No.323288

のろまなじょせつれっしゃ ~Slow Slow Train~

ソドーPさん

別サイトなどで投稿しているトーマスの二次創作小説です。
こちらにも投稿しようと思いました、原作とテレビシリーズの設定が混ざっていますが、トーマスの物語を忠実にしているか分かりません。

2011-10-24 15:53:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:662   閲覧ユーザー数:660

 
 

ソドー島は、さむーい冬を迎えていた。

いつもより多めに雪が振り、駅の半分が埋まるほどの大雪になっていた。

しかし、機関車たちは、そんな雪の日でも雪かきを付けながら走るのだ。

雪かきを付けると、雪をかき分けながら進んでいくが、

スピードが落ちてしまって時間通りに駅に着かないこともあった。

でも、雨の日や霧の日、どんな天気でも、機関車たちはそれにもめげずに働いてる。

 

しかし、この日、問題が起きてしまった。

トーマスの雪かきが、取り付け作業中に壊れてしまったのだ。

修理にはとても、時間がかかった。やがて作業員が、トーマスの機関士と助手に言った。

 

「この雪かきは直すのに三日はかかりますよ。申し訳ありませんが、

 三日間の間は雪かきを付けずに走ることになります」

「まいったな、トーマスに付ける雪かきはそれしかないからな……

 前の奴はあの時に壊れて役に立たなくなってるし……。」

 

機関士は、頭をひねりながら呟く、ずっと前にトーマスは、

クリスマスのときにもう一つの雪かきを付けていた。

しかし、線路の上に大きな岩が転がっているのに気付かずにぶつけて壊れてしまい、

もう使い物にならなくなっているのだ。

 

何とかならないのかと、機関士と助手は話したが…いくら話し合っても、無駄だった。

ところが、当のトーマスは大喜びだ。

彼は、重くて窮屈で、古臭い雪かきを付けるのが大嫌いなのだ。

 

「やったぞ!こんな古臭いのを付けずに走れるなんて、楽しみだなぁ!」

 

トーマスは、興奮した。

しかしエミリーは、心配だった。

 

「でも雪かきを付けないと走れないわ。柔らかい雪でも多くなれば機関車よりも強いのよ?」

「へっ!、たかが三日間ぐらいつけなくたって、十分に走れるぜっ!」

 

そう言うとトーマスは、颯爽と、仕事に戻っていった。

 

「……何か、嫌な予感がするわ」

 

その日、トーマスは一日中嬉しそうに、自分の支線を突っ走った。

多少の雪が線路の上にあっても、お構いなしだ。

時には、ちょっと大きい吹き溜まりがあって止まっても、

再スタートをして思いっきり突進すれば、吹き溜まりはあっという間に吹っ飛んでしまう。

やがて、トーマスはファークァー駅に着いた。

 

「多少の雪ぐらい、へっちゃらさ!。もう雪かきなんていらないね!」

 

ところが、現実と言うものはそうは、うまくいかない。

まもなく、トップハム・ハット卿が、

トーマスに知らせるために、ティッドマウス機関庫にやってきた。

 

「トーマス、今日のお前の働きぶりは良かったぞ。

 しかし雪かきを付けずに走るのは危険にも程がある!、

 だから明日から、新しい除雪車を押して走るように」

「……わかりました」

 

トーマスが返事をすると、トップハム・ハット卿は帰って行った。

 

「チビのトーマスが除雪車を押しながら走るだと?、ハハハッ!こいつは傑作だぜ!」

 

ゴードンは、おかしくてゲラゲラ笑った。

でも、トーマスは、最悪だった。

雪かきよりも更に図体が大きくて扱いにくい除雪車を押すのだから。

 

次の日、トーマスはいつものように客車庫からアニーとクララベルを取って来ると、

ナップフォード駅に向かった。

プラットホームに入ると、トーマスは絶句した、

目の前には真っ黒で大きな車両が止まっているのだ。

 

その車両は、奇妙な形をしていて、後ろは客車と同じだが、

先頭は貨車の形をした前には除雪するための板がくっついていた、

その姿はまるで客車と貨車がくっついてる形になっていた。

除雪する板がちょっと丸っこい形になっている、

これは、パラボラ型と言う変わった除雪板である。

 

「あいつは一体誰だい?」

「紹介するよ、フラッペスだ。日本からやってきた新しい除雪車だよ」

 

機関士が、教えてくれた。

でも、トーマスはそんなに新しいとは思えなかった。

フラッペスは、トーマスを見ると偉そうに失礼なことを言った。

 

「おやぁ?、君がこの最新式の僕を押す機関車かい?。

 最新式の僕もずいぶんと舐められたものだね、こんなチビに押されるとは」

 

トーマスはムッとした。大きな機関車たちにバカにされることもあるが、

除雪車にバカにされるのももっと嫌なのだ。

アニーとクララベルも、トーマスをバカにされてムッとした。

 

彼女たちも、フラッペスのことはあまり好きじゃないのだ。

そして、彼はフラッペスにゆっくりと近づき……連結をした。

 

乗客が全員乗って、車掌が笛を吹き、トーマスは車輪を全開に回して出発した。

フラッペスは、重たかった。

 

しかし……支線を走ってる最中、フラッペスの除雪板はあまりにも雪をかきわけていなかった。

と言うより、逆に雪の壁を作ってしまうほどの有様だ。除雪出来ない上に雪の壁と、

フラッペスの重さでトーマスのスピードは落ちるばかりだ。

フラッペスはそんなのは知らんぷり、その遅いのをいいことに、トーマスをバカにし続ける。

 

「おいおい、虫けら君。もっとスピードを出せないのかい?、これじゃあ日が暮れちゃうよ」

「……何だよ!、こっちは図体がでかい君を押してがんばってるんだぞ!?」

「ま、出来る事なら早く走ってほしいものだねぇ~。最新式の僕は、遅いのは嫌いだからさ♪」

 

この言葉にトーマスは段々、腹が立ってきた。

こんなことなら、あの雪かきを付けてた方が……マシだった。

蒸気を沢山出して、シュッシュッと懸命に走っても、遅れは中々取り戻せなかった…。

 

やっと、エルスブリッジ駅に着いた時には、トーマスはもうくたくたに疲れていた。

隣でヘンリーがイライラしながら、トーマスを待っていた。

 

「いつまで待たせるつもりなんだ!!、おかげでこっちはだいぶ遅れちゃったじゃないか!」

「仕方ないだろ!?、除雪車を押してるんだから!、

 それにこの除雪車はすごく重くておまけに雪の壁を作っちゃうし、だから遅れたんだよ!」

「ふんっ!それはお前がのろまだからだろ?。

 つまらん言い訳するんだったら、もっと早く到着しろよ!」

 

トーマスが言い返そうとした時には、ヘンリーは怒りながら出発してしまった。

トーマスはフラッペスを睨んだけど、フラッペスは相変わらずの知らんぷりだった。

水を補給すると、彼は再び、出発した。

 

トーマスは一生懸命、力任せでフラッペスを押しているも……

やはり除雪できていない雪が邪魔で、全然スピードは上がらなかった。

またフラッペスが、トーマスをまたバカにした。

 

「あの大きな機関車の言うとおり、君にはのろまじゃないか?。

 最新式である除雪車の僕をまともに押せないんじゃ、機関車として終わってるね」

 

フラッペスの傲慢な態度には、トーマスは頭に来ていた。

アニーとクララベルも、とうとう怒りだす一方だ。

アニーが、クララベルにひそひそと話しかけた。

 

「何よ!自分が雪を除雪出来ないからってトーマスをバカにして!」

「トーマスをのろまとか虫けらとか、本当に失礼しちゃうわッ!」

「許せないわ!あのフラッペスという除雪車は!」

 

彼女たちは、フラッペスに仕返しをしてやりたいけど、トーマスに恥をかかせちゃいけない。

2人は、悔しくて仕方が無かった……しかし、そのチャンスは、とても早かった。

まもなく、終点のファークァー駅に着くと、

トーマスは客車たちを待避線に置いて、フラッペスを押しながら、石切り場まで向かった。

 

石切り場に着くと、トーマスはフラッペスを押しながら石を積んだ貨車を牽いて、

港に向かった。ところが、そこでトラブルが起きた。

貨車たちはのろのろと走るトーマスに退屈し、悪戯をしかけようと企んでいた。

 

「今日は雪で線路が滑りやすくなってるぜ!」

「こんなのろまなやつにはちょうどいいスピードが出せそうだ……!、けっけっけっ!」

 

貨車たちはクスクスと笑いながら、いたずらするチャンスを待ち構えていた。

だが、トーマスと機関士は、そんな彼らの話を聞いてなかった。

 

石切り場からの下り坂は、いつもは楽に走れるのだが、

今日は雪でコチコチに凍ってしまってるので、かなり注意しながら、走らなければならなかった。

まもなく、下り坂に差し掛かると……

機関士がブレーキをかけようとした。だが、それが貨車たちが待ち望んでいた時だ!。

 

「「「「「押せ押せ!押しまくれ!!」」」」」

 

貨車たちはドスンドスン、ガチャガチャと音を立てながら、トーマスを思いっきり押した。

押されたトーマスは、猛スピードで坂を下って行った。

機関士が慌ててブレーキをかけようとするも、

線路がツルツル滑り、おまけにフラッペスの重さでブレーキがかけられない。

フラッペスも、スピードが速くなったのに気付き、あまりのスピードに怖くなって…

トーマスに大声で怒鳴った。

 

「虫けら君!、止まれ!止まってくれ!」

「ダメだ!、線路が滑ってて止まれないんだ!」

 

信号所の信号主が、トーマスの汽笛を聞いて急いで外に出て赤旗を振っても……

もうトーマスを待避線に入れることができなくなった。

トリレック駅で、フラッペスは前方を見ると、顔を顔面蒼白になってしまった。

 

なんと、前には石を積んだ貨車が、一台止まっているではないか!。

トーマスの機関士は、力を振り絞ってブレーキをかけたが……もう、遅かった。

 

「どけー!どいてくれぇぇぇえええええ!!!」

 

ガシャーン! バリバリ! バキバキ!

 

……幸いにも、けが人は出なかったが、ぶつかった貨車は木っ端微塵に砕けた。

フラッペスもかなりの被害に遭ってしまった、

最新式の除雪板はぶつかった衝撃で、経こんでしまったのだ。

 

酷いことには、彼のヘッドライトに石が飛んで壊れてしまっていた。

 

「ぼ、僕の板が……!、僕の最新式の除雪板とライトがぁ……!」

 

フラッペスは泣き叫んだ。

ところが、貨車たちは反省の顔も見せず、ゲラゲラと笑っていた。

 

「ふぅ……、なんとか止まれたのはいいが……フラッペスの方は酷いなぁ」

 

機関士が言った。

 

「だけどこのへこみ具合なら、雪をかきわけられそうだぞ?」

 

助手がそう答えると、機関士はへこんだ除雪板を眺めると、

助手と話し合い、そして、トーマスに話した。

 

「どうやらこの事故で、以前より雪がかきわけれるようになった。

 フラッペスには可愛そうなことだが、トーマス、まだ走れるかい?」

「もちろんさ!」

 

トーマスは元気よく、そう答えた。

まもなく、ハーヴィーと作業員たちが残骸を片付け終えると、

トーマスたちは再び、出発した。

 

機関士の言った通りだった。

除雪板がへこんだおかげで、雪がきれいにかきわけられるようになり、

始発のときまでは楽に走れるようになっていた。

フラッペスは、行く先々で、子供たちが指さしながら笑っているのが見えて、恥ずかしくなった。

でも、トーマスは早く走れるようになってすごくうれしかった。

 

ナップフォードの港に着いたときに、トビーがヘンリエッタを牽いて、待っていた。

トーマスはフラッペスを見ながら、トビーにこう話しかけた。

 

「やぁトビー、この黒い塊、何だと思う?」

 

トーマスの言葉に、トビーは答えた。

 

「君の新しい除雪車じゃない?」

「確かに、新しい除雪車そっくりだけどさ、本当に新しい除雪車だと思う?」

「どういうことだい?」

「ほら、新しい除雪車は「最新式」なんだぜ?。

 こんなのろまで壊れた貨車は「最新式」とは言えないじゃないかな?」

 

フラッペスは、恥ずかしくて何も答えなかった。

もう、この姿をさらされてしまっては自分を「最新式」とは言えなかった。

 

翌日……フラッペスは除雪出来ないことが明白して送り返され、

トーマスの雪かきは予定より早く直ったようだ。

もう二度と、自分を見下す嫌味なフラッペスは戻ってこなかったが……トーマスは違う。

どうやらまた……不機嫌のようだ。

 

「雪かきが直ったのに、嬉しくないの?」

「ちっとも嬉しくないよっ!!、

 またこの重くて窮屈な雪かきを付けて走るなんて、僕は付けないまま走りたいのに!。

 嫌になっちゃうよっ!……まったく!」

「もう、わがままなんだから。」

 

でも、本当はトーマスも、ちょっとだけ雪かきの方が良かったと思っているよ?。

素直じゃないんだね、トーマス。

 

 このお話の出演は……トーマス、エミリー、ゴードン、ハーヴィー、ヘンリーそして、トビーでした。

 
 

 
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