No.230396

真・恋姫無双~2人の飛将軍~ 第15話

cavalさん

袁紹軍と反袁紹連合の陳留での決戦は多くの犠牲を伴い終焉を迎えようとしていた・・・

作者)
次回16話7月26日投稿予定

2011-07-24 13:31:47 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:14055   閲覧ユーザー数:11904

第15話 終結

 

陳留東城門付近

 

「はぁ!」

飛龍偃月刀を振り回し、霞は正面の敵兵をなぎ払う。

霞が回りの歩兵と戦ってる間に弓矢部隊が一刀へ狙いをつける。

 

「・・・させない!」

弓矢部隊の真横から恋が突撃して陣形を乱す。

そのまま一気に方天画戟を振るい弓矢部隊を崩壊させる。

 

その恋の背後から複数の兵が襲い掛かる。

「恋!」

霞が飛龍偃月刀を振り落としながらその集団へ飛び込み、なぎ払う。

 

「・・・霞・・・ありがと」

 

「いいってことや。一刀が心配や。速攻で終わらせるで!」

 

「(コクコク)」

恋と霞は敵陣へ突っ込んでいく。一刀1人にも太刀打ちできなかった袁紹軍が2人に敵うはずもなく一気に削り取られていく。前曲を崩壊させた2人が後曲に襲いかかろうとしたときに袁紹軍から銅鑼がなり、撤退していった。

 

その光景を見た恋と霞はいそいで倒れている一刀の元へ駆け寄る。それにあわせる様に城壁から華陀が飛び降りてくる。

 

「ご主人様!」

恋が方天画戟を放り投げて一刀の体を仰向けにすると一刀の体のあちこちに切り傷があり、その傷から出血してるのかどんどん服が真っ赤に染まっていっていた。一刀の呼吸は荒く、たまに咳込むと血を吐いた。

 

「・・・華陀!ご主人様が!」

 

「わかってる!応急処置を行うから呂布は一刀の上着を脱がしてくれ!張遼は陳留から馬と人を!」

 

「わかった!まかせとき!」

霞に指示を出した華陀は懐から金色の鍼を取り出す。その間に恋は一刀の上着を脱がしていくと、多くの傷があらわになった。

 

「出血が多いな、急がないと!我が身、我が鍼と一つなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒・・・病魔覆滅!げ・ん・き・に・なれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

華陀は氣を込めた金鍼を一刀の胸に叩き込み大量の氣を一刀へ送りこむ。

 

「うおおおおおおお!・・・診察・・・完了!」

金鍼の輝きが薄くなると華陀はその場に座り込んだ。一刀の青ざめた顔にすこし赤みがさしていた。恋が一刀の上着を着せると抱きかかえる。

 

「華陀・・・ご主人様を陳留に連れて行く」

 

「ああ、でも体はあちこちが痛んでいるから慎重に」

 

「(コクコク)」

 

「恋!華陀!つれてきたで!」

そこに陳留から霞が数名の兵と馬を連れてきた。しかし恋が一刀を渡すのを拒んだために兵士たちと華陀は恋の武器を抱えて陳留に戻ろうとしたときに、城の反対側から大きな歓声が聞こえた。

 

「なんや!この声は!」

 

「もしかしたら本隊のほうの決着が付いたのかもしれんな・・・」

華陀は自力で立てないのか兵の肩を借りながらつぶやいた。

陳留西側

 

蜂矢の陣を敷く反袁紹連合の突撃を袁紹軍は魚麟の陣を敷き迎撃する。

 

反袁紹軍の先陣には両翼から合流した春蘭、愛紗、鈴々。3人の豪傑を先頭に連合軍は袁紹軍中央へ噛み付いた。

 

数では圧倒的な袁紹軍だったが、武将・練度の差がココにきて現れた。

春蘭、愛紗、鈴々の3人が起点となって袁紹軍の中央を一気に切り裂いていく。

袁紹軍も必死に進撃を止めようとするが、圧倒的な勢いをとめることができず、次々と潰されていく。

 

その状況は麗羽のいる袁紹軍本陣にも伝えられる。

 

「麗羽様!敵突撃の勢い凄まじく進撃止めることできません!」

前曲指揮官が麗羽に報告する。それにあわせて本陣の武官たちが麗羽へ撤退の進言をする。

 

「麗羽様!ここは1回許昌まで撤退いたしましょう!」

 

「麗羽様だけでも先にお逃げください!我々が時間を稼ぎます!」

 

「あなた方・・・」

麗羽は部下である武官たちの意見に感謝をしつつも違う返答をする。

 

「いいえ、私はもう逃げませんわ。」

 

「麗羽様!?」

麗羽の言葉に武官たちは驚愕する。

その様子を見ながらも麗羽は次の言葉をつなぐ。

 

「この戦いに私はすべてをかけて挑み敗北しましたわ。そして敗北した、ということはこれが運命なのですわ。それにここで私が逃げればここまで付いてきてくれた方々、そして犠牲になった方々への裏切りになりますわ。」

 

「しかし!」

 

「それに私も武人ですわ。北郷一刀をこの手で殺せなかったのは心残りですが捕縛され逆賊として処刑される辱めを受けるぐらいならここを死に場所としますわ」

麗羽は傍に立てかけてあった剣を手に取り、立ち上がる。

 

そして本陣から戦場へ麗羽は歩みだしていく。

「麗羽様・・・!」

その様子を見ていた本陣の兵士たちも武器を取り麗羽へ従い戦場へ動く。

 

こうして袁本初、真名、麗羽は最後の戦場へ足を踏み入れる。

 

袁紹軍本陣から銅鑼が鳴り響き袁紹軍の兵士たちは左右に散り、麗羽の道をつくる。

その光景に連合軍も足を止める。麗羽は歩みを止めることなく連合軍の前に姿を現す。

 

「華琳さん!いるのでしょう?!この戦いこれ以上兵士を犠牲にしたくありませんわ。そこで華琳さん、私との一騎打ちで勝敗を決めませんこと?」

 

「なにをいっている!華琳様の手を煩わせることもない!私の大剣の錆にしてくれる!」

春蘭が七星餓狼を構えて前にでようとするが、

 

「春蘭さんいまは下がっていただけます?いまは華琳さん以外興味はないのですの」

 

「なにを!「春蘭!下がりなさい!」か、華琳さま?!」

後曲から状況を聞いた華琳が「絶」をもって現れた。

 

「麗羽、あなたの豹変振りには私も驚いたわ。今回の指揮はあなたが取ってたのかしら?」

 

「ええ、そうですわ。華琳さんからお褒めの言葉をいただけるとは思いませんでしたわ」

麗羽は華琳の言葉を聞きながら腰にさしてある剣を抜き取る。

 

「それで華琳さん?ここに来たということは私の提案に乗るということですの?」

 

「ええ、その覚悟を見せてもらうわ」

華琳も「絶」を構える。

 

「感謝しますわ・・・いきますわよ!」

麗羽は剣を構えて華琳へ走り出す。

 

そして麗羽は上段から振り落とす。その斬撃を華琳は「絶」の刃で受けつつ麗羽の剣を刃で走らせて麗羽の体勢を崩そうとする。しかし麗羽はそれを読んでいたのか力を抜き剣を戻し、今度は横薙ぎに振るう。

 

「ふっ!」

華琳はその斬撃を柄で受ける。華琳は体を回転させて剣を外し、そのままの遠心力で「絶」を振るう。麗羽は後方へ飛ぶがよけ切れなかったのか前の鎧が飛ばされる。すこし顔をゆがめた麗羽だったがすぐに華琳へ切りかかる。そのまま一刀も苦しめた刺突を華琳へ仕掛ける。

連続で突き出される剣を華琳は「絶」の刃をつかって受けるのではなく斬撃をずらすようにする。

しばらく刺突を受け続けていた華琳は一瞬麗羽の腕が震えた瞬間に刺突を避け、「絶」を振り上げ麗羽の剣を真横から叩ききった。そしてその勢いで柄を振り下ろし麗羽の背中に直撃する。

 

「くっ!」

「絶」の攻撃をうけて前に倒れた麗羽の首下に「絶」の刃があった。

 

「あなたの負けよ。麗羽」

麗羽を華琳は見下ろしながら言葉を放つ。

「そうですわね」

麗羽は顔をあげることなく話す

「あなたがそこまで強くなったのには驚いたわ。それは復讐のため?」

 

「そうですわ、北郷一刀をこの手で殺すためだけに多くのものを犠牲にしましたわ」

華琳は黙って麗羽の言葉を聞く。

 

「しかし、もうその我儘もここまでですわ。これ以上私に付いて来てくれた方々を苦しめるのは申し訳ありませんわ。だからこそ、この一騎打ちですべてを決めるつもりだったのですけど、さすがに華琳さんには敵いませんでしたわね。さぁ、私の首を取り、この戦いに決着をつけなさい曹孟徳!」

そしてその言葉を聞いた華琳は「絶」を振り上げ下ろした。

敗れた袁紹軍は許昌を放棄し、本国へ撤退をしていった。後に正式な降伏宣言がなされることになる。

 

長きにわたる決戦が終わったその日の夜、連合の全兵士、武将は陳留に集まり、町をあげての戦勝会が行われた。

 

その様子を陳留城の客室の寝台に一刀は1人座り眺めていた。一刀は華陀の応急処置のおかげで意識は戻ったものの体のあちこちに包帯が巻かれており体がボロボロな一刀は自分だけでは歩くことすらできない状況だった。

 

―――かなりムリしすぎたな・・・体中がいたい・・・

こんな感じでたそがれていると客室の扉が開いた。

 

「恋かい?」

暗闇のなかから一刀に歩み寄ってきたのは恋だった。その両手にはたくさんの料理を持っている。

それはもう山盛りに・・・・

 

―――どうやって扉を開いたんだ?

とか一刀が考えていると恋は寝台横に机を運んできてその上に次々と料理を置いていく。

 

「・・・ご主人様、いっしょに食べる」

 

「おれのために持ってきてくれたのか、ありがとな。恋」

恋にお礼を言いつつ頭を撫でてやると恋はうれしそうに顔を一刀に向けた。

 

この後一刀は次々と恋から勧められる点心などを食べながら久々の恋との2人きりの時間をすごしていった。

 

そしてほとんどの料理を食べ終わると、一刀は侍女を呼び片付けをお願いした。

すると恋はお腹いっぱいになって眠気がきたのか一刀の寝台にもぐりこんできた。

 

一刀は座ったまま、もぐりこんだ恋の頭を撫でてあげる。

「恋、ありがとな。あのとき恋と霞が来なかったら死んでしまってたよ」

 

一刀の感謝の言葉に恋はすこし体を起こした

「・・・ご主人様・・・無茶しちゃだめ」

 

「ごめんな、恋たちが危険だと聞いていても立ってもいられなかったんだ」

 

「ご主人様、もっと自分を大事にする。ご主人様がいなくなったら恋は生きていけない」

恋は一刀の左手を両手で包みながら続ける。

 

「ご主人様が虎牢関で重症を負ったときいて恋たちすごく心配した」

 

「う・・・」

 

「ご主人様のことはみんな好き。怪我したらみんな心配。だからもっと自分を大事にしないとだめ」

恋は目に涙を浮かべながら一刀に話しかける。

 

「ごめんな。恋、心配かけて・・・」

一刀は指で恋の涙を拭いてやり、恋に口付けをした。

そして2人は互いに抱き合うように眠りに付いた。

 

次の日の朝、一刀の様子を見にきた霞にその様子を見られ・・・

 

「なんでさそってくれんかったんやー!」

と朝から騒ぎを起こしたのだった・・・。

 

あとがき

はいどうも、作者です。

テスト勉強やレポートの間に書いていたのですが、一向に文章が進まない!(゚д゚ )

そして今回は展開に非常に悩まされました(´・ω・`)

理由としては・・・

○この話で袁紹戦を終わらせないとこの先の予定してることが一切進まないこと

○覚醒麗羽様をどのようにかっこよく魅せるか

○決着をつけるのであればどのようにつけるべきか

主にこの3つに悩まされました。

 

悩んだあげくに本編のような〆方をしてしまいました。もうちょっと麗羽さんを登場させてもよかったなぁとすこし後悔はしています。

 

今回のお話について

袁紹軍と反袁紹連合の決戦の最後を軸に飾りとして一刀たちを登場させました。

決戦の最後は麗羽さんと華琳様の一騎打ちにしました。そして麗羽さんがどうなったかは描かない予定です。それにともないこれ以降斗詩や猪々子の登場もない予定です。彼女たちがすきな方々には本当に申し訳ございません。

 

次に前回・今回と一切触れなかった官渡、鳥巣に関しては次回冒頭で一刀君から説明という形で本編にかかわる予定です。

 

次回以降ですが、戦後処理と長安での話が主になる予定です。

 

 

追加でアンケートです。

お気に入り登録が150名を超えました。登録してくださった方々本当にありがとうございます。それにともないこのシリーズ1度もやってない拠点フェイズを書こうと考えております。

 

ですのでコメントに拠点フェイズで書いてほしいキャラがありましたら、コメントに残してください。そのコメントで多いキャラから描いていこうと考えております。

 

ではさようなら(´・ω・`)ノシ


 
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