No.215992

恋姫†無双~御使いを支える巨人~1

SUUさん

初めまして、色々思いついたので投稿してみようかと。

2011-05-10 04:48:53 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1532   閲覧ユーザー数:1443

 

「…………ん、ん~?」

 

目覚めると、そこは荒野だった。

 

辺りを見回しても、石ころ以外は何も無かった。

いや、遠くに森らしい物も見えるし茂みもあるから、完全に荒野という訳でもなさそうだ。

 

「カザフスタン辺りに似てなくもないが、あんな樹木が生えてるとは思えんしな。

 と言うか、俺って海の上にいたと思うんだが」

 

おかしい、また仲間に悪戯でもされたのかと思ったが、すぐに考えを改めた。

 

(あいつらは、俺の家族は、もう……)

 

ここで俺は周りに落ちている物に気が付いた。

 

「こいつは、おれの物ばかりだ」

 

長年の使用で年季の入ったカバン、唯一弾ける楽器であるアコースティックギター、

師から受け賜った大太刀、いつも着ている上着、等等……

 

とりあえず、カバンに詰め込める物を詰め、上着を羽織り腰に太刀を差した。

 

「本当に何処なんだろう」

 

俺はボソッと呟き、天を仰いだ。

その時、突然後ろから声をかけられた。

 

「よぉ、デカイ兄ちゃん。良いモン持ってるじゃねぇか」

 

声のする方を振り向くと、昔ながらの山賊の様な格好をした3人組が居た。

 

頭に黄色い布を巻き、それぞれチビ・デブ・髭が特徴だ。

 

「ん、俺の事か?」

 

「お前以外、誰もいないだろうがよ」

 

チビの男がそう言うと、3人組はニヤニヤと下品な笑いを浮かべながら近づいてきた。

 

(手に持ってるのは、曲刀か?あまり見ない形だが。)

 

「とりあえず、着てる服と荷物を寄越せば命は取らないでやるよ」

 

髭面の男は曲刀を突きつけてきた。

 

「ア、アニキの言う事を聞くんだなぁ」

 

デブの男が、髭面の男を指差しながら言う。

 

真ん中の奴がリーダー格っぽいな。

 

(……なるほどコイツ等、強盗か。)

 

「随分と舐めた格好してるし、ふざけて強盗しようってのか?

 どれだけ近代化しても、馬鹿は馬鹿のままってか。

 銃でも持ってりゃ、多少は勝機があったろうに」

 

「何を訳の分からねぇ事を言ってやがる!!

 荷物を渡すか、命を渡すかさっさと選べ!!」

 

髭が激昂した。流石に罵倒された事ぐらいは分かるのか。

しかし、実力の違いも分からんみたいだしなぁ。

 

(いきなり刃を向ける様な行儀のなってない奴には、おしおきだな。)

 

「答えは決まった。……ぶっ飛ばす」

 

そう言って、俺は髭の曲刀を蹴り上げ鳩尾に正拳を減り込ませた。

 

虚を突かれ防御もままならなかった髭が呻いていると、チビが斬りかかってきた。

 

「テメェ兄貴を!!」

 

上段からの斬撃をいなし、顔面に膝を叩き込んだ。

 

(こりゃ、鼻を完全に潰したな。)

 

「よ、よくも仲間を~!!」

 

一番の巨体が地を揺らしながら走ってくる。俺は腕を掴み、一本背負いで投げた。

 

(あ~あ、地面が抉れてら。どんだけ重いねん。)

 

「なんでぇ、大した事ねぇな」

 

髭は此方を一瞥すると「チビ・デク!!ずらかるぜ!!」と叫び、髭は仲間を起こし逃げ出した。

チビは鼻血を流しながら、デブは腰を押さえながら、一緒に逃げて行った。

 

「覚えてろぉ~!!」、と捨て台詞も忘れずに。

 

「もう忘れたわい……って、しまった!!」

 

あんなのでも良いから、ここが何処か聞いとくべきだった。

 

(まぁいいか、聞ける奴がいないわけじゃないし。)

 

 

 

「いい加減、出てきてくんない?」

 

俺は茂みに向かって声をかけた。

 

「ほぅ、よく気づきましたなぁ」

 

そう言って茂みから、白い服を着た若い女性が出てきた。

 

「あんだけ視線を感じれば、嫌でも気づくよ」

 

「ふふふ、そうですか。なかなかの腕前をお持ちですな」

 

目の前の女性は、手で口元を隠すように微笑み目を細めた。

 

「それなりに鍛えてるからね。ところで聞きたいんだが、ここどこ?」

 

「ここ……?ここは幽州ですが」

 

何か聞き覚えがあるなぁ。確か昔の中国の地名だったか。

 

…………昔の中国?

 

「もう一つ聞いてもよろしいか?」

 

「何なりと」

 

俺は頭を押さえながら、質問した。

 

「ここは何と言う国なんだ?」

 

「?奇妙な事を仰る、ここは漢ですぞ」

 

漢っていうと三国志の辺りか?

 

……タイムスリップか、タイムスリップなのか!?

 

どうやって帰るんだ!?そもそもどうやって来た!?

 

ああ~と頭を抱えていると、女性が心配そうに声をかけてきた。

 

「もしや、身体の具合でも悪いのですかな?」

 

「いや、健康そのものだよ。ちょっと、事態についていけてないだけで」

 

女性は不思議そうな顔をした。

 

「事態とは?」

 

「気が付いたら、ここにいた。もう何が何だか……」

 

ふむ、と女性は思案顔になり何かを考えていた。

 

5分ぐらい過ぎただろうか、女性はこう切り出した。

 

「もし行く宛が無いのなら、やっかいになっている主の元に来てみないか?」

 

「は?」

 

主の元って、この人は何処かに遣えているのか。

 

「今、やっかいになっている主は大層お人よしでな。影が薄いだ普通だと言われているが、幽州を

 治める太守でもある。我が主の元に来れば情報も集まりやすいと思うのだ。それに人手不足でなぁ」

 

「申し出はありがたいが、こんな何処の馬の骨とも分からん奴を、そんな偉い人に合わせていいのか?」

 

「構わんだろう、特に何かするようには見えんしな。それにさっき賊を退治していたじゃないか。

 あの武を見込んで連れて行こうと誘ったのだ」

 

この人、かなりの武を持ってるからなぁ。一目見た時から分かっていたけど。

 

「そこまで言ってくれるなら、是非とも頼む」

 

「ああ、任されよう。私の姓は趙、名は雲、字は子龍だ。よろしく頼む」

 

今、何て言った。趙雲だって?

 

「……俺の名前は、陸豪 仁義だ。こちらこそ、よろしく頼む」

 

動揺を抑えつつ何とか名前が言えた。

 

(もしかして、ただのタイムスリップじゃないのか?)

 

「姓が陸で名が豪、字が仁義か?」

 

「いや、字ってのは無いから、姓が陸豪で名が仁義だな。その主って人の所で詳しく話させてもらうよ。

 俺自身も、情報を整理しないと話せないし」

 

何かを言おうとした女性、趙雲を制止して、とりあえず城に向かって歩き出した。

 

 

何処の誰かも分からない俺を助けてくれるんだ。今は厚意に甘えよう。

 

この後、城に着き想像を絶する事に驚愕する。

 

 

 

今まで、色々やってきたがここまでの事態は初めてだ。

 

 

 

後書き

 

初めまして、今回から始めてみました。

 

ちょくちょく書いていきますので、よろしくお願いします。

 

 
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