No.210890

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第五話

獅子丸さん

第五話

待ちに待っ・・・・・てないかもしれないけど一刀の武とその武器の話です。

それでは生温い目でお読みいただけると幸いです。

2011-04-09 21:28:03 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:27720   閲覧ユーザー数:21371

 

 

 

― 孫策Side ―

 

 

 

 

あの男がここに着てからもう直ぐ一月になる。

母様のあの発言もあって、あの男は孫家の客として逗留している。

勝手に街へと降りて民と話しているのを何度か見かけた。

冥琳が念のため密かに付けている細作からの報告によると怪しいところは無く、

むしろ民とかなり打ち解けているらしい。

母様は何かに付けてあの男に構っているし祭にしても巌夫妻にしてもあの男と良く一緒にいるのを見かける。

私はというと何故かあの男に近づくことが出来ない。

あの男に対して私の勘もまったくと言っていいほど反応しない。

だからかもしれない。

あの男には私の勘が通用しない。

害があるのか害がないのかそれすらもわからない。

それが怖いのかもしれない。

 

 

「らしくないわね・・・・・・」

 

 

それにしても母様は何故あそこまであの男に構うのかまったくわからない。

娘の私にさえあんな顔を見せたことはなかったのに。

私と話す事といえば孫家の現状、この先の事、妹達の状況。

私の前では江東の虎と呼ばれた孫堅文台を崩すことはない。

なのにあの男の前ではそうじゃない。

私には見せたことのない顔であの男と話し、そして笑う。

私はそれが気に食わない。

命を救われたからといってあそこまで人が変わるもの?

母様のそんな姿を見ると、私の胸の中に真っ黒な靄がかかったようになる。

今までこんなことはなかった。

だから余計に癇に障る。

 

 

「せっかくのお酒なのに・・・・・・まったく美味しくないわ」

 

「ほう、それじゃもう飲むのをやめたらいいだろう?」

 

「あちゃー・・・・・・・」

 

 

やばい、見つかった。

あれは・・・・相当怒ってる顔ね・・・・・。

仕方がない大人しく政務に戻りますか・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

― 周瑜Side ―

 

 

 

 

「・・・・・・まったく」

 

 

あの男が来てからと言うもの雪蓮の機嫌が悪くて仕方がない。

まぁ、原因はある程度わかっているがこればっかりは私が言っても聞きはしないだろう。

どうしてああも素直じゃないのだろう。

 

 

「さすが親子・・・・と言ったところか」

 

 

如何にかしたいが珍しく雪蓮が己の感情に振り回されているのが可笑しくて仕方ない自分がいる。

あの男がこの孫家にもたらした物はとてつもなく大きい物だ。

死したと思われていた美蓮様が生きて戻り、それを成したのは『天の御使い』と呼ばれる男。

これだけでも民にとってはとんでもないことなのだから。

かの江東の虎を危機から救いだしたのが『天の御使い』なのだ。

民にとっては正に語り継がれる伝説のような出来事だろう。

自身の住む地の英雄を天が救ったのだ。

このことは孫家にとって途轍もなく大きな力となる。

天の御使いが孫家の英雄を助けたことで孫家は天の加護を得たと各地に広まるだろうから。

そして美蓮様はその血を孫家に入れようと提案された。

真意の程は私にはわからない。

だがこの事に関しても大きな力になるのだ。

 

 

『天の血を入れる』

 

 

孫家と天の御遣いの血が混ざる。

子々孫々、孫家は天に守護された一族になることを意味する。

これは今直ぐ効果があるわけではないが後々途轍もない力となり得る物だ。

流石は美蓮様と言うところか。

やはりあの人は大きな器を持っていると実感させられる。

その話を聞いた時は流石の私も驚いたがよくよく考えてみると理にかなったものだと気づかされた。

あの時はそんな事よりも雪蓮の狼狽振りのほうに気がいってしまっていたが。

 

 

「ふふ、雪蓮もやはり人の子と言うことか」

 

 

私としてはあの男に色々聞きたいことがあるのだがあんな雪蓮の手前それも出来ずにいる。

私があの男に興味があると言えば確実に今より機嫌が悪くなるだろうからな。

美蓮様の話によると本当に天の国から来たらしい。

どこまで真実なのかはわからないが美蓮様が嘘を見抜けないはずは無いだろう。

だから信憑性は高い。

だからこそ色々話を聞きたいと思っている。

天の国とはどんな所なのか、どんな制度があり民はどのように暮らしているのか、

国のあり方はどうなのか、どのような軍略、政策があるのか。

聞きたいことは山ほどある。

あの男がどんな人間なのかも興味があるしな・・・・・・。

 

 

「はぁ・・・・・・それを聞くにはあれを如何にかしないといけないな」

 

 

執務室にいなかった雪蓮は中庭の木の上でいつもの様に酒を飲みながら不機嫌な顔をしていた。

さて、雪蓮にはしっかりと政務をしてもらわなければな。

その間に現状を看破する作でも考えるとするか。

 

 

 

 

 

 

― 祖茂Side ―

 

 

 

 

「探したぞ一刀!!」

 

「ん? 巌さん街まで降りてきてどうしたの?」

 

 

儂は一刀を探して街まで降りてきた。

とうとう一刀の武器が出来たと知らせが来て居ても立ってもいられなくなったからだ。

 

 

「鍛冶屋の店主から使いが来てな、武器が出来上がったらしいぞ!!」

 

「お~、本当に出来たんだ! もっとかかると思ってたんだけどなぁ」

 

 

そういう一刀の顔はなにやら興奮を隠せないように見えた。

やはり一刀もいっぱしの男と言うことだな。

美蓮殿から聞いてはいたが恐らくもう大丈夫だろう。

それに男だ!

自分の為に作られた武器に憧れを持たないはずはない!!

 

 

「ずいぶんと嬉しそうじゃな」

 

「そりゃね、なんだかんだ言っても俺も男だし」

 

 

ほらな?

 

 

「儂も自分の武器を作った時はそりゃ興奮したもんじゃ!」

 

「あ、やっぱり? 何でか燃えるんだよな!!」

 

「まったくじゃ!! ほれ一刀、さっさと受け取りに行くぞい!!」

 

「何で巌さんがそんなに興奮してるんだよ・・・・・」

 

 

そりゃ、祭から聞いた話が気になるからじゃて!

祭は自分の目で確かめればよいといって詳細は教えてくれなんだが、

今までに見たことがないと言っていたからの。

一刀がどの様な武器を仕立てそれをどう使いこなすかまったくもって想像つかんのじゃから。

それを知りたくて気持ちが逸るのは武人としては当たり前のことじゃ!!

 

「主人おるか!! 孫家の御使いが武器を受け取りに来たぞい!!」

 

「・・・・・・・・っはは・・・・巌さん興奮しすぎだって」

 

「相変わらず騒がしい御仁じゃのぉ。よう来なすった北郷殿。完成しとるぞい、最高の出来のものが。ほれ、ここに」

 

「・・・・・・なんか緊張するな」

 

 

儂も何故か緊張してきたわい・・・・・・。

店主はそういいながら裏から大事そうにそれを抱えてくる。

それを台に置き包んであった布を丁寧にはがしていった。

 

 

「おぉ!! ・・・・・・すごい、俺が注文した通りだ」

 

「もちろんじゃ。流石に梃子摺ったが出来は保障するぞい。素材も北郷殿の言う通り折れにくく尚且つしなりがあるものを使っておる。

刃の部分は自分で鍛錬用に刃を潰した物に取りかえれるようにしといたぞい。取り回しについては北郷殿の考案じゃし問題ないじゃろう。

さて、細かい部分の説明と行くかのぉ、ここはこう扱うと外れるようになっておる・・・・・・」

 

 

なんじゃこれは・・・・・・。

確かにこんなもんは見たことない。

これを一刀は使いこなせると言うたのか。

もしこれをうまく使いこなせるとなるとわしが考えていたよりも高い武を持っているのかもしれん。

いかん、武人の血が騒ぐ。

しかし、美蓮殿から聞いた話大分違うのぉ。

はこれをどう取り回すのか想像付かん。

聞いてみるか・・・・・・・いや、止めて置こう。

手合わせするまでの楽しみにするべきじゃな!

 

 

「・・・・・・となるわけじゃ。わかったかの?」

 

「大丈夫です!! 想像以上の出来だ・・・・・・これだともっと色んな取り回しが出来そう。本当にありがとうございました!!」

 

「こちらこそじゃて。未知の武器を作らせてもらったからのぉ。これをどう使うのか興味あるから少し見せてもらって言いかの?」

 

「はい!!」

 

「ありがとよ。それじゃ裏に行くとするかのぉ。ん?祖茂殿は来ぬのか?」

 

「むぅ・・・・・見たい!!見たいが今は遠慮しとく・・・・・・手合わせの時の楽しみが減るからの!!」

 

「ははは。それじゃ直ぐ戻って来るから」

 

「うむ、行ってこい!!」

 

 

むうううううう。

もったいないことしたか・・・・・・・。

いや・・・・・・しかし・・・・・・・・だめだ!!我慢だ!!

そう儂が悶えていると二人が戻ってくる。

 

 

「いやはや、すごいものを見せてもらったわい」

 

「はは、たいした物じゃないですよ」

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「って、何悶えてんの巌さん?」

 

「ほっほっほ、北郷殿、祖茂殿は気になって仕方ないんじゃよ。

ほれ、祖茂殿一つだけ教えてやろうて」

 

「た、頼む!!」

 

「そうじゃの、言葉で表すなら『流麗にして不動』かのぉ。武に関しては儂もそれなりに見る目はあるはずじゃ。

儂から見ても北郷殿はかなりの腕をもっとる」

 

 

や、やはりか!!

これは漲って来たぞ!!

久々に心躍る相手と剣を交えることが出来る!!

この店主が言うのだから間違いないはずじゃ!!

 

 

『流麗にして不動』

 

 

この言葉が表す武を早く己の身で感じてみたいわい!!

 

 

「店主よ、かたじけない!!儂は早くて合わせをしたいんじゃ!!ほれ、一刀もどるぞい!!」

 

「っちょ、巌さん!! あ、店主さん、本当にありがとうございました!!」

 

「良い良い。何かあったらまた来るとええ。それじゃまたのぉ」

 

 

さぁ、戻ったら直ぐ手合わせじゃ!!

くぅぅぅぅぅぅ!心が躍るのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

― 孫堅Side ―

 

 

 

 

巌が物凄い勢いで私のところに来た。

今から一刀と手合わせをする。

それが用件。

 

 

「まったく相変わらずねあの男は」

 

 

よほど一刀の武が気になるのでしょう。

私の、あの記憶では一刀はかなりの武を持っていた。

それに、あの祖茂があそこまで目を輝かせているのだからそれは間違いではないのだとわかる。

他の人間にも声をかけて私は中庭にたどり着く。

そこには城で働く武官文官が集まっていた。

そして庭の中央に二人はいた。

 

 

「・・・・・・・・・あの武器はいったい」

 

「堅殿も来られたか」

 

「祭、あれが一刀の武器なの?」

 

「そうじゃ、儂も聞いた時はかなり驚いたものじゃて」

 

 

一刀の持っていた武器は私が思っていた物とはまったく異なるものだった。

私の記憶から一刀は剣の使い手だと思っていた。

だけど今一刀の手の中にあるものは全く別のものだ。

身の丈以上の長さ。

傍目には槍の様であり長刀の様である。

しかし其れだけではない。

その柄は妙に歪んでおり上端と下端にかけて弦が付いているのだ。

例えるなら我等が知る物よりはるかに大きな弓。

その上端には三日月に似た刃が横から出ており下端には錘のようなものが付いている。

長刀の様で弓、弓の様で長刀。

それが一刀の持つ武器。

 

 

「よし、問題なさそうかな。巌さん待たせたね」

 

 

そう言いながら一刀は弦を弾く。

 

 

「準備は良いか一刀?」

 

「もちろん。・・・・・・・いざ尋常に」

 

「「勝負!!」」

 

 

始まった。

お互いに様子見なようだ。

祖茂は我が孫呉の老将、その実力はかなり高いものだ。

周囲は妙な緊張と静寂に包まれていた。

そんななか祖茂が動いた・・・・・・・はずだった。

 

 

「ほぉ・・・・・・」

 

 

祭が感嘆の声を上げる。

一瞬の出来事。

動こうとした祖茂の足元に矢が刺さっている。

それも2本。

それを避けた祖茂の着地する場所にまた2本刺さる。

地に足を付ける前にその場所に矢が刺さるのだ。

その所為で祖茂は距離をとらざるを得なくなる。

 

 

「これは驚いたのぉ・・・・・・・まさかあんな芸当が出来ようとは」

 

「・・・・・・そうね。祭、お前もできる?」

 

「出来ぬ事はないがあそこまで正確に続けて撃つのは難しいのぉ」

 

 

孫呉一の弓の使い手である祭ですら難しいと言うことを一刀は涼しい顔で遣って退けていると言う事か。

 

 

「がっはっは!! まさかこれ程までとは!!じゃがそれも、もう続かんじゃろう?矢が尽きたじゃろうて」

 

「だね。だけど、まだまだ終わりじゃないよ」

 

 

二人の間の地面には至る所に矢が刺さっている。

その矢は巌が通った道筋を正確になぞっているのだ。

周囲のものは感心せざるを得ないだろう。

呉の重鎮を弓矢のみで此処まで翻弄したのだから。

それだけでも驚きなのだ、しかし一刀はまだまだと言い放つ。

今まで構えていた弓を横にし弦を上段だけ外した。

そのまま弓とは全く異なる構えを見せた。

槍術とも長刀術とも見える構え。

 

 

「む・・・・・・」

 

「さぁ巌さん、どこからでもどうぞ」

 

「よく言った一刀!!・・・では、遠慮なくいかせて貰うぞい!!」

 

 

巌は二刀の使い手。

その実力は接近戦で物を言う。

さて、そんな巌の攻撃をどう捌くか・・・・・・・。

しかし、その考えは裏切られることになった。

 

 

「っぬぅ!?」

 

「「「「「っな!?」」」」」

 

 

周囲から驚嘆の声が響く。

攻撃したはずの巌が後方へと弾かれた。

一瞬のこと。

並みの武官なら見えなかっただろう。

巌の攻撃を防いだと同時に一刀の攻撃が巌に直撃したのだ。

一瞬。

防ぐと同時の攻撃。

 

 

「何じゃあれは・・・・・・。美蓮よ、北郷はとんでもない男かもしれんぞ・・・・・・」

 

「そうね、まさか此処までとは思ってもみなかったわ・・・・・・・」

 

 

目の前の立会いは続いている。

もう半刻近く経つだろう。

巌の攻撃は防がれるたびに自らの身に返っている。

そんな中、今までの一刀の動きを見て一つ気づいたことがある。

一刀はその場所から一歩も動いていないのだ。

ただその場で構えているだけ。

巌もそのことに気づいたのか今は距離をとっている。

 

 

「どうした一刀!! 何故攻めてこんのじゃ!?」

 

「え~と、今更言うのはなんだけど・・・・・・・俺の身に着けた武術、

って言うよりも今のこの型は恥ずかしながら自分から攻撃する術はないんだ・・・・・」

 

「なんじゃと!?」

 

「本当はあるのかもしれない。けど俺は師からそれを教えてもらってないんだよ。

だから俺の自分から行う攻撃の手段は弓だけなんだ。なんとなく言える空気じゃなくて・・・・・・・」

 

 

そう言いながら一刀は周囲を見回している。

私は唖然とした。

なんと言う偏った武を持っているのか。

 

 

「あはははははは、一刀、お前は本当に面白い男ね!!」

 

「美蓮さん、そこまで笑わなくていいんじゃない?」

 

「むぅ、それでは決着がつかんじゃないか!!」

 

「んだね・・・・・でもこの状態の俺はどうしようもないんだって。これは守りの型であって攻めの型はあくまで弓なんだから。

そりゃ、この型のまま攻めることは出来るけど、確実に巌さんに勝てないと思う」

 

 

そう言いながら一刀は笑って、巌はなんとも言えない愉快な顔をしている。

守りの型。

言いえて妙だ、そう思った。

攻撃してきた者に対してのみその強靭な牙を奮う。

一刀らしいのではないか、そう思ってしまう。

あの武器はその二通りの型を使い分ける為にあの様な形状をしているのだと理解できた。

攻めの為の弓、守りの為の長刀らしき物。

ん?・・・・・祭め、何かやらかすつもりね。

横で祭が気配を消してすばやく動いた。

 

 

「っちょ!! 祭さん!! 急に撃ってくるなんて危ないじゃないか!!」

 

 

祭が急に一刀に向けて矢を放った。

しかしそれは一刀の武器により弾き落とされる。

 

 

「・・・・・すまんの。ついな・・・・・・。しかし、死角からの矢すら弾くとは」

 

「祭よ、何故儂の邪魔をするんじゃ・・・・・・だが、まぁ今回はここまでにするか。お互い手詰まりのようだしのぉ」

 

「いや、すまんな巌。どうしても試しておきたくてのぉ・・・・・・北郷、お主その武術の名はなんと言う?どう言う武術なんじゃ?」

 

「巌さん、ありがとうございました。・・・・俺の武術の名前は『北郷流薙弓(けいきゅう)術』だよ。北郷家の先祖から伝わった物らしい。

どういう武術かって簡単に説明すると、薙刀術と弓術に分けられる」

 

 

一刀の先祖が創った武術・・・・・。

確かにこの大陸では見たことのない型だ。

 

 

「弓術はわかるが、薙刀術とはなんじゃ?」

 

「あ、そうか、この国には薙刀は存在しないんだっけか。薙刀って言う武器があるんだけど見た目は長刀に近いかな。

この武器を見てもらえればわかる・・・・・かな?

これは『弭槍(はずやり)』って言う弓の上端に本当は槍の穂先を付けた物なんだけど、この武器は俺の使う薙刀術にあわせて薙刀に仕立ててもらってる。

一般的なものは槍の穂先を緩やかな弧を描いた刀に変えた物だって思ってもらえればいいよ。

俺の武器は刃が柄に対して横から出てるけどそういった様式の薙刀なんだ。

薙刀術って言うのはこの大陸に似たようなものがあるのかは知らないけど簡単に言うと柄の上端と下端を用いて戦うんだ。

どんな物かはみてもらえば早いかも」

 

 

そう言って一刀は構えて武器を振るう。

上端が後ろに行くと下端が前に来る、逆もまた然り。

一刀はゆっくりとそれを繰り返す。

上下左右すべての方向でそれが行われる。

そして徐々に武器を振るう速度が速くなっていく。

その武器の軌道は一刀とその周囲を隔絶するような円を描いている。

円というのは違うかも知れない。

正しくは『球』だ。

その軌道は上下左右前後そのすべてを一刀はその武器で円を描く。

 

 

「・・・・・・・店主が言った言葉の意味が良くわかったわ。

『流麗にして不動』

がっはっは!!正しくその通りじゃて!!美蓮殿、とんでもない男に救われたのぉ!!」

 

「えぇ、本当に・・・・・・」

 

「はっはっは、凄いのか凄くないのかよくわからんのぉ。一刀、次は儂と弓で勝負じゃ!!」

 

「祭さんまで・・・・・・・今日は勘弁してください」

 

「何じゃ、情けないのぉ。因みに一刀、弓はどこまで狙えるのじゃ?」

 

「此処からだとあの城壁の上の兵くらいまでなら当たる・・・・・・・かな?」

 

「なんじゃと!?これはうかうかしておれんのぉ・・・・・・」

 

 

ふふ、祭まであのような目をして・・・・・・。

それにしても一刀には驚かされたわ。

巌の言う通り私はとんでもない人間に救われた。

一刀になら私に代わって私の夢を任せられるかも知れない。

私の右腕はもう剣を握ることが出来ないから。

一刀には業を背負わせてしまうことになる。

だから強制することは出来ない。

だけど、呉を民を、そしてあの子達を・・・・・・・。

そう思いながら興味が無い振りをして一刀を見ている娘に目を向ける。

全く素直じゃないんだから。

気になって仕方がないくせに自分は興味がないような振りをして・・・・・。

 

 

「・・・・・・素直じゃないのは私も、か」

 

 

私はそう呟きながら視線を中庭で騒ぐ者達へと戻した。

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

数日振りです獅子丸です。

今話はいろんなキャラの視点から御送りしました。

キャラの一人称?視点はやっぱり難しいですね。

三人称?で書けばいいんだろうけど作者的には三人称の方が難しくて・・・・・・。

書く時はそのキャラになりきったつもりで書いているキモイ作者ですが今後も見捨てずに

お読みいただけると嬉しいですw

 

さて、一刀の武器のことから書きますか。

 

どういうものかわかっていただけたでしょうか?

色んなコメントを頂きましたが作者的にあまりにメジャーな武器はどうかと思いましてw

ドマイナーなところから攻めてみましたb

最初に考えた設定からも日本刀などの攻めの武器は使わせたくなかったので色々悩みぬいた結果

『弭槍(はずやり)』を改良したものということになっています。

弭槍とは弓の上端に槍の穂先が付いているもので矢が切れた時又は接近戦時に槍として使える弓を指します。

一刀の使うものは作中で拙い文章で一応解説してます。

弭槍の穂先を薙刀の刃に変えたものですが、薙刀にも様式が色々あり通常の薙刀とは少し違うものとなっています。

一刀が注文したものは、筑紫薙刀の意図を取り入れておりどちらかと言うと洋式の斧であるバルディッシュに似た刃の取り付け洋式となっています。ですので柄から直接刃が出ているのではなく柄の上端に刃の峰に付いているリングを通して柄の横に刃が来るようになっています。

文字で説明することが難しいので詳しく知りたければググって画像を見ていただいたほうが早いかも知れませんw

 

次に、コメントでずばり疑問を突きつけられました。

『なぜ祖父じゃなくて祖母なのか。』

それは、一刀が使う武術が薙刀と弓術だからです。

呼んでいただけると解る通り一刀の使う武術は戦国時代に考案されたという設定になっています。

 

現代日本において弓術は男女の区別は無いですが、薙刀は源平時代以降は槍の有用性のお陰で戦で使われることが少なくなり特に戦国時代に入ってからは僧侶や非力な女性が身に着ける武術という方向へと移行していったようです。

現代日本でも薙刀は女性の武術という風潮が見られると思います。

 

そういった歴史の背景から北郷流薙弓(けいきゅう)術は戦国時代の女性のために考案された武術という設定となっており、現代においてそれを継承したのが一刀の祖母というわけです。

それを祖母から叩き込まれた一刀ですが作中に書いた通り祖母から教えられた薙刀術は守りに徹した物だけとしました。

わざと教えなかったのか、教える前に亡くなったのかその辺は祖母のみぞ知ることです(ぁ

 

弓術に関してですが徹底的に教え込まれたようで腕はかなりのものとなっています。

ですが何分武器が武器であり日本の弓が長大なことも相まって取り回しに難があるので恋姫の武将相手では決定打となりえない設定となっています。

弓使い同士なら一刀にも分があるかもしれませんw

薙刀術に関しては上でも書きましたが防御に徹底した物となっており攻撃してきたものに対してのみ反撃できるという設定となっています。原理は後々作中で明かしたいと思います。

 

 

さて、長々とした後書きになってしまいましたが今回はこの辺でw

 

それでは毎度の一言

 

次回も生温い目でお読みいただけると幸いです。

 


 
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