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真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-15

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-15
更新させていただきます。

今回はとても?短めです。
そして作者の希望の寿命も短めです。

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2011-09-12 21:43:27 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9864   閲覧ユーザー数:5830

 

 

 

この作品は恋姫無双の二次創作です。

 

三国志の二次創作である恋姫無双に、さらに作者が創作を加えたものであるため

 

人物設定の違いや時系列の違い。時代背景的な変更もありますので

 

その辺りは、なにとぞご容赦をお願いいたします。

 

上記をご理解の上、興味をお持ちの方は 次へ をクリックし、先にお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

幽州の黄巾党は壊滅した。

残った残党も、ある一派は徹底抗戦を唱え、またある一派は公孫賛による統治に新たな希望を見出して投降。前者は再び略奪を行っていたため討伐された。

後者は軍に組み込まれ、厳格な軍規の元で更生するに至る。

曹操の【青州兵】のような形である。

これほどまでに早く幽州の黄巾の乱が収束したのは、もちろん太守である白蓮の手腕によるところが大きいが、もう一つ。

北郷一刀。つまり天の御遣いという御輿を利用したことに他ならない。

白蓮は最後まで渋っていたが、一刀本人の意思ということもあり、最終的には了承した。

そして燕璃の語った通り、今回の乱では地方豪族が砦を捨てて逃げるという事件が多発し、皮肉にも漢王朝に不満を持つ黄巾党のおかげで、形式的には漢王朝の臣である白蓮が幽州全域を統治することとなる。

 

しかし、他の州では未だに黄巾党の専横は続いている。

同じく北では袁紹、中原に近い位置では曹操や陶ケン、涼州では馬一族を筆頭にした涼州連合、南では袁術とその客将である孫策が、それぞれ黄巾党を討伐していた。

やはり皮肉にも、自分たちが下した黄巾党討伐命令によって、漢王朝は自分たちの無能ぶりを露見させていたのであった。

 

そして誰もが思い始める

既に、漢王朝の世は終わった――と。

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから力の無い人たちを守るために、力があるからって好き勝手して暴れて、他の人のことを全然考えないケダモノみたいな奴らをこらしめるためになにか出来ることはないか!って考えて居ても立ってもいられなくなって村を出たんです!」

 

ガキィン!

 

「おー……凄いな桃香は。俺も現代で戦争のニュースはたまに聞いてたけどそんなこと微塵も思わなかった」

 

ブンッ!!

 

「にゅーす?それも天の言葉なんですか?」

 

『やるな舞流!いい動きをする!』

 

「天の、って聞かれると肯定しかできないけど、そんな大層なもんじゃないよ?」

 

『関羽どのも流石でござる!あながち殿が言っていた【軍神】というのも間違っておられぬやもしれませんな!』

 

「そんなことないですよー!じどうしゃ…とか、えっと……れてび?」

 

『なっ!?私ごときが軍神などとは、おっおこがましいだろう!?』

 

「テレビ。……わざとじゃないだろうな、それ」

 

『はっはっはっ関羽どの!戦いの最中に動揺するとは隙だらけでござるぞ!それっ!』

 

「わざとじゃないですよー!てれびですよね?てれびてれびてれびれて……あれ?」

 

『ま、待て舞流!足元をよく見――!!』

 

今、一刀と桃香は東屋でのどかな午後のティータイム……と言えば実に優雅で聞こえはいいのだが、東屋からそれほど離れていない庭で繰り広げられている激戦を観賞しながらのお茶の時間はティータイムなんて言えるほど優雅では無いだろう。

現に、今まさにその激戦で愛紗の隙を狙った舞流は足元不注意によって石に躓きスッ転び、構えていた堰月刀が手からすっぽ抜ける。

それは綺麗な放物線を描いて飛んでいき、一刀の真横にある東屋の柱に突き刺さった。

 

突然の出来事に、一刀と対面する席に座っている桃香は驚くが、一刀は動じずに深く突き刺さった堰月刀を力任せに引っこ抜く。

 

「おわっ!?」

 

堰月刀の重さに耐えきれずに後ろにひっくり返ったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

「殿!大丈夫でござるか!」

 

庭から東屋に駆け付けた舞流が一刀の身を案じつつ、倒れている一刀の手から堰月刀を軽々と取り上げる。

最近、このようなデンジャラスな状況にも慣れつつある自分が少し嫌だと一刀は思った。

 

「舞流、一歩間違えば一刀殿の首が飛んでいたぞ」

 

「ほ、本当にすまないでござる……」

 

愛紗の言葉に身体を小さく縮こまらせる舞流。桃香もここしばらくで舞流の起こす事件にも慣れたのか、苦笑いを浮かべている。

舞流が起こす事件の大抵は大分規模が大きいのだが、見事というか幸いにもというか、死者はおろか怪我人も一切出ていない。

まぁ、ほとんどがあと数センチで御陀仏という事件に変わりはないが。

 

「某、責任を取るでござる!」

 

「切腹は止めろよ」

 

なぜか嬉しそうに意気込んで責任を取ると明言した舞流に、一刀は冷静なツッコミを入れる。舞流の自害頻度は、鬱になってリストカットを続ける現代の鬱病者より高い。

そんな非現実的な状況に置かれている自分はなんなのだろうと自問自答しつつ舞流に眼をむける。

 

「心配は御無用。もっと別のことでござる」

 

「……嫌な予感しかしないが、言ってみろ」

 

「指を詰め――むぐっ!?」

 

「分かった。もういい。それは却下だ!」

 

予想通り物騒な発言をしそうになった舞流の口を塞ぎ、強制的に黙らせる。

ちなみにどこかの漫画のように鼻も一緒に塞ぐなんていうベタな真似はしない。

 

「あはははっ」

 

「ふふっ」

 

そんな一刀と舞流の、傍から見ればミニコントにしか見えない光景を見て、桃香と愛紗は顔を見合わせて笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「で――だ」

 

一刀は改めて、対面する桃香とその横に座った愛紗に眼をむける。

舞流は一刀の隣に座っているが、大人しくしている筈もなく、お茶菓子を食べまくっていた。これで太らないのだから、不思議だ。

 

「今日だっけ?発つの」

 

「はい。本当にお世話になりました」

 

一刀の言葉に深々と頭を下げる愛紗。

それを見て、遅ればせながらも桃香が同様にぺこりと頭を下げる。

 

「どう?人は集まった?」

 

「いえ、それほど多くは。流石は公孫賛殿ですね。とても民に慕われている」

 

「天の御遣い様の所に居る~!って言う人達も多かったよね?愛紗ちゃん」

 

「一応、俺が望んで御輿になったからそのことに対してとやかく言う気は無いけどさ、やっぱり恥ずかしいな。その呼ばれ方は」

 

苦笑いしながら一刀は頬を掻くが、若干その表情には陰りがある。

その陰った表情をリセットするように首を左右に振り、再び彼女らに向き直る。

 

 

数日前。つまり、一刀の初陣からしばらくが経ったある日。

桃香、鈴々、愛紗の三人が白蓮に頼みごとをした。

頼みごと。それは、客将を降りると言った話だった。

 

 

幽州の争乱は沈静化した。

だが、他の州では未だに黄巾党が蔓延り悪事を働いている。

今の公孫賛勢力は、増えた領地の管理など諸々の事情によって軍を動かせる状況ではない。

その現状に、居ても経ってもいられなくなった三人は、幽州領内で義勇兵を募る許可と出立の許可を得に来たのだった。

白蓮は少し寂しそうな表情を一瞬見せたが、これを快諾。

兵を根こそぎ持っていかれても困るので、燕璃と一刀と白蓮、つまり太守と主な文官(軍師見習い)で相談し、募る義勇兵数に上限を設けた。

とは言うものの、友には甘い白蓮。珍しく燕璃と一刀、二人の意見を押し切り多少上限を引き上げたりもしたのだが。

だが、心配は杞憂だったようで、集まった兵は予想以上な規模にはならなかった。

最も、予想以上の規模にはならなかったというだけで、予想通りの規模にはなっていた。

 

 

これが、今の公孫賛勢力の現状であり桃香達三人の現状だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで一刀殿。一つ相談があるのですが……」

 

回想に耽っていた一刀の思考を遮るように、凛とした声が多少の曇りを持って響く。

顔を上げて無言で先を促す一刀。その意図に気付いたのか、愛紗は一つ息を吸って再び口を開いた。

 

「一刀殿というか……舞流のことなのですが、その……連れていくことは可能でしょうか。私達が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【あとがき】

 

 

真・恋姫†無双 真公孫伝 ~雲と蓮と御遣いと~ 1-15

【 幽州のこれから 桃香達のこれから 舞流のこれから 】

更新させていただきました。

 

 

 

とりあえず、短くてすいません。

 

次の尺を考えると、ここで止めといたほうがいいという作者の身勝手な判断です。

ごめんなさい。どうか付き合ってやってください。

 

舞流=周倉ということで今回の話を作りました。

星が桃香達に着いていくか行かないかは次回に持ち越しです。

史実において周倉は関羽の部下。さて、どうなるやら。

まだそこまで活躍していないのでイマイチ、パッとしませんがご容赦ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……世の中って、ままならないものですね。

 

 

 

 

 


 
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