No.259865

カノボク!悪魔と鍛冶師の救世物語 2

佐藤朋樹さん

とある世界で、鍛冶屋を営んでいる青年には秘密があった。
そして、青年は出会う。女の悪魔に。
また女の悪魔もであった。自らの運命を導く、秘密を持つ青年に。
二人は出会い、そして歩んでいく……運命に向かって。

2011-08-05 02:57:06 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:376   閲覧ユーザー数:374

 

 

 

「あぁ~・・・・・・冷たくて気持ちいい」

現在、一樹は南西の森へ素材を探しに入っている。そして、ある程度集まったので、休憩がてらに川の辺で涼んでいるところだ。

「ホント、ここの川は冷たくてきれいだよな。ちょうど木陰で涼しいし、休むには丁度いい場所だな・・・・・・眠くなってきたから、寝・・・・・・・・・・・・」

]

「タ・・・・・・ケテ」

 

丁度カズキが寝ようと言い出そうとしたところで、多数の足音と人の声が聞こえた。

 

「イヤイヤ・・・・・・えっと、とりあえずここにハンモックを――」

「イヤァ!」

 

はっきりと一樹の耳がその悲鳴の声を拾い、一樹はため息を漏らす。

 

「たっく・・・・・・人が気持ちよく寝ようとしていたのに、たっく・・・・・・・・・・・・イタブッテヤル」

 

一樹のいるところで光と音が奔ると、すでに一樹はそこには居らず、地面は軽く抉れていた。

 

 

 

場面は変わり、逃げる少女を男3人が追っている。少女は既に息を切らしているが、懸命に逃げようと足を止めないで走っている。      

しかし、男たちはそれを楽しんでいるかのようで、余裕を感じられる笑みを浮かべながら少女を追いかけている。

 

「ハァッハァ・・・・・・ッアッ・・・・・・ハァ・・・・・・」

「待てよ!譲ちゃん!」

「傷つけるなよ?大事な商品だからな」

「了解♪」

 

逃げる。逃げる。逃げる。それだけしか頭に入ってこない。いや、考えない。今は、ただ逃げるしかない。魔法で追い払いたいけれど、魔力が尽きかけている。ここ数日何も口にしてないし、あまり眠れてもいない。だけど、警戒はしていたのに・・・・・・

 

「あ!」

 

 少女の体が限界になったのか足をもつれさせてしまい、倒れてしまう。

 

「クックック・・・・・・お嬢ちゃん。そろそろ鬼ごっこは終わりにしようか?」

「そうだぜ?抵抗しなければあんまりいたい思いしなくて済むぜ?」

「ゲームオーバー♪」

 

いやだ・・・・・・捕まりたくない・・・・・・捕まったら何されるかわかんない・・・・・・だから!

 

「火よ、集まれ、ファ・・・・・・アグ!」

「危ないな~魔法はダメだよ?魔法は」

 

魔法を唱えようとした少女の腹部を蹴り上げ詠唱を中断させる。が、少女は諦めずに詠唱を完成させる。

 

「うっ・・・・・・集まれ、ファイヤ!」

「おっと・・・・・・危ないって、いってんだろう!」

「キャッ!」

 

 なけなしの魔力で放った魔法もあっさりと外れてしまい、再度蹴られてしまう。

あぁ、モウダメだ、このまま連れて行かれる・・・・・・、お母さん・・・・・・と、そんな時に声が聞こえた。どこか懐かしいような、そんな声が。

 

 

 

 

「今日のお天気は~」

「あ?」

「槍、または剣でしょう!」

 

『ドドドドドドス』

 

なにかふざけたような予報が聞こえた瞬間、私を追いかけていた盗賊と私の間に、槍や剣が、まるで壁のように地面に突き刺さっていました。

 

「ハイハイ、そこまで。盗賊さんたちはお帰り願いますよ~」

「あぁ?何邪魔してくれてんだ!てめぇが消えろや!」

「あ~俺を注目するのもいいけれど・・・・・・」

「火よ、集まれ、ファイヤ!」

 

 私は、このチャンスを逃さず、盗賊に向かって魔法を唱えた。

「おぉ!このアマァ!ぶちころ・・・・・・」

 

 でもまた、避けられてしまい私へ攻撃をしようとしていた・・・・・・けど。

 

「ここまでね・・・・・・」

 

 私からの魔法を避けていた間に、男の人は、こっちへ走り、刺さっていた剣を盗賊の首へ押し付けていた。

 

「どうする?」

「くっ・・・・・・退くぞ」

「「ヒィィィ」」

「覚えてやがれ!」

 

 その人は盗賊が逃げたことを確認すると剣を下ろして、とても疲れたようにため息を吐いてからこっちを見た。

 

「あ~大丈夫か?」

「は、はい・・・・・・有難うございます」

 

倒れているので、ちゃんと顔を見ることが出来なかったが、彼に話しかけられたので、頭を上げて彼の顔を見ると・・・・・・

 

「「あ」」

 

どこか、心が騒ぐような、暖かくて、それでいてとても懐かしいような気がした

 

 

 

 

寝るのを邪魔した盗賊共を倒したら少女が倒れていた。大方彼女が追われていたのだろう。なんとなく声をかけた。

 

「あ~大丈夫か?」

「は、はい・・・・・・有難うございます」

 

ただ、安心させようとしただけだった(下心もあったけど)。だけど、顔を見た瞬間、懐かしく、暖かくて、悲しくなった。理由は、わからない。けど、なぜかそう思えた。

 

「あ、あの?」

「あ、あぁ・・・・・・大丈夫か?怪我はしてないか?」

「ハイ、大丈夫です。アッ」

「怪我してんのね?」

「い、いえ大丈夫で、痛ッ!」

「大丈夫じゃないじゃないか・・・・・・」

 

多分痛いであろう場所を突っついてみると案の定ケガを、もしくは打撲で痛めているみたいで、顔をゆがめている。

 

「うぅ・・・・・・酷いです」

「あぁ、すまん。だけどそれで一人で歩けるのか?なんだったら負ぶって手当てできるところまで行くぞ?」

「あ、えーと・・・・・・お願いします」

「ん、素直でよろしい」

 

俺は、少女を負ぶさろうと腰を屈めて、ふと思いついた。

 

「そういえば、なんて名前?俺は、カズキ。カズキ・ナカヤマ」

「あ、ハイ。私は、レイス・ナターリアと言います」

「レイスさんね?どうぞ」

「はい、失礼します」

 

少女、レイスをおぶさり、森を歩いていく。

なんとなく、懐かしい感じがする。なんなんだろう、この感じは。

 

「あの、どこへ向かっているのですか?」

「ん?あぁ、俺の家。一応手当て必要だしな」

「ハイ、有難うございます」

「まぁ、何かの縁だろうし?気にしないでくれ」

「・・・・・・あの?ナカヤマさん?」

「カズキでいいよ。それで、何?」

「あの、剣や槍が降ってきたのって、魔法ですか?」

「ん?あれ?ん~魔法っちゃ魔法か」

「へぇ~どんな魔法なんですか?」

「ただ身体強化の魔法であとは投げただけだね」

「そうだったんですか、あれ?じゃぁ、もしかして、私にもくる可能性はあったんですか?」

 

なんとなく声や体が震えているような感じがする。うん、もうすこし、悪戯しましょう。

 

「あ~確かに強風とか吹けば危なかったかもしれないね」

「・・・・・・・・・・・・ヒッ・・・・・・・・・・・・」

 

なんか悲鳴が聞こえたし、悪戯もここまでにしとくか。

 

「大丈夫だよ、一応武器に風属性の魔法を付与したから、風で揺らぐことなんてないよ」

「ハァ、もぅ驚かさないでください・・・・・・よ?」

「え?ちょっと?大丈夫か!?おい!」

 

突然気を失ったけど、大丈夫か?とりあえず急ごう!彼女に気を配りながら早足で、帰路へと急いだ。

 

「よし、とりあえずこれで大丈夫だろ」

 

無事、素材も回収して森から抜けたら、すぐに家に直行した後は、とりあえず応急措置をした。あとは、彼女が目覚めるのを待つだけ。

 

「う~ん、医者に診てもらうべきか?」

 

そうやって悩んでいると彼女が目を覚ました。起きてすぐは、少しあたりを見回していたが横に俺がいることで目が覚めたようだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ!」

「起きた?とりあえずここは俺の家。安心していいよ」

「あ、ハイ、ありがとうござい・・・・・・」

 

『キュ~ルルル』

 

なんとも可愛い音が彼女のお腹から聞こえた。よく見ると全体的に汚れている。おそらく森を何日も彷徨っていたんだろう。それじゃお腹がすくはずだ。

 

「とりあえず・・・・・・なにか食べる?」

「うぅ、お願いします」

 

 顔を赤くした少女を見てなんとなく頭をなでてから(あれはなでなきゃ人じゃ無い!)、キッチンへ向かう。まずは、何を作ろうか。ちょうど昼食の時間だし、自分の分も作ろうと思う。ただすこし2人分より少し大目に作っておこう。

 

「有難うございます。何から何まで」

「まぁ、あそこで無視したら夢見が悪いと思ったから、それに結構気持ちよく食べてくれたんで、作ったかいがあったよ」

「ドウモスミマセン」

 

再度顔を赤くしていたのでまた頭をなでてしまっていた。う~ん、なにかこうなでたくなる衝動が・・・・・・まぁ、どうにか彼女を助けられたんだし、なおかつ結構可愛い女の子と食事が出来たんだ。頭をなでるくらい許されるでしょ。

 

「あの、お願いがあるのですが・・・・・・」

「ん?なに?」

 

なんだろう?あ、お風呂かな?一応風呂を作ってあるから大丈夫だけど、沸くまで時間掛かるんだよな・・・・・・

 

「少し、水浴びを・・・・・・」

「うん、いいよ、タオルと着替えは・・・・・・俺のでいいのなら貸してあげるからゆっくり入ってきな」

「ありがとうございます」

 

 そういって、彼女をお風呂のある場所に案内して、魔法で湯を沸かして調度いい温度になったこと

を確認したらお風呂を貸してあげた。

 

「服とタオルは、近くにおいて置くから、使ってね」

「ありがとうございます。わざわざお風呂まで」

「女の子なんだから、やっぱ汚れたままだとかわいそうだったからね」

 

 そういって、脱水所からでる。いつまでもいるのはさすがに失礼だし。そして、10分ぐらいしたら少しは顔色が良くなった彼女が、リビングへ顔を出した。

 

「あ、お風呂有難うございます。」

「ん?いいよ。今日は泊まっていくだろ?」

「あ、それなんですが・・・・・・」

 

 なにかすごく言いづらそうにモジモジとしている・・・・・・トイレか?

 

「できれば、私をここに置いてもらえませんか?」

「へ?なんでまた」

「実は、私は見たとおり悪魔ですが、ある理由で一族から追いだれてしまって・・・・・・それで帰るところが無いのです」

 

なるほど、だから森を彷徨っていて、そこを盗賊に襲われたと・・・・・・でも、う~ん・・・・・・さすがになぁ・・・・・・う~ん。悩んでいると彼女がこんなことを言ってくる。

 

「私にできることなら何でもやります!だから、お願いします」

 

 

 

 そこまで頭を下げられたらなぁ・・・・・・家のことをやってくれるメイドさん代わりと思えば・・・・・・いいかな?

 

「う~ん、わかりました。家のこと手伝ってくれるならいいですよ」

「本当ですか!あの、私、なんでもしますので、宜しくお願いします!」

「うん!こちらからもよろしく!」

こうして、家に一人、家族が増えた。さて、なら部屋にでも案内するかな・・・・・・家財道具も増やさないとね

 

 


 
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