真・恋姫†無双～赤龍伝～第45話「見舞い」

赤斗「んんっ」

懐かしい天井が目を覚ました赤斗の目に入る。

赤斗「ここは僕の部屋か？」

思春「そうだ」

ビクっ

予想だにしなかった声に赤斗は驚く。

赤斗「思春っ！？」

思春「やっと目が覚めたか」

思春は不機嫌そうだった。

赤斗「……何しているのかな？」

思春「私がここにいる事が不満か？」

赤斗「いや、そうじゃなくて、何で僕は寝てたんだ？」

思春「……私との立ち合いが始まるや否や、熱を出して倒れたんだ」

赤斗「熱？」

思春「過労だ。二、三日は動かぬことだ」

赤斗「そうなんだ。……何だか身体がだるいなぁーとは思っていたけど、熱があったんだ。はははは……」

思春「笑いごとかっ！ もし流行り病で、蓮華様たちにうつっていたらどうするつもりだっ！」

赤斗「うっ、ごめん。そうだよね。……みんなに会えると思って浮かれてたよ。……本当にごめん」

思春「……ふんっ」

赤斗「あっ、そうだ。思春！」

思春「何だ！」

赤斗「え、えーと、ごめん」

思春「だから何がだっ！」

赤斗「立ち合うって言ったのに、こんな事になって……。治ったらちゃんと立ち合うよ。早く疑いを晴らしたいしね」

思春「ふんっ。その事ならもういい」

赤斗「もういいって？」

思春「自分が熱を出している事に気がつかずに倒れるような馬鹿を、あの曹操が刺客として使うはずがないからな」

赤斗「はは……、馬鹿ですいません」

自嘲気味に赤斗は笑う。

赤斗「それにしても思春」

思春「まだ何かあるのか？」

赤斗「看病してくれて、ありがとう」

思春「な、何をいきなり……」

赤斗「だって、思春が僕のこと、看病してくれていたんだろ？ 思春は優しいから」

思春「／／／／／／」

思春は顔を赤く染めた。

思春「わ、私は……ただ、蓮華様たちの手を煩わせないようにだなっ！」

赤斗「そうなの？」

思春「そうだっ！」

思春は力いっぱい叫んだ。

その時、扉が開かれた。

火蓮「何をそんなに大声を出しているんだ？」

思春「火蓮さまっ！」

赤斗「火蓮さん」

部屋に入ってきたのは、火蓮と肉まんを食べている恋だった。

恋「モグモグ……赤斗。大丈夫？」

赤斗「恋。ああ、もう大丈夫だよ。心配かけたね。それと……」

赤斗は視線を恋から火蓮に移した。

火蓮「ひさしぶりだな赤斗。帰ってきてくれて嬉しいぞ♪」

赤斗「火蓮さん…………本当におひさしぶりです。無事で何よりです」

火蓮「華佗から聞いたぞ。お前の応急手当のおかげで私は助かったらしい。礼を言うぞ」

赤斗「そんな……お礼だなんて」

くいくい

火蓮「何だ、恋？」

火蓮の服を恋が引っ張ってきた。

恋「火蓮。……肉まん、無くなった」

火蓮「おお、そうか。……ほれ」

火蓮は新しい肉まんを恋に手渡した。

赤斗「いつの間に、二人とも仲良くなったの？」

火蓮「部屋の前で腹を空かせていたから、肉まんをやっただけなんだが、妙に食べいる姿が可愛くてな。ついつい、見舞いの肉まんをどんどんとやってしまった」

赤斗（……餌付け）

赤斗「それで、真名まで許したと……」

火蓮「そうだ♪」

正直、恋を呉まで連れてきて良かったのか不安だった赤斗だったが、火蓮と恋二人の様子を見て安心した。

小蓮「あー、お母様ッ！ ずるいっ！！」

赤斗「シャオ」

小蓮が元気な声と共に部屋に入ってきた。

火蓮「おお、来たかシャオ♪」

小蓮「お母様！ 一人だけ抜け駆けするなんて、ずるーい！ 赤斗が治るまで待つって決めたでしょう！」

火蓮に小蓮が詰め寄る。

蓮華「そういうお前も、私に隠れて抜け駆けしようとしたな」

部屋の入り口から蓮華が小蓮に言った。

小蓮「あっ……お…お姉ちゃん。……えーと、それは」

赤斗「……蓮華」

蓮華「もう大丈夫なのか？」

赤斗「うん……」

蓮華「そうか、……良かった。こ、これは見舞いだ」

蓮華はそう言って赤斗に袋を手渡した。

赤斗「ん？ ……温かい」

赤斗は袋の中身を確認した。

赤斗「……肉まん？」

蓮華「以前に、お前や亞莎と一緒に街に出かけた時、肉まんを食べたいと言っていただろ……。だから、買ってきた」

赤斗は蓮華と亞莎と一緒に、亞莎の眼鏡を買いにいった後の事を思い出す。確かに、あれから三人で街を見て回り肉まんを食べた事を思い出す。

結局、黄巾の残党の人質事件のせいで、その時の肉まんの味など覚えていなかった。

その後も肉まんを食べに行ったが、色々あって食べる事ができなかった。

反董卓連合に参加する前にも肉まんを食べようとしたが、火蓮に横取りされて食べる事ができなかった。

赤斗「ありがとう蓮華。それと………、ただいま」

蓮華「おかえり。赤斗」

つづく

～あとがき～

呂です。読んでくださって、ありがとうございます。

真・恋姫†無双～赤龍伝～に出てくるオリジナルキャラクターの紹介

オリジナルキャラクター①『風見赤斗』

姓　：風見（かざみ）

名　：赤斗(せきと)

字　：なし

真名：なし

武器：花天と月影……二振りの日本刀（小太刀）。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。

本編主人公の少年。

身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。

放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。

その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。

死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。

古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。

無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。

奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。

奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。

好きなもの：肉まん

能力値：統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4

オリジナルキャラクター②『孫堅』

姓　：孫

名　：堅

字　：文台

真名：火蓮(かれん)

武器：南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。

孫策（雪蓮）たちの母親。

身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。

血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。

孫尚香（小蓮）には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。

この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。

好きなもの：娘たち（特に小蓮♪）と酒

能力値：統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5

オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』

姓　：諸葛

名　：瑾

字　：子瑜

真名：藍里（あいり）

武器：風切羽（かざきりばね）……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾（藍里）の実力が低いので、あまり役に立っていない。

諸葛亮（朱里）の姉。

諸葛亮（朱里）とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。

温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。

一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。

政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮（朱里）には僅かに及ばない。

能力値：統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4

オリジナルキャラクター④『太史慈』

姓　：太史

名　：慈

字　：子義

真名：嶺上(りんしゃん)

武器：雷電（らいでん）……二本の小型の戟。

非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。

孫策（雪蓮）と一騎打ちして引き分けたことがある。

それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。

孫尚香（小蓮）や諸葛瑾（藍里）と仲が良く、孫尚香（小蓮）の護衛役をしている事が多い。

弓の名手でもあり、その腕は百発百中。

能力値：統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3

オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』

姓　：司馬

名　：懿

字　：仲達

真名：不明

武器：不明

黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。

曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。

色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。

今は、魏から姿を消している。

能力値：統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?

オリジナルキャラクター⑥『玄武（げんぶ）』

姓　：不明

名　：不明

字　：不明

真名：不明

武器：魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。

司馬懿の部下。

普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。

しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。

鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。

虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。

能力値：統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2

オリジナルキャラクター⑦『鴉（からす）』

姓　：不明

名　：不明

字　：不明

真名：不明

武器：爆閃（ばくせん）……司馬懿から受け取った回転式拳銃。

司馬懿の部下。

性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。

司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。

寿春城では、孫堅（火蓮）を暗殺しようとした。

能力値：統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3

オリジナルキャラクター⑧『氷雨（ひさめ）』

姓　：不明

名　：不明

字　：不明

真名：不明

武器：氷影（ひえい）……氷のように透き通った刃を持つ槍。

司馬懿の部下。

青い忍者服を着た長い白髪の女。

背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。

洛陽で董卓（月）と賈駆（詠）を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧（思春）に妨害される。

官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。

能力値：統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3

オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』

姓　：宮本（みやもと）

名　：虎徹（こてつ）

字　：なし

真名：なし

武器：虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。

赤斗の古武術の師匠。

年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。

赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。

最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。

赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ！』が口癖で、その実力は呂布（恋）以上。

能力値：統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?

※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。