No.207288

真・恋姫†無双 ~死んでも俺は叫び続ける~ EPISODE 03『張飛』

futureさん

第三話です。
コメント等への返信は、時間があるときに一斉に行わさせて頂きます。決して無視をしているわけではありません。

作品に対するコメントなど、お待ちしております!!

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2011-03-20 23:06:48 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:3290   閲覧ユーザー数:2722

 

あの村での事件から数日。

 

賊は撃退したものの、村は壊滅。僅かに生き残った人々は新天地を求めて旅立った。

 

無論、俺もその内の一人に含まれる。直ぐにこの村から離れなければならなかった。

 

理由は幾つかある。その内の一つとしては、撃退した野党が仲間を引き連れて報復しに来る事だ。物資補給も侭ならないこの環境では、これ以上戦うことは出来ないだろう。(そもそも俺は武器すら所持していない)

 

そして、最大の理由としては、食糧が無いことだ。

いや、有る事には有るのだが(黒●物産 元祖芋けんぴ 一袋)如何せん量が足りない。以って一ヵ月半という所だろう。

 

ちなみに天使は俺と共に野党を撃退してくれたのだが、既に公孫瓚とかいう人の下へ旅立ってしまった。

・・・・・・・そういや、名前を聞かなかったな。ま、いいか。

 

そんな訳で、俺は食糧を求める旅に出た。

 

 

 

 

一刀「・・・・・いい天気だな」

 

青空の下、田んぼ道を歩きながら、一人呟く。

 

一刀「この数日間で知った事・・・・現代なら日記に書くほどの事なんだけどな。ペンだけじゃ何も出来ないや」

 

この世界で知ったこと。それは俺の常識を、根底から覆すほどの物だった。

 

まず一つ。ここは大陸で、しかも三国時代の中国という事だ。

 

一刀「今この国を治めているのは漢・・・・しかも帝は霊帝。まだ黄巾党あたりだろうな」

 

原理は全く分からんが、俺はタイムスリップを果たしたようだ。三国時代の中国に。

何度も夢じゃないかと思ったが、生憎肉体的ダメージは顕在だ。怪我すりゃ痛いしな。

 

一刀「そして二つ目」

 

三国時代の英雄達・・・・それらが全員――――とは言い切れないが、女子化していたのだ。

 

天使が仕えに言ったという公孫瓚――――彼女のことは旅をしている途中でいくらか聞いたが、総合的に纏めると、得に際立った才能は無い女君主という事だ。

 

そして三国志の真の主人公と言われる曹操。彼もまた、覇王という名の女の子という設定になっている。(美少女好きという点は変わっていないようだが)

 

他にも孫策(孫堅は亡くなっているらしい)や袁紹、董卓など、数々の英雄の名前を聞いたが、全てにおいて“性別は女”と言う点が共通していた。

 

一刀「俺は『武将が女体化した三国志』への願望でもあったのか・・・・? まったく記憶に無いんだが」

 

まぁいずれ順応していけるだろう。こんな所で順応性を高めていいのかは知らないけど。

 

 

 

 

目的先の村で腹ごしらえをし、再び外をぶらつく。

あ、ちなみに金はあったりする。といっても働かずに略奪したが。

 

一刀「ってこれじゃ賊と変わらないじゃんか・・・違う違う」

 

正確には、

 

『賊が民から略奪』→『賊が略奪したものを俺が略奪』

 

と言う訳である。勿論、略奪されたものはちゃんと民に返す。その感謝の気持ちとして金や食糧を貰うわけである。

 

一刀「まぁ腹も膨れたし。次の村へ行きますかな」

 

村人「ひっ!! 出たあああああ!!」

 

一刀「っ!? 賊か―――――――あぁっ!?」

 

目の前を鶏が飛んで行った・・・?

 

一刀「っておい、何だあの土煙は・・・」

 

??「へへーん!! どけどけどけー!!」

 

目を凝らして見てみると、正面から豚に乗っている少女がこちらに向かって突っ込んできていた。

 

一刀「また大きい武器を振り回して・・・・元気なこった」

 

鈴々?「鈴々山賊団のお通りなのだー!!」

 

一刀「は? 山賊?」

 

あんな小さい子供が? それに付き従うように子供たちが付いてきてるけど・・・・精々五・六人ってとこだろ?

 

一刀「このままじゃぶつかるな・・・・避けますか――――――――――!!??」

 

子供達を避ける。そこまでは良かった。だが、そこで気づいてしまった。

先程の鶏に驚いたせいで、芋けんぴを道に落としてしまった事に。そしてその落下地点を、たった今子供たちが走り抜けて行った事に。

 

一刀「あ・・・あぁ・・・・嘘・・・だろ・・・?」

 

膝をつき、手をつき、現状を確認する。

しかしその先には、残酷な現実しか待ち受けていなかった。

 

一刀「砕け散っちまった・・・俺の・・・・芋けんぴ・・・」

 

何度確認しても、あるのは砕け散った芋けんぴのみ。

 

俺の人生は再び暗闇に閉ざされた。

 

 

 

 

『『『運命を呪った――――――――――』』』

 

 

 

 

                                     To Be Continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――違う。

 

 

 

 

 

 

 

一刀「――――――いや、違う。まだ、終わりなんかじゃあ、無い」

 

ヨロヨロと立ち上がる俺。その瞳は憎しみに燃えていた。

 

一刀「よろしい・・・ならば戦争だ。復讐と言う名の・・・・戦争だ」

 

村人A「あ・・・アンタ。大丈夫かい? 目が真っ赤だけど・・・」

 

一刀「オイ貴様ぁ!!」

 

村人A「ヒィッ!? は、はい!! 何で御座いましょうか!?」

 

一刀「さっきの山賊共の住処は何処だ!! 言え!! 知らなくても言え!! むしろ言え!!」

 

村人A「え、あ、その、ハイ!? や、山の上ですが何か問題でも!?」

 

一刀「大アリだ!! 特に貴様のその顔が気に入らん!! その言動も!! 全てが一々気に食わん!!」

 

村人A「嘘だああああああああああああああああ!!!! この大陸一の美少年とまで言われたこの俺があああああああああああああああああああああああ!?」

 

村人B「そもそも何の話だよ・・・・」

 

という訳で、俺は山の頂目指して走り出した。

 

 

 

 

一刀「道が二つに分かれてるな・・・・」

 

山の入り口なう。さっそく道が分かれているのだが・・・・・

 

一刀「左だな。右はなんとなく気に入らん」

 

てな訳で左に進む。

 

一刀「山頂までどのくらいあるのかな・・・・日が暮れるまでに着いてくれると有難いけど・・・」

 

そんな暢気なことを呟いていると、頭上から石が飛んできた。

 

子供A「ここからは鈴々山賊団の縄張りだ! 役人の手先はとっとと帰れ!!」

 

一刀「さっきの子供か。スルーで」

 

無視してさっさと先を行く。俺は頭領に用があるんだよ。

 

子供A「あ、こら待て!! おやびんの所に行くな!!」

 

無視されながらもなお石を投げ続ける少年。まぁ当たりはしないが。

 

一刀「若干目障りだな――――――――フッ!!」

 

子供A「ぎゃふっ!!」

 

蹴り返した石を顔面に喰らい、木の上から転落する少年。

一応安否を確かめてから、先に行く。気絶してるようなので、追いかけては来ないだろう。

 

 

 

 

一刀「落とし穴か? またチャチな・・・」

 

山の中腹なう。ともかく今度は目の前に、明らかすぎる落とし穴が仕掛けてあった。

 

一刀「さて・・・どうせまたさっきの子供みたいなのが居るんだろ・・・・」

 

案の定。草の陰から子供たちが出てくる。

 

子供B「やーいブース!!」

 

子供C「ブース!!」

 

子供D「へんたーい!!」

 

子供E「たねうまー!!」

 

一刀「な!?」

 

変態とは何だ変態とは!! 僕は変態という名の紳s(ry

そもそも何で子供が“種馬”なんてワードを知っているんだよ!!

 

一刀「くそっ。頭にくるな・・・・ちょいと懲らしめてやるか?」

 

だが目の前には落とし穴。当然ジャンプするのが妥当な策だが・・・・・

 

一刀「どーせこの落とし穴がフェイクで、この先に本物の落とし穴があるんだろ・・・最初の挑発の時点で見え見えだぜ」

 

言ってやると、顔面を蒼白にする子供たち。

 

一刀「うわ・・・マジかよ。適当だったんだが・・・・・」

 

子供B「ど、ど、どうするのよ!? もうばれてるわよ!?」

 

子供C「折角苦労して作ったのに・・・」

 

子供D「ってアレ!? あの男の人もう居ないわよ!?」

 

子供E「居ないわよー?」

 

一刀「騒がれると厄介なんでな。おやすみっと」

 

子供たちが慌てふためいている間に、俺は後ろに回りこんで首に手を当てた。

気絶させたのを確認してから、再び先へと進み始める。

 

 

 

 

山頂なう。

 

目の前に聳え立つ岩の上に、一人の少女が武器を持って仁王立ちしていた。

 

一刀「お前が鈴々とかいう奴か?」

 

鈴々?「むっ。鈴々は真名なのだ!! 真名は親しいどうしが呼び合う名前だから、お前に呼ばれる筋合いは無いのだ!!」

 

一刀「真名? あぁ。あのよく分からんやつか。じゃあ改めて聞く!! お前の名前は何だ!!」

 

張飛「我が名は張飛!! 字は翼徳!! 寝た子も泣き出す鈴々山賊団の――――――おやびんなのだ!!」

 

一刀「張飛・・・!? あの蜀の五虎将のか? えらいロリっ娘に変換されたもんだな・・・」

 

俺の中のイメージが一瞬にして砕け散りましたよ。ハイ。

 

一刀「まぁいい。お前の手下は全部倒してきたぞ。次はお前だ」

 

張飛「!?」

 

突然崖から飛び降りてくる張飛。って凄いな。身軽すぎるだろ・・・・・。

 

張飛「鈴々の友達に何するのだ!!」

 

一刀「友達? 知らないね。俺は俺の復讐を果たすだけだ!!」

 

胸ポケットからボールペン(二本)を取り出し、構える。

 

張飛「む、そんな装備で大丈夫なのかー?」

 

一刀「大丈夫だ、問題ない」

 

勝った暁には、一番良い芋けんぴを頼む。

 

一刀「いっくぜえええええええええええっ!!」

 

張飛「来い! なのだー!!」

 

 

 

 

あぁ、やっぱり駄目だったよ。俺は話を聞かないからな。

 

一刀「腐っても張飛ってか・・・そもそも間合いに入れねぇ・・・・」

 

『だって、ボールペンだもの。  一刀』

 

一刀「洒落てる場合じゃねえな・・・・よっと」

 

張飛「うりゃりゃりゃりゃー!!!!!!」

 

なおも蛇矛を振り回し続ける張飛。当たることは無いが、それはこちらも同じことだった。

 

一刀「くっそ・・・・何でこれだけの力がありながら・・・」

 

 

 

お前は山賊なんかやってるんだよ。張飛。

 

 

 

一刀「何でだよ・・・・・」

 

張飛「んにゃ?」

 

一刀「何でお前はそれだけの力がありながら、山賊ごっこなんかやってるんだよ!!」

 

張飛「――――!?」

 

自分でもよく分からない感情が。今の自分を突き動かし始めた。

 

一刀「俺は難しいことは良く分からんけどな!! 今のこの大陸の情勢を見れば大体分かる!! 戦に巻き込まれて! 罪も無い人々が傷ついていく!! そんな世の中を見てお前はどう思う!?」

 

張飛「う・・・五月蝿いのだー!!!」

 

再び蛇矛を構え、こちらへと突っ込んでくる張飛。だが、その動きには先程までの気迫は無く、簡単に間合いに入れるものだった。

 

俺は手を伸ばし、張飛の胸倉を掴む。そのまま顔を近づけて、叫び続ける。

 

一刀「お前はこの世界を変えていけるだけの力を持っているんだよ張飛!! どうしてそれが分からない!!」

 

張飛「う・・・五月蝿い・・・のだ・・・・難しいことはよく分からない・・・のだ・・・」

 

先程までの元気は無く、そこには、ただ悲しげに言の葉を吐く少女が居た。

 

一刀「俺は小さい頃家族というもの失った!! 父の身勝手で母は死に!! 俺と琴音は路頭に迷った!! 世界を呪った!! 何も出来ない自分を!! ただ只管に非力な俺を!!」

 

張飛「う・・うぅ・・・」

 

一刀「どうしてだ張飛!! お前にはそれだけの力がある!! こんな所でただ山賊やって・・・・・・っ!! お前の人生はそんなもんでいいのかよ!?」

 

張飛「・・・・・・鈴々は」

 

何かを呟き始める張飛。その目には涙が浮かべられていた。

 

張飛「鈴々は・・・ちっちゃい頃にお父さんとお母さんを殺されて・・・・ただ・・・ただ寂しくてっ・・・!! でもっ・・・!! どうして良いのか分かんなくて・・・っ!!」

 

一刀「・・・・そうか」

 

胸倉を解き、静かにその少女を静かに抱きしめてやる。

 

一刀「少しずつ変えていけばいい。だから・・・明日からは頑張っていけば良いさ」

 

張飛「う・・・うぅ・・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーー!!!!」

 

 

既に太陽は沈みかけ、夕陽が俺たちを照らしていた。

 

ただ聞こえるのは、一人の少女の泣き声のみ。

 

 

 

 

 

                                     TO BE CONTINUED

 

 

 

 

あとがき

 

 

青鬼最新版をクリアしました。とても怖かったです。(future)

 

さて・・・このぐらいしか書くことがありません。芋けんぴ美味しいです。

 

あとがきって必要性あるんですかね? だったら書くなよって話なんですが、なんか書かないと「終わったー!!」って感じがしないので。芋けんぴ美味しいです。

 

ちなみに今回の話は第一話の前日の話。愛紗と鈴々が初めて会う日の前日です。

この後鈴々と愛紗は仲間になって、一緒に旅をする訳です。え? 一刀はって? ・・・・さあ?

 

ちなみに鈴々ルートなんかには入りません。無論、他の娘達も同じです。

 

それではまた、次の作品で会いましょう。芋けんぴ美味しいです。(大事なことなので三回言いました)

 


 
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