No.190593

桐乃の告白

tanakaさん

ちょいバッドエンドくさい話です。

2010-12-19 22:37:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2868   閲覧ユーザー数:2694

 不意な寝苦しさを感じて起きてみたら――

「ん……っ……ふぁ……」

「んんっ!?」

 桐乃にキスをされていた。

 本当に意味が分からない。何で桐乃にキスをされているんだ?

 何で俺を嫌っている桐乃が俺に……

「ちゅ……っ……ぁ……」

 起きた事に気付いた桐乃が唇を離す。

「おまっ……桐乃、何を――」

 とにかく、キスをした理由を問いただす。

「あんたが……あんたが悪いのよ」

「はぁ? 何で俺が悪いんだよ」

 俺は普通に寝てただけだろ。てか、全然説明になってねぇよ。

「……っ、あんたがあたしの気持ちに気付いてくれないからっ」

「はぁ?」

 何を言ってるんだコイツは。

「あたしは、あんたが……お兄ちゃんが大好きなのよ!」

「な―――――――っ!?」

 今……桐乃は何て言った? 俺が好き?

 いや、それも重要だけど『お兄ちゃん』だと……?

 あの桐乃が俺に対して『お兄ちゃん』て言ったのか? 更に大好きだとも。

 どういう事なんだ? これはまさか夢の中の話なのか?

 そうだよな。これは俺が見ている夢だよ……な?

 

「ねぇ、あんたは……お兄ちゃんはあたしの事、どう思ってるの?」

「お、お前の事をか?」

「そうよ。ねぇ、好き?」

「そ、それは――」

 おいおい、これは夢なんだろ? だったらこんな悪夢早く覚めてくれよ。

 お願いだからさ。

「早く答えて。あたしの事好き?」

「……き、嫌いではない」

「ちゃんと答えて」

 クソっ! なんだよ、この羞恥プレイは。

 マジで勘弁して欲しいよ。

「お兄ちゃん……」

 ~~~~~~っ。あーもう、自棄だな。

「ああ、好きだよ! 大好きだよ! それでいいんだろ?」

 何で妹に対して好きとか言わないといけないんだよ。

「じゃあ、恋人にしたい?」

「     」

 頭が一瞬にして真っ白になった。

「ねぇ」

 こ、コイツは何を言っているんだ? 桐乃と恋人だと!?

 世間の目があるし、そんなの無理に決まって――

 

「世間の目とかどうでもいいの! あたしはあんたが好きなのよ!」

 必死に訴えてくる桐乃。

 何なんだよ! なんでそんな泣きそうな顔で言うんだよ。

「確かに間違ってるかもしれない。でもあたしは、あんたが好きなのよっ!」

「……桐……乃」

 本気で言っている……のか?

 俺はどうしたらいいんだ?

 桐乃を受け入れるべきなのか? それとも――

「桐乃……俺は――んぐっ!?」

 キスで無理やり言葉を遮られる。

「ぁ……んっ……ねぇ、いいでしょ。あたしと付き合ってよ」

「…………」

 思考が上手く纏まらない。

 執拗に繰り返されるキスのせいで、何も考えられなくなってしまう。

 

 

「お兄ちゃん……付き合おう?」

「……あ、あぁ……」

「ふっ♪ ありがと。大好きよ京介♪」

 俺は間違った選択をしたのかもしれない。

 しかし、嬉しそうな顔をしてる桐乃を見ると、正しかったのかもしれないとも思ってしまう。

 俺は、本当はどうしたかったんだろうか?

 それは今も分からないままだ。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
9
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択