No.202713

真・恋姫無双~妄想してみた・改~第四十三話

よしお。さん

第四十三話をお送りします。

―周喩の記憶の覚醒―

開幕

2011-02-20 20:50:44 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4799   閲覧ユーザー数:3686

 

「なん……なのだ……これ……っはっ!!!」

 

頭をかち割るような頭痛。

押し寄せてくる波のように流れてくる“記憶”。

“それ”には、雪蓮と死別した記憶や、大事な男を愛した記憶。残った者に後を任せて、自らが病に倒れた記憶……。

 

そして――業火に焼かれる記憶があった。

 

 

 

暫く経って、ようやく頭痛が治まり、知らずのうちに流していた涙も、気付いたら止まっていた。

同時に、自らの頭脳をフルに使って記憶を整理する。

 

(私は……雪蓮亡きあと、蓮華さまに仕えていた……)

 

しかし、蓮華さまの保守的な姿勢に、天下を獲ることに執着していた私は反乱を起こした……。

雪蓮たちの母であり、江東の虎と称されていた孫文台様と、江東の小覇王と呼ばれた我が親友、孫策の死。

英傑達の死により、求心力の弱まった呉を掌握するのは簡単だった。

 

蓮華さまが“北郷”にいようが関係ない。

雪蓮の目指した夢のためならば、目の前に立ちはだかる障害として処理しよう。

……そうして私は呉の本隊を引き連れて北郷を攻めた。しかし……そこで待っていたのは初めて味わった敗北であった。

 

 

 

我が悲願は達成されず。

世に未練を失くした私は、自身を……炎で焼いた。

“火計”を得意としていたこの周公瑾が自ら火で果てるとは、なんたる皮肉か。

思わず嘲笑してしまう。

 

(そういえば、あの時も小喬と大喬を利用していたな……)

 

 

 

その記憶の私は、あの男に対してひたすら脅威を抱き、同時に嫌悪していた。

その男が、最も天下に近かったからだ。

目の前に立ちはだかる強大な敵として立ちはだかるであろうことが、容易に考えられたからだ。

だが、私がどんな計略を使おうとも、奴は揺らがなかった。

それどころか、私の知略の一歩も二歩も先んじて手を打ってきた。

そこには北郷の誇る軍師、“諸葛亮孔明”が、自身の主のために持てる知略の全てを発揮していたのだろう。

 

(……北郷……か……)

 

かつて、大敵であった者を思い浮かべながら、

その次の記憶を回想した。

 

 

 

 

 

 

雪蓮と祭殿が北郷を拾ってきた。

最初こそは妖の者と疑いはしたが、遥か未来から来たということが、本人の釈明と証拠品により分かった。

北郷の行く当てがないということで、孫呉の為に働くという条件で衣食住を提供した。

それからの北郷は、こちらが何も言わずとも積極的に勉学に励み、それまではまともに出来なかった字の読み書きが、瞬く間に一端(いっぱし)の文官水準にまでなった。

それは天の世界で培ってきた教養―“学校”と呼ばれる私塾みたいな施設だそうだ―が実を結んだのだろう。私や穏が教えることを、それこそ砂に水が染み込んでいくように吸収していった。

そうして北郷は、軍師として成長していった。後に合流することとなる亞莎とともに……。

 

ある時、雪蓮と共に北郷と一個小隊を連れて、近くの村の賊退治に出かけたことがあった。

賊に一切の慈悲もかけずに、笑いながら首を狩りとっていく雪蓮のその姿は、我々孫呉にとっては見慣れたものだ。

だが、北郷は違う。

 

北郷は、戦争がない国で生まれたんだそうだ。

もちろん、目の前で首が飛んでいく光景も見たことがないだろうし、

血が噴水のように舞うところなど見たことがないだろう。

 

それでも、北郷は、震える膝を叩きながら、その光景を目に焼き付けていた。

口から吐き出してしまいそうなモノを必死に飲み込んだ。

手をぎゅっと固く閉じて、そこから血が流れてきても耐えた。

命乞いをする賊の首を、笑いながら刎ね飛ばす雪蓮を恐れないように、自分に言い聞かせていた。

 

気付けば、賊は一人残らず壊滅していた。あとは戦後処理を行うだけのところで、雪蓮が北郷の元に向かっていった。

倒れないように、両足に力を入れて、立っているのがやっとの北郷の目の前で止まり、雪蓮が一言二言話すと、

北郷が何も言わないことをいいことに、手を引いて村の近くに設置された自らの天幕へと直行していった。

 

雪蓮には、血に酔うと凶暴化すると共に、性欲が格段に高まってしまうという厄介な性質があった。

戦の終わったあとには私や穏で処理していたのだが……。

 

―ズキッ

 

……この胸の痛みは、雪蓮が北郷を選んだことによる嫉妬なのか。それとも――。

 

 

 

夜が明けて、天幕から腕を組んで仲良く出てきた二人の表情を見ると、すっきりとしたような、さっぱりとしたような顔であった。

北郷は雪蓮の全てを受け止めることができたのだろうし、雪蓮も自分のあるがままの姿を北郷に見せることができたのだろう。

幸せそうな雪蓮と、腕を組んでいることが恥ずかしいのか、苦笑いを受けべている北郷。

そんな二人を見てからというもの、彼を見る目が変わった。

 

今までは、雪蓮たちよりも一歩引いて北郷と接してきたが、それからは北郷と積極的に外出することが多くなっていた。

それと同時に、私の知らない北郷を知ることができた。

街に雪蓮と共に出かけ、民に親身になって相談に乗ってやったり、子どもたちと遊んでいたという話も聞いた。

こうして北郷と歩くたびに、民から声を掛けられていることからも、民の北郷に対する信頼の度合いがうかがい知れるというものだ。

 

 

 

 

 

 

「御遣いさま~」

 

暫く歩いていると、北郷のそばに子どもたちが集まってきていた。

 

「ははは、どうしたんだ?」

「遊んで、遊んで~」

 

きゃいきゃいと騒ぎ始める子どもたちに、北郷は苦笑い。

私に目線を向けて、『助けてくれ、冥琳』と訴えかけてくれているのは理解できていたが、

あえて彼から目線を外すことでそれを無視した。

また視線を戻すと、そこには肩をがっくしと落としながらも、すぐそばにいた子どもたちの頭を順番に撫でていた。

 

(子ども……か)

 

ゆっくりと考えたことがなかった。

私も女だ。いずれは伴侶を得て、子を為すだろう。

ちら、と笑顔で子どもと接する男を見やる。

 

(本当に、楽しそうだな)

 

きっと、北郷が父親ならば、良い親になるだろうと思う。

北郷のように優しく、人に好かれて。

……そしてあわよくば、私に似ていてくれれば。

 

 

 

「ははは……ん、冥琳? どうしたんだ?」

 

む、じっと見過ぎていたか。北郷が若干居づらくしているな。

 

「なんでもない。それよりも、もう子どもたちの相手はいいのか?」

「ああ、これから家に帰ってご飯を食べるみたい。……そうだ、俺たちも飯を食べにいかないか?」

「うむ、そうしよう。……その前に、寄りたいところがあるんだが、付き合ってくれるか?」

 

返事を待たずに、さり気なく彼の手をきゅっ、と握る。

顔を見ていないから表情までは分からんが、北郷のことだ。

 

(きっと顔を赤くしているのだろうな。私のように……)

 

城の者たちに見られないように、早足で本屋に向かった。

 

 

 

「子どもの本?」

「ああ。将来のために学んでおこうと思ってな」

 

手に取ったのは、育児のための本。

そこには子どものあやし方などが載っていた。

 

「へぇ~。冥琳も子どもに興味あったんだね」

「……意外か?」

「あ、あはは……でも、いいよな、子ども」

「ふふ……望まずとも、たくさんの子どもに恵まれるだろう」

 

雪蓮が言っていた“天の御遣いの胤”を残すという話。

北郷を拾い、妖の類の者ではないことが分かり、玉座の間で宣言した言葉。

始めこそは、あの蓮華さまでさえ拒んでいたが、今では皆、北郷に抱かれ、愛し愛される関係となっていた。

――そう、私を除いて。

 

「望まないなんて有り得ないよ。俺は、好きな人との間に、元気な子どもが欲しいしさ」

「……ああ、北郷なら大丈夫だろうな。だが、子育てなど私の柄では―」

「冥琳」

「? なん―」

 

―ちゅっ

 

大きく目を見開いた。

初めての異性との口付け。

しかも、場所が本屋という少々開けた場所だ。

動揺してしまうのも無理はないだろう。

誰かに見られてしまう前に、北郷から離れようと、背中をどん、どん、と叩くがびくともしない。

 

(く……誰かに見られてしまうではないかっ)

 

「冥琳」

「っぷぁ、北郷、貴様―」

「俺は冥琳のことが好きだ」

「んなっ!?」

 

唐突な告白。顔が赤く染まっていくのが分かる。

 

「な、なな、何をばかな―」

「冥琳の子どもはきっと、君に似てこのしっとりとなめらかな黒髪を持っているんだ。冥琳に似て、知的で……綺麗で」

「ぅ……」

 

は、恥ずかしいことを……!

反論したいが、あまりの恥ずかしさに呻くことしか出来ない。

赤面するようなことを言いながら、私の髪を撫でる。

 

「……さ、先ほども言ったが……こんな戦時中の中では、とてもじゃないが―」

「なら、平和になったらさ」

 

頬に手を添えて、私の目をじっと見つめる。

不覚にも胸が高鳴っていた。

 

「俺の子どもを産んでほしい」

 

 

 

 

……。

 

 

…………。

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

「~~~~~っ! ヘンなことまで思いだしてしまった……」

 

恥ずかしさのあまり、寝台の上でゴロゴロと転がる。

その日の夜、彼の部屋に行き、彼とようやく結ばれたことを思い出した。

思いだしていただけのはずが、熱を持ってしまった顔に手のひらを当てる。

 

(…………北郷…………)

 

 

 

 

 

「周喩さま」

「っ! な、なんだ」

 

近衛兵が閉まっている扉の前で私に声をかける。

恐らく、雪蓮たちが玉座に集まったことを知らせに来てくれたのだろう。

 

「はっ。孫策さまが玉座の間にてお待ちしております」

「御苦労、今向かう。お前は任に戻れ」

「御意っ」

 

こつこつ、と足音が遠ざかっていくのを耳で感じてから、寝台から離れる。

 

 

 

(ふ……雪蓮がどういう顔をするのか、楽しみだな)

 

 

悶えたせいで乱れてしまった身だしなみを整えて、雪蓮たちが待つ玉座の間に向かった。

 

 

 

 

 

 

「どうしたの? 冥琳。話があるって聞いたんだけど」

 

玉座には既に雪蓮が座っていた。

恐らく軍議かなんかと思っているのだろうが……。

 

「ああ。雪蓮、お前は一個小隊でもいいから北郷のいる平原に軍を送りたいと言っていたな?」

「……ええ、あなたに煙たがれるほどにね。でもあなたは話を聞いてくれていなかったじゃない」

 

若干拗ねているようだな……。まぁ無理もないか。

あまりにもしつこかったから、煙たがっていたのは事実だしな。

 

「いいだろう。一個小隊といわずに全軍を連れていこう。北郷のいる平原に、な」

「「「!?」」」

 

周りを見渡すと、主な諸将や文官たちが驚きのあまり目を見開いている。

雪蓮も例外ではない。が、雪蓮の場合は半分疑いの眼差しだ。

 

「……とかいって、一刀を攻めるつもりなんじゃないの?」

「どう取るかはお前次第だ。……だが、愛した者の子どもも宿さずに死ぬのはもうたくさんだ」

「冥琳……あなた、記憶が……」

「ああ。……それで雪蓮よ、どうするのだ?」

「決まってるじゃない♪ 今すぐ全軍を引き連れて一刀の元に向かうわよ♪」

「よかったですねぇ♪ 雪蓮さま~」

 

穏も嬉しそうにしているな。

……ようやく最愛の人に再会できるのだから当然か。

 

「ではぁ、平原へ早馬を届けましょ~。攻め入られたと勘違いしてしまいますからね~」

「そうだな。早馬は今日飛ばして、明日にはここを出るぞ」

「急すぎない?」

「早く逢いたいんだろう。やせ我慢するな」

「えへへ、バレたか。……でもそう言う冥琳だって、早く逢いたいって顔に書いてあるわよ?」

「っ! ば、ばかなことを言っていないで、明日に備えておきなさい!」

「きゃー♪ 冥琳が怒ったー♪」

 

 

 

待っていてくれ、北郷。我が愛する夫よ。

 

 

 

◆          ◆           ◆

 

 

 

「ふむ……美周朗も記憶を取り戻しましたか……」

 

雪蓮たちのいる城の上空で浮かぶ、道士風の女がいた。

 

(一個小隊ならまだ予測できてはいましたが……まさか全軍を引き連れるとは)

 

豪胆というか、考えなしというか。

残される者の中にはもちろん使える武官や文官はいるだろう。

しかし孫策や周喩といった主な者が抜けた穴は埋めきれない。

 

ふと眼下を見下ろすと、馬が早い速度で駆けていっていた。

恐らく平原にいる北郷一刀に呉軍が助太刀の為に進軍するという情報を届けるためだろう。

 

「ここであの早馬を潰し、偽りの情報を握らせた者を北郷に送れば面白いことになるでしょうね」

 

偽りの情報……例えば、“呉の周喩が乱心して全軍を引き連れて平原を攻め入ろうとしている”とか。

間違いなく戦争になりますね……ふふ。

 

(しかし……それでは私の目的が達成できなくなります。口惜しいところではありますが、見過ごすことにしましょう)

 

 

 

「さて……。左慈、貴女はどう動きますか?」

 

 

 

―“消”―

 

 

 

 

 

呟いたあと、そこにいたはずの者は消えていた。

 

 

 

 

 

 

「―――ちゃん」

「なんだ、―――」

「どうだったの? 久しぶりのご主人様との口付けは」

「とても……美味だったぞ」

「ずるいのだー! ―――が抜け駆けしたのだー!!」

「だが、他の女の味がした」

「あら……いけないわねぇ。ご主人様を躾けないとねえ……」

「ああ、そうだな! んなことより―――、あの馬どうするつもりなんだ?」

「史実では私の馬ということになっている。修正力も働き、我が馬として忠実になってはいるが……」

「? んじゃあそのまま―――の馬ってことでいいんだな?」

「……………それで問題ないだろう。それより―――、なぜご主人様に槍を向けた」

「う゛っ……い、言わないとだめか?」

「……………」

「うう……わぁったよ……。……ご主人様があたしら以外の女と一緒にいることが許せなかったんだ……」

「言っておくが、あの方の愛は全て私のものだ。協力してくれているお前達には感謝はしているがな」

「むむぅ! ずるいのだ! ―――もおにいちゃんに愛してもらいたいのだ!」

「…………まずはご主人様を手に入れてからだ」

 

 

 

―ご主人様に言い寄る雌共を一匹残らず殺して……な。

待っていて下さい、ご主人様。

あなた様の―――が、悪夢から救い出してみせます……。

 

 

 

 

◆          ◆          ◆

 

 

 

チッ……関羽め!

なぜ傀儡共にとどめをささなかった!?

なぜ雑草共を殺さなかった!?

白装束共と道術をくれてやったのに!!

 

ぎりっ、と唇を噛む。そこから血が流れようと気にしない。

片腕のない彼女は、忌々しそうに“彼女たち”が居座る玉座の間を見やる。

 

『こんなハズではなかったッ!!』

 

北郷を攻め、奴が大事にしている雑草共を目の前で虐殺し!!!

北郷が愛する傀儡共を目の前で晒し首にし!!!!

奴に絶望を味あわせてから屠ろうとしたのに……っ!!!!!

 

それを………………。

クソッ、忌々しい……。

忌々しいぞ……!!関羽!!!

 

 

 

「――おい、左慈」

「ッ!! …………なんだ、関羽」

 

何もなかった空間から関羽が現れ、ちらっ、と俺の失った左腕を見やる。

 

「怪我の療養をする必要があるだろう。……地下に潜っておけ」

「………………分かった」

 

 

 

 

くそが…………。

利用できると思って力をやったらこのザマだ!

今では、袁紹を幽閉して、俺を地下深くの牢で飼っている……!

必要なときだけ呼び出し、白装束共を召喚させたらまた地下牢に戻される。

 

 

 

いい加減、うんざりなんだよ……傀儡共にひっかきまわされるのは……!!

……復讐してやるぞ……。隙を見せたら殺してやる……!!!

 

 

 

 

 

 

暗い笑みを浮かべながら地下牢へと続く螺旋階段を降りていく。

その後ろ姿を、関羽があざけ笑いながら見送っていた。

 

 

 

 

 

<つづく>

【恋姫★学園】

 

 

 

「ただいまー」

「邪魔してるでー」

「霞……勝手に入るなっていつも言ってるだろ?」

「ウチだけやないもーん」

「お邪魔してるわよ、一刀♪」

「雪蓮姉……大学は?」

「もち、サボり。必要単位数は取得しちゃったしぃー」

「バイトしないの?」

「お金ならあるっ(キリッ」

「……なんでいるんすか?」

「一刀に会いたかったから……じゃ、だめ?」

「だ、だめじゃないっすけど……」

「……むぅ。なんや、うちと扱いちがくないか? そらうち、女らしないけどぉ……」

「あー、拗ねんなって。じゃあちょっとお菓子買ってくるよ」

「うちカフェオーレなー」

「わたしも一緒に行こうか?」

「一人で大丈夫ですよ。うちPS3ないけど平気っすか?」

「ああ、大丈夫大丈夫、わたしのPS3持ってきてるから。なんならあげよっか?」

「いや、いいです」

「ぶー」

「じゃあ行ってきます」

「いてらー」「いってらっしゃーい」

「じゃあ霞、わたしと『恋姫†無双・格ゲーアーケードバージョン~孫策の出番ねぇがらぁ!!~』でもやりましょうよ」

「負けへんでー!」

「じゃあわたしかこーえんつかおっと。矢だけ打ってれば勝つゲーム♪」

「あ、ずっこいで! ほんならウチはかこーとんつこて壁ハメしたる!」

 

 

 

 

 

 

「あじゃじゃじゃっしたぁ!」

「ふぅ……お菓子だけで2000円飛んだぜ……ん? お、ニュースやってるな」

 

――KARINコーポレーション社長がノーベル平和賞を受賞しました。3年連続でこれを受賞した人は未だかつていません。

社長は、『今後も平和のために尽くしていきたい』、とコメントを残しております。それでは次のニュースです――

 

 

 

「おー、さすが日本の誇る世界の大企業だなぁ……おっと、早く帰らなきゃ――」

 

―どんっ

 

「いったぁ……もぉ、どこ見て歩いてるのぉ!?」

「あ、ごめんごめん。大丈夫? ってシャオじゃないか」

「あ、一刀! ……って誤魔化されないんだからね! シャオだったからよかったけど、他の女の人だったら厄介なことになってるよ?(色んな意味で)」

「ほんと悪かったって……あ、そうだ。お詫びと言っちゃなんだけど、うちでお菓子でも食べていかないか?」

「いいの!? いくいく!!」

 

―ぎゅっ

 

「あ、こら、手は繋がないの」

「えー? シャオ、一刀と手繋ぎたーい……だめ?(うるうる)」

「で、でも、皆見てるしさ……」

「うぅ~……(うるうるうる)」

「…………はぁ、分かったよ。その代わり、うちに着くまでだからな?」

「わーい! 一刀大好き~♪」

「まったく……調子いいんだから……」

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「おっかえりー♪」

「お帰りなさい、一刀♪」

「邪魔しているぞ、一刀」

「お邪魔しています、一刀さま」

「あれ、増えてる」

「星のやつが窓から入ってきたんや」

「愛紗ちゃんはずっとベッドの中にいたんだって。気付かなかったわ」

「なぁに、いつものことだ(`・ω・´)シャキーンッ!!」

「一刀さまのベッドは私のベッドですから!」

「……ちょっとは霞を見習おうぜ。勝手に入ってくるのはあれだけど、せめて玄関から入ってきてくれ。

それと愛紗、色々と突っ込みどころがあるけど――」

「だが断るっ。窓から入ると……なんというか……寝込みを襲っているような、そんな背徳感に襲われるのだ……(ふるふる)」

「へいかもーん! ばっちこーい一刀さま! (゚∀゚(⊃*⊂)」

「(無視)“ような”じゃなくて、実際襲ったことあるよねお前。未遂だったから良かったものの……」

「あのときは愛紗に邪魔されてな……あれさえなければ、今頃一刀と私はぶつぶつ」

「うわー、相変わらず女の人多いねー」

「あら、シャオじゃない」

「あ、雪蓮おねーちゃん! 冥琳さんが『大学に来るように!』って言ってたよ?」

「やだー。うちでのんびるー」

「ここ、俺んちっすよ」

「じゃあ結婚しよーよー♪」

「なんでそうなるんですか!」

 

 

 

 

 

「……なぁ霞」

「なんやねん」

「蚊帳の外にもほどがあるだろう」

「ゆーな」

「お前は会話のキャッチボールが出来ていいじゃないか……私なんかお尻をさらけ出しているのにスルーだぞ……」

「早くしまえ」「はよしまえや」

 

 

 

 

 

<このお話は本編とは関係ありません>


 
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