No.285247

真・恋姫†無双 魏アフター × 仮面ライダークウガ EPISODE2 追憶

harushuさん

真・恋姫無双の魏√で消えてしまった一刀君...

もし彼が仮面ライダークウガの世界に巻き込まれたら、全て終わったときどうするかという設定のお話です。

とはいってもクウガになるまでの一刀はあのフランチェスカとかの設定に準拠したいと思います。

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2011-08-26 13:53:53 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5380   閲覧ユーザー数:4782

<side 恋姫>

「一刀…あなたは元気かしら?私たちは…とても元気とは言えないわ」

 

城壁の上で3年前、一人の男が消えたときと同じような夜空に燦然と輝く満月を見ながら華琳は一人酒を飲みながら、つぶやいていた。

 

「やっぱり、全然美味しくないわね、どれもこれも。最後においしいと思ったのはいつだったかしら…あのぱーてぃの…桃香と雪蓮が絡んでくる前までかしら」

苦笑しながら華琳は酌を口へと運ぶ。

 

あの日、一刀が消えてしまってから華琳は何時間もあの場所にいた。

 

      もしかしたら、戻ってくるんじゃないか。

      

      もしかしたら、どこかに隠れているだけじゃないのか。

 

      もしかしたら、いつもの笑顔がそこにあるんじゃないか。

 

 

 

心の底ではそんなわけがないと分かっていた。

一刀は消えてしまったんだ、分かっていた、でも、そう認めたくない、認められるわけがなかった。

 

知らず知らずのうちに自分の根っこのところにいた彼を失ったことをすぐに納得できるほど、彼女の少女としての心はまだ大人ではなかった。

 

華琳は涙が枯れるまで泣いてもその場に居続けた。

 

 

次の日華琳は皆を玉座の間に集めた。

 

昨晩の勝利の余韻(酒)が残っているもの、もう戦後復興に頭を切り替えているもの、さまざまだった。

 

ふと、凪が昨日の晩から探していた人がいないことに気付いた。

「華琳様。隊長はどちらですか?昨夜から見当たらないのですが。」

 

すると霞がニヤニヤしながら

「凪~。そこは、あまりつっこまんといてあげよーや。昨夜は華琳さまの姿も見当たらんかったし、昨夜はお楽しみやったにきまっとるやないか」

 

 

華琳は一瞬肩をふるわせた後、いつも通りの王の顔で、いつも通りの声のトーンで、いつも通りの口調で言い放った。

 

「一刀は昨晩天に帰ったわ。自分に与えられた使命を全うしてね」

玉座の間はたまゆら静まりかえったあと、阿鼻叫喚の巷と化していた。

 

春蘭、桂花は「北郷め。華琳さまに受けた恩を忘れたのか」と口では強がりを言っていたものの、その目には涙が浮かんでいた。

 

「兄ちゃんがいなくなった。じゃあ、探せばいいじゃん?ねぇ、流琉?」といまいち事態を把握していなかった季衣に聞かれた流琉は「兄様はね、もう私たちの声が届かないところまで行っちゃったんだよ」と涙を流しながら答えた。

 

風は「お兄さん…風は太陽を支える夢を見ても、天を支える夢は見てないのですよ~」と飴を持っている手は震えていた。

 

霞は「嘘やろ、一刀…一緒に羅馬行くって約束したやんか…」と声を殺して泣いていた。

 

秋蘭、稟は声を上げることこそこらえたものの、机の下ではこぶしが固く握られていた。

 

質問した当の凪はショックで固まってしまっており、周りの真桜や沙和がなにを言っても耳には届いていなかった。

 

その後魏の中枢はまともに機能していない。

 

当時は蜀や呉の力を借りてようやく「国」の形を保っていられたといえるだろう。

 

今でこそある程度回復してきたものの、やはり一刀が消える前と比べると業務の出来は格段に落ちていた。

 

それほどまでに、北郷一刀の残した傷跡は大きかった。

 

一時期など夜中どの部屋からも小さな(一部の部屋からは豪快に)泣き声が聞こえていた。

 

華琳も今でこそ表面上は回復したものの、会議の最中、上の空という事もざらであった。

 

 

 

「ほんと、散々だったわね」

 

少し前の自分を思うと少し笑えてくる。自嘲気味に笑いつつ華琳は酌を口に運ぶ。

 

そこへ秋蘭がやってきた。

 

「おや、華琳様もこちらでしたか。満月が…きれいですね。私も酌をともにしてもよろしいですか?」秋蘭が自分の酒と酌を持って華琳のところまでやってきた。

 

「かまわないわ。こちらへいらっしゃい、秋蘭」

 

華琳の了承を得、華琳の酌に酒を注ぎ、自分の酌にも酒を注ぐ。

 

「北郷が消えてからもう3年半…ですか。その頃のことはまだ昨日の様でもあり、10年以上も前のことにように感じます」

 

「そうね、あなたたちはあいつの別れ際にもいられなかったんですものね」

 

「ええ、私どもからしてみれば、いつの間にかいなくなっていたようなものです。本当に北郷が存在していたのか分からなくなる時があるのです。もちろん、この平和は華琳様とあいつがなしえたものです。それでも、やはりどうしようもなく不安になってしまう時があるのです。私たちが愛したあいつは幻だったのではないか、と」

 

そこまで言って秋蘭は酌に残っていた酒を、一気に飲み干した。

 

華琳は自分の酌をみつめる。そこには仏頂面をした自分の顔が映っていた。

ふと一刀が前に言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

 

ある日、華琳が休みの日街に出ると一刀が街の子供たちと遊んでいるのを見かけた。

しかし、一刀がここ数日城の女性たちの相手と激務で夜もろくに寝てないのを知っていた。

 

そこで華琳は呆れながら一刀に聞いた。

 

「あなたはどうして、そんなに自分のことを犠牲にして、誰かの為に行動しているの?少しは自分の体のことも考えなさい」

 

一刀は一瞬キョトンとした顔をしてから、すぐに笑顔でこう言った。

 

「誰かの笑顔の為だよ。華琳も国を良くしようとしているだろ?…俺は俺の場所、お前はお前の場所でやってるだけだよ。

 俺は華琳みたいに頭もよくないからいい政策悪い政策なんてわからないし、率先してやりたいとも思わない。でも、俺は皆の笑顔を見たいんだ。だから俺はそのためならいくらでも頑張れる。華琳も、俺も、皆もやってることは変わらないんだ。」

 

あの時、自分はため息交じりに聞き流していたけれど、今ならわかる。

 

ふと自分の口の端が上がっているのに気づく。隣を見ると秋蘭の目には涙があった。

 

あいつが見たかったのはこんなものじゃない…それに気づいた華琳の目に涙はもう流れなかった。

 

 

「ここでどんな慰めの言葉を用いても気休めにもならないことは、自分でもよくわかっているわ。

 でもね、秋蘭、あいつは私達や、魏の民の笑顔の為に戦っていたのよ。

 それなのに、私たちが涙を流していてはあまりにも報われないじゃない。

 

 だから私たちは笑いましょう。いつか一刀が戻ってきても胸を張れるように」

 

華琳の顔にはもう泣いていたことが嘘のように笑顔が戻っていた。

 

「はい、華琳様。北郷…一刀は戻ってくるはずですよね」

 

「あたりまえじゃない、この魏王が望むんだもの。戻ってくるに決まっているわ」

 

それを聞いた秋蘭の顔にも笑顔が戻っていた。

 

「今日のお酒は久しぶりにおいしいわ」

 

翌日

朝議である一つの議題を桂花が苦々しく読みあげた。

「魏領内の村々で怪死事件が多発しています。詳細は不明。しかも、約1刻(現代の時間尺度にして15分)間隔で40里(現代の距離尺度にして約20km)離れた場所で同様の事象が発生しています。さらに、死体にはみな体には何かが貫通した痕跡があったという報告を受けています。」

 

書簡を睨みながら読み終わった桂花が席に座る。華琳が顔の前で手を合わせながら疑問をぶつける。

 

「多発しているならば、なぜその報告が今までなかったの?」

 

「それが…今までは単独の仕業と思われており、村の自治体が警備団を使い対処しようとしていたようですが、手に負えないとこちらに上がってきた報告をまとめると、同様の事件が起こっていたことがわかったのです。そうでしょ、風?」

 

まったく男ってのはどうしてこうもつかえないのかしら、と愚痴りながら風に話を振る。

 

風はいつもの半眼の奥を鋭くしながら答える。

 

「はい~。何かが死体の頭頂部から侵入して、大腿部から出た形跡がありました。このことから犯人は槍か何かで殺したのでしょう。弓だとしたら矢が落っこちてないとおかしいですし、何より真上から狙撃されたことになってしまいますよ~」

 

「そう、ありがとう。多発しているならば、付近の警邏を強化しましょう。

 今日は手が空いている私と秋蘭で行くわ。

 敵は複数いるのでしょう、他のものはいつでも出陣できるよう準備を怠らないように。」

 

「「「御意」」」

 

「お待ちください華琳様!警邏でしたら私が…!」

 

凪が手をあげる。一刀の残してくれた平和を汚されたような気がして、許せなかったのだ。

 

「凪、あなたには長安での任務があるでしょう?私たちも許せないのは同じよ。ここは譲りなさいな」

 

 

 

凪は今やこの街の警備隊長代理にまでなっていた。

 

本当は華琳は警備隊長に任命したのだが、凪、真桜、沙和、その他隊員が

 

「「「隊長は隊長以外ありえません!」の~!」へん!」と言って頑として受け入れなかった。

 

 

 

「しかし…」

凪はどうしても自分の手で捕えたかった。そうすることで少しでも一刀に報いれるような気がしたからだ。

 

「ね?凪」

 

当然華琳は譲らない。同じ憤りを感じていたからだ。それを察した凪は渋々ながらも同意した。

 

「他に議題は…稟、よろしく頼むわ」

 

「御意。近くの村で作物の収穫がおもわしくなく………」

 

その後朝議はいつもの様に進行していった。

 

この時、だれもがいつものような盗賊の仕業だと考え、一刀の残してくれた平和に茶々を入れる輩に沸沸と怒りを感じていた。

 

 

 

世界を超えて同じころ、一刀は中国国家図書館に到着していた。

 

 

いかがでしたでしょうか?第二話ですね。

 

最後の一刀はepisode1の話ですね。

 

華琳の回想を一人称にするか三人称にするか悩みましたが、結果的に今のような形になりました。

 

最後あの怪人のうわさがちらほらと…

 

次回からやっと変身させて闘う事が出来そうです。

 

よかったよかった。

 

クウガと銘打ちつつも全然登場してませんからね。

 

あれを射ち殺してから、拠点√をいれていけたらな…と思っています。

 

ところで、前回「ライジングアルティメットは登場しねーの?」というコメントをいただきました。

 

簡易的にはコメントを返したのですが、一応ここでも…

 

おそらく「ライジングアルティメット」、及び「アルティメット」は特別なイベントでしか登場させない予定です。

 

アルティメットは原作において五代が決死の覚悟で変身したフォームです。

そんなポンポンなれるようなフォームではないと思っています。ぼくはそのイメージを大事にしていきたいです。

 

ライジングアルティメットですが、どうなんでしょう?

ディケイドの映画を見に行ってないのでよくわからないのですが、そんな自由自在になれるフォームなのでしょうか?

そもそも「ライジング」って椿さんの電気ショックでアルティメットの力が部分的に露出して起こった現象じゃありませんでしたっけ?

その辺ちょっとよくわかっていないのでわかる方コメントをお願いできたらなぁと思います。

 

さて、「凪との試合もたのむわ」とありましたが、わかりました。やりましょう

一番闘わせやすいからね。今回一応その布石も打っておきました。

でも、基本原作においても両方とも闘うことをあまり良しとしない性格なのでそうそう闘う事はないかな…と思っています。

 

まぁ、フィギュアーツをブンドドさせながら考えます(笑)

 

では、次回もよろしくお願いします。


 
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