No.220237

第1回なんちゃらかんちゃら

これまで数々の伝説を生みだしてきたゼニガメ。
へぅ( ゚∀゚)o彡°はすでにゼニガメの手を離れTINAMI公用語にまで発展してしまった。
そんなゼニガメの引退作品をどうぞ。

オススメ作品は雛里好きにはたまらない砂のお城さんの作品です。

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2011-06-02 19:39:21 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:9938   閲覧ユーザー数:6915

 

 

 

コンコンと控えめにノックをした後「失礼します」と言って部屋に入るメイド。

 

ここ蜀の成都には君主である北郷一刀のお世話をする侍女が二人いる。

 

そのうちの一人である月は一刀が寝ている寝台へと向かう。

 

「ご主人様、朝ですよ。起きて下さい」

「もう抜けないよ~」

「へぅっ!?」

 

一体どのような夢を見ているのか気になった月であるが、メイドとしての誇りがそんなことをしている場合ではないと気付かせてくれた。

 

ゆさゆさと体を揺すってもなかなか起きる気配はない。

 

「へぅ。こっちは起きてるのにどうしよ~」

 

月が見つめる先はもちろんのこと一刀の股間。

 

はちきれんばかりに膨張した彼の一物。

 

もはや彼の燃料棒はメルトダウン間近である。

 

「ご主人様辛そう……」

 

月が言うご主人様が一体どちらのことを指しているのかは彼女本人しか知りえないことだが、その視線は「早く楽にしてくれ」と訴えかける暴れん棒に注がれていた。

 

季節は夏ということで一刀は下着にシャツ一枚というラフな格好で寝ている。

 

つまるところとても目立っていた。

 

「私は……ご主人様のメイド。……ご主人様が辛そうにしているならなんとかしなきゃ!」

 

誇り高きメイドである彼女はその義務感からなんとかせねばと一刀の下着に手をかけ、そして躊躇せずに取っ払った。

 

「へぅ……。おっきいです」

 

何がとは言わない。

 

「おはよう」と声をかけるかのように反り立つ壁……ではなく暴れん棒。

 

それはまさに水を得た魚、艶本を得た幼女のごとく。

 

月はその燃料棒をメルトダウンさせるべく手を伸ばした。

 

「月~、あの馬鹿はまだ起きない……って、なにやってるのよおおおおおお!」

 

なかなかやってこない親友を心配して部屋に入って来たもう一人のメイドである詠。

 

詠視点では一刀が無理矢理親友に性的御奉仕を強要しているように見えた。

 

「あんたは朝から何やってんだ!」

 

勢いよく宙を舞った詠はそのまま体を捻り、一刀にローリングソバットをお見舞いした。

 

「ぷげらっ!」

 

勢いよく壁にぶつかった一刀は衝撃で目を覚ます。

 

「な、なんだ!? 敵襲か!?」

 

まだ頭が覚醒していないのか状況判断能力に欠ける一刀。

 

寝台の上で荒ぶる下半身を露出させながらキョロキョロする姿はとても一国のトップであるとは言い難い。

 

「な、ななんてモノ月に触らせてるのよ!? っというか早くしまいなさい!」

「あっ、詠じゃん。おはよう」

 

呑気に挨拶をする一刀。

 

「いいからしまえーーーー!」

 

朝から詠の叫び声が城に木霊した。

 

 

 

 

 

 

「ちゃんとパンツは穿いて寝たはずなんだけどなー」

 

朝から詠に説教をいただいた一刀はいつの間にパンツを脱いだのか分からないまま朝議に向かっていた。

 

「それにしても暑いな……」

 

現代っ子である一刀は文明の利器であるエアコンや扇風機に頼りっきりだったので他の者より暑さを感じていた。

 

「朱里に扇いでもらおうかな」

 

指揮を執る時に使用する羽扇をそんなことに使うことになるとは諸葛孔明にも見抜けないであろう。

 

「かき氷、プール、風鈴、ラジオ体操、セックス、花火、スイカ割り。夏っぽい事したいよなー」

 

そして一刀は閃く。

 

「よし、第一回夏っぽい事選手権の開催だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではメンマの輸入制限についてのお話を終わりにします。今日の朝議は以上で終わりますが何かお話がある方はいませんか?」

 

蜀の筆頭軍師である朱里が滞りなく軍議を進め、終局に差し掛かったところで一刀が手をあげる。

 

「はい!」

「では何もないようなので――」

「おい」

「何ですかご主人様?」

「あれ? おかしいよね? 俺王様的な人だよね?」

 

見事にスルーされた一刀。

 

「すみません。またどうでもいい事を発案されるくらいならいっそのこと何もなかったことにしようかと思ってしまいました」

「まるで俺がどうでもいい事しか言わないみたいじゃないか」

「前回は『誰が俺の燃料棒を一番早くメルトダウン鎮火できるか』でしたね」

「あわわ、その前は『誰が寝ている桃香様に一番凄い悪戯ができるか』でしたね」

「ええっ!? まさか起きた時に下着が無くなってたり鼻に豆板醤が塗られてたのってそれのせいなの!?」

 

もはや反逆に近いものである。

 

「優勝は朱里ちゃんが自分の下着を身に付けさせるという悪魔の所業でした」

「雛里ちゃん!? それ内緒って言ったよね!?」

「うう~。あれは一番苦しかったよぉ~」

 

桃香はその時の事を思い出して胸に手を当てる。

 

それを見た数名から殺意の波動が桃香に送られるが効果はないようだ。

 

「こほん。今回は『第一回夏っぽい事選手権』だ」

「そういえば最近暑くなってきたもんねー」

 

桃香も暑さにあまり強くないようだ。

 

「決まりとしては一番夏っぽい事をしてくれた者が優勝だ」

「優勝したらなんかあるのか?」

 

翠の質問に一刀はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに立ち上がった。

 

「俺と閨を共にする権利だ」

 

ざわ…

ざわ…

ざわ…

ざわ…

 

 

 

ざわめきだす乙女達。

 

こう人数が多くては閨を共にする順番が回って来るのが遅いのでこういった機会は逃すことができないのである。

 

「し、仕方ありませんね。ご主人様の願いを叶えるのも臣下の務めですし」

「ふむ。メンマでないのが少々残念ですが主との睦み合いも悪くはないですな」

「へっへっへぅ」

「あらあら、楽しみですわね」

 

皆少なからずやる気が出たようである。

 

「単純なやつらだ」

「何か言ったご主人様?」

「いや、俺はこんなにも愛されていて幸せだなって思ってさ」

 

つい本音が漏れてしまったが誰にも聞かれていなかったようだ。

 

「当たり前だよ。なんていったって私達のご主人様なんだから!」

 

その笑顔がやけに眩しく見える一刀だった。

 

 

 

 

 

そして一週間後。

 

「さて、まずは誰が来るかな?」

 

玉座に座った一刀は誰が来るかなと今か今かと待ちわびていた。

 

そして扉が開き、勢いよく入って来たのは張飛こと鈴々。

 

「お兄ちゃーん!」

「おっ、一番手は鈴々か」

「鈴々が先陣を切るのだ!」

 

自信満々な態度に一刀は期待する。

 

「じゃあ鈴々の夏っぽい事は?」

「これなのだ!」

 

鈴々が取り出したのは肉まんだった。

 

「に、肉まんですか鈴々さん?」

「そうなのだ! 食欲の夏なのだ!」

「…………」

 

一刀は無言で指を鳴らす。

 

「にゃにゃ!? なんなのだこいつらは?」

 

どこからともなく覆面兵士二人が現れ鈴々の腕を掴む。

 

「にゃー!」

 

そしてそのままつまみ出された。

 

「ご苦労」

『はっ』

 

そしてまた消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

次に入って来たのは月であった。

 

「おお月! 今までどこにいたんだ?」

「へぅ。すみません。ちょっと忙しくて」

 

何があったのか気になる一刀。

 

なぜなら月のメイド服が汚れていて、ところどころ穴が開いていたからである。

 

「ま、まあいいや。じゃあ月の夏っぽい事は?」

「へぅ。少々お待ち下さい」

 

月は一旦部屋の外に出てすぐに入って来た。

 

「…………あ、あの月さん?」

「へぅ?」

「そちらの方達はもしかして……」

「はい。夏侯惇さんと夏侯淵さんですけど?」

 

そこには何故かロープで縛られ猿轡を噛まされている夏侯姉妹。

 

月の夏っぽい事は夏侯姉妹だった。

 

「ど、どの辺が夏っぽいんだ?」

「名前です」

 

やっぱりか、と口には出さなかった。

 

「と、とりあえず縄と猿轡をはずしてあげてください」

「へぅ!」

 

月は二人の拘束具をはずした。

 

「北郷これはどういうことだ!?」

「いきなりそこの侍女が現れて我らを拘束してここに連れて来られたんだが……」

 

月はあれから強行軍(単騎)で魏へと向かい二人を拘束したのちまたもや強行軍(捕虜あり)で戻って来たのである。

 

「俺に言われてもな……」

「じゃあ誰のせいなんだ!?」

「華琳様になんと言えばいいのか……」

 

春蘭は犯人探しに、秋蘭は華琳へどのように説明するかで頭が一杯だった。

 

「そんなこと考えるのはうちの筆頭軍師諸葛孔明しかいないだろう」

「なるほど! 孔明斬る!」

「孔明の罠とあれば華琳様も納得していただけそうだな」

 

この時点で朱里の棄権が決まった。

 

二人はここにもう用は無いと言って出て行った。

 

そして月、退場。

 

「へぅ~~~~」

 

 

 

 

<CM>

 

「待て孔明! おとなしく斬られろ!」

「はわわわわわわわわわわわわわ」

 

 

 

 

「次は誰だろうか」

「アニキー!」

 

元気よく入って来たのは猪々子である。

 

両手いっぱいに肉まんをかかえて。

 

「食欲の夏!」

「退場」

「えーーーー!?」

 

有無を言わさず退場。

 

 

 

 

 

 

「もうやめようかな」

 

碌なことがないので一刀は諦め気味だった。

 

「次は私ですかな?」

 

入って来たのは星である。

 

「退場」

「な、なぜですか主っ!?」

 

いきなりの退場宣告で一刀に問い詰める。

 

「だって面倒臭そうなんだもん」

「酷いですぞ主。それではまるで私が厄介事を持ってきてるみたいではありませぬか!」

 

その通りだ、と喉まで出かかっていた。

 

「まあいいや。んで?」

「扱いが悪い気がしますが今回は自信がありますぞ」

 

胸を張る星。

 

「ほう」

「お前達入って来ていいぞ」

 

扉が開き入って来たのは魏の軍師である二人だった。

 

「どこが夏っぽいんだ?」

「主が以前夏と言えば”ふうりん”だなとおっしゃったではないですか」

「言ったかもしれないが……」

「ですから風と稟を連れてきました」

「…………」

 

そのまま無言で指を鳴らす一刀だった。

 

「ま、待ってくだされ! 他にも秘蔵のメン――」

 

退場。

 

「あの~、風達は帰ってよろしいのでしょうか~?」

「我々にも仕事がありますので」

「ん。悪かったな。あいつの馬鹿に付き合ってもらって。ついでに夏侯姉妹も持って帰ってくれるとありがたい」

「なんとあの二人まで」

「華琳様はきっとカンカンなのですよ~」

 

そして二人は帰って行った。

 

 

 

 

 

 

「……ご主人様。……食欲の夏」

「退場」

「……不思議」

 

 

「こ、これが天の国の水着というやつか?」

「普通すぎる残念」

「ちくしょーーーーーーー」

 

 

<CM>

 

「ついに追い詰めたぞ孔明!」

「はわわわわわわわわわわわわわわわ!」

 

 

「結局優勝者はなしか……」

 

ちんきゅー流星拳、手料理、ちんきゅー初号機、孫策無双コンシューマー版、OPフィールド全開など夏に関係ない事のオンパレードだった今大会。

 

「ったく一人寂しく慰めるか今日は」

 

優勝者が居ないということは閨を共にする相手がいないということである。

 

「一人だとテクノブレイクがこえーから嫌なんだよな。でもやめねえけど」

 

一刀が自分の部屋に戻ろうとした時最後の来訪者が現れた。

 

「ごしゅじんさまー!」

「お? 璃々ちゃんどうしたー?」

 

扉からチラリと顔を出す璃々。

 

「えへへー。これって夏っぽいのー?」

 

璃々はスクール水着に浮輪という格好をしていた。

 

「お前がナンバーワンだ」

 

一体白蓮とは何が違ったのであろう。

 

「なんばーわん?」

「ううん。なんでもないよー。璃々ちゃん、今日は一緒に寝ようか?」

「うん! ごしゅじんさまと寝るー!」

 

今晩はテクノブレイクの心配はなさそうだ。

 

 

 

 

 

完。

 

 

 

「は……わ」

 

 
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