No.319650

外史異聞譚~幕ノ二十三~

拙作の作風が知りたい方は
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2011-10-17 03:20:59 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2905   閲覧ユーザー数:1739

≪洛陽・商家/北郷一刀視点≫

 

「なあ兄ちゃん、ちょお聞きたいんやけど」

 

張文遠の言葉で雰囲気が変わる

流れを引き戻されたといってもいい

 

流石は遼来来、こんな交渉の席でまで劣勢の軍の希望となるか…

 

そんな感想が頭に浮かび、内心で俺は苦笑する

 

「なにかな、張将軍」

 

「ウチ、アホなんでようわからんのやけど…」

 

アナタがアホならこの外史はアホの子ばかりです、と思わずツッコミそうになった俺を責めないで欲しい

 

「つまり、兄ちゃんらは何が欲しいのん?」

 

『あっ!!』と声を上げる相手を見渡し、俺は賞賛の拍手を張文遠に贈る

 

「お見事というか流石というか、他に言いようがないよね」

 

「どういうこっちゃ?」

 

「このまま考え込んでくれれば、勝手にこちらの要求を飲み込んで高く買ってくれてただろうって自信があったからさ」

 

俺の言葉に賈文和と陳公台が苦い顔をする

 

そう、知者は時として同じ橋を渡る

つまりそれは、相手の思考を読み、そこに筋道を見出し、その裏を読むということである

そうであるならば、敢えて思考の筋道を遠回りさせ、無駄に思考させ、ありもしない裏を確信させればどうなるか

その途中に“矛盾のない回答”を用意しておけば、多少の違和感を感じても、知者というものはそれを拾ってしまうものなのだ

 

ありもしない腹を探るために、裏など最初からないにも関わらず

 

こちらは最初から“双方の利になるよう手を組もう”と言っているのだ

そこに無意味な思考を混ぜるとどうなるか

 

今のように思考の迷路に嵌り、出す必要もない通行料を支払う事になるわけだ

 

もっとも、これは相手が優秀だから使える手だ

これが考えるより先に思ったことを口にするような手合いであるなら、逆にこちらの首が絞まりかねない

その意味では賈文和と陳公台、そして董仲穎は十分以上に信用できる能力と思慮深さを持っていたということになる

 

そして、もうちょっとで高く買ってもらえるところだったのを一気に切り込まれてしまった訳で、そうなればこちらとしても仕切り直すしかない

 

俺が張文遠を褒めたのはそういう事だ

 

「兄ちゃん、性格悪いってよく言われへん?」

 

その言葉にうちの連中がぷっと吹き出す

 

お前ら……

後で覚えてろよ……

仕返しはできないだろうけど

 

「まあ、最近よく言われるけどね…」

 

そやろな、とあっさり言われ、全員に頷かれて心が砕けそうになるがここは頑張ってこらえる

 

だって、オトコノコだもん!

 

………よし、耐えきったぞ俺

 

ともかくも、相手が対等の机に座した以上、俺が話すことはそんなに多くはない

 

「では、紆余曲折はあったけど、こちらに無駄な腹はない、と理解はしてくれたって事でいいのかな?」

 

「アンタの性格が最悪だってことは判ったけどね」

 

賈文和の言葉に令則さんが吹き出す

董仲穎は賈文和の袖を引いてなにやら困ってる

 

いい子だなあ…

 

いかんいかん、話を進めねば

 

「じゃあ、こちらの話を整理させてもらうとしようか」

 

俺の言葉に空気が一気に引き締まる

 

「こちらが出せるものはとりあえずみっつ

 ひとつは、天水経由で五胡との交易と交渉をさせてもらう代わりに、当面は双方で協議した内容の関税を支払おう、という点

 これに異論はあるかな?」

 

これには賈文和が答える

 

「当面の、という部分に疑問が残るわね

 具体的には決められないの?」

 

「別の表現でならそれは回答可能

 お互いが現状を維持している範疇においてはこれから協議するものを適用、あとは状況が変われば都度協議なり、こちらが交易を諦めるなりとなる

 どうかな?」

 

「つまりは、定期的に交渉を持とうってことね

 ………いいわ、だったら通常は半年に一度って事にしましょう

 距離的にも、そのくらいの間隔での交易になるでしょ?

 その期間の便数なんかも決めて行うってことね」

 

「理解が早くて助かる」

 

それに陳公台が質問を被せてくる

 

「それ以外のものは“密輸”という扱いでよいのですな?」

 

「当然だね

 そのための取り決めであり、割符等の許可証だ」

 

「こちらの取り分は?」

 

「偵察兵の情報を正確に流してくれるなら三割五分

 そうでないなら一割五分」

 

「搜索の手間を省きたいってことね…

 いいわ、まずはそれでいきましょうか」

 

「必要があれば定期交渉以外でも擦り合わせは行う

 こちらの窓口は子敬だから、以後よろしく」

 

げっ!? というのが顔に出てる賈文和だが、そう思ってるとまたヤられるよ、と内心で呟きながら俺は次の条件に入る

 

「ふたつめとみっつめは“後払い”で構わない」

 

それに怪訝な顔をする賈文和

 

「まあ、今から説明するよ

 ふたつめの希望は

 “董仲穎に洛陽(宮中)でなんらかの行動があった場合に俺達が影から支援する”

 という約束を提示したい」

 

それに答えたのは華猛達だ

考えてではなく“思わず”という感じだったけど

 

「あまりに具体性がないな

 それは一体どういう意図だ?」

 

「んー…

 そうだな…

 こういうと失礼だろうけど、既に君達は宮廷闘争に呑まれかけている訳だよね?」

 

「不本意ながらね…」

 

苦々しげに賈文和が呟く

 

「それに際して何かあった場合、俺達も動こう、という話なんだ」

 

「やっぱり雑というか要領を得ないわね

 もうちょっと分かり易くならないの?」

 

その言葉に俺は頭を掻く

 

「うーん…

 正直不確定要素が多すぎてね…

 宮中の陰謀なんて、欲が絡みすぎて読めたもんじゃないからなぁ…」

 

「確かにそやなぁ…

 正直やっとれんわ」

 

張文遠の合いの手に頷きながら俺は答える

 

「なので、宮中闘争で君達が“動くしかない”という状況になったときに、俺達も動くってことだよ

 どう動いたかは風評ですぐに理解できると思う」

 

それに真剣な表情で答えたのは董仲穎だ

 

「つまり、私達を助けた後に欲しいものがある、という事ですか?」

 

「その通り

 その時に何が欲しいのかも、その風評で理解できると思う

 それが君達にとって不利益だというなら無視してくれて構わない

 そういう性格の約束事だよ」

 

「あってもなくても構わんようなもんやな…

 今のところはウチらは気にせんでもええっちゅうこっちゃろ?」

 

「そうだね…

 長く友人でいられるかの試金石のひとつとでも思ってくれれば今は十分かな」

 

考え込む相手に、俺はもうひとつの事柄を提示する

 

「みっつめは、それとは別に“君達に危機が訪れたときに必ず一度味方をしよう”というものだ

 これも空手形なんで、この約束を守った後にこちらの条件を聞いてくれればいい」

 

「はいはい、つまりは実質的には何もない、ってことね」

 

呆れたように言う賈文和だが、ここで“口約束”をしておく事は後々大きな意味を持つ

相手が信じていなければ尚更に

 

「で、これとは別に欲しいものがひとつあるんだけど、いいかな?」

 

「まだあるの!?」

 

「これも君達にとっては決して悪い事じゃないと思うんだけどな」

 

「…なによ

 言ってみなさいよ」

 

俺はふっと一息ついて、それを伝える

 

「漢中から無理なくやれる範囲の反乱の鎮圧や制圧を、董軍令の名前で俺達に振って欲しい

 具体的には制圧を含めて三ヶ月で戻ってこれる範囲だと助かるな」

 

大規模ならそんな事はいわないけど、と付け加えると、全員が唖然としている

 

「へぅ…

 それは私達も助かりますが…」

 

「条件はひとつ

 俺達が確保した捕虜は連れ帰って農奴として扱うってのを認めてもらいたい

 当然指揮官や首謀者はそちらに引き渡す」

 

「その程度ならよいのではないか?

 反乱の罪科の決定は実質的にそのときの指揮官に決定権があるのだし、首謀者を引き渡してもらえるならこちらの面子も立つ」

 

華猛達の言葉に皆が頷いている

 

「せやな

 名誉ある戦いちゅうわけでもないし、手伝ってくれるちゅうならウチらも助かるわ」

 

「それに関してはここにいる令則か仲達に宛ててくれれば俺達は動くよ」

 

「動かせるのはどのくらいなのだ?」

 

この問いには令則さんが答える

 

「そうですね…

 漢中の防衛もありますので、現状ではいいところ1万、でしょうかね」

 

「十分やな」

 

その言葉を機に、会談の席は徐々に和やかになっていく

 

そんな中、俺はひとり心で呟いていた

 

 

これで乱世を平らげる布石はあとひとつ、と

≪漢中鎮守府/張公祺視点≫

 

早々に留守番を言いつけられたアタシらだけど、別にその間暇って訳じゃない

 

とりあえず、難民用にと確保していた耕作予定地を再度下見し、場合によってはすぐに取り掛かれるように段取りを組まないとならない

 

また、今までと違い表向きは農奴として苦役という事になるし、食い詰めたとはいえ反乱を起こしたり時には邑を襲ったりしていた野郎共だ、絶対に軍による監視も必須になる

 

こういう部分を留守番組で擦り合わせて計画に修正を加えたり、同時にそういう奴らに拐われてきた女性で帰る場所がないような場合に関しても考えておかなきゃならない

 

まあ、そこはやけになってなきゃ、いくらでも仕事があるのが今の漢中なんだけどな

 

単純に食い詰めている難民とは毛色が異なるだけに、アタシらも用地の位置や管理に関しては神経質にならざるを得ない

 

ただ、これは事前に言われている事なんだが、遠からず発生するであろう農民反乱に漢中が関与する場合、同じ方法で多数の捕虜を農奴として漢中に連れ帰る、という計画をしている事は既に伝えられている

 

これに関しては特に令則が乗り気で、アタシもはっきりいえば推奨派だ

 

そうやって苦しんだ末にそうなるしかなかった人間が大多数のはずで、それを煽動して甘い蜜を吸おうという外道共に対してはむしろ殺してやるのが慈悲だろうと考えている

 

「用地候補はこのような感じですが、公祺さんの判断はどうでしょうか?」

 

この計画に関しては必然として中心人物となるのは伯達ちゃんだ

彼女は現在、これもあのバケモノの意見で早期に作られた漢中の地図、それも農地用として街道や道路、水路や植林による森林を明示されたものを扱っている

その地図を広げて、今アタシに尋ねてきた訳だ

 

これは、用地の場所によって道路や邑の建設が必然なためだ

 

なので忠英と巨達ちゃんも留守番組として最初に指定されたという事なんだよ

 

地図を見てみると、将来的に移住を募集して開発するはずだった地域なので、その意図を尋ねる事にする

 

「これだと辺境すぎて監視その他の問題が出てこないかい?」

 

これに答えたのは以外にも仲業だ

 

「ボクもそうは思うんだけどさ

 軍の運用を考えると、そろそろ伯達ちゃんが指定している地域にいくつか拠点になる場所がないとね

 将来的に困ると思うんだよ」

 

なるほどね、軍の運用を考えると、そういう場所が先行してできていないと粗が出るってことか

 

「あうあう…

 駐屯地と集積所を兼ねられるような規模の邑を将来的には今指定している区域に作らないと、産業の伸び率にかなりの影響が出そうなんです」

 

巨達ちゃんまでが言うってことは、実質的には人が足りない状態がしばらく続くってことだな

 

さて、それをどう誤魔化してやっていくか、結構難しいところだね

 

アタシが地図を睨みながら考えていると、忠英が地図を駒で指定しながら指摘している

 

「農地開発としてはそれでいいんだが、資材搬入に必要な街道がそこまで伸びてないな

 ということはまずはそれをやらせようって事か?」

 

「ふむ…

 そうであるならば、まずは軍を動かして宿場街を設置しつつ伸ばしていく必要もありそうですな」

 

儁乂の指摘も確かにもっともなんだよな…

う~ん…

こりゃ難しいところだね、本当に

 

でもまあ、やるしかないんだし、腹を決めるしかないね

 

アタシはだいたい全員の意見が出尽くしたところで、元直ちゃんに確認を取る事にする

 

「各地から集まってる情報で、飢饉やらで難民が流入してくる可能性はどのくらいだい?」

 

「通常通りではあると思いますが、近隣の難民は既にほぼ回収されていると考えられますので、その数は決して多くはないかと思います

 現在の漢中では盗賊や野盗の類もまず発生しませんので、実質的には全軍のほぼ8割を動員できるかと思います」

 

なるほど、慣れもあるしかなりの無理はききそうだね

 

「伯達ちゃん、食糧備蓄については問題ないかい?」

 

アタシの問いに強く頷く事で伯達ちゃんが応える

 

「現状の備蓄なら、漢中全土が大飢饉に陥ったとしても、およそ2年は耐えられるかと思います

 実際には家畜その他もありますので、3年は見込めるくらいの量は十分にあります」

 

「よっしゃ

 ならアイツらが帰ってくる前に、先送りにしていた事も含めてやれる事は全部やっちまおうか

 どの道やっといても損はない訳だし、耕地に関しては浮いたら浮いたで移住でもしてもらって耕作面積を増やすだけの話だしね」

 

先送りにしていた事は、アタシの抱えていることだけでも公営浴場の設置やら医療転用できる資源植物や薬草の栽培の為の専用の邑の建設

令則のところだと繁華街の管理運営

子敬ちゃんところは造幣局の建設と貨幣の運用

忠英のところの新技術やらの頒布に軍の再編成

伯達ちゃんや巨達ちゃんは戸籍登録方法の修正や住民や旅行者の区分けによる割符の発行やらなんやらとか、区画整理で実施可能になった町毎の互助律についてなどなど

大小様々なものが棚上げされてたり進捗が遅れてたりもしている

 

こういった事に関しての詳しい段取りを煮詰めながら、アタシらはみんなの帰りを待つ事になる

 

これは結果としてかなりの先見の明だった事が判明し、アタシら居残り組は胸を撫でおろす事になるんだけどね

 

 

しかしまあ、とにかくアタシらに暇をくれない男だよな、あのコマシ野郎はさ

≪漢中鎮守府/北郷一刀視点≫

 

後日、俺達は董仲穎達との細かな折衝を終え、無事漢中に戻ってきていた

 

頼んでいた事も順調に進んでいて、洛陽や長安、関中等、洛陽の西~南東部にかけての小規模~中規模の反乱を、現在は諸侯や太守に成り代わり俺達が処理している

これにより、表向きは農奴として連れ帰った捕虜に一定期間の苦役と称した開墾作業に従事してもらう事で農地を与える事もできる訳で、黄巾の乱でのテストケースとして貴重な情報と経験が得られたという点も大きな財産と言える

 

上庸との間に関を設置する案も順調に進んでおり、現在の漢中は内需としてはかなりの好景気を見せている状態だ

 

これらの状況を確認した上で、俺は華陀を内密に呼び、ひとつの行動を画策していた

下準備をしなければいけないものだったのと、どうしても華陀が必要な事柄だったからだ

 

膝を交えて話した末、華陀に快諾を貰えた時点で、俺はそれを円卓の席で話すこととなった

 

「とりあえず、俺五胡に行くからよろしく」

 

『は!?』

 

いや、そんなに驚かれても困るんだけど…

 

「………まあ、我が君が突拍子もない事を言い出すのはいつもの事なので仕方がありませんが、今回は誰をお連れになるのです?」

 

司馬懿さんの諦めたような視線がとても痛いです

でも、これを言うと今度は怒るんだろうなあ…

 

「いや、今回は女性はひとりも連れていかないよ」

 

次の瞬間、後頭部に“がきっ!”と何かが食らいつく

 

まって!

まって令明さん!

それホントに痛いから!!

 

「納得がいきません、説明していただきます」

 

みんなの視線が怖いです

 

「わかった!

 説明するからとりあえず離して!

 このままだと俺死んじゃうから!!」

 

開放された後頭部を撫で摩りながら、俺は説明を強要される

怒らなくても説明するのに、みんななんて短気なんだ…

 

「んーとね

 今までの漢室の慣例のせいでなんだけど、みんなみたいな美人さん連れていく訳にはいかないのよ

 貢物と勘違いされちゃったら困るんだ」

 

言われて“なるほど”と思い当たったのか、とりあえず視線の殺意が落ちる

 

「まあ、文化的なものもあるんだけど、遊牧民族ってそういう点では荒っぽいというか、考え方が違うからね

 こちらとしては下手に出たら負けなのもあるんで、喧嘩の要素は減らしたい訳」

 

「しかしそれじゃあ、逆に揉めないかい?」

 

公祺さんの心配ももっともだ

なので華陀に事前に頼む必要があったわけだ

 

「公祺さんには悪いんだけど、華陀に頼んで辺境医療と布教をしたいっていう祭酒のひとを何人か選んでもらってるんだ

 独断なのは悪いと思ったけど、こればかりは相談しても結果がはっきりしてるからね

 なので済まないけどみんな諦めて?」

 

あ、空気が重い…

 

例えるならば遠心力で振り回されて指一本動かせない遊園地のアトラクションのように

 

と、まるで間を測ったかのようにぼそりと懿が呟く

 

「多数決をとります」

 

その一言に背筋に“ぞわっ!”と悪寒が走る

それは今までにないくらい強烈な悪寒だった

 

なので思わず走って逃げようとしたんだけれど、右腕を令明に、左腕を懿に掴まれてしまい、既に動くことも敵わない

 

「我が君が二度とこのような暴挙をしないよう、ここでしっかりと“お仕置き”をするのに賛成の方は挙手を願います」

 

みんなの手が一斉にあがる

ていうか、俺の両手もあがってるし!

 

ちょ!

まって!

これ卑怯!

俺挙げてないのに!!

 

「目出度く満場一致で可決されました」

 

みんなの目は既に半眼

 

これは本気だ………

 

もはや涙目で怯えるしかない俺に向かって、皆が一斉に立ち上がって近寄ってくる

 

俺は意識を失うことすら許されず、皆の盛大な説教と折檻の的と相成った…

 

 

そして3日後

 

「華陀ぁ…

 体が動かないぃ…」

 

俺は華陀と共に選抜された護衛兵や五斗米道の祭酒達と共に20両の馬車と共に天水へと向かっていた

ちなみに俺は専用の臥車の中でみんなのお説教と折檻の後遺症により寝たきり状態である

 

「自業自得だ、諦めろ

 いくら俺がゴットヴェイドォォォ!!の奥義を尽くしたとはいえ、その状態は簡単には治らん」

 

実に的確に肉体を痛めつけている、とか言ってやがります

 

「なに、心配するな

 天水に着く頃には元に戻っている

 実に絶妙な力加減だ」

 

「俺さぁ…

 ここまで悪いことしたかなぁ…」

 

「さぁな…

 師匠の言葉を借りるなら

 『少しはオンナゴコロを理解しやがれコマシ野郎!』

 とでも言うところだろう」

 

はっはっはっと爽やかに笑う華陀に逆恨みしつつ、俺は天水へと向かう事となる

 

 

泣いてもいいよね?


 
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