No.188828

吹寄さんの……その2

tanakaさん

吹寄さんシリーズ第二話です。
第二話にして、微妙に迷走中?

2010-12-09 22:25:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3373   閲覧ユーザー数:3192

「ここが……上条当麻の部屋……」

「ああ。少し散らかってるけど、我慢してくれ」

「そう。だったら、初めに掃除をしましょう」

「はぁ!?」

「部屋が汚いから普段の行動も不真面目になるのよ」

 だからご飯を作る前に、まずは部屋の掃除が先よ。

「ふ、吹寄さん……マジですか?」

「マジで言ってるわよ」

 私自身汚い所で料理をしたくないしね。

「……はぁ。分かったよ分かりましたよ。掃除しますよ!」

「それでいいのよ上条当麻」

 掃除は心の洗濯とも言うのだから、やって損はしないはずよ。

 

 そして、上条当麻の部屋の掃除を始めたのはいいけど――

「ふ、吹寄……さん? そ、それは違うのですよ……?」

「か、かか、上条……当麻っ! 貴様はっ!」

 上条当麻に一冊のエッチな本を突きつけながら説教をする。

「が、学生がこんな如何わしい物を持っていいと思っているの!」

「す、すいませんっ!」

「まったく、上条当麻は……」

 何故こんな物を所持してるのよ。

 学生なら学生らしく節度を持って……

「あの……吹寄?」

「なによ」

「非常に言いにくいのですが……ご飯を作っていただけると、その……」

「ああ。そうだったわね」

 予想外の出来事に驚いたけど、当初の目的はそれだったわね。

 でも、あの本についてもっと追及しないと……

 

 ぐぅー

 

「は、ははっ。もう腹ペコだ」

「……少し待ってなさい」

 上条当麻を追及するのは後にしましょうか。

 今はお腹を空かせている彼のために、美味しいご飯を作ろう。

 それで満腹になった上条当麻をじっくりと問いただそう。

 

 

「はい。出来たわよ」

「お、おぉー」

「たいした物は作れなかったけど、味は問題無いと思うわ」

 ちゃんと味見もしたし、美味しく食べられるはずよ。

「じゃ、いっただきまーす!」

 元気な声を出して、料理に箸を伸ばす。

「おっ! すっげぇうめえよ!」

「それはよかったわ」

 やっぱり美味しいって言ってもらえるのは嬉しいわね。

「ほんとすげぇよ。きっと、いいお嫁さんになれるな」

「な――――っ!?」

 こ、この男は急に何を言って……

「どうしたんだ? 吹寄」

「な、何でもないわよ。それよりもしっかりと食べなさいよ」

 貴様には言いたい事がたくさんあるんだから。

「お、おう」

「じゃ、私もいただきます」

 ……ん。美味しい。上手く出来てよかったわ。

 

「ご馳走様。ほんと美味かったよ」

「どういたしまして」

 満足そうな表情をしている上条当麻。しかし、このままでは終わらせられない。

「ところで上条当麻。先ほどの続きなのだけれど」

「な、ナンノハナシデショウカ?」

「とぼけるんじゃないわよ。あの如何わしい本よ」

「いや、あれは、健全な男子高生には必要なアイテムでして……」

「必要なわけないでしょ。あれは没収させていただくわ」

「そ、そんなぁ~」

「上条当麻」

「うぐっ」

 これでいいわ。上条当麻にこんな本は必要無いはずよ。

 これは私は後でちゃんと処分させてもらうわ。

「はぁ。不幸だ」

「何か言った?」

「いや……今日はありがとな」

「――べ、別にいいわよ」

 私が勝手にやっていることなんだから。

「ま、今後もよろしくな」

「ええ」

 期待してなさいよ上条当麻。

 


 
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