No.200861

真・恋姫無双二次創作 ~盲目の御遣い~ 幕間其之弐

投稿48作品目になりました。
『盲目』久々の更新です。
まだ試験期間中なので次の更新はもうしばらくお待ちください。
拙い作品ではありますが、いつものように感想意見その他諸々、一言だけでも書きこんでくれると嬉しいです。
では、どうぞ。

2011-02-11 05:56:56 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:13966   閲覧ユーザー数:11139

 

全部、失くした。

 

志を貫く為の剣を折られ、

 

身を守る為の盾を砕かれ、

 

それらを握る為の腕をもがれ、

 

前へ進む為の足を断たれ、

 

踏みしめる大地すらも崩れ落ちるような、

 

そんな絶望が、私の心を満たしていた。

 

『一体いつまで、貴女は逃げ続けるつもりなんですかっ!?』

 

『―――――私だって、辛かった!!』

 

『貴女は、何かをした?優秀な仲間がいる事に甘えて、自分の理想を叶えてもらおうとしてはいない?』

 

何度も反芻される言葉。

 

何も言い返せなかった。

 

ただ謝る事しか出来なかった。

 

知らず知らずの内に……ううん、これもただの言い訳。

 

自分の未熟さ。

 

甘え。

 

悔しくて、後ろめたくて、諦めてしまいそうになる。

 

 

 

でも、だからこそ、私は逃げちゃいけない。

 

 

 

私達は、確かに間違っていた。

 

それに気付かず、間違いを犯してしまった。

 

でも、

 

『私達の力は、まだまだ弱いです。『もっと強ければ』『もっと力があれば』私も、何度もそう思いました。……でも、今の私達の力でも、救える人が居る。そして、その為には貴女の力が必要です』

 

差し伸べられた、綺麗な手。

 

『力を、貸してくれますか、劉備さん』

 

あの掌に、どれだけのものが詰まっていたんだろう。

 

悔しくて、後ろめたくて、それでもあの人は諦めなかったんだ。

 

 

 

―――――知りたい。

 

 

 

あの人はどうして、自分を諦めずにいられたんだろう。

 

 

 

あの人はどうして、弱い自分を認められたんだろう。

 

 

 

あの人はどうして、それでも前に進めるんだろう。

 

 

 

 

深夜。

 

連合軍駐屯地、劉備陣内。

 

「朱里ちゃん、そろそろ休んだ方がいいんじゃない?」

 

「ううん、もうちょっと、もうちょっとだけだから」

 

天上は既に漆黒に塗り潰され、風を受けてパチパチと弾ける火の粉の音だけが、静寂の中に漂っていた。

 

そんな中、天幕の中に伸びる、決して長くはない二つの人影。

 

覗き込むようにして問いかける雛里に答えつつも、朱里の視線は木卓の地図に釘付けとなっていた。

 

その姿には、つい先刻までの危うさや翳りはなく、その瞳には何らかの意志が灯っているようにも窺えた。

 

「……もう、大丈夫?」

 

「……うん。御免ね、雛里ちゃん」

 

「いいよ。だって、友達だもん」

 

微かに笑いあう二人。

 

短い会話。

 

それだけで済んでしまう程の繋がりが、二人の間にはある。

 

「……北条さん、いい人だったね」

 

「……うん」

 

ふいに止まる指先と視線。

 

思い返す軍議の席。

 

『私の、自己満足ですよ』

 

『救えるのに救わなかったら、私は一生後悔し続ける。それが嫌だからです。ただ、それだけなんですよ』

 

自分が盲目になっていた事を、思い知らされた。

 

ただ単純に、悔しかった。

 

それと同時に、

 

(……羨ましいなぁ)

 

それは、自分の意志を貫き通せる心根に対してか。

 

それとも、憧れの姉の傍にいられる立場に対してか。

 

あるいは、その両方か。

 

真意を知るは彼女のみだが、羨望の念を抱いている事は間違いなかった。

 

そして、

 

(お姉ちゃんに怒られたのも、久し振りだな)

 

幼い頃から、滅多に怒る人ではなかった。

 

その分、怒った時の怖さは物凄くて、

 

でも、それは自分を大切に思ってくれている証でもあって、

 

なのに、

 

(私、まだ『あの頃』のままだ……)

 

悔しかった。

 

情けなかった。

 

自分を変えたかったはずなのに。

 

お姉ちゃんに追い着きたかったはずなのに。

 

そして、それと同時に、

 

(お姉ちゃんは、どうして変われたんだろう……?)

 

女学院に入った理由にも少なからず入っていると思う、あの人の男性恐怖症。

 

重度ではなかったけれど、お父さん以外の男の人と話している所なんて、見た事がなかった。

 

だから幼い私は『男の人は怖いものなんだ』なんて勘違いをしてしまった訳で……

 

(でも、あの人と一緒にいる時のお姉ちゃんは、凄く普通だったというか……)

 

互いの言葉に自然と耳を傾け、

 

互いの意志を自然と把握し、

 

互いの行動を自然と受け容れる。

 

確かに未だ小さな行き違いはあるようだけれど、もっと深い所で通じ合っているような。

 

(それに、昔よりも表情が柔らかくなったような気もしたし……)

 

そう、まるでその事に歓びを感じているような、自ら望んでいるような、そんな何かがあの時のお姉ちゃんからは感じられた。

 

 

あの人の為に本気で怒って、

 

 

あの人の傍に自然に寄り添って、

 

 

 

 

―――――お姉ちゃんは、どうしてあの人を選んだんだろう……?

 

 

 

 

再び浮上する、しかし今度は後ろめたさを含まない、純粋な疑問。

 

 

生まれた欲求に混迷を隠しきれない朱里であった。

 

 

(続)

 

後書きです、ハイ。

 

大変長らくお待たせいたしました、『盲目の御遣い』久々の更新です。

 

期末試験期間の山場を越えたので、リフレッシュを兼ねて執筆してしまいました。

 

いやぁ、長かった……年末年始にPCが入院なされ、その後は実験レポートやプレゼン発表に追われ、それが終わったかと思えば驚きの事実が発覚しまして、

 

 

 

……え~っと、早い話が、ダブりが決定しましたwwwww

 

 

 

HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!笑えよ、笑えばいいだろ!!

 

……親には本当に申し訳ない事をしてしまいました。結構講義も真面目に受けてましたし、試験も頑張ってたんですけどね。

 

就職活動も全部おじゃんに。まぁ、本格的に進路が定まっていなかったというか、色々と迷ってたので『いい機会かなぁ』とかポジティブに捉えようと必死です。

 

まぁそんな訳で、今後の更新期間が早くなるかもです。人はこれを『現実逃避』という。

 

 

 

さて、

 

 

 

以前から告知していた通り、これからは暫く『盲目』の更新が中心になると思います。

 

最近はリレー小説やら『蒼穹』の集中更新が続いてましたからね、そろそろ書かないと忘れられそうですしwwww

 

今回は蜀陣営の二人にスポットを当てましたが、いよいよその他の勢力との絡みが本格化します。

 

宵の深まる汜水関。

 

弔いに向かう白夜の前に現れる影とは?

 

雪蓮達の企みとは?

 

そして、そんな彼の姿を目にした他勢力の者が?

 

次話『魂魄』でお会いしましょう。

 

でわでわノシ

 

 

 

 

…………肉体改造も始めてみようかな?


 
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