No.274667

【腐】無自覚と言う名の罪

みことさん

セフィクラで、短編です。
登場人物:クラウドとセフィロス。
時代:ゲームエンディング後(ゲームエンディング後は二人で暮らしている設定です)
「セフィロス、好き!」なクラウドを目の当たりにするセフィロスの話。

2011-08-15 23:22:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:494   閲覧ユーザー数:493

「お風呂、空いたよ」

 

 かすかにシャンプーの香りが漂っていると思ったら、クラウドがすぐそばに立っていた。

 

「ああ、もうすぐ読み終わるから、これを読み終えたら入る」

 

 俺は膝の上に乗せてあった雑誌を指差した。「ふーん」とつまらなさそうにクラウドは言うと、俺の横に座ってきた。

 雑誌を覗き込んできて、首をかしげている。

 

「セフィロス、情報誌なんて、珍しいな」

「…社長が渡してきた。目的は不明だが、読め、ということだろうと思って読んでる」

 

 神羅の広告が出てるわけではなかったし、神羅の関係する記事が載っているわけでもなかった。単にミッドガルのタウン誌だ。

 

「俺たちにデートスポット教えてくれてるんじゃない?」

 

 クラウドは俺を見上げてきた。丸い蒼い目がキラキラしている。

 

「…都合のいい解釈だな」

「そう? ここの新しいホテルとかいいと思うけど。夜景も綺麗みたいだし」

 

 クラウドの指が指す場所にはホテルの一室から映された夜景の写真。

 かなりの高層階だと思われる。写真に写る光が細かい。

 

「こんな部屋に泊まってみたいなぁ」

 

 珍しくクラウドはおねだりモードになっているらしい。俺の手を両手で抱えて、上目づかいで、視線を合わせてきた。ピンク色に染まった頬と、紅を塗ったように赤い唇がじわじわと俺の感情を刺激する。

 

「ねぇ、いいだろ?」

 

 そう呟くクラウドはきっと自覚がない。その仕草、そのセリフが俺をいとも簡単にねじ伏せ、抵抗や反論を一切させなくなるってことに気づいてないのだ。

 

「クラウドが行きたいというなら構わない。ただ、俺にはメリットがないな」

 

 クラウドの顎を掴んで、顔を近づける。

 クラウドは口元を引き上げてから、俺の頬に触れてきた。

 

「そうだなぁ、『俺』じゃメリットに入らない?」

「本気で言ってるのか?」

 

 顔がにやけそうになるのを堪える。

 

「当然。セフィロスの好きにしていいよ」

 

 クラウドは顎を掴んでいた俺の手を払いのけると、噛み付くように唇を重ねてきた。

 

 

<終>

 

 

お題は『恋したくなるお題』様よりいただきました。


 
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