No.291821

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 合間14

lovegtrさん

長いこと開けてしまって申し訳ありません(-_-;)
今回は桃香の拠点!
ではどうぞ!

2011-09-03 03:49:20 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6765   閲覧ユーザー数:4175

華雄が旅立った後、俺は月たちと中庭でお茶を飲むこととなった。

「ん~ん。月が淹れたお茶は美味しいな」

「えへへ、ありがとうございます。一刀さん」

侍女の格好をした月は湯のみにお茶を注ぎぞれぞれに配り終え、菓子の用意を始めた。

もともと月はこういう事が好きだったらしく、侍女の仕事をあまり苦に感じていない様子であった。

「それにしても、まさか元部下のためにお茶を淹れることになるとわね……」

恋と音々音の方を見て、月と一緒に菓子の準備をしていた詠がはーとため息をつく。

「仕方が無いよ、詠ちゃん。恋さんもねねちゃんも今は呉の武将で桃香様のお客様なんだもん。

 ……それに…私たちは本来、生きてるはずのない人間なんだから……」

「…月……」

「……名前を捨てたこと、後悔してる?」

寂しそうな顔をする月と詠に、あの時の選択について聞いてみる。

「…いえ、後悔していません。あの時私たちは死ぬはずでした。

 でも今、生きていて幸せです。

 確かに名前を失ったことは悲しい事ですが、桃香様たちは優しいですし、こうしてまた恋さんたちに会うことが出来ました。

 だから本当に良かったと思っています」

「ボクは、月が生きていてくれるだけで幸せよ」

「詠ちゃん……」

すると先ほどまでの暗い顔とうって変わり、2人の顔に再び笑顔が戻った。

「…恋も、幸せ……月と詠が生きていて良かった…」

「そうですぞー!月も詠も本当に心配したのですから」

俺達の話を聞いていた恋と音々音もうれしそうな顔をしていた。

その後、月たちは思い出話やこれまでの事を話して過ごした。

話もあらかた終えたころ、庭の向こうから桃香がやってくるのが見えた。

「お~い、一刀さーん!」

「桃香?どうしたんだ?」

「はあはあ、やっと見つけたー」

どうやら俺を探していたらしく、走っていたのか肩で息をしたいた。

「そんなに急いでどうしたんだ?なにか緊急事態でも起きたのか?」

「えっ?いや、違います!違います!」

「じゃあ、急いでどうしたんだ?」

「えっとですね…これから街に行くんですけど、よかったら一刀さんも一緒にどうかなーって思って」

手を胸の前で組み、もじもじしながら桃香は聞いてきた。

「街に?ん~…」

「ダメ…ですか?」

「うっ」

こちらを上目遣いで見る桃香。その顔は反則だろ……

チラリと月たちの方を見ると、

「私達は大丈夫ですから、桃香様と行ってきてください」

「…恋達は月達ともう少しいる……」

「…そっか、分かった。

 俺もこの街がどんなんだか気になるしね。ご一緒させてもらうよ、桃香」

「ホント!?やったー!じゃあ、早速行こっ!」

「お、おい!?ちょ、桃香!?」

街に行くことを了承すると、桃香は俺の腕をとってグイグイを街の方へと引っ張り始めた。

「へへへ、良かった~……」

俺の腕を取り桃香は嬉しそうにつぶやいた。

 

街に出ると城の前の大通りは露天や商店がところ狭しと軒を連ねて、そこを行く人たちで賑わいを見せていた。

「おー、かなり賑わっているな」

「そうだよー。

 ここはこの街で一番大きい道路だからね。たくさんお店があるんだ」

露天には呉では見ないような商品も並んでおり、見ているだけでも楽しむことが出来た。

「そういえば、お腹空いたね」

上を見ると日はもう高く登っており、街の食堂からも昼食を作るいい匂いが漂っていた。

「そうだな、少し減ってきたかも…」

本当はさっき月たちとお茶をしていたから、あまり減って無いのだが。けど、

「そうだよね!実は私もペコペコなんだ!」

桃香はそうでは無いらしく、空腹の様である。

「私の行きつけのお店があるんだ。案内してあげるね」

そう言い再び桃香は俺の手を取り案内を始めた。

 

「ここだよー。とっても美味しんだから!」

桃香に引っ張られて連れてこられたのは一軒の、普通の食堂であった。

「こんにちわー。おじさん、空いてる?」

「ん?おおー、これは劉備様。

 ささっ、汚いところですがどうぞご遠慮なく」

どうやら本当に常連らしく、桃香の顔を見ると店のオヤジは嬉しそうに店内に案内した。

「今日は関将軍や他の方と一緒で無いんですね。

 そこのお兄さんとお姉さんの3人で来られたので?」

「3人?」「お姉さん?」

オヤジの言葉に首を傾げ、後ろを振り向くと、

「えっ?思春!?」「うわっ!?甘寧さん!?」

そこには仏頂面をした思春が立っていた。

「…何時から、居たの?」

「ずっとです」

「ずっとって?」

「一刀様が董卓達と茶を飲み、劉備殿に誘われ街に出かけて、今までずっとです」

なぜか思春の言葉はチクチクと刺を感じる。

「そ、そっか…一緒に食うか?」

すると思春はオヤジが案内した卓に向かい、すっと席についた。

「…びっくりしたよ。

 ははは……はぁ~」

何やら落ち込んだ様子で桃香も案内された席についた。

俺も思春のとなりの席へと腰をおろした。

「ふっ」

「あ、む~」

すると、隣の思春は何やら勝ち誇った様な顔を、向かいの桃香は頬を膨らましていた。

「?ここのおすすめってなんだい?」

「む~……えっ?ここのおすすめ?

 えっとね…麻婆豆腐でしょー、青椒肉絲でしょー、それから…エビチリも美味しいよ!」

採譜を見ながら桃香は次々と料理の名前をあげていった。

「そっか…じゃあ、俺は麻婆豆腐とご飯で」

「私は青椒肉絲を」

「じゃあ、私も麻婆豆腐をください」

注文を受けるとオヤジはあいよーと返事をし、料理を始めた。

料理を待っている間、桃香は街の事についていろいろと話してくれた。

街の事を話す桃香はとてもうれしそうで、誇らしげな顔をしていた。

そうこうしているうちに注文した料理が卓に運ばれてきた。

「んーん、うまいな!でも少し辛いかも」

「あー、確かにそうだね。独特の風味があるよね。

 私も最初きたときは辛かったけど、今ではもう慣れたよ」

そう言い、桃香は美味しそうに注文した麻婆豆腐を頬張った。

「ふー、美味しかった!さあ、次のところに行こ?」

「おいおい、そんなに急いだら危ないぞ」

昼食を終え、桃香は再び街の案内を始めた。

「えー、大丈夫だよー。

 って、うわー!?」

「危ない!」

俺達の方を向きながら後ろ向きに歩く桃香を注意すると案の定、石につまずいた。

「っと。大丈夫か?」

「ふえ?あ、ありがとうございます。

 でも…」

倒れる前にどうにか抱えることが出来た。出来たが…

右手が何やら柔らかい物を掴んでいる。

「あんっ…動かさないで」

「ああっ!ご、ごめん!わざとじゃないんだ!」

「ごほんっ!一刀様ー!」

あと、後ろから凄い殺気を感じる。

「いや、ホントわざとじゃないんだよ」

怒る思春をどうにかなだめる。

「別のもう少し触っていても良かったのに……」

「「え?」」

「な、何でも無いよ!と、とりあえず次、行こっか?」

次に案内されたのは街の広場であった。

「あ、劉備様だ」「劉備様ー」

広場に着くとそこで遊んでいた子供たちが一斉に桃香に駆け寄ってきた。

「皆、こんにちわー」

「劉備様ー遊んでー」「遊んでー」

「はいはい、いいよー」

桃香は慣れた様子で子供たちの相手をする。

「今日はねー、私のお友達も連れてきたんだよー。一刀さん、甘寧さん」

「わ、私か?」

名前を呼ばれた思春はドギマギとしていた。

「おねーちゃん、あそんでー」

するとひとりの子供が思春の服の裾を引っ張りながら頼んできた。

「う、う~…か、一刀様ー」

桃香とは反対に子供に慣れていない思春は困った様子で俺に助けを求めてきた。

「しょうがないな…ほら、お兄ちゃんも遊んでやるぞ!」

そう言うと広場にいた子供たちは喜び、何をして遊ぶか話始めた。

子供たちはとても元気で、普段鍛えている俺達でも走りまわって疲れるのにケロッとしている。

こうして俺達は広場で子供たちと日が傾くまで遊ぶこととなった。

夕方、俺達は城に戻り、今は街を一望できる城壁にいる。

「ここから街が見渡せるんだよ」

そこから見る街は夕日に照らされとてもきれいであった。

「ここから見ると街の様子が良く分かるんだ。

 店を開いている人…買い物をしている人…仕事から帰っていた人…皆それぞれの生活がある…」

「…そうだね」

街をぼんやりと見ながら桃香がつぶやく。

「私はこの人達の笑顔を守りたい。そのために戦わなくちゃいけないのなら私は戦う。

 …矛盾しているのは分かっているけど、それでも私は皆を笑顔にしたい!」

自分の理想を宣言する桃香。しかしその目は決して夢だけを見ているものでは無かった。

「今日一日街を見て、桃香が凄いって改めて思ったよ」

「ふぇ?私が…凄い?」

何を言っているのか分からないといった様子で桃香は聞き返してきた。

「ああ。桃香たちがこの街を治めてまだ日は浅い。

 でも、もうこんなにも街の皆に溶け込んでいる。

 一緒にまわっていて、民から慕われているって良く分かったよ」

「そ、そうかなー。ただ威厳が無いだけかも」

ハハハと桃香は恥ずかしそうに鼻の頭をかきながら答えた。

「そんなこと無い。民から慕われる…皆をひきつける力を桃香は持っているんだよ。

 それは王としての素質には十分だよ」

「王としての…素質…」

何かを考える素振りを見せた後、決心した様子で桃香はこちらを振り向いた。

「一刀さん、聞いてください。

 私、今までずっと考えていたことがあるんですけど、一刀さんのその言葉を聞いて決心しました。

 私、自分の国を創ります!どこにも負けない、皆が笑って暮らせる国を!」

「…そっか。桃香なら創れるよ。みんなが笑顔を国を」

「はい!だから、見ててくださいね」

そう言い桃香は再び街に目を戻した。

自分が守るべきものたちをその目に焼き付けるようにしっかりと見つめていた。

更新が遅れて誠に申し訳ありませんでしたm(_ _)m

リアルがとても忙しかったのです。それはもう2日ほど寝ずに徹夜で作業するぐらいに……

 

それは置いといて、今回は桃香の拠点でした。

そういえばまだ蜀の建国宣言を行っていなかったので、そのための前置きと宣言を書いてみました。

あと一刀と桃香のデート+αも。一刀のフラグ立ては他国にも及ぶ……

次回も拠点です。……台風で休みになったら書こう…


 
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