それを見た後の俺の第一声は、「何だこれは!」だった。
ビルが脇を固める大通りに、巨大なオブジェが居座っている。中都市駅前の、いつも沢山の人が行き交うメインストリートなので、歩道を塞ぐオブジェによって、人の流れが滞っている。
人ごみをかき分けて、そのオブジェの前まで来てみる。どうやら、いくつもの木の幹を組み合わせて作ってあるようだ。昨日の帰り道にはなかったから、一晩のうちに出来たのだろう。それにしても邪魔だ、邪魔すぎる。
「みんな気に入ってくれたかなあ、ぼくの作品」
そんな独り言が背後から聞こえてきて、俺は振り返った。茶髪のくしゃくしゃ頭に丸顔、小さな目。何かに似ている。
「あのオブジェを作ったのはお前か。一体何なんだ、あれは」
「ダムさ!」
茶色頭が笑う。かなりの出っ歯だ。そうか、こいつはビーバーに酷似している。
ビーバーは語り出した。
「ぼくは昔から、ダムが大好きだった。ダムの手前で、せき止められた水が渦を巻く様子。あれがたまらなく好きでね。大人になって、ぼくは思った。自分でダムをつくろうと。ただ、普通に水をせき止めるだけじゃ面白くないから、人の流れをせき止めてみたんだ」
俺はため息をついた。
「お前は間違っているよ」
「え、何が?」
「お前が作ったのはダムじゃない、ムダさ」
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お粗末さまでした。