No.201433

異世界冒険譚 魔法少女リリカルなのは月 A'S 29話

RYOさん

交通事故によって死んでしまった主人公。しかし、それは神の弟子が起こした事故だった!?主人公はなぜか神に謝られ、たくさんの世界へ冒険する。

そして物語はA`Sへ・・・

2011-02-13 23:04:38 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3852   閲覧ユーザー数:3525

 

nanoha side

 

わたし……高町なのは。聖祥大学付属小学校に通う小学3年生。

わたしの隣にいる女の子は同じ小学校に通うわたしの友達のフェイト・テスタロッサちゃん。

 

わたし達はプレシアさんの起こした事件を通じて会話してぶつかり合って、そうして仲良くなりました。

 

「…………」

 

「…………」

 

でも、仲の良いフェイトちゃんが隣に居てもわたし達は一言も話しませんでした。

静かに降る寂しい粒。そして冷たい風を感じながらわたし達は雪の感触を足に感じながら丘のてっぺんを目指して歩き続けます。

 

わたし達がこの丘を登っているのはある人に頼まれたからでした。

でも、その足も重く、わたしの心はまるで雲がかかっているように暗い。

 

「ああ、来てくれたか。」

 

丘の上には人が立っていて、その人は振り返ってそう言いました。

 

「…………リインフォース……さん。」

 

この人がわたし達をここに呼んだ人。

 

「そう呼んで……くれるのだな。」

 

「…………」

 

「あなたを空に返すの、わたし達で良いの?」

 

もっとふさわしい人がいるんじゃないか? そう思ってフェイトちゃんはリインフォースさんに聞いた。

 

「…………あいつは……私に生きろと言ってくれた……純粋に「死ぬな」そう言っていた。だからこそ、あいつは私を生かそうとするだろう。主はやてのために。私は……私のために主はやての大切な者が傷つくのを良しとしない。あいつがダメなら、私に向き合おうとしてくれたお前達しかいない。そう……思った。」

 

リインフォースさんの決意は固い。わたし達じゃ解けないほどに。

 

「はやてちゃんと……お別れしなくていいんですか?」

 

「主はやてを悲しませたくないんだ。」

 

「…………リインフォース。」

 

「……やっぱり……」

 

わたしは想像してしまう。ユキくんがわたしに何も言わないでほかの場所に行ってしまう様を。そこは、わたしが一生行けないような場所でユキくんがわたしの知らない誰かと笑っている。怖い、怖い。わたしはユキくんが離れて行ってしまうのが怖い。お別れの言葉を聞いても聞かなくてもユキくんと離れたくない。

 

「やっぱりダメだよ! お別れも無に消えちゃうなんて! はやてちゃんもそんなの望んでないよ! リインフォースさんが消えずに済む方法が……きっと有るはずだよ!」

 

「……! 主はやてだけでなく私の事も想ってくれるのか。……優しいな、お前は……」

 

違う違うの! これはわたしの自己満足! リインフォースさんが居なくならないならユキくんも何処かに行ったりしないってそう思ってるの! わたしは!

 

ふいに足音が聞こえてそっちを向く。

ヴィータちゃん、シグナムさん、シャマルさん、ザフィーラさん。ヴォルケンリッターの四人が歩いてきた。

ヴィータちゃん達はリインフォースさんの前で止まる。

 

「そろそろ始めようか。」

 

リインフォースさんは空を見上げる。雲がかかってユキが降りてくる空を……

 

 

side out

 

 

 

 

hayate side

 

「…………」

 

はやて……はやて……

 

わたしが眠っていると近くから声がした。

 

「……ぅ……うぅ……」

 

はやて……おきろ……

 

うるさいなぁ……わたしは睡眠は一日七時間以上って決めとるんや。

 

おい……こら……おきろって言ってんだろ?

 

い、嫌や……寒いもん。まだ布団の中に居たい……

 

「起きろ! この豆狸!」

 

――ゴチン!

 

「いったぁああああああ!?」

 

なんや!? 何が起きたんや!? いきなしゴチンて頭に痛みが!? わたしの灰色の脳細胞が!

 

「大丈夫だはやて。お前は絶対に頭脳明晰じゃあ無いから。」

 

わたしを殴ったのはお前かぁ!とわたしが声のした方を睨む。

 

「えっ!?」

 

そっちを見てわたしは吃驚した。

 

「ユ!…ンー!!??」

 

ユキ! と言おうとしたわたしの口が何もされていないのに塞がれたようにしゃべれなくなる。

そう、わたしが向いた方向におったのはユキやった。

 

「今の俺の姿じゃあはやてに俺の名前は言えないよ。ユエの方で呼ばなくちゃ。」

 

「ユエ……っう!?」

 

何しに来たんや?と言おうたした時にわたしの胸に痛みが走った。

それと同時にイメージが湧く。リインフォースが危ない。わたしの頭にその言葉が浮かんだ。

 

「リイン……フォース?」

 

「……もう始まるのか……」

 

ユキが遠くを見てそう言った。もしかしてユキは何が起きてるのか知ってる!?

 

「なにが……何が起きとるんや!? ユエ!」

 

わたしがそう言うとユキはニィっと笑う。

 

「さあ、八神はやて。ここが君の最大の、そして最高のターニングポイント。この機を逃せば君の人生は陰りができ、思い切り笑えないかもしれない。」

 

そしてユキは魔王のように高らかに演説する。

 

「しかし、今回は初回限定サービス。この手を取れば今回限り、無料で助けてあげよう。」

 

そう言い、ユキはわたしに手を差し伸べる。

 

「さあ!? どうする? 時間がない。君が選ぶのはYESかNOか? 希望を望むか? 絶望を望むか?」

 

そんな事考えるまでもないやん。わたしは手を取る。

 

「YESや。最高の希望を頼むで? 魔王様?」

 

ユキはわたしの言葉に一瞬きょとんとすると笑い出した。

 

「あはははははっ。魔王か。良いねその呼び方。」

 

「あ~でもユキ、見てくれだけは天使やからな。いや?「俺こそがが神!」やったけ?」

 

「げふっ! 何故知ってるし。」

 

「念話、飛びまくっとったで?」

 

「マジで!?」

 

「まあ、私以外誰にも聞こえてないと思うけどな?」

 

「そ、そうか……良かった……のか?」

 

「さあ? とにかく、わたしを助けてくれるんやろ? 神兼魔王様?」

 

「ああ、当然だ。」

 

ユキはそう言って部屋の窓を開け放った。雪と冷たい風が入り込む。

 

「行こう、はやて。飛んで行った方が速い。」

 

「あ、うん。」

 

「あ、ちなみに靴と上着は持ってきている。」

 

「用意ええな~。」

 

四十秒後俺達は空を飛んでいた。

 

side out

 

 

 

nanoha side

 

わたし達はリインフォースさんを三点で囲んで魔方陣の上に立っている。

これがリインフォースさんを空へと帰す魔方陣。

 

「…………」

 

目を瞑って下を向いているリインフォースさんをヴィータちゃん達は悲しそうに見つめている。

 

『Ready to set』

 

『Stand by』

 

「ああ、ありがとう。短い間だったがお前たちにも世話になった。」

 

『気にせずに』

 

『良い旅を』

 

「ああ。」

 

もうこれで終わりなの!? 私がそう思った時だった。

 

「ダイナミックエントリー!」

 

「うぐっ!?」

 

叫び声がしてリインフォースさんが吹き飛んで雪に顔を埋めたぁ!?

 

わたしがリインフォースさんを吹き飛ばした人の方を見ると

 

「ちょっ!? リインフォース大丈夫なんか!?」

 

「大丈夫だ。問題ない。」

 

「でも結構な勢いに見えたで?」

 

「蹴ったって言うより押したって感じだからな、鼻血くらいは出てるかもな?」

 

「うわっ、女の子に鼻血出させといてその態度……」

 

「うっ、それはその……正直すんませんでした。」

 

「ユエさん!? それにはやてちゃんも!?」

 

わたしが驚いて声を上げるとユエさんはこっちを向いて言った。

 

「さ~て、これでA'S編もクライマックスだぜ!」

 

あの……なんか今日のユエさんいつもと違う。

 

side out

 

 

 

yukito side

 

これが素です。

 

俺はどこからか飛んできた電波に返事をするとリインフォースに話し掛ける。

 

「やあ、リインフォース。いい天気だな?」

 

「くっ。お前はユエ。何をするのだ! お前のせいで儀式が止まってしまったではないか!」

 

そう言ってリインフォースは俺を睨んでくる。

 

「おお、怖い怖い。俺に歯向かってくる元気があるなら自分の宿命にも歯向かえば良いものを……な?」

 

「な、なにを……」

 

「さ~てここで問題です! 俺は闇の書を元に戻すと言っていました。そうですね? 高町なのはさん!」

 

「ふぇ!? あ、はい。そう言ってました。」

 

「それでは俺の言っていた直すというのは守護騎士プログラムを闇の書から切り離すことだけなのでしょうか!? さあ、時間は10秒!みんなで考えてみましょう!」

 

「そんな……まさか……」

 

リインフォースが後ろに後ずさる。その顔は驚愕に彩られている。

 

「はい! リインフォースさんは答えが分かったようですね~。それでは答えをどうぞ!」

 

「ふざけるな!」

 

リインフォースは怒りで顔を歪め俺に言った。

 

side out

 

 

 

Reinforce side

 

「ふざけるな!」

 

私は目の前の小僧に向かって叫ぶ。

私が悩み苦悩して決めた終焉をこんな形で崩される屈辱。そして目の前のふざけた小僧が私を救う方法を知っているという理不尽な事に私は怒鳴り声を上げていた。

 

「私が生きていられる方法を知っていて……何故私に教えなかった!?」

 

私がそう叫ぶとユエはつまらなそうに頭を掻きながら言う。

 

「何故? 生きる事を諦めているやつに生き長らえる方法を教える事ほど無駄な事は無いからだ。」

 

「…………っ!?」

 

「そもそも、お前は生き残るために誰かに働きかけたのか? 管理局に協力を募り無限書庫を探させたか? ヴォルケンリッターに言って俺に連絡して方法を聞いたか?」

 

「……それはっ!」

 

「そう、お前は何一つやっていないのだろう? そうでなければこんなに早く消滅を選ぶ事など無いはずだ。つまり……」

 

ユエは私を指差す。やめろ……何も言うな!

 

「お前は……生を諦め、はやてに闇の書の罪をなすりつけた。それが……お前のやろうとしたことだ。」

 

「あ……あ……あぁ!」

 

私は………………………………………………

 

side out

 

 

 

yukito side

 

目の前でリインフォースが崩れ落ちる。

やりすぎた感があるけど……てかやりすぎたよね! やっちまったぁあああああ!

と、とりあえずこれでリインフォースははやてを置いて消えたりしないはず。だって消えたら闇の書の罪がはやてに向かうし。レジアスのおっさんとか良い例だよね。

 

俺はリインフォースに近づき頭を撫でながら言う。

 

「安心しろ。お前を直すために私は来た。はやても、お前には消えて欲しくないようだしな?」

 

「あ……ああ。」

 

俺は立ち上がり宣言する。

 

「さあ、ここからが本当の闇の書の終焉だ!」

 

俺はリインフォースに接近して蹴りを放つ。

 

「えっ?」

 

side out

 

 

 

hayate side

 

「ぐあっ!?」

 

ユキがリインフォースを蹴りつける。

 

ああ、心配や! ユキが平気やって言ってたけど心配や! ホンマに大丈夫なんやろな!? 失敗したら恨むで!

 

ユキがリインフォースに攻撃を加えているとなのはちゃん達がユキを止めようと攻撃を仕掛けおった!

 

「影分身の術!」

 

――ボフン

 

って音と共にユキが増えた。まさしく何でもアリやな。

 

「ユエさんが……」

 

「増えた!?」

 

まあ、影分身の術やし。そら増えるやろ。

 

影分身のユキ……ユキB~Cはなのはちゃん達に向かって行ってそれぞれ武器を取り出した。

Bは杖を、Cは斧を取り出す。

 

「ディバインシューター!」「はあああああ!」

 

Cはフェイトちゃんに斧を使った攻撃を仕掛けて、Bはなのはちゃんに魔法を放った。

あ、ユキってわたしと同じ色なんや。ふふっ……少し嬉しい。

 

「主はやて。」

 

「ん?」

 

声のした方を見るとシグナム達が駆け寄ってきた。

 

「大丈夫なのですか? リインフォースを消そうとしているように見えますが……」

 

「シグナム達は大丈夫やって思うんやろ?」

 

そうでなかったらここに居ないもん。

 

「ええ、不安はありましたがユエは大事な場面では理由なく行動しませんから。」

 

シグナムがそう言う。むう、なんかわたしよりユキの事知ってない? ちょっとジェラシーやわ。

 

「はやて。大丈夫なの?」

 

「はやてちゃん。ユエから何か聞いてない?」

 

「聞いとるよ。リインフォースを救うための準備としてまずはリインフォースにダメージを与えなきゃあかんらしい。そう聞いとる。」

 

「そうですか……」

 

そう言ってシャマル達はユキの方を見上げる。

 

リインフォースはスマブラのバンカーに引っ掛かったみたいに空中をバウンドしている。

ん? リインフォースの頭の上になんか見えるな。メモリーみたいなもんが浮いとる?

 

リインフォースの頭の上にメーターの様な物があってユキの攻撃を受けるたびにどんどん減っていってる?

あ、あれHPか!?

 

HP(仮)が半分を切った時、リインフォースの目の前にガラスの様な物が張られた。

ユキはそれに驚かず、拳を思い切り振りかぶってガラスを殴った。

 

――パキィン!

 

ガラスが割れる。ユキは追撃を止めて、左手を右手に添え集中するように目を瞑る。

 

「リインフォースさん!」

 

「リインフォース!」

 

なのはちゃんとフェイトちゃんがリインフォースに近づこうとしてもユエBとCが止める。

 

そうしてユキは目を開けると右手の手のひらをリインフォースに向ける。

その右手には今までなかった腕輪の様な物があった。

 

「な、何だあれは!?」

 

シグナムが腕輪を見て驚愕の声を上げる。ヴィータ達を見ると少し青ざめている。

 

「ヴィータちゃん。」

 

「ああ、分かる。あれは……あたしたちには逆らえない。」

 

「凄まじい力がここに居るだけで分かる。」

 

「どういう事や? シグナム?」

 

わたしがシグナムに聞くとシグナムが青白い顔をこちらに向けて言った。

 

「あの腕輪……とてつもない力です。あの腕輪が相手ではたぶん、わたし達は勝てないでしょう。」

 

「そ、そんなにやばいんか!?」

 

「うん。あの腕輪から強制力みたいなのを感じる。……怖い。」

 

ホントに大丈夫やろうな? 私はユキを見上げる。

腕輪が展開してそこからビームでも出そうな形になる。

そして……

 

「データドレイン。」

 

救いは放たれた。

 

side out

 

 

 

 

yukito side

 

「データドレイン。」

 

黄昏の腕輪から幾つもの光線が放たれる。

リインフォースは動けないのかそれを避けようとせずに受け止めた。

 

データドレインの光はリインフォースを貫き俺に戻ってくる。

俺はそれを受け止め解析し再構築する。

 

データドレインというと初代ではデータを吸収して相手を弱体化させるという所にスポットが当てられているが、データドレインの本質はデータの改ざん。女神アウラの作った腕輪の力。この程度の相手なら……やれる!

 

「ぐ、う゛……うぉ……」

 

右手と頭が焼けるように熱くなる。

頭の中に数字や英語が浮かび上がる。

無論、バカの俺に読めるはずがない。

しかし、腕輪が俺の願いを実行しデータを改ざんする。

そして……

 

「出来た!」

 

全てのデータが整理された。

 

「受け取れ! リインフォース! 新しい身体よ!」

 

俺は正常化されたデータをコア状にしてリインフォースに投げる。

それはリインフォースの胸に当たり吸い込まれていく。

 

「解!」

 

なのはちゃん達に向かわせた影分身を消し、地面に降り立った。

 

side out

 

 

 

Reinforce side

 

「リイン。リインフォース。」

 

「う……うぅ……」

 

私は……どうなったのだ?

確かユエがいきなり私を……

 

目を開けるとそこには我が主がいた……

 

「おはようリインフォース。お寝坊さんやな?」

 

「主……はやて……」

 

「身体の調子はどうや? 変なところないか?」

 

主に言われデータを調べてみる。

 

「…………これは……!」

 

「どうしたんや?」

 

「防衛プログラムが生まれ変わっています。それだけでなく、わたしの体を構成するデータも闇の書とは違う……」

 

「ふっ、元の形が分からないなら生まれ変わらせれば良いじゃない。先人は良い言葉を残したものだ。」

 

「それって全然違うセリフやし。ってかあれって庶民の事何も知らないお姫様発言やん。」

 

「まあ、それは置いておいて。どうだ? リインフォース。新しい身体は?」

 

「問題ない。変なところは何も……」

 

「そうか、では、私は帰るとするよ。ではな?」

 

ユエは額に人差し指と中指を当てる。一瞬のちユエは魔力反応を残さず消えた。

私は主はやてを見る。

 

「主はやて。」

 

「ん? 何や?」

 

「私は……ここに居て良いのでしょうか?」

 

私がそう言うと主はやてはにっこり笑い。こう言った。

 

「当たり前や。」

 

なるほど……私はこの笑顔が好きなようだ。

お前の言った通りだな、ユエ……

 

空はいつの間にか雪が止み、雲間に光が差し込んでいた。

 

 

こにゃにゃちわー!

 

皆のアイドル作者さんだよ!

 

今日は僕の誕生日なんだ!

何が言いたいかと言うとケーキうめえwww

 

そんなわけで皆さんにお知らせがあります。

28話で次回が最終回と言ったがすまん、ありゃあ嘘だった。

 

たぶん次回なら終われると思うよ?うん。

 

記念すべき30回目だし。

てかA'Sで30回って多くね?

 

今後の冒険、何話かかるか少し鬱になったりならなかったり。

 

まあ、そんなわけでこれからも異世界冒険譚をよろしくお願いしまーす!


 
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