No.202230

一姫✝無双・外√~妹と姉の成分~

さん

琥珀とのコラボ小説第二弾。

いや~、やっぱり琥珀は可愛いなぁ~~。

2012/11/4 (加筆修正)

2011-02-18 11:47:41 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4053   閲覧ユーザー数:3697

 

 

今は食事中、兵達もそれぞれに腹を満たしている。

コハクもおむすびを食べている。

一姫の手作りでコハクのひそかな大好物だ。

しかし、当の本人の一姫は食事もせずに俯いたまま何か唸っている。

 

「うう~~……」

「どうした一姫?」

 

コハクと一姫は今、野盗の討伐に来ている。

陳留を出てから今日で5日目、しかし最近一姫の調子がおかしい。

 

「足りない……」

「何がだ?」

「妹成分」

「………は?」

「妹成分が足りないのよっ!! はあ~~、さやちゃんに会いたい……」

「そ、そうか…大変だな……」(汗)

 

何か嫌な予感がしたので一姫から離れようとしたらいきなり腕をつかまれた。

 

「な、何だ一姫……」

「琥珀ってさ」

「コハクがどうした……?」

「小っちゃくって可愛いわよね」

「なっ!?」

 

するとコハクの体は一姫に抱きしめられ、そのまま膝の上に乗せられたまま頭を撫でまわされる。

 

「はあ~~、満たされる」

「こ、こら。はなせ一姫!!」

「やーだ♪」

 

コハクは一姫の腕の中で暴れるが一姫の腕はビクともしない。

 

「うふふ、照れなくてもいいのよ。さあ、琥珀ちゃん、素直にお姉ちゃんに甘えなさい」

「てれてない!それにお姉ちゃんって何だ!? コハクの方が年上だぞ、コハクの方がお姉ちゃんなんだぞ!!」

「………琥珀が?……ふっ」

「わらった!? 鼻でわらったな!!」

「背伸びしたい年頃なのね。そんな琥珀ちゃんも可愛いわよ」

 

そう言うと一姫はコハクを更に強く抱きしめ、頬をスリスリと擦り寄せる。

 

「は~な~せ~!!」

「や~だ。う~ん、モフモフ♪」

 

結局、闘いが始まるまで一姫はコハクを放さなかった。

 

闘いが始まったら始まったで……

 

「琥珀に何をするつもりなのーーーっ!!」

「ギャアアアーーーーーーッ!!」

「琥珀から離れなさいーーーーーーっ!!」

「グハアッ!!」

「烈風刃波ーーーーーっ!!」

「グギャアアアーーーーーーーッ!!」

 

コハクに近づいて来る敵を片っ端から片づけていた。

お陰でコハクは何もすることが無いまま闘いは終わってしまった。

 

 

「コハクは一体何をしに此処まで来たんだ?」

「まあ、何事も無く終わったんだからいいじゃない。さ、向こうの小川で汗を流しましょ」

「こ、こら。はなせ一姫。コハクは一人で洗う」

「いいからいいから」

「人の話を聞けーーっ!!」

 

一姫はコハクを小脇に抱えたまま小川に向かって歩いて行く。

ふと、止まったかと思うと偃月刀を一閃して地面に長い線を刻むと、一体何事だとこっちを見ている兵士達に笑顔で告げる。

 

「言わなくても分かってると思うけど、この線を一歩でも越えたら……」

 

一姫がそう告げると兵士達は一斉に立ち上がり『ぎ、御意っ!!』と叫んで小川に背を向けて全員がこれまた一斉に正座をする。何と言うか一糸乱れぬ見事なまでの連携だ。

 

……正座をして俯いている兵士達の肩が小刻みに震えているのは気のせいだろうか?

 

「さあ、行きましょ琥珀♪」

「好きにしろ……」

 

抵抗するだけ無駄だろうとコハクは諦める事にした。

そうして見上げる一姫の顔は何と言うかすごくいい笑顔だ。

 

 

「どう、琥珀。気持ちいい?」

「…まあな」

 

穏やかな川の流れの中で、コハクは一姫に体の隅々まで洗われている。

一応抵抗はしようとしたのだが嫌がると一姫は瞳を潤ませてぐずり出した。

 

何と言おうか……あれは卑怯だ、反則過ぎる。

あれに逆らえる奴がいたらコハクは心からそいつを尊敬するだろう。

 

「フンフンフ~ン♪」

 

何がそんなに楽しのか、一姫はコハクの髪を鼻歌混じりで洗いだした。

 

「本当に琥珀の髪の毛は綺麗ね、華琳のよりさらさらだし。実は私も金髪って憧れてるのよね」

「……コハクは一姫の髪の毛はきれいだと思うぞ」

「ありがと。お母さんも私の髪は綺麗だって誉めてくれたの」

「そっか……」

 

 

その後、身体を乾かし服を着て陣へ戻ると兵達は未だに正座のまま震えていた。

まあ、気持ちは解る。病化した一姫、あれは魔物だ。

華琳や春蘭もたまにうなされている様だからな。

 

「さあ、皆。遠征も終わって明日には陳留に帰る為に出発だからね。今日はゆっくり休みなさい」

『サー・イエス・サー!!』

 

 

……沙和隊の連中は来てない筈なんだがな。

 

 

それから数日、一姫はコハクを放そうとせず、寝る時も抱きしめられたままだった

そして今日、コハクたちはようやく陳留に帰って来た。

 

 

「あっ!おねえちゃんだ。おねえちゃ~~ん!!」

「さやちゃ~~~~んっ!!」

 

駆け寄って来る鞘花を一姫は手を広げて待っている。

 

「おかえりっ、おねえちゃん♪」

「ただいまっ、さやちゃん♪」

 

胸の中に飛び込んで来た鞘花を一姫は笑顔で抱きしめその頬を擦り寄せる。

 

「きゃああ~。おねえちゃん、くすぐったいよ♪」

「さやちゃん、私がいなくて寂しかった?」

「う、ううん。かりんさまもいるし、けいふぁちゃんたちもいたからさみしくなんか……」

「寂しくなかったの?」

「……さみしかった」

「わたしも寂しかった」

「いまはいっしょだから、さみしくないよね」

「勿論♪」

「わぁーーい♪」

 

 

……あんな事を言ってるが、散々付き合わされたコハクは一体何だったんだ?

まあ、これでようやく解放されるんだ。それで良しとするか。

 

 

「今日からはまた一緒に寝ましょうね」

「わ~~~い♪」

 

 

一姫は鞘花と一緒か、これでやっと一人で静かに寝れるな。

 

 

その夜……

 

 

「琥珀、貴女こんな所で何をしてるの?」

 

コハクはなぜか華琳の寝台に潜り込み、華琳にしがみ付いていた。

なぜだ?

 

ああ、そうか……

 

「たりない……」

「何がよ?」

「姉成分」

「はい?」

「姉成分がたりない」

 

 

ついでに胸もたりないと言ったら殴られた。

そんな、ある日の出来事だった。

 

 

~終り~


 
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