃするんやけど」

 「気のせいです」

 「え、でも」

 「気の所為でございます」

 「あ、はい……」

 

 そこは触れちゃいけないところだ、媒体的にもメタ的にも。

 

 「さて、では今回の品目ですが、“おうどん”でございます」

 「おうどん、って一刀が前言っとった拉麺の親戚みたいなもんやろ?」

 「その通りでございます。ただ、使う材料が聊か異なっておりますので……

  あ、おっちゃん、この粉少し手に取っていい?」

 

 麺類の話をしてた所為か、少し身を乗り出し気味で様子をうかがっていたっぽい

 露店のおっちゃんに話かけると、待ってましたと言わんばかりに身を乗り出してきた。

 

 「おぅよ、でも坊主、ソレちょっとしっとり気味だぜ?」

 「じゃあこっちは?」

 「それはしっかりしてるぞ。聞いたところ麺料理作るんだろ? ならこっちだぞ」

 「うーん、しっとりしちゃってるんだよね。てことは売れ残りそうなんでしょ?」 

 「だな。袋で買うと大体一つ二つは交じってんだよ」

 

 苦虫をかみつぶしたような顔だ。

 まぁ入荷すると不良品が絶対混じってるってのは頂けないよなぁ。 

 

 「大変だねぇ。あ、一斤(約500g)いくら?」

 「そだな、八銭(約240円)でどうだ?」

 「んじゃさ、二斤買うから十二銭でどう?」

 「坊主おれに首括れっていってんのかい? 十五銭」

 「まさか! それに売れ残る位なら売っちまった方が良いじゃん、十三銭」

 「駄目だ、俺にゃ嫁も子もいるんでね、十四銭」

 「ん、じゃあこの辺で妥協かな、はい十四銭」

 「てめ、最初っからそこ狙ってやがったな。がはは、一本取られたぜ」

 

 口調だけ怒って見せても、おっちゃんの表情は明るめだ。

 やっぱ美味しい客だよな、わざわざ不良品買ってってくれるんだし。

 

 「まぁいいじゃん、ありがとねー」

 「おう、坊主も嫁さん大切にな」

 「嫁?」 

 

 嫁、嫁って、嫁?

 はて、俺に嫁なんていたかしら。どっちかと言えば妖精さんルートだと思うんだが……。

 おっちゃんに視線を送ると、後ろをくいくい顎で指す。

 振り向けば……、えっと、霞さん? なんでそんなに真っ赤になってるんですか?

 いや、正直眼福余裕で今日も飯が旨い状態なんですけどね……あ、まさか……。

 

 自分が妙に緊張しているのが解る。

 変にカクカクしながらおっちゃんの方に向き直れば、イイ笑顔でサムズアップ。

 

 「……っ、な、なな何言ってんだおっさん!?」

 「がはは、若い、若いな坊主!」

 「俺と霞はそんな関係じ「ば、バカ言うなや! ウチと一刀はそんなんちゃうわ!!」

 「お、おう……そうか」

 

 突然の霞の乱入に、おっちゃん苦笑い。俺涙目。

 いや、分かってるけどね? そんな目の前で叫ばれると俺のガラスハートはボロボロになっちゃうわけで。

 

 「坊主、元気出せよ……」

 

 気付いたらしいおっちゃんに、ぽんと手渡されたのは一枚のハンカチ。

 くぅ、優しさが身にしみるぜ……。

 

 「あ、それ二銭な」

 

 ……世知辛ぇよぅ、この世の中。

 

 

やたらと筆がすすみますた

こんばんわ、甘露です。

 

 

かずぴー安定のイケメン。世の中顔なのかそうなのかwwwww

……くそっ

 

 

おまいらノリがいいのは凄くうれしいけど選択肢増やし過ぎです。

気付いたら3倍とかどこの赤い彗星ですかと。

あ、違う? そうですかごめんなさい。

 

漸くおうどん回収です。

それにしてもビニール何で代用しようかなぁ……。

 

 

ではノシ

 

 

一刀くんイケメン過ぎワロタ

 

1.濡れた

2.濡れた(漢女的な意味で)

3.濡れた

4.濡れた

5.へぅ「へぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」(→view/198560)

 

ゼニガメ様マジリスペクトです


 
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