No.283048

真・恋姫†夢想 魏√ 桂花EDアフター その七

狭乃 狼さん

これが最後のお祭り参加作品です。

桂花の大学検定の合否は、はてさて・・・?www

まあ、ぶっちゃけ言うまでもないと思いますけどね♪

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2011-08-23 21:00:17 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:16068   閲覧ユーザー数:12438

 

 煌々と、夜空を照らす人工的な照明と、それよりは遥かに小さいながらも、自己の存在を主張するかのようにはっきりとした輝きを放つ、色とりどりの数多の灯りたち。耳に聞こえるのはたくさんの人々の活気に溢れた声と、笛と太鼓が織り成す賑やかな祭囃子。

 

 私は今、“縁日”という所に来ている。まあ正確に言えば、縁日と言うのは場所ではなく行事の名前であり、それが行われている場所に来ている、と言うのが正しいのだが。

 

 「……にしても凄い人ごみね。もう、歩くのさえやっとって所だわ」

 「だな。けど、この辺りはまだ入り口近くだから、入場さえしてしまえばもう少し楽に歩けるよ」

 「……手、離さないでよ?」

 「分かってるって。……それにしても凄い人だな。まあ、今年はこれが最後の縁日だし、花火も今日が最終日だからな。っと」

 「きゃ」

 

 殺到する人の波に、思わず流されそうになった私を、一刀はしっかりと抱きしめてくれた。……やっぱり温かいな、一刀の胸の中は。

 

 

 ……この三日ほど前。先月受けた大学検定の合否が、私の下へと通知された。

 

 結果は、合格、だった。

 

 「……やっぱりさすがと言うべきかな?たった三ヶ月で大学検定に受かる辺りは、王佐の才の面目躍如、ってところかい?」

 「……それ以上に、桂花ちゃんの乙女ぱわーが凄かった、と言うべきかもね。どぅふふ」

 

 ……通知の書かれたその手紙を見て、満面の笑みを浮かべた私に、なぜか屋敷内で筋肉だるまの姿になっている貂蝉が、そう笑って言った。

 

 「……で?お前はなんでそっちの姿なんだよ?」

 「……ちょっとした事情でね。貂蝉の姿と名前じゃないと、色々不都合な~のよ。だから二人も、私のことは貂蝉で通してねん」

 『……はあ』

 

 なんだか良く分からないけど、とりあえず、納得した私たち。……ほんと、自分でも何で納得できたか分からないんだけど。

 

 (お祭りの都合上ですw)

 

 「まあそれはともかくとして。桂花ちゃん、改めて、合格おめでとう。そんな桂花ちゃんに、私からプレゼント……贈り物があ~るのよ」

 「……贈り物?」

 「そ。はい、これよ」

 

 そう言って貂蝉が差し出したのは、少々大きめの長い箱。……なにかしら、これ?

 

 「とりあえず開けてみたら?危険なものってことは、多分無いだろうし」

 「あん。ご主人様ってば、相変わらず厳しいお・こ・と・ばン」

 「……だから、その姿でいやいやすんな。鳥肌が立つ」

 

 一刀と貂蝉がそんなやり取りをするのを横目に、思い切って箱に手をかける私。その箱に入っていたのはと言うと、

 

 「……着物?」

 「そ。正確には、浴衣、ね」

 「へえー。いいじゃないか、桂花。それにこの柄、これ、金木犀だろ?」

 「そうよん。金木犀、それはつまり」

 「……桂花、だろ?」 

 

 金木犀とは、私の真名である桂花―丹桂の、この国での呼び名だそうだ。それが蒼い生地のところどころに描かれた、浴衣というこの国独特の衣装を、貂蝉はわざわざ用意してくれたそうである。

 

 「でね?ご主人様の浴衣も用意してあるから、二人してそれを着て、近くの神社で行われる縁日に行って、夏の夜の一時、楽しんできたらどうかしらん?」

 

 

 ……以上の経緯により、私と一刀は現在、その縁日会場である神社に来ている、と言うわけである。ちなみに、着付けは一刀が手伝ってくれたんだけど、正直言ってちょっと恥ずかしかった。……いやね?散々裸なんて見られてるとは言ってもよ?やっぱり着替えとなると、その辺ちょっと違うわけで。とは言え、私以外のほかのメイドさんたちは、夏休みと言うことで現在お屋敷を不在にしてるものだから、着付けが出来るのは一刀しか居ないと言うわけである。

 

 しかも、浴衣の下には何も着ないのが、この国でのるーる…しきたりってやつだって言われたものだから、今の私は浴衣一枚で外を歩いているわけで。

 

 (……着崩さない様に歩かないと、その、丸見えになっちゃうかも知れないわね……ほんとに、気をつけないと)

 

 転んだりなんかしたら、それこそ一刀と華琳さま以外には見せた事のないところまで、衆人の耳目に晒されちゃうし。……そんなことになったら、それこそ自殺もんだわ、うん。

 

 

 

 「ふう~。ようやく人ごみを抜けたよ……。桂花、ちゃんと着いて来てる?」

 「ん、大丈夫。ちゃんと一刀の手、握っていたから」

 「そ、そか///」

 「/////」

 

 たったそれだけの会話。なのに、何故だか顔が真っ赤になる、私と一刀だったりした。

 

 「……と、ともかく!屋台もたくさんでてるし、しっかり楽しんで行こう!な?」

 「う、うん!」

 

 そうして始まった屋台めぐり。まず最初に立ち寄ったのは、飴屋だった。……まあ、単に一番近くにあったからなんだけど。

 

 「たくさん種類があるわね~。私も見たこと無いのばっかり」

 「そうだな。でもなんと言っても、縁日といえばりんご飴だろ。おいちゃん、二つおくれ」

 「はいよ~!」

 「……わ。甘くておいし。……風だったら、屋台ごと買い占めそうね」

 「はは。言えてる」

 

 そうして買ったりんご飴を舐めつつ、次に寄ったのは射的という遊戯が出来る屋台。

 

 「……こう?」

 「そうそう。先端に突起があるだろ?それを的の上部の隅に当てて狙いをつけて」

 「この、ひきがねを引く……!やった!落ちた!」

 「おお!才能あるじゃんか、桂花。……まあ、秋蘭だったら確実に、店の景品全部持ってくだろうけど」

 「……間違いないわね」

 

 でもって、景品で取った人形を手に、次に向かったのは形抜きってのをやる屋台。

 

 「……あ、くそっ!また崩れた!」

 「あ~、私も駄目~……結構難しいわね、これ」

 「ああ。よっぽど集中力が高くないと駄目だからな」

 「上手くやれるとしたら、稟……かしら?」

 「そうだな。まあ、華琳の浴衣姿とか見て、鼻血を吹いてなきゃ、だけど。……でもまあ、それ以上に一番確実に言えるのは」

 「……春蘭や季衣には絶対させられないわね」

 「……だな」

 「……確実に、イライラが爆発して、屋台ごと破壊しかねないものね……」

 

 その後は食べ物系の屋台をはしごして、夕食代わりに食べ歩き。

 

 「このお好み焼きっての?霞や真桜が好きになりそうね」

 「あとたこ焼きもな。焼きそばは流琉…かな?まあ、自分で食べるより、安くておいしいから庶民食にぴったりです!…って言いそうだ」

 「そうね。でも、食べ物で一番こだわるのは」

 「華琳、だろうな。……下手したら全部の屋台にけち…指導をつけて回るかもな」

 「ふふふ。かも知れないわね」

 

 そうして食べ物を片手に場内を歩き回り、私も着ている浴衣とか、この世界のいろんな服を見たら、沙和は確実に狂喜乱舞しそうだとか、凪だったら意外なところで、輪投げなんかにムキになりそうだとか、張三姉妹は会場の中心で歌と踊りを披露したがるだろうとか。

 

 ……魏の面々の事を、二人揃って久々に思い出し、ちょっとした郷愁のようなものにかられながらも、私たちは祭りを十分以上に楽しんだ。 

 

 

 

 そして祭りの終了の時が近づいた頃、私は一刀に連れられて、神社の中にある高台に居た。

 

 「……ねえ。なんでこんな所にわざわざ来るわけ?」

 「もうすぐ分かるよ。……お、始まったかな?」

 「え?」

 

 ひるるるるるるる~~~~……どおーん!

 

 「ふわあ~……」

 

 思わず見とれた。……満天の星が広がる夜空に、大きくその花を開かせる煌びやかな光。そしてさらに、二つ、三つ、四つ……いくつもの、大輪の光の輪が、夜空に瞬いては散っていく。

 

 一瞬の華やかさと、せつなさ。それが何度も何度も繰り返され、衆人の耳目を惹き付ける。

 

 「……綺麗……もしかして、これが“花火”?」

 「そ。祭りの占めはこれが欠かせないからな。……ここからが一番、花火を綺麗に見られるって、前もって貂蝉に聞いていたのさ」

 「……」

  

 一刀が私にそう答えるのを耳にしながら、私の目は夜空に咲く大輪の光の花に囚われ、飽きる事なくそれを見上げ続けていた。……そっと。一刀が私の肩を抱き、寄り添って来ていた事にも気がつかないほど。

 

 「……なあ桂花」

 「……え?あ、な、なに?」

 「……来年も、こうして二人で、一緒に花火、見に来ような?」

 「……うん」

 「……もちろんそのためにも、明日からはまた、猛勉強だからな?」

 「……あのねえ。せっかくいい雰囲気なのに、なんでそう水を差すようなこと言うかな、この男は?!」

 

 ぐりりっ!!

 

 「あだだっ!?ご、ごめんっ!いやけどさ」

 「……まだ言う?」

 「……帰ってからにします」

 「よろしい♪」

 

 少々涙目になった彼に、にっこり微笑んで勝ち誇る私。だってそうでしょう?せっかくのいい雰囲気を壊した一刀が、全面的に悪いんだから。

 

 もちろん、彼に言われなくても、私だってその事は十分に承知している。大学検定に受かったからといっても、それはあくまで、大学を受験する資格を得た、というだけの話である。そう、本番はまだこれから。……残りの約半年で、私は一刀が受ける大学に、同時に入学出来なければいけないのだ。

 

 もちろん、もっと時間をかけてゆっくり……次の受験まで勉強するって言う手も、あるにはあるわよ?でもその間に、大学で一刀に悪い虫がつかないとも限らないし。……もちろんその場合は、どんな手を使ってでも、絶対排除してやるけどね。フフフ。

 

 ……まあ、それはともかくとして。

 

 「……一刀とちょっとでも一緒に居るためには、絶ッッッ対今度の受験で、一緒に合格しなくっちゃ」

 「ん?何か言った?桂花」

 「……なんでもない///」

 

 花火の音でかき消されたのか、私の独り言は一刀に聞こえなかったようだ。まあ、そのほうが私も、恥ずかしい思いしなくていいんだけどさ。

 

 

 

 夏はもうすぐ終わり。

 

 そして、秋になり、冬を迎え、新しい年を一刀と迎えれば。いよいよ、大学受験のその本番に、私と一刀は臨む事になる。

 

 どんな結果になるかは、もちろん今の時点では分かりはしない。

 

 『人事を尽くして天命を待つ』

 

 と言う言葉もあるとおり、今はただひたすら、自分に出来ることをやっていくだけ。

 

 ……華琳様。それから向こうに居るほかの皆。身勝手な願いなのは分かってます。皆を捨てて、只の女である事を選んだ私に、こんな事を言う資格は無いのかもしれない。

 

 でも。

 

 もし、こんな私を許してくれるのなら、もし、祝福をしてくれるのなら、どうか見守っていてください。

 

 

 

 天の世界より、あの世界の仲間達へ。

 

 もう二度と、おそらくは会う事のないであろう、親愛なる友人達へ。

 

 暑中お見舞い、申し上げます。

 

 

 ~荀文若~

 

 

 

 

 続く 

 

 

 

 というわけで。

 

 今回の第二回恋姫同人祭り、最後の参加作品として、桂花EDアフターその七を、お送りしました。

 

 一応、性格改変されているとはいえ、桂花は桂花だし、他にはオリキャラも出してないし、貂蝉もぶるあの方で出したので、無問題だとは思うんですが……。

 

 とりあえず、祭りも本日八月二十三日をもって、一応の終了とはなるわけではありますが、恋姫の火はまだまだ消えはしませんとも。

 

 ええ!消してなるものですか!

 

 というわけで、今回最後の作品紹介をして、この場を閉めさせていただきます。

 

 作品:『真・恋姫無双~2人の飛将軍~』

 

 作者:cavalさん

 

 恋並みの武を誇る一刀・・・・・・いいですよね、チートって♪(ぇw

 

 今後もぜひ頑張って欲しいですw

 

 では今回はここまで。

 

 ではまた次回、北朝伝かツン√か、はたまたこれの続きか、いずれかの作品にてお会いしましょう。

 

 であ♪ ノシ 

 


 
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