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真・恋姫無双アナザーストーリー 雪蓮√ 今傍に行きます アフターストーリー第3話

葉月さん

アフター第三話になります!

今回は紫苑と璃々のお話しになっています。

それにしても一年はあっという間ですね。投稿を開始して一年が過ぎてしまいました。

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2010-11-21 22:48:38 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:8721   閲覧ユーザー数:6117

真・恋姫無双アナザーストーリー 

雪蓮√ 今傍に行きます アフターストーリー第3話

 

 

 

 

【ちっちゃな恋人?おとうさんはみつかいさま】

 

「おかあさん!あれ食べたい!」

 

わたくしの娘、璃々は指を指して出店の団子をねだって来た。

 

「それじゃお洋服買わないわよ?」

 

「えー!お洋服もほしいの~」

 

「我儘を言っちゃいけません。ここは私たちの国じゃないのよ?お金だってそんなに持って来てないんですからね」

 

「でも、あれも食べたいのぉ~!ねぇ、おかあさんいいでしょ~」

 

「もう、我儘言うとお母さん怒るわよ?」

 

「ふぇ……」

 

璃々は今にも泣き出しそうな顔になるけど、母親として甘やかすだけではいけないのだからここは我慢してもらうしかないわ。

 

「ほら、璃々泣かな「あれ?黄忠さんに璃々ちゃん?」え?」

 

この国でわたくし達の名前を呼ばれたことに驚き振り返ると。

 

「あなたは、天の御遣い様」

 

「ははは、天の御遣い様は止めて下さい黄忠さん。そう言われるとむず痒くって、出来れば気軽に北郷でも一刀でも好きな方で呼んでください」

 

その時に見せた優しい笑顔にわたくしは『ああ、このお方はとてもお優しい方なのだな』とそう思った。

 

「あっ!お兄ちゃんだ♪」

 

「こ、こら璃々!」

 

璃々はわたくしが止める間もなく前に走り出し御遣い様の下へと駆け出してしまった。

 

「おっと、どうしたんだ璃々ちゃん」

 

「申し訳ありません北郷様。ダメでしょ璃々」

 

「ははは、大丈夫ですよ。それよりこんな所でどうしたんですか?」

 

「ええ、実は……」

 

「あれー!」

 

「ん?ああ、団子が食べたかったんだね璃々ちゃんは」

 

「うん!でもね、おかあさん買ってくれないんだよ」

 

「こ、こら璃々!買わないなんて言ってないでしょ?お団子かお洋服どちらかにしなさいって言っているのよ」

 

「やだぁ~。りょうほうとも欲しいよぉ~」

 

「もう、この娘ったら駄々をこねて……お母さん怒りますよ?」

 

「まあまあ。よし、なら俺が璃々ちゃんの為にお団子を買ってあげるよ」

 

「ホント?!わーい!わーい!ありがとうおにいちゃん!」

 

「そ、そんな北郷様にご迷惑が」

 

「いいんですよ。それに俺も丁度食べたかったし」

 

「ほ、本当によろしいのですか?」

 

喜んでいる璃々の横でわたくしは御遣い様に確認を取る。

 

「構いませんよ。黄忠さんも如何ですか?」

 

「いえ、わたくしは結構です」

 

「そうですか?」

 

「ねえねえ、おにいちゃんはやくいこ!」

 

「よぉし!それじゃいくか!」

 

「うん!」

 

璃々の手を取りお団子屋に向う御遣い様は噂で聞いていた方とは全然違っていました、別の人の様に思えた。

 

『朱里ちゃん』

 

『はい、なんでしょうか?』

 

『噂で聴いたことがあったのだけれど、呉には天の御遣い様が居るのよね?どんな人なのかしら?』

 

『そうですね。私も反董卓軍の時にお見かけしただけですからなんともいえませんが、間諜の持ち帰ってくる情報によりますと、良く街を出歩いては街娘を口説いて回っているようなんです』

 

『え?』

 

『あと、孫策さんに良く街中を連れまわされているとも報告が上がってきています』

 

『えっと。つまりは朱里ちゃん』

 

『その、報告から上がってくる結果を見るだけだと遊び人としかいい用がありません』

 

『でも、天の御遣い様なのでしょ?』

 

『ですが、それが本当かどうかは誰にも分かりませんし』

 

『そうね。なら、朱里ちゃんはどう思っているのかしら?』

 

『わ、私ですか?そうですね。私も一度しかお会いしていないのでなんとも言えませんが、桃香さまに似ているかもしれませんね』

 

『桃香さまに?』

 

『はい、なんだか引き付ける物があるお方ですね』

 

『そう。ならあとは自分で確かめてみるわ』

 

『はい、お願いしますね紫苑さん』

 

確かに朱里ちゃんが言っていたように間諜の報告だけでは分からないところがあるわね。

 

御遣い様を見ながらわたくしはそう思った。

 

「はい、璃々ちゃん」

 

「ありがとう。おにいちゃん!」

 

「よかったわね。璃々」

 

「うん!」

 

「申し訳ありませんでした。お代を」

 

「いいえ、気にしなくていいですよ。俺も食べたかったわけですし、それに子供達には笑っていて欲しいですから」

 

御遣い様は、微笑みながら手に持っていたお団子を頬張る。

 

「おかーひゃん、おいひーよ!」

 

「こら、璃々。食べながらおしゃべりしちゃダメでしょ?」

 

「ふぁ~い」

 

「う~ん、やっぱり、ここのお団子はおいひいな。もぐもぐ」

 

「ほ、北郷さま。今、璃々に注意したばかりですのに」

 

「あ、ごめんごめん。美味しかったからさ。黄忠さんも如何ですか?」

 

そう言うと笑顔でお団子を差し出してきた。

 

「よろしいのですか?」

 

「ええ、みんなで食べた方が美味しいですから。ね、璃々ちゃん」

 

「うん!」

 

璃々と御遣い様はホントに美味しそうにお団子を食べていた。

 

「それではわたくしもお一ついただきますわ」

 

遠慮するのも悪いと思い一つお団子を頂き口へと運んだ。

 

「はむ……あら、本当に美味しいわ」

 

「おかあさんもおいしいって!」

 

「うん、そうだね」

 

「えへへ~♪」

 

璃々は頭を撫でられてとても嬉しそうにしていた。

 

「これはこれは御遣い様」

 

「やあ、繁盛してるみたいだね」

 

「これも御遣い様のおかげでございます」

 

「いやいや、おやっさんが頑張ったからだよ」

 

お店の奥から店主らしき人が出てきて御遣い様にお礼を言っていたことが気になったので聞いてみることにした。

 

「あの、少々よろしいでしょうか?」

 

「はい、なんでございましょうか?」

 

「先程、御遣い様のおかげと仰っていましたがどういうことなのでしょうか?」

 

「へえ、実は……」

 

店主のお話によると当時、娘さんが病気になってしまったらしく薬を買いたくても今まで袁術により必要以上の重税のせいで薬も買えない状態で病気は悪化する一方だったのだそうだ。その後、袁術から開放されたが稼ぎたくても手持ちのお金では店を開けることもできず途方に暮れていた所に北郷様が助け舟をだしてくれたのだと店主が教えてくれました。

 

「ホントにあの時はありがとうございました」

 

「よ、止して下さいよ。俺はただ、自分の国の食べ物を教えただけですよ。お店をここまで発展させたのはおやっさんの力ですよ」

 

「それでも切っ掛けを与えてくださったのは御遣い様です。感謝しても仕切れないくらいですよ」

 

「まいったな……」

 

「おにいちゃん照れてる~!」

 

御遣い様は苦笑いを浮かべながら頬をかいて照れていらっしゃった。その顔に久しく忘れていた感情が湧き出てきた。

 

このお方は、桃香さまに似ている……いえ、正確には桃香さまとは違うのだけれどそれでも似ていらっしゃった。

 

「?おかあさんどうしたの?」

 

「え?なんでもないわよ」

 

愛娘の璃々に服の裾を引っ張られて現実に戻される。首をかしげ不思議そうに見上げてくる璃々に『なんでもないわよ』と伝えた。

 

「それじゃ、おっちゃんまた来るよ!」

 

「はい、いつでもお待ちしております」

 

店主は頭を深々と下げて見送ってくださった。

 

「ばいば~い!」

 

璃々も手を振ると笑顔で店主は手を振り替えしてくれた。

 

「さてと、そう言えば璃々ちゃんの服を買いに来たんだよね?」

 

「はい、偶の娘との遠出なので記念にこの地域での服を買って帰ろうかと思いまして」

 

「なるほど、それでお店は見つかったんですか?」

 

「いえ、それが……何分、初めての土地なので」

 

「そっか……なら俺が案内してあげましょうか?」

 

御遣い様の提案に私は驚き、璃々は嬉しそうに飛び跳ねた。

 

「で、ですが、北郷様もお忙しいのでは?」

 

「えっと……大丈夫ですよ。うん、大丈夫!」

 

「だ、大丈夫そうには見えないのですが」

 

御遣い様、苦笑いを浮かべながら大丈夫と仰られても説得力に欠けるのですが。

 

「おにいちゃん!はやくいこー!」

 

「こ、こら、璃々!まだ、一緒に行くとは」

 

「よ~し、璃々ちゃん行くぞ~~!」

 

「うん!」

 

「あっ!ほ、北郷様!」

 

「わ~い!高い高い!きゃははっ!」

 

御遣い様は璃々を抱き上げて走り出してしまわれた。

 

「……な、なんだか大きな子供がもう一人出来た感じがしてきたわね……ふふふ」

 

自分で言っていておかしくなりつい笑ってしまった。

 

「おかーさん!はやくおいでよ~!」

 

「黄忠さん!早く行きましょう!」

 

「はいはい。今行きますわ」

 

遠くで屈託無く笑う御遣い様の笑顔に私も自然と笑顔になっていました。

 

「これなんてどうでしょうか?」

 

「そうですね~。もう少し動きやすそうな服はありますか?」

 

「なら、これはどうですか?」

 

「う~ん、少し地味ではないかしら?」

 

御遣い様にお店を案内して頂き、今は璃々の服選びの真っ最中。御遣い様にも服を色々と選んでいただいていた。

 

「おかあさんこれー!」

 

璃々が笑顔で一着の服を持ってやってきた。その服は真っ白で首周りは少し広がっていて見たことの無い形をしていた。

 

「おっ!璃々ちゃんお姫様みたいだぞ」

 

「おひめさま?」

 

「ああ、お姫様って言うのはね。璃々ちゃん見たいに可愛い娘の事を言うんだよ」

 

「ほんと?璃々、かわいいの?」

 

「ああ、璃々ちゃんは可愛いよ」

 

「おかあさん!おにいちゃんが璃々のことかわいいって!おひめさまみたいだって!」

 

「よかったわね。璃々」

 

「うん!えへへ♪」

 

璃々はとても嬉しそうに服を持ってくるくると回っていた。

 

ふと隣に居る御遣い様を見るととてもお優しい顔をして璃々を見ていらした。

 

「璃々がどうかしましたか?」

 

「え?いや、妹を思い出していたんですよ」

 

「北郷様には妹君がいらっしゃるのですか?」

 

「ええ、でも、璃々ちゃんと同じ歳じゃないんですけどね。それでも昔の妹を見てるみたいで守ってあげたいなって思うんですよ」

 

「その妹君はどちらに?」

 

そこで御遣い様は一瞬陰りを見せたが直ぐに笑顔になって答えてくださいました。

 

「この世界にはいませんよ。もともと、俺もこの世界の住人じゃないので」

 

「この住人ではないとはどういうことでしょうか?」

 

「そのままの意味ですよ。俺は彗星の落ちたところで雪蓮、孫策に拾われて呉に遣え始めました。最初は文字も書けなかったんですよ?。それでも周喩や陸遜のおかげで文字も書けるようになって街の住人とも親しくなれました。でも……」

 

そこでまた御遣い様の瞳に陰りが浮かび上がっていた。

 

「たまに思っちゃうんですよ。じいちゃんや父さん、母さん、妹はどうしてるのかなって」

 

「す、すいません。立ち入ったお話を」

 

「いいえ、気にしてませんよ。確かに最初のうちは帰りたいと思いましたけど、今はこの世界も大好きになりました。そう思えるようになれたのも孫策たちのおかげなんですけどね」

 

「……」

 

その思いに、なによりその笑顔にわたくしは何もいえなくなってしまいました。

 

「?どうかしましたか?」

 

「い、いえ、なんでもありませんわ」

 

「ねえ、おかあさん!璃々、この服がいい!」

 

「それでいいの?それじゃお外で遊べないわよ?」

 

「いいの!だって璃々、おひめさまになるんだもん!」

 

「あらあら、それじゃそれをお店の人に渡してきましょうね」

 

「うん!」

 

「あっ、璃々ちゃんその服はね、これと一緒に買うんだよ」

 

「?おぼうしもいっしょなの?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「北郷さま、その帽子はなんと言うのですか?余り見たことの無い帽子ですね」

 

「これは麦藁帽子と言って、主に夏に暑さから守る為の帽子なんですよ。軽くて丈夫なんですよ」

 

御遣い様から麦藁帽子なるものを受け取りました。

 

「麦藁帽子ですか?確かに軽いし涼しそうですわね」

 

「そうでしょ?それにさっき璃々ちゃんが持って来た服、ワンピースと言うんですがあれも主に夏に着る服なんですよ」

 

「わんぴす?それに服に時期があるのですか?」

 

「ワンピースです。ええ、あの服は薄い生地で出来ていて冬だと薄すぎるんですよ」

 

「なるほど、分かりましたわ。着る時期は注意いたしますね」

 

「ええ、風邪でもひいたら大変ですからね」

 

「それにしてもここの服は変わったものばかりですね」

 

「え?ああ、ここの服は俺のいた世界の服を作っておいてあるんですよ」

 

「天の世界のお召し物ですか?」

 

御遣い様に言われ服を手に取り興味深く見てみる。

 

「天の世界は服装にも花がおなりなのですね」

 

「そうでもないですよ?ここに置いてあるのは主に女性用の服ですからそう見えるだけですよ」

 

「そうなのですか?ですが御遣い様のお召し物もとても綺麗で花がおありにみえるのですが」

 

「これは制服と言ってここで言えば、兵士達が同じ鎧を身に着けているように証明みたいなものなんですよ。私は呉の兵士だ。見たいにね」

 

それを聞いて驚いてしまった。天の世界はこのような綺麗な服を使って軍勢の区別をしていると言う事実に。

 

「すごいですわね」

 

「そうでもないですよ」

 

――くいくいっ

 

わたくしが関心していると服の袖を引っ張られたので下を向いてみるとり璃々が頬を膨らませて立っていた。

 

「おかあさんとおにいちゃんおはなしがながいよ!璃々、まちくたびれちゃったよ!」

 

「あらあら、ごめんなさい璃々。それじゃお金を払ってきましょうか」

 

「うん!えへへ」

 

「ふふふ……あら?」

 

「どうしたの、おかあさん?」

 

璃々と手を繋ぎお金を払いに行こうとしたときだった。わたくしの目に白く輝くものが目に映った。

 

「これは……」

 

その美しさに言葉を失ってしまいました。御遣い様の服や璃々が持っているわんいぃすよりも真っ白な服がそこにあったのですから。

 

「あ、あの北郷様?あの服は一体……」

 

「え?ああ、あれですか?あれはウェディングドレスと言って特別な時に着るものですよ」

 

「特別な時、ですか?」

 

この服を見た時、なんとなくそうなのではないかと思ったけどやっぱり特別な時に着るものだったのね。

 

「あ、あの、着てみても大丈夫なものなのでしょうか?」

 

わたくしはあの服にとても興味を持ち御遣い様にたずねてみた。

 

「いいと思いますよ?ちょっと待っててくださいね、聞いてみますから。その間に璃々ちゃんの服のお金を払ってきててください。璃々ちゃんが待ちくたびれてますよ」

 

「そうでしたわね。それじゃ璃々行きましょうか」

 

「も~、おかあさん、めっだよ!」

 

「ごめんね璃々。さ、お金を払ってきましょ」

 

頬を膨らませて起こる璃々の手を取り、店番の人に会計を済ませると璃々は満面の笑みで包みを受け取っていた。

 

「おにいちゃん見て見てー!」

 

「おっ!良かったね璃々ちゃん。きっと似合うよ」

 

「えへへ」

 

「お待たせいたしましたわ。如何だったでしょうか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。あとこの服は一人だと着れないと思うのでここの店員さんに手伝ってもらいます」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

御遣い様の後ろでペコリと頭を下げた女性の店員にわたくしもお辞儀をした。

 

「こちらこそ、よろしくお願いいたしますね」

 

「はい!お二人が幸せになれるように頑張ります!」

 

「え、ええ」

 

店員の言っている意味が分からず首を傾げてしまった。

 

「おかあさんいいな~」

 

「それじゃ、璃々ちゃんも今買った服着るかい?」

 

「え、いいの?!璃々着たい!」

 

「それじゃ、お店の人呼んでくるから待っててくれるかな?」

 

「えー、璃々、おにいちゃんに着せてもらいたいな」

 

「ええ?!そ、それはちょっと……」

 

御遣い様は驚きとても困っているようでした。

 

あのようなお顔も出来るのですね。

 

わたくしは、段々と御遣い様に興味を持ち始めていました。

 

「ダメなの?」

 

「うっ……そんな目で見られると……あ、あの黄忠さん~」

 

御遣い様は女の涙に弱いのかしら?後で試してみようかしら?

 

「ふふふ、いいではありませんか。璃々の事、よろしくお願いしますね」

 

「ええ?!い、いいんですか?!自分の娘が誰とも判らない男に肌を晒しても?!」

 

「あらあら、何処の誰と判らない人に娘の肌なんて見せませんわよ?それに北郷様なら娘に邪な事はしないと信じてお願いしているのですわ」

 

「で、ですが、これでも一応男でして……」

 

「あらあら、璃々を女として見てくれているのですか?でしたら、璃々も将来有望ですわね」

 

「茶化さないでくださいよ。璃々ちゃんはとても可愛らしい娘ですよ。それに黄忠さんだってとてもお綺麗じゃないですか」

 

「っ!そ、そうかしら?」

 

飾り気の無い言葉でしたが御遣い様の言葉はわたくしの胸と響いてきました。こんな気持ちにさせられたのは夫以来かしら……

 

「そうですよ。だから璃々ちゃんも俺なんかじゃなくて店員さんに着せてもらった方が」

 

「いいえ、やはり、御遣い様にお願いいたしますわ。確信しました。璃々もいいわよね?」

 

「うん!」

 

「璃々も同意しています。お願いできませんか?」

 

「おにいちゃん、おねがい」

 

「うっ!うぅぅぅ……はぁ、わかりました。それじゃ、璃々ちゃんの着替えは俺がしますね」

 

「お願いします。璃々、ちゃんと御遣い様の言う事を聞くのよ?」

 

「は~い!」

 

璃々は元気良く手を上げて返事をしてくれた。

 

「はぁ、それじゃ璃々ちゃん、お母さんをビックリさせようね」

 

「びっくり?」

 

「驚かせるって意味だよ」

 

「うん!璃々、おかあさんをびっくりさせるー!」

 

そのまま御遣い様に手を引かれて布で区切られた部屋に入っていったのでわたくしも着替え始めた。

 

しばらくしてわたくしの着替えが終わり部屋から出ると既に璃々の着替えは終わっていたらしく、そこにはいつも以上に可愛らしいわたくしの娘が立っていた。

 

「わー!おかあさん、とってもきれいだ!まるでてんにょさま見たい!」

 

「ありがとう璃々。璃々もとても可愛いわよ」

 

「えへへ♪」

 

璃々は麦藁帽子を被ってクルクルと周っていてとても楽しそうでした。

 

「よかったね璃々ちゃん」

 

「うん!」

 

そこへ笑顔で璃々に微笑む御遣い様が出てきました。

 

「黄忠さんもお綺麗ですよ」

 

「いやですわ。もう、わたくしは綺麗と呼ばれる歳ではありませんわ」

 

「そんなことないですよ。黄忠さんはまだまだお若いですよ。だって、こんなに綺麗で可愛らしいのですから」

 

「~~っ!そ、そんな事を言われてしまうと困りますわ」

 

うれしい。最初に思ったことはこの一言だった。

 

璃々を女手一つで育て、女としての喜びを当に捨てたわたくしには無縁のものだと思っていたのだから。

 

「とてもお似合いですよ!お幸せに!」

 

わたくしの横で着替えを手伝ってくださった女性の店員は両手を合わせてとても嬉しそうに微笑んでいたのだけれど、お幸せにってどういう意味かしら?

 

「あ、あの先程からおめでとうございますとかお幸せにと仰っていますがどういう意味なのでしょうか?」

 

「え?だって婚姻されたのではないのですか?」

 

「……え?こ、婚姻?」

 

それはどういう意味なのかしら?答えを求めるように御遣い様に目を向けるととてもばつが悪そうになさっていた。

 

「あ、あの北郷様?婚姻とはどういうことなのでしょうか?」

 

「え、あ~……すいません。言い忘れてたんですけど、そのウェディングドレスと言うのは結婚式、つまり婚姻の儀式の時に女性の方が着る服なんですよ」

 

「あ、あらあら、それではわたくしは北郷様の妻になってしまったのですね」

 

「ちがっ!これは試着で!黄忠さんが着てみたい言ったからであって!そ、それに黄忠さんには立派な夫がいるでしょうし!」

 

「いませんわ」

 

「……え?」

 

「璃々のおとうさんはね。もう居ないんだよ」

 

璃々は御遣い様を悲しそうに見上げていた。その顔に璃々に対して申し訳なさがこみ上げてきた。

 

「す、すいません。不謹慎な事を言って」

 

「いえ、いいのですよ。御気になさらずに」

 

「そういう訳には……」

 

御遣い様は我が身の様に心を痛めているようだった。

 

ああ、この方は他人の痛みを自分の痛みの様に感じてくださるのですね。

 

この方はやはり桃香さまに似ているのかもしれないわね。

 

わたくしは心の中でそう思った。ですが、それだけではないような気もします。

 

「……よし!なら……」

 

御遣い様は何かを思いついたのか璃々を抱き上げてニッコリと微笑みとんでもない事を仰った。

 

「今日一日、俺が、璃々ちゃんのお父さんになってあげるよ!」

 

「……え?ほ、北郷様、今、何と仰いましたか?」

 

「今日一日、璃々ちゃんのお父さんになると言ったんですよ」

 

「で、ですがほ「わーい!おにいちゃんが、おとうさんだ!」り、璃々!」

 

璃々は嬉しそうに御遣い様の首に抱きついて嬉しそうにしていた。

 

「おとうさん♪」

 

「なんだい璃々ちゃん」

 

「えへへ、よんでみただけ♪」

 

「ははは、そっか~」

 

「うん!」

 

「……」

 

璃々も満更ではないのか本当に嬉しそうにしていた。

 

「黄忠さんどうかしましたか?」

 

「おかあさん?」

 

「え?あらあら、なんでもないですよ。それより北郷様、本当によろしいのですか?」

 

「構いませんよ。それとも迷惑でしたか?」

 

「いいえ、そのような事はございません。璃々も喜んでいるようなので」

 

「そうですか。よかった」

 

「……」

 

御遣い様の微笑みにわたくしはまた魅入ってしまいました。

 

「ねえ、おとうさん、璃々かわいい?」

 

「ああ、可愛いぞ。お姫様みたいだ」

 

「えへへ~、ありがとう、おとうさん!」

 

「どういたしまして」

 

――くっ~~~

 

和やかな雰囲気の中、突然不釣合いな可愛らしい音が聞こえてきた。

 

「あらあら、誰のお腹の音かしら?」

 

わかりきった事をわたくしは声に出して言うと璃々は恥ずかしそうに顔を背けた。

 

――ぐぅ~~~

 

「あ、あはは、連続でなると恥ずかしいな。そろそろお昼だし、何か食べに行こうか璃々ちゃんもお腹空いたかな?」

 

御遣い様は璃々を庇って自分のお腹が二回もなったと仰った。

 

「うん!えへへ」

 

「そうですわね。では、着替えてしまうので少々お待ちください」

 

「わかりました。あ、黄忠さん」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「とってもお綺麗ですよ」

 

「~~~~っ!あ、ありがとうございます」

 

御遣い様の素直な感想とその笑顔にわたくしの鼓動は速さを増してきてしまいました。

 

「あ~!おかあさん、お顔赤いよ?」

 

「り、璃々?!」

 

「本当ですね。大丈夫ですか?熱は……」

 

「っ!」

 

御遣い様のお手がわたくしのおでこに?!

 

「……うん、熱は無いみたいですね。けど、無理はしないでくださいね」

 

「は、はい……と、とにかく着替えてしまいますのでお待ちください」

 

わたくしは逃げるようにして布で区切られた部屋へ入っていきました。

 

「ふぅ、危ないところだったわ……」

 

危うく御遣い様に悟られてしまうかと思いましたわ。

 

「あ、あの、本当にご夫婦ではないのですか?」

 

着替えを手伝ってくれている店の女店員が遠慮がちに聞いてきた。

 

「え?ええ、違いますよ」

 

「そうでしたか。先程は申し訳ありませんでした」

 

「いいのよ。わたくしもこの服がそんな意味があるなんて知らなかったのだから」

 

確かに綺麗だと思いましたが、天の国ではみなこのような服を着て婚儀を行うのですね。少し羨ましいです。

 

「それと、御遣い様には気をつけた方がいいですよ」

 

「?それはなぜですか?」

 

「あのお方は、笑顔で『綺麗』だとか『可愛い』とかそう言った事を素直な感想を言葉にして伝えてくるのです。私も最初はそうとは知らずに御遣い様は私の事が好きで口説いているのでは?っと勘違いするほどです。ですが、そのあとなぜか孫策様が現れて『御遣い様の可愛いとか、綺麗とかは挨拶みたいなものだから勘違いするな』っと言われて、なんだか納得してしまいました。少し残念でしたけどね」

 

確かに、あの微笑でそんな事を言われてしまっては勘違いしてしまっても仕方が無いかもしれませんね。

 

「あらあら、それじゃ、わたくしの綺麗も挨拶みたいなものなのかしら?」

 

「どうでしょうか?。多分ですが、孫策様は御遣い様に私達を近づかせないようにする為に言ったのかも知れません。御遣い様は女性の方に結構人気があるんですよ。話によると御遣い様に構ってもらおうの会が女性の間で広がっているとか、私は入会していませんけどね」

 

「な、なんだか凄いのね」

 

「はい、御遣い様は男性、女性、子供に大人、分け隔てなく接してくださいますから。少なからず私も御遣い様の事は好きですよ。残念ながら私には亭主が居ますけどね」

 

「あらあら」

 

「それでも御遣い様は普通に接してくださいますから、うちの夫もよく言ってますよ『御遣い様には敵わない』って」

 

笑顔で答える店員の女性は本当に御遣い様を慕っているようでした。

 

「お待たせいたしました」

 

「いえ、そんなに待っていませんよ。ね、璃々ちゃん」

 

「うん!」

 

御遣い様と璃々は店の外で待っていました。

 

「それじゃ、お昼にしましょうか。黄忠さん、なにか食べたいものはありますか?」

 

「そうですねぇ。璃々は何か食べたいものはある?」

 

「う~んとね?う~んとね?……璃々、おとうさんと食べられればなんでもいい!」

 

「あらあら、この娘ったら」

 

「ははは、なら俺の行きつけのお店に行きましょう」

 

「わ~い!高い高い!」

 

「ほ、北郷様重くはないですか?」

 

「これくらい平気ですよ。璃々ちゃん、怖くないかい?」

 

「うん!」

 

「璃々、気をつけるのよ」

 

「はーい!」

 

「では行きましょうか黄忠さん」

 

「ええ……」

 

わたくしは、先程からちょっとした違和感を感じていました。

 

御遣い様は今日一日、璃々のお父さん役を引き受けてくれましたが、それはつまりは、わたくしの夫役でもあるということ。

 

ですが呼び方は『黄忠さん』っと他人行儀ですわ。ですが、そんな事で、真名を預けるのもおかしな事……いいえ、違うわね。

 

理由はどうあれ、わたくしはこの方から真名で呼んでもらいたい。あの優しいお声で呼んでもらいたいのです。

 

「そう言えば、黄忠さん」

 

「……」

 

「黄忠さん?」

 

「……え?な、なんでしょうか?」

 

考え事をしていたせいで、呼ばれていることに気がつかなかったわ。

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、少々考え事をしていましたもので。それでなんでしょうか?」

 

「え?ああ、黄忠さんは嫌いな食べ物とかありますか?」

 

「いいえ、特にはありませんわ」

 

「璃々、辛いのきら~い」

 

「そっかぁ、璃々ちゃんは辛いのが苦手なんだね」

 

「うん、お薬もきらい」

 

「ははは、苦いからね」

 

楽しそうに会話をする璃々と御遣い様を見ていてなぜか羨ましく思い始めていました。

 

「あの、北郷様?お願いがあるのですが」

 

「え?はい、なんでしょうか?」

 

「わたくしの真名を呼んで頂きたいのです」

 

「えっ!で、ですが、真名は神聖なもので」

 

「はい、わかっております。それに今はかりそめの夫婦であることも」

 

「ふ、夫婦?!いや、確かに璃々ちゃんの父親になるとは言いましたけど夫婦だなんて」

 

「あら、わたくしとの夫婦はお嫌ですか?それもそうですよね。わたくしのような年を取った女性では」

 

「そんな!黄忠さんみたいな魅力的な女性を嫌いになるなんてありませんよ!」

 

「でしたら、呼んでいただけませんか?わたくしの真名は紫苑と申します。この真名をあなた様にお預けいたします御遣い様」

 

「うっ……わかりました。お預かりします。その……紫苑さん」

 

「はい。それと呼び捨てで構いませんわ。それに喋り方も普通で構いませんよ。その喋り方ですとお疲れになりましょ?」

 

「えっと……ははは、敵わないな紫苑には。そんなに変な喋り方だったか?」

 

「いいえ、不自然な点はありませんでしたが、普段の喋り方と違うのでそうなのでは?っと思っただけです」

 

「御見それしました。すいません。俺には真名が無くて、だからせめて俺の事は一刀って呼んでください。こっちの世界だとこれが真名に当たると思うので」

 

「承知いたしました。一刀様」

 

「あ、やっぱり『様』は付くんですね」

 

「ええ、癖ですから」

 

「そっか、それじゃ仕方ないか。んじゃ行こうか、紫苑」

 

その笑顔にわたくしの胸はとても温かくなった。

 

「あー!璃々だけ仲間はずれ!」

 

「あらあら、ごめんなさい璃々」

 

「ごめんな?それじゃ三人で手を繋いで行こうか?」

 

「うん!」

 

笑顔で頷く璃々はここ最近見たことが無いくらいとても嬉しそうでした。

 

「さあ、着いたぞ璃々ちゃん」

 

御遣い様、一刀様が案内してくれたお店はとてもお洒落で、いい雰囲気のお店でした。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「おっす」

 

「またサボりですか?」

 

「違うって、入って早々にそりゃないよ」

 

「ふふふ、それじゃ、サボってない時とそうじゃない時でここにきた時はどっちが多いと思いますか?」

 

「えっと……ははは」

 

一刀様は苦笑いを浮かべながら頭をかいていました。

 

「ふふふ、あら?」

 

お店の女店員はわたくしたちに気がついたのかこちらを見てきた。

 

「御遣い様、また口説いてきたんですか?」

 

「なっ!ち、違うって!」

 

「ダメですよ~。そんな事ばっかりしてると孫策様にあそこ切り落とされちゃいますよ」

 

「うっ!」

 

一刀様は自分の下半身に手を当てて前かがみになった。

 

「誤解だって、彼女は「奥さんですわ」そう、おくさって、えええ?!」

 

一刀様は大慌てで振り向きわたくしを見てきたのでニッコリと笑い璃々に話しかけた。

 

「そうよね、璃々?」

 

「うん!みつかいさまはね、おとうさんなの!」

 

「御遣い様……お元気で!」

 

「ちょ!なに、縁起でもない事言ってるんですか!し、紫苑もふざけないでよ」

 

「ま、真名を呼ぶ仲!」

 

「だ~か~ら~!」

 

一刀様は必死に店員に説明をしている、そんな中わたくしと璃々はそのやり取りを見ていた。

 

「おかあさん、おとうさん何してるの?」

 

「さあ、何しているのかしらね?璃々はなにをしていると思う?」

 

「う~ん……わかんない」

 

「そうね。璃々にはまだ分からないわね」

 

「むー!おかあさんだってわからないっていったもん!」

 

「あらあら、そうだったわね」

 

「はぁ、やれやれ、やっと誤解が解けた」

 

「あら、わたくしはもう捨てられてしまったのですね」

 

「紫苑ってもしかして悪戯好きですか?」

 

「どうでしょうか?自分ではそう思ったことは無いのですが、一刀様を見ていると何となくからかいたくなってしまうのですわ」

 

なぜ?っと聞かれてしまうと、そうなのだから、としか言いようが無い。今までこんな事は無かった事でわたくし自身も驚いていた。

 

「はぁ、まあいいですよ。慣れてますから、雪蓮と優未で。さあ、それじゃ、気を取り直してお昼にしようか」

 

「ええ、璃々行くわよ」

 

「は~い!」

 

璃々は元気良く返事をすると一刀様の手を取り店へと入っていった。

 

「あらあら、本当の親子みたいね。ふふふ」

 

わたくしも二人の後姿を見ながら店へと入っていった。

 

「大変美味しかったですわ」

 

「それはよかった。璃々ちゃんはどうだったかな?」

 

「とってもおいしかったよ!」

 

璃々は笑顔で一刀様の返事に答えた。

 

「それにしても、一刀様も子供みたいでしたわ」

 

「ははは……面目ない」

 

一刀様は頭を垂れて落ち込んでしまった。事は、昼食中の事だった。

 

……

 

…………

 

………………

 

『一刀様、ここのお勧めは何でしょうか?』

 

『そうだなあ……これなんてどうですか?』

 

御遣い様はお品書きを机に置いて指を指してくださいました。

 

『麻婆豆腐丼?それはどんな食べ物なのですか?』

 

『これは麻婆豆腐をご飯の上に乗せてあるんですよ』

 

『まあ、美味しいのですか?』

 

『ここのお店の一番人気料理ですよ』

 

『璃々これ食べてみたい!』

 

『ちょっと辛いけど大丈夫かな?』

 

『う~ん、わかんないけど、食べてみたい!』

 

『ははは、わかった。それじゃ、少し辛さを抑えてもらおうね。紫苑はどうする?』

 

『それでは私も麻婆豆腐丼を』

 

『了解。すいませーん!』

 

『はいはーい。お決まりですか御遣い様』

 

『ああ、麻婆豆腐丼三つで、それと一つだけ辛く出来なくできる?』

 

『大丈夫だと思いますよ』

 

『それじゃそれでお願い』

 

『は~い、繰り返しますね。麻婆豆腐丼三つに内一つは辛さ控えめで。以上でよろしいですか?』

 

『うん!』

 

『はぁ~、可愛いですね。御遣い様の子供ですか?』

 

『ぶー!げほっ!げほっ!だ、だからさっき言ったじゃないですか!』

 

『あはは、冗談ですよ。それでは、ごゆっくり~』

 

『ふふふ、一刀様は人気がおありなのですね』

 

『そう見えるか?ただからかわれてるだけだと思うんだけど』

 

『嫌われている人に態々からかうようなことは致しませんよ。それが人気のある証拠ですわ』

 

『そうなのかな~。璃々ちゃんはどう思う?』

 

『う~ん?よくわからないけど、璃々、おとうさん好きだよ♪』

 

『ぐはっ!』

 

『か、一刀様!どうかいたしましたか?』

 

『い、いや……璃々ちゃんの真っ直ぐな笑顔にやられただけです』

 

『は、はぁ……』

 

『お待たせしました~って、御遣い様、何やってるんですか?』

 

『なんでもないぞ』

 

『ふ~ん、どうせ。子供に欲情でもしたんじゃないんですか?』

 

『なっ?!す、するわけ無いだろ?!』

 

『今、どもりましたね』

 

『ぐっ!』

 

『ねえ、おかあさん。よくじょうってなに?』

 

『璃々はまだ知らなくていいのよ』

 

『えー!璃々、こどもじゃないもん!』

 

『は~い、お嬢ちゃんの辛さ控えめの麻婆豆腐丼だよ』

 

『わーい!おいしそう!』

 

璃々は直ぐに意識を麻婆豆腐丼に向け目を輝かせていました。

 

麻婆豆腐丼を食卓に置いて店員の人は戻っていきました。

 

『それじゃ、食べようか』

 

『うん!いただきま~す!』

 

『あ、璃々ちゃん。これで食べると食べやすいよ』

 

『?なにこれ?』

 

『これはねスプーンって言ってね。こうやって使うんだよ』

 

『これは便利ですね。すぷぅんですか……』

 

料理に使うお玉を小さくして浅くした感じですね。これなら璃々でもうまく食べられるわね。

 

『あらあら、璃々。ほっぺにご飯がくっ付いてるわよ』

 

『ふぇ?』

 

『本当だ。璃々ちゃん、ちょっと動かないでね』

 

『む~』

 

『はい、取れたよ』

 

『えへへ♪ありがとう、おとうさん!』

 

『どう致しまして』

 

『あらあら、一刀様も』

 

『え?』

 

『動かないでくださいね……、はい、取れましたよ。ふふふ、これではどちらが子供かわかりませんね』

 

『おとうさんもこども~!』

 

『ははは、参ったな』

 

『ふふふ……』

 

本当の父親ではないけど、家族三人で食べた食事はとても美味しく、璃々にもいい思い出になった事でしょう。

 

「それにしても天の世界には変わった食べ物が多いのですね。他にもあるのですか?」

 

食事を済ませた帰り道、一刀様に訪ねてみた。

 

「まだまだ沢山ありますよ。ハンバーグにカレーライス他にも沢山ありますよ」

 

「はんばぁぐ?とはどのような食べ物なのでしょうか?」

 

「牛肉、玉ねぎ、人参を混ぜ合わせて焼いたもので。まあ、他にも色々と必要なんだけどね」

 

「美味しそうですわね」

 

「璃々も食べてみたい!」

 

「ははは、それじゃ、今度作ってあげるよ」

 

「ホント?!わーい!わーい!おかあさん!おとうさんがはんばぁぐ作ってくれるって!」

 

「良かったわね」

 

ですが、ここに滞在しているのもあと数日。一刀様は何をお考えに……っ!

 

「大丈夫ですよ。必ず平和になります。その時にまた会えばいいじゃないですか」

 

一刀様は微笑みながら伝えてくださいました。

 

「よぉし!璃々ちゃん!こっちおいで!」

 

「なに?わぁ~!」

 

「どうだ!高いだろ~」

 

「わ~!お空がとってもちかいよ、おかあさん!」

 

「よかったわね。璃々」

 

「うん!」

 

この娘がもう少し大きくなった時には、争いの無い平和な時代でありますように……

 

わたくしは心の中でそう願いました。

 

「さあ、璃々。そろそろ戻りましょう。桃香様たちも心配していると思うわ」

 

「え~、まだおとうさんと一緒に居たいよ」

 

璃々は一刀様の肩の上で首を振って抗議してきました。

 

「我が侭を言ってはいけませんよ。一刀様もお困りにでしょ」

 

「おとうさんも?」

 

「ええ。だから戻りますよ」

 

「……は~い」

 

璃々には残念かもしれないけれどそろそろ終わりにしなければ……そう思っていた矢先に。

 

「よし、それじゃ、このままお城に戻ろうか璃々ちゃん」

 

「か、一刀様?で、ですが」

 

「いいんですよ。さあ、璃々ちゃん。紫苑と俺とで手を繋いで帰ろうか」

 

「……うん!えへへ♪」

 

「一刀様、あまり璃々を甘やかさないでください」

 

「何言ってるんですか。父親は娘を甘やかすものだって、うちのじっちゃんが言ってましたよ。おかげで俺は親父にこっぴどくしごかれてましたよ」

 

「あらあら。これじゃ、一刀様と孫策様の間に出来たお子様が女の子だったら大変な子煩悩になりそうですわね」

 

「ぶっ!ちょ!な、なんで俺と雪蓮なんですか?!」

 

「あら?それでは孫権様ですか?」

 

「いや、そう言うことではなくてですね……」

 

「違うのですか?では、周喩殿かしら……」

 

「……あ、あの、蜀では俺なんて言われてるんですか?」

 

「そうですねぇ……聞きたいですか?」

 

「今の反応でなんとなく分かりました」

 

一刀様は肩をがっくりと落としてしまいました。

 

「?おとうさんどうしたの?」

 

「ははは、なんでもないよ璃々ちゃん」

 

「ですが、所詮噂ですから。実際にお会いして違うということが分かりましたし」

 

本当に、噂とはまるで違うお方でした。とてもお優しく、民に親しまれ身分の違いなどまったく気にしていないようで、こんな方が璃々の夫だったらっと本気で思ってしまいました。

 

「ん?どうかしたか紫苑?」

 

「っ!い、いえ。なんでもありませんわ」

 

わ、わたくしとしたことが見惚れてしまうなんて……

 

「あの、一刀様?」

 

「はい?」

 

「一刀様は娶るならどういった女性がお好みなのでしょうか?」

 

「ど、どうしたんですか急に?」

 

「いいえ、なんとなくです。それでどうなのでしょうか?」

 

「そうだな~、優未みたいな元気な娘もいいし、蓮華見たいなおしっ、げふん!恥ずかしがり屋でもいいな。雪蓮みたいな美人もいいよなあ~」

 

「……やっぱり種馬ですね」

 

「ぐはっ!そ、そんなことはないぞ?うん、ないない」

 

少し呆れながらもちょっと残念な気持ちになった。

 

やっぱり、わたくし見たいなおばさんじゃ無理よね……

 

「ああ、紫苑見たいな家庭的な女性でもいいよな」

 

「……え?」

 

一刀様は今なんと?

 

「ははは、これじゃ本当に節操がないよな」

 

「あ、あのかず「一刀~~~~~~~~っ!!!」……?」

 

もう一度、聞こうとした時だった。遠くから叫びながら近づいてくる人影が見えた。

 

「雪蓮?どうしっ「ふんっ!」ぐはっ!」

 

人影は孫策様でした。孫策様は通り過ぎ様に一刀様にお腹に拳を潜り込ませて打ち上げました。

 

「か、一刀様、大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ、大丈夫だよ紫苑」

 

――ぴくっ

 

「おとうさん!」

 

――ぴくぴくっ

 

「一刀?いつ、真名を交換したのかしら?それに誰がお父さんですって?」

 

「……え?」

 

孫策様は腰に提げていた太刀を引き抜き一刀様に向けていた。

 

「お、落ちつこう雪蓮。これには理由が」

 

「そう、なら今ここで聞いてあげる。さっさと喋りなさい」

 

「だめーぇ!おとうさんいじめちゃ、めっ!だよ!」

 

「何を言っているの?一刀はあなたの父親じゃないわよ」

 

「ちがうもん!璃々のおとうさんになってくれるっていったもん!」

 

「ぐぬぬっ、一刀は私のなんだから、あんたみたいなちびっ子に一刀はあげないわよ!」

 

「ちびっ子じゃないもん!璃々には璃々って名前があるんだから!」

 

「それ真名でしょ?!そんなの呼べるわけ無いじゃない!いいから、一刀から離れなさい!」

 

「い~や~~だ~~~~っ!璃々、おとうさんとずっといっしょにいるの~~~!」

 

璃々は一刀様の首に抱きつき離れようとせず、孫策様はそんな璃々を引き離そうと体を掴んでいた。

 

「ぐ、ぐるぢぃ、り、璃々ちゃん、し、雪蓮……ち、力緩めて……」

 

「やぁよ!この娘が手を離せば済む話でしょ!」

 

「やぁだ~!璃々はなさないもん!」

 

「ま、まじで!や、やばっ……」

 

ああ、一刀様のお顔が真っ青に……

 

「はっ!り、璃々手を離しなさい!一刀様が死んじゃうわよ!」

 

「ふぇ?」

 

――ぱっ

 

「ちょ!い、行き成り離さないでよ!きゃぁあっ!」

 

――ガラガラガッシャーン!!

 

璃々が急に手の力を緩めてしまい、孫策様は璃々共々後ろの商店に転げて行ってしまった。

 

「璃々?!孫策様も大丈夫ですか!」

 

「あいたたた……なんとかね、この娘も無事よ」

 

璃々は孫策様のお腹の上で何が起きたか分からないのか目をぱちくりとさせていました。

 

「げほっ!げほっ!は~死ぬかと思った」

 

「大丈夫ですか、一刀様」

 

「あ、ああ。あ~空気が美味しい!」

 

「ちょっと~、こっちを心配しなさいよね一刀。お尻打っちゃったじゃない」

 

「いや、こっちは死にそうになってたんだけど……」

 

「そんな事知らないわよ。一刀がいけないんでしょ。早く起こしてよ~」

 

「はいはい……ほら、手出して」

 

「うん♪」

 

孫策様が笑顔で一刀様の手を取ろうとした時でした。

 

「ありがとう、おとうさん!」

 

「ちょっ!なんであんたが一刀の手握ってるのよ!」

 

「璃々のおとうさんだから」

 

「理由になってないじゃない!」

 

「まあまあ、ほら、雪蓮も」

 

「ぶー、仕方ないわね」

 

文句を言いながらも頬を染めて一刀様の手を取る孫策様はやっぱり一刀様が好きなのでしょうね。

 

そんな二人を、微笑ましくもちょっと残念そうにわたくしは見ていた。

 

「さてと、説明してもらいましょうか。一刀」

 

「それはいいけど。なんで俺、正座させられてるんだ?」

 

「あら、当たり前じゃない。今から尋問するんだから♪」

 

「笑顔でいうことじゃないよなそれ……」

 

「うるさいわね。罪人は私が言った事だけに答えればいいのよ」

 

「そんな理不尽な!」

 

「ねえ、おかあさん。おとうさんとあのお姉ちゃんなにしてるの?」

 

「今から一刀様と孫策様とでお話するのよ」

 

「ふ~ん」

 

「ちょ!紫苑!たすけっ「お黙り!」いてっ!」

 

「そ、孫策様、少々やり過ぎでは?」

 

「ああ、大丈夫よ。ちゃんと死なない程度に手加減してるから♪」

 

「は、はぁ……」

 

思わず、気の無い返事をしてしまったわたくしを孫策様は笑顔で見つめてきました。

 

「……なるほどね。まったく、目を離すと直ぐこれなんだから一刀は」

 

「あ、あの、なにがなるほどなのでしょうか?」

 

「ん?気にしなくていいわよ。こっちの話だから。さて、一刀、どういうことか説明してもらいましょうか?」

 

「わ、わかりました」

 

一刀様は事の顛末を孫策様にお話になりました。

 

「なるほどねぇ。一日だけこの娘のお父さん、ね~……はぁ」

 

一刀様は孫策様に説明をすると璃々の方を見て溜息を一つお吐きになった。

 

「一刀、あんたは分かってないわね」

 

「え?何のことだ?」

 

「あなたはわかってて許したのかしら、黄忠?」

 

「あらあら、何のことでしょうか?」

 

孫策様は私の目をじっと見つめてきたのでわたくしは笑顔で答えた。

 

「はぁ、まあいいわ。大変なことになるのは一刀だろうし」

 

「え、どういうことだ?」

 

「明日になれば分かるわよ。さあ、戻るわよ一刀」

 

「ちょ!ひ、引っ張らなくても!」

 

「うるさいわね。冥琳があなたを探してたから私が態々探しに来てあげたんだから感謝しなさい」

 

「だめー!おとうさんは璃々と帰るの!」

 

「ああもう!ムカつくわねこの娘!一刀は私のなの!いい加減に理解しなさいよ」

 

「璃々のなの~~~!」

 

「黄忠!あなたの娘でしょ!何とかしなさいよ!」

 

「まあまあ、帰るところは一緒なんだからいいじゃないか雪蓮。ほら、璃々ちゃんおいで」

 

「は~い♪」

 

「もう!一刀のバカ!」

 

「ほら、雪蓮も」

 

一刀様は璃々を抱き上げた腕とは逆の手を孫策様に差し出していました。

 

「し、仕方ないわね。今日はこれで我慢してあげるわよ」

 

仕方なさそうに孫策様は一刀様の手を取っていましたが何処か嬉しそうにしていました。

 

「あらあら、わたくしは手を差し出してくださらないのですか?」

 

「ええ?!そ、その……」

 

一刀様は困った顔をしてわたくしを見てきました。ふふ、そんな顔も出来るのですね。

 

「はぁ、仕方ないわね。今日はあなた達親子に一刀を貸してあげるわよ。でも、今日だけだからね」

 

「よろしいのですか?」

 

「あら、あなたが遠慮するなら私が手を繋ぐけど?」

 

「では、お言葉に甘えて」

 

わたくしは一刀様の手を取る。繋いだ手から一刀様の温かさが伝わって来るのがなんだかうれしかった。

 

「はぁ、ホント、明日が楽しみだわ」

 

「どういう意味だよ雪蓮」

 

「さあね?明日になればわかるかもよ?」

 

孫策様はそんな事を言って先に戻っていきました。

 

「さあ、わたくしたちも行きましょう」

 

「そうだな」

 

「しゅっぱつ、しんこ~~~~!」

 

「あらあら、璃々ったら」

 

「えへへ♪」

 

三人揃って城へと戻る。日はまだ高い位置にありましたが、とても充実した一日になりました。きっと璃々も満足したことでしょう。

 

翌朝、孫策様に王座の間に来るようにといわれたので璃々と一緒に行くと呉の将の他にも桃香さまや愛紗ちゃん、曹操が居ました。

 

「これで全員揃ったわね」

 

「あ、あの一刀様が居ないと思うのですが」

 

「なっ!紫苑よ。いつの間に一刀様と呼ぶようになったのだ?」

 

「か、かか一刀の名前を呼ぶなんて!」

 

「蓮華少し黙っていなさい。後でわかるわ」

 

「……わかりました」

 

「すまないわね。一刀は今から呼びに行くところよ。明命、一刀を呼んできて」

 

「は、はい!」

 

元気良く答えた周泰ちゃんは王座の間から出て行きました。

 

……

 

…………

 

………………

 

「お待たせしました!」

 

暫くすると周泰ちゃんは王座の間に戻ってきた。

 

「ふぁ~~~~……雪蓮、今日は朝議が無い日じゃなかったのか?」

 

眠たそうな顔をして一刀様が王座の間へと入ってきました。

 

「あっ!おとうさんだ!」

 

「「「え?」」」

 

「り、璃々!」

 

「え!り、璃々ちゃん?!」

 

――ぱたぱたぱたっ

 

「おとうさん。おはよ~~」

 

孫策様とわたくしを残し、固まる全員を無視して璃々は一刀様の元へと走り抱きつきました。

 

「おはよう璃々ちゃん」

 

「えへへ♪おとうさん♪」

 

「……はっ!ちょ、ちょっと一刀!お父さんってどういうことよ?!」

 

「一刀様、そんな!」

 

「一刀様……」

 

「ほほう、一刀もやるようになったな」

 

「一刀、お前は呉の将だと思っていたのだがな……」

 

「あはは~、一刀さんもやりますね~」

 

「……きさまはやっぱり死ぬべきだ北郷一刀」

 

「一刀さん、いつの間に紫苑さんの夫になったんですか?!」

 

「か、一刀様!わ、私ではダメなのですか?!」

 

「ふん、この種馬、とうとう子供にも手を出すなんて……私じゃダメだというの?」

 

「はぁ、まあ、こうなるわよね」

 

三者三様の回答が出ると一刀様も状況が分かったのか慌てだしました。

 

「り、璃々ちゃん?昨日言ったよね?お父さんになるのは昨日一日だけって」

 

「うん!」

 

「だ、だったらなんでかな?」

 

「えっとね。みつかいさまが璃々のおとうさんだといいなって思って!」

 

「ぐっ!」

 

満面の笑顔で答える璃々に一刀様は何も言えなくなっているようでした。

 

「さてっと黄忠。そろそろあの娘を一刀から放して頂戴。みんな我慢の限界みたいだし」

 

「璃々~ちょっとこっちに来て頂戴」

 

「は~い!」

 

璃々はぱたぱたと私の元へ戻ってくる。それと同時にみなさんが一刀様の元へと駆け出して行きました。

 

「黄忠は席を外した方がいいかもしれないわよ?その娘に見せるものじゃないと思うしね♪」

 

「笑顔で答えるのですね」

 

「もっちろん、あなた達が居なくなったら私もあそこに参加するんだもの♪たっぷりとお説教、もとい、お話をしてあげないとね。一刀が誰の者かを♪」

 

「おとうさんは璃々のなの!」

 

璃々の叫びに一斉にみなさんがこちらを振り向き、また一刀様へと向きなおった。

 

「り、璃々?!で、では、わたくしたちは少々席を外させていただきますね」

 

「ええ、そうした方がいいでしょうね」

 

わたくしと璃々とで扉へ歩いていく所を、一刀様は気がついたのかこちらに向かって叫んできました。

 

「ちょ!し、紫苑!た、助けてくれないのか?!」

 

「一刀!いつ黄忠と真名を交換したの!私というものが居ながら!」

 

「ちょっとお姉ちゃん!一刀はシャオのなんだから勝手に自分のものにしないでよね!」

 

「なっ!べ、別にそんなことは言っていないだろ?!」

 

「ねえ、おかあさん。おねえちゃんたち何してるの?」

 

「さ、さあ。何をしているのでしょうね?璃々、お腹は空かないかしら?」

 

「空いたー!」

 

「だったら厨房で何か作ってもらいなさい。それまでに済ませておくわよ」

 

璃々との会話を聞いていた孫策様がそんな事を伝えてきました。

 

「では、お言葉に甘えて。さあ、璃々行きましょ」

 

「うん!」

 

璃々は元気良く答えわたくしの手を握り部屋から出て行きました。

 

『さあ、覚悟なさい一刀♪』

 

扉の向こうで孫策様の楽しそうな声の後に。

 

『だ、誰か助けてくれ~~~~~~~っ!!!』

 

一刀様の悲鳴が木霊した。

 

「ふふふ」

 

「どうしたの。おかあさん?」

 

「なんでもないわよ。さぁ、厨房に行きましょうか」

 

わたくしをこんな気持ちにさせてくれた一刀様に困りつつも、たった一日だけでしたが璃々の父親になって頂いた一刀様には感謝してもしきれません。

 

「大陸が平和になれば、本当の家族になれるのかしら……ふふふ♪」

 

そんなありもしない事を口に出してみるが、実現しないとも言い切れないこの状況に少なからず期待をしてしまいました。

 

「おかあさん?」

 

「ふふふ、璃々が早く大きくなってくれると嬉しいなって思っていただけよ」

 

「璃々はもうおとなだよ?」

 

「そうだったわね」

 

笑顔で答えながら、未来に思いを馳せるわたくしでした。

 

葉月「ども!こんにちわ。始まりました懺悔の時間です!」

 

紫苑「こんにちは。紫苑ですわ。所で懺悔の時間とはどういうことなのでしょうか?」

 

葉月「いや~。毎回ここで言い訳してるから。懺悔の場にしようかななんて」

 

紫苑「あらあら、そんなこと言ってよいのですか?」

 

葉月「へ?」

 

雪蓮「死刑執行人、雪蓮ちゃん登場!」

 

葉月「げっ!今日は出番無いはずじゃ!それに死刑執行人ってなんですか!」

 

雪蓮「だって懺悔でしょ?なんだっけ?死んで詫びろ?」

 

葉月「違いますよ!勝手に殺さないでください!懺悔は罪を告白して許しを請うことです。多分!」

 

雪蓮「多分って何よ。いい加減ね。もういいじゃない死んで詫びたほうが手っ取り早いでしょ?」

 

紫苑「それではこのお話が終わってしまいますがよろしいのですか?」

 

雪蓮「あっそっか。だったら死にながらこの作品を書きなさい」

 

葉月「どんだけむちゃくちゃなこと言ってるんですか!とにかく、雪蓮の出番はまだ先なんですからおとなしくしていてください!」

 

雪蓮「ぶーぶー。わかったわよ」

 

葉月「ふぅ、やれやれ。それでは今回の作品ですが、如何だったでしょうか?」

 

雪蓮「面白くなーい!」

 

葉月「はい、外野は黙っててくださいね」

 

紫苑「なんだか題名は璃々が主役っぽい感じでしたが、中身はわたくし視点でしたわね」

 

葉月「まあ、璃々の視点で書くのは不可能と感じたので紫苑視点にしました。まあ、その結果が一刀が紫苑を落とす結果になってしまったんですが、問題ないですね!」

 

雪蓮「問題大有りよ!これ以上、恋敵増やさないでくれない!」

 

葉月「どうやら、紫苑も恋敵と雪蓮は認めてる見たいですね」

 

紫苑「あらあら、それは光栄なことなのかしら?」

 

葉月「きっとそうですよ」

 

紫苑「では、喜んでおきましょう。所で作中で璃々の名を真名って言っておりましたが本当なのですか?」

 

葉月「それは私的観点で真名にしただけなので、実際。ゲーム作品内でも璃々の名前は出てきてないので勝手に真名にしただけでして」

 

紫苑「なるほど、そうでしたか」

 

葉月「いや~、それにしても一刀は節操が無いですね~小さな子供から、じゅ(ダンッ!)っ!!!」

 

紫苑「あらあら、今、なんと仰ろうとしたのかしら?」

 

葉月「えっと、じゅ(ダンダンッ!)っ!!あ、あの紫苑さん?なんか私の周りに矢が刺さっているのですが?」

 

紫苑「気のせいですは。それでなんと仰ろうと?」(すちゃっ)

 

葉月「っ!き、綺麗なお姉様です!」

 

紫苑「あらあら、綺麗なお姉様だなんて。恥ずかしいわ」

 

葉月「は、ははは、はは……」

 

雪蓮「そのまま刺さっちゃえばよかったのに」

 

葉月「縁起でもないこと言わないでください!それに!」

 

雪蓮「はいはい。黙ってますよ~だ」

 

紫苑「それより、葉月さんは投稿して一年おたちになったのですよね?」

 

葉月・雪蓮「え?」

 

紫苑「あら、違いましたか?」

 

葉月「ちょ、ちょっと待ってくださいね。えっと……あ~確かに2009年11月12日に最初の投稿してますね」

 

雪蓮「もう九日も過ぎてるじゃない。葉月忘れてたの?」

 

葉月「すっかり忘れてました!そっか~、一年経ったんだな~。一年間早かったな……」

 

雪蓮「しみじみしてる所悪いけど皆に向かって言うことは無いの?」

 

葉月「ああ、そうですね。では、この場を借りて……えっと、一年間、こんな作品に付き合って頂き誠にありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。誤字の多い作者ですがこれからも、皆さんに楽しんでいただけるような作品を作っていけたらと思っていますので。これからも応援よろしくお願いします」

 

雪蓮「私からもよろしくね~♪」

 

葉月「さて、そろそろこのお時間も終わりにしましょうか」

 

紫苑「そうですわね。それで、次回は誰になりますの?」

 

葉月「頭が年中、幸せ一杯の女の子です」

 

紫苑「あらあら♪」

 

雪蓮「愛紗に言いつけてやろうかしら」

 

葉月「それだけは勘弁してください」

 

雪蓮「や~よ。それに私までまだまだ先じゃない!私の前にまだ三人も居るのよ!」

 

葉月「年内に雪蓮の作品が出ることはなさそうですね」

 

雪蓮「なんですって~~~~!」

 

葉月「っ!で、では皆さん、次回でお会いしましょう!それでは!」

 

雪蓮「あ!待ちなさいよ葉月!あっとっと、それじゃ皆!また会いましょ♪……待ちなさい葉月~~~~~っ!!」

 

紫苑「騒がしい方たちですわね。それでは皆さん。次回のお話もお楽しみに。司会進行の「葉月と!うわっ!!」、特別ゲストの「雪蓮よ!待て~~~!」と紫苑でお送りいたしました」


 
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