No.190723

結び目

投稿46作品目になりました。
文芸部で執筆した短編第3段……だよな、確か。
お題は『紐』で書きおろしたオリジナルです。
タイトルは未定ですので、よければ考えてやってください。
気に入れば採用します。

続きを表示

2010-12-20 18:28:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:8761   閲覧ユーザー数:7423

 

寝惚け眼。

 

薄暗い部屋。

 

時刻はとうに正午過ぎ。

 

隣に彼女はもういなかった。

 

 

夢を追いかけていた。

 

我武者羅だった。

 

そして挫折した。

 

ただそれだけの陳腐な話。

 

 

重い身体。

 

無理矢理起こす。

 

テレビを点ける。

 

煙草を点ける。

 

変わらない日々。

 

変わらない自分。

 

嫌気がさす。

 

 

わからない。

 

世界はどうして自分に冷たいのか。

 

わからない。

 

彼女はどうして自分を見捨てないのか。

 

分らない。

 

解らない。

 

判らない。

 

そんな自分が一番わからない。

 

 

仰いだ。

 

揺れる紫煙。

 

揺れる紐。

 

電灯から垂れ下がる紐。

 

簡単に千切れてしまいそうな細い紐。

 

自分と重なった気がした。

 

 

 

もう少し太かったら。

 

 

 

もう少し丈夫だったら。

 

 

 

この首に掛けられただろうか。

 

 

 

この世界から解放されただろうか。

 

 

 

彼女を解放出来ただろうか。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
6
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択