「不幸な目に遭わないこと、それは多くの幸福に恵まれることに等しい。」[エンニウス]
屋根やわき道からシャドウがわくように現れる。
銃声がやんだところで指揮官の声がエリア全体に響き渡った。
「生きている者は全員ゲートに戻れ!!」おそらくこの言葉が指揮官の最期の言葉だった。
ゲートは1kmほどある。5分はかかる…急がなければ!
1歩目を踏み出そうとした瞬間、不意に体に衝撃が走り、壁に叩きつけられた。
シャドウが歩み寄ってくるのが見える、こいつに投げられたようだ。
「…い…やだ…」
力を振り絞ってもささやくほどの声しか出ない。体も…動かない。
意識が薄れる中、頬に涙が伝うのがわかった。何も考えられられない…。
シャドウの後ろに赤い何かが見えた。壁の塗装か、血しぶきか、返り血を浴びたシャドウか…。
ローズは、それを知ることもできないまま意識を失った。
覚めることのない眠りか、それとも…。
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