No.211848

真・恋姫無双 ~黒天伝~ #11

cherubさん

第十一話
今回は拠点風に仕上げました。
次回からストーリーに戻るつもりです。

2011-04-15 23:30:23 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1598   閲覧ユーザー数:1488

 

パクパクパクパク。

 

友哉「相変わらず、よく食べるなぁ」

 

恋は一心不乱に点心を食べ続ける。

 

モキュモキュモキュモキュ。

 

もうすでに五皿たいらげているが、恋のペースは落ちる気配を見せない。

 

ねね「恋殿、早く帰って支度しないと明日から遠征ですぞ?」

 

恋「ん、さいご」

 

恋は店の親父におかわりを追加注文する。

 

パクパクモキュモキュ。

 

さらに乗せられていた、三人前はあろうかという点心の山が徐々に小さくなっていく。程なく皿の上には点心が一個だけになる。そこで、恋は手を止めこちらを見つめてくる。

 

ねね「恋殿?」

 

恋「さいご、いっしょにたべる」

 

そう言って恋は点心を三つに分ける。一つをねねの、もうひとつを友哉の皿の上に乗せる。

 

恋「・・・いただきます」

 

もう一度三人で合掌する。恋は相変わらず愛くるしい仕草で点心を頬張る。ねねは感激の表情で点心を頬張る。二人の表情は違えど幸せそうに点心を食べている。

 

恋「・・・おいしい」

 

友哉「そうだね」

 

ねね「恋殿に分けてもらったのです!感謝しやがれなのです!」

 

友哉「そんなに口元を緩ませて言われても・・・」

 

ねね「何か言ったのですかー!」

 

友哉「何でもないですよ(ニコッ)」

 

ねね「///むむむ!」

 

ねね(友哉と恋殿の二方面作戦ですとー!?あんな笑顔は反則なのです!)

 

ねねの顔が真っ赤になる。恋と友哉は顔を見合わせる。

 

恋・友哉「?」

 

ねね「さ、さっさと食べて帰るのです!」

 

点心を食べ終わり店を出る。

 

友哉「さ、帰ろうか」

 

恋「・・・手つなぐ」

 

恋はねねに向かって手を差し出す。

 

友哉「そうだね。どうしますか?」

 

そう微笑んで友哉もねねに手を差し出す。

 

ねね「////し、仕方ないから手をつないでやるのです!」

 

ねねの顔は真っ赤だったが、夕焼けのおかげで友哉は気づいていない。なにもなくても気づくかどうかはわからないが。

 

三人はねねを真ん中にして、手をつないで城へと帰っていく。

 

 

今日は警邏の仕事で一日中街を歩いていた。もう足が棒のようになっている。できるものならすぐにでも寝台に倒れこみたい。しかし城まではまだだいぶある。途中どこかによって少し休もうかと思ったが、今日に限ってどの店も満席だ。

 

友哉「はぁ、今日は全然ついてない・・・」

 

霞「お!?友哉やないか~」

 

不意に呼び止められる。声の主を探していると、酒家の中で霞が大きく手を振っている。もちろん、手には徳利と杯が握られている。隣を見ると莉空もいた。

 

友哉「おお~!神様、仏様、霞様、女神様!」

 

霞「な、何や酔うとんか?」

 

霞の顔が引きつる。莉空もまた顔を引きつらせる。友哉にはその表情の意味が理解できない。あの日の記憶はないらしい。

 

友哉「いえ、酒は飲んでませんけど、もうクタクタで。どっかで休もうと思ってたんですけど、どこもいっぱいで」

 

莉空「それは災難だったな」

 

霞「そこにうちが声をかけたってわけやな?」

 

友哉「そういうことです。お二人は・・・またお酒ですか。もう飲ませないで下さいよ?」

 

霞「そりゃ、なぁ?」

 

霞は莉空に視線を送る。

 

莉空「そうだな!法を守るというのはいいことだ!ハッハッハッハ!」

 

ぎこちなく笑って酒を煽る。二人の前には大量の空いた徳利が並べられている。

 

友哉(チューハイとかとは違うんだぞ?オトーリでもやりだすんじゃないだろうな)

 

普通なら酔っていてもおかしくない、というかこんなにも平気な顔をしている二人が信じられない。友哉はそんな二人を横目にお茶を注文する。

 

霞「そういや、友哉の国ってどんなとこなん?」

 

莉空「それは私も興味があるぞ!」

 

友哉「どんなところって言われましても・・・」

 

霞「軍隊はどんな何や?」

 

友哉「(やっぱりそこか)基本的には空中戦ですかね、詳しくは知りませんけど」

 

莉空「天の人間は空も飛べるのか!?」

 

友哉「そうじゃなくてですね、空を飛ぶ鉄の乗り物があるんですよ」

 

霞「それ速いんか!?」

 

友哉「馬の十倍は速いんじゃないですか?」

 

莉空「そんなになのか・・・」

 

霞「ウチ乗ってみたいわ!」

 

友哉「じゃあ俺の世界に来ないといけませんね」

 

三人で天の世界(現代)について笑いながら話し合う。この後も政治、学問、教育などについて話していく。

 

・・・・・・・・・・

 

突然、霞が真面目な顔で友哉を見つめる。

 

霞「なぁ。友哉は天に帰りたいとか思わんの?」

 

莉空「!?」

 

さすがの莉空もうすうす気づいていた。天から来たのなら、いつかは天に帰ってしまうのではないか?

 

友哉「それは・・・」

 

霞「・・・やっぱり、そうなんか?」

 

莉空「・・・」

 

二人はうつむき、沈黙が流れる。

 

友哉「全く思いませんね!」

 

霞・莉空「!?」

 

今度は驚きの表情に変わる。

 

友哉「帰っても俺の居場所はもうありませんし、こっちに大切なものがたくさんできちゃったんで」

 

霞・莉空「ほんまか(ほんとか)!?」

 

今度は喜びの表情に変わる。

 

友哉「本当です。大切な家族を置いて行ったりしません。もちろん、霞さんも莉空さんも僕の大切な人です(ニコッ)」

 

霞・莉空「///////」

 

傍から見ると友哉の一言一句に二人が百面相をしているようだ。この後も三人は夜が更けるまで飲み続けるのだった。

 

 

早朝。友哉の部屋の前には二人の人影があった。

 

月「友哉さん。おはようございます」

 

友哉の部屋の中に向って呼びかけるが、返事は来ない。

 

月「へぅ~、お返事がないよぅ。まだ起きてないのかなぁ?」

 

詠「どーせあいつのことだから、まだ寝てるんじゃないの?」

 

月「どうしよう、詠ちゃん・・・」

 

詠「どうって。どうせ鍵掛かってないんだから、たたき起こすしかないでしょ。」

 

詠は扉を開けて中に入る。

 

詠「ほらー!朝だぞー!起きろーっ!」

 

寝台の上ではまだ友哉が寝ている。

 

月「友哉さんの髪はいつ見ても綺麗だね、詠ちゃん(ニコッ)」

 

詠「は、反則よ!月も友哉も・・・」

 

最後の方は月には聞こえないように小さな声で呟く。

 

月「どうしたの?」

 

詠「な、なんでもないわよ!それにしても、何で恋はいっつもここで寝てるわけ?」

 

たまらず詠は眉間を押さえる。

 

月「友哉さんのことが大好きなんだよ、きっと」

 

月は寝台の淵に腰掛け友哉の頭を撫でる。

 

詠「なんか最近月って積極的よね」

 

月「へぅ!?そ、そんなことは・・・/////詠ちゃんも最近友哉さんと仲いいよね?」

 

詠「な!?そんな事あるはずないでしょ!こいつがいっつも馬鹿なことばっかいってるから」

 

月「ふふっ」

 

詠「月ぇ~」

 

月「詠ちゃんも素直になろうよ。詠ちゃんも友哉さんのこと好きなんでしょ?」

 

詠「・・・それは、そうだけど」

 

月の手が友哉の額に触れる。友哉が相当汗をかいていることに気づく。

 

月「!?詠ちゃん、友哉さんすごい汗だよ」

 

詠「そういえば、かなり寝苦しそうね。分かったわ。ボクがすぐに手ぬぐいを持ってくるからちょっと待ってて」

 

詠があわてた足取りで部屋を出て行く。

 

 

――その頃――

 

友哉「どこだ、ここは・・・」

 

友哉は真っ暗な闇の中を漂っていった。

 

昨日はきちんと寝台で寝たはずだ。もしかして刺客に殺されたとか!?ないな。洛陽の城の警備は完璧だ。どんな隠密でもばれずに進入することはできない。それにいつも隣で恋が一緒に寝てくれている。やられることはないだろう。

 

友哉「夢、なのか・・・」

 

??「・・・」

 

ふいに声が聞こえる。友哉は自然とそちらに引き寄せられる。

 

??「憎い・・・憎い・・・」

 

声の主は友哉の昔の姿だった。髪も瞳も黒く今よりやや背が低い。そして宙で体操座りをしているような格好だ。しかしその体には鎖が巻きつけられており、その後ろには得体の知れない黒い鬼のような者がたっていた。友哉(?)の純粋な殺気が形を成して具現化している。

 

友哉「君は、俺なのか?」

 

友哉(?)「憎い・・・憎い・・・人間はみんな・・・殺すしかない・・・」

 

友哉の呼びかけには反応しない。ただ同じことを何度も繰り返すだけ。

 

友哉「何がそんなに憎いんだ?」

 

友哉(?)「お前も・・・一緒だ!」

 

友哉(?)が初めて反応を見せる。顔をこちらに向けた瞬間、二人の目が合う。いつの間にか体中を無数の真っ黒な触手に捉まれている。どんどんと友哉(?)の方へと引き寄せられる。周囲の温度が低くなっていくのを感じる。

 

怖い。

 

今までいろんな人の殺気を受けてきたが、ここまで心から恐怖を感じたのは初めてだ。何も抵抗できなくなってしまう。自分という存在が吸収されてしまう。

 

友哉(?)「お前も俺に身を預けたらどうだ?」

 

友哉「いやだ!」

 

ふいに周囲が暖かくなるのを感じる。

 

友哉(?)「また邪魔が入ったか・・・まぁいい。どうせまたすぐにぁぅ・・・・」

 

最後のほうは聞き取れなかった。今度は視界が白んでくる。あまりの眩しさに目を閉じてしまう。

 

しばらくして、目を開けてみると・・・

 

月「あ、友哉さん。おはようございます♪」

 

恋「・・・友哉、おはよう」

 

詠「月ー!手ぬぐいもって・・・なんだ、起きたんだ・・・」

 

自分の部屋に戻っていた。

 

 

何ということだろう!男子校に通い続けて苦節四年。まさか女の子と川遊びができるとは!

 

――回想――

 

友哉「川に?」

 

詠「そうよ!なんか文句あるの!」

 

友哉「それでこんな朝早くから・・・」

 

月「そういうことです」

 

友哉「わかりました。すぐに準備するので待っててください」

 

――速攻終了――

 

月「どうでしょうか?」

 

月は水色のワンピース型の水着を着ている。月の愛くるしさとはベストマッチだ!

 

友哉「可愛いですよ」

 

月「へぅ/////ありがとうございます」

 

月は頬を赤らめもじもじしている。そこへ遅れて詠がやってくる。

 

詠「何でボクがこんな奴に水着姿を見せなきゃいけないのよ!」

 

詠はライトグリーンのビキニ型の水着を着ている。スタイルもいいため出るところはでていて、引っ込むところは引っ込んでいる。

 

友哉「似合ってるよ、詠」

 

詠「/////あんたに言われたって嬉しくないんだから」

 

それにしても、ほんとに作っちゃうんだもんな。石油からポリエステルとか作るっていっただけなのに、油から糸を作っちゃうなんて・・・

 

月「今日はいっぱい遊びましょうね♪」

 

??「ちょーっと待ったー!」

 

??「全く。我々をのけ者にするとは・・・」

 

突然森の中から、これまたナイスな水着姿の霞と莉空が出てきた。

 

二人は色違いの水着を着ていて、ビキニ型の水着に腰布を巻いている。霞が青、莉空がオレンジ色だ。まさしく大人の魅力全開!

 

友哉「眼福眼福」

 

合掌。

 

莉空「何をやってるんだ?」

 

友哉「二人とも可愛いなと思いまして」

 

霞・莉空「//////」

 

??「ちーんーきゅーうー」

 

友哉「甘い!」

 

ねね「キーック!」

 

友哉「ぐはっ!」

 

ねねの超必殺技・ちんきゅうキックは友哉の予想とは違う方向から飛んできた。クソッ!ねねのやつ腕を上げたな?

 

詠「ねね!?ってことは」

 

恋「・・・恋も、いる」

 

ねねは月と同じワンピース型。色はピンク色だ。恋は上は普段と同じデザインのもの、下は白と黒のホットパンツ型の水着を着ている。さすが最強美少女!破壊力抜群だ!

 

霞「今日は遠征やないんか?」

 

ねね「あんな奴ら朝飯前なのです!」

 

莉空「まぁ、恋ならありえるか」

 

いやいや。移動時間とか考えようよ・・・

 

ピチャ

 

水が飛んできた。

 

月「もう。何やってるんですか?早くしないと暗くなっちゃいますよ?」

 

霞「お?月やりおったな?うりゃ」

 

莉空「霞!何をどさくさに紛れ・・うあっ!こら、ねねまでっ!こうなったら、おりゃ」

 

ねね「これも策のうちなのです!」

 

詠「ひゃ!ちょっと何するのよ!」

 

恋「・・・」ゴオオオオオ!

 

友哉「・・・恋さん?」

 

霞「飛将軍のお出ましや!」

 

・・・・・・

 

こうして一同は日が暮れるまで遊び続けた。

 

 

袁紹「董卓さん。あ~んな田舎者のくせに、許せませんわ!この名門袁家にたてついたらどうなるか、この袁・本・初が思い知らせて差し上げますわ!オーッホッホッホッホ!」

 

つづく

 


 
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