No.185502

真・恋姫†無双~天より来たりし戦士~ 第4話

マーチさん

作者の近況。


先生「よーし、今日の体育は柔道です。」

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2010-11-20 00:27:33 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3930   閲覧ユーザー数:3228

家に戻り、一刀は念願の食事にありつくことができた。

 

 

 

「はい、どうぞ。」

 

 

「いっただっきまーす!」

 

 

 

料理を出すや否や、ガツガツと食べ始める一刀。

 

 

徐福はそんな一刀を見て驚く。

 

 

 

「(なんか雰囲気が変わったなぁ・・・・。まるで子供みたいw)」

 

 

 

徐福はフフッ、と微笑む。

 

 

 

「どーした?(モグモグ)」

 

 

「いえ、美味しそうに食べてくれるから、嬉しくって・・・・・。」

 

 

 

一刀は口の中のものをゴクン。と飲み込み、少しだけ笑った。

 

 

 

「美味いよ。あったかくて・・・・・すげぇ美味い。」

 

 

「あ・・・・。」

 

 

 

まただ。

 

 

とてもキレイで、でもどこか『哀しい』感じがする、あの微笑み。

 

 

 

「ん?どーした??」

 

 

「い、いえ。なんでもないです////。」

 

 

「そうか。」

 

 

そう言うと、一刀は食事を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

そして食後、徐福は一刀にある話をした。

 

 

 

「『天の御遣い』?俺が?」

 

 

 

一刀に話したのは、国中で広まり出している『天の御遣い』の噂。

 

 

 

「はい。私が北郷様に初めてお会いした時、北郷様のお身体は白く光っていました。」

 

 

「まじでか。」

 

 

「そして、貴方は言いました。「『天の彼方』から来た」と・・・。そして山賊の一味を殲滅させるほどのあの『力』。北郷様、貴方は『天の御遣い』なのでは??」

 

 

「まぁ・・・・そう呼ぶこともできるな。」

 

 

 

一刀の言葉に、徐福は歓喜した。

 

 

 

「では、この乱世を鎮めるために、私達を救うために、天は貴方を遣わせたのですね!!!。」

 

 

 

すると、一刀の眉がピクッ、と動いた。

 

 

 

「乱世??」

 

 

「はい。この国にはさっきのような『賊』が各地で略奪をしています。官軍は見て見ぬふり・・・・・何もしてくれません。漢王朝は・・・・・民を救いません。」

 

 

 

「(この子があの『徐福』だったと仮定。そんでここは『漢王朝』という証言。ってことは・・・・ここは後漢時代の中国か。だが、決定的な証拠もない。あくまで『仮説』の域を出ないな。)」

 

 

すると、暗い口調だった徐福は一変、笑顔になる。

 

 

 

「でも、『天』は・・・・・私達を見捨てはしなかった。」

 

 

 

フワリと微笑む徐福を見て、一刀も自然と口元が綻びる。

 

 

 

「ああ、そうだな。『天』はな、お前のようなキレイな『笑顔』をする人間が大好きなんだよ。」

 

 

「え・・・・・//////!?」

 

 

 

徐福は真っ赤になる。

 

 

 

「やだ、キレイだなんて・・・・・/////」

 

 

 

手を頬に添えて俯く徐福には目もくれず、一刀は話題を切り替えて会話を続ける。

 

 

 

「そういやよぉ、徐福は一人暮らしか??」

 

 

「ふぇ!?いえ、普段は母と二人で暮らしています。母は仕事で街にいるので、私はお留守番です。もう何日かすれば帰ってくると思いますよ?」

 

 

「ふーん。」

 

 

「でも、一人は少し寂しいです・・・・。」

 

 

 

 

一刀は、こんな少女を一人残して去ることに少し悩みを抱いていた。

 

 

 

「(『一人』っていう辛さはわかる。わかるからこそ・・・・・・)」

 

 

 

一刀は決断を下した。

 

 

 

「もし、俺がここに居れば、その『不安』は消えるのか??」

 

 

「え・・・・・?」

 

 

「徐福さえよければ。の話だがな。」

 

 

「い、いいのですか?」

 

 

「おう、礼としてメシは作ってもらうけどな。」

 

 

「は、はい!!」

 

 

 

こうして、一刀は徐福の家に滞在することになった。

 

 

 

 

それからの数日間は徐福にとって、一刀にとって有意義なものになった。

 

 

 

 

 

 

 

最初こそ、お互いの間には『壁』のようなものがあったが今ではそれもなくなった。

 

 

 

 

「一刀さ~ん、どこですかぁ??」

 

 

 

徐福は一刀のことを『一刀さん』と呼ぶようになり、口調も少し柔らかくなっていた。

 

 

 

 

「はぁ・・・・・はぁ・・・・どーした?」

 

 

「あ、また『とれーにんぐ』ですか?汗だくじゃないですかもう・・・」

 

 

「こういうのは継続してやらないと意味ねぇからな。で、何か用か?里緒《りお》。」

 

 

 

一刀は徐福の真名を呼ぶことを許された。ちなみに口調は以前と変わらない。

 

 

 

 

「夕ご飯、できましたよ♪」

 

 

「おう、わかった。」

 

 

 

 

 

二人はまるで、夫婦のように過ごした。

 

 

 

 

そしてある日の夕方、ついに里緒の母が帰ってきた。

 

 

 

「はぁ・・・・やっと着いた。」

 

 

 

家に向かって歩いていくと、家の裏からバコン!バコン!という音が聞こえる。

 

 

「あら?何の音かしら??」

 

 

里緒の母は、そんなことを考えつつ、家の裏に向かう。

 

 

すると、そこには見たこともない青年が、薪割りをしていた。

 

 

そして、その隣には割られた薪を縄で結んでいる里緒の姿が。

 

 

 

「里緒・・・・・?」

 

 

里緒の母の言葉に、二人はほぼ同時に反応した

 

 

 

「ん?」

 

 

「あ、母上!!」

 

 

里緒は母の元に駆け寄り、一刀は薪割りに使っていた斧を切り株に突き刺してから歩み寄る。

 

 

 

「お帰りなさい、母上!」

 

 

「どーも。」

 

 

 

満天の笑顔で迎える娘と、その後ろで微笑みながら迎えてくれた見知らぬ男。

 

 

母は混乱した。

 

 

だが、里緒の説明を聞くと全ての状況を理解できた母は、一刀に頭を下げて礼を言った。

 

 

 

「2度も娘を救っていただき、どう感謝したらよいか―――。」

 

 

「いや、俺だって泊めてもらったり、メシ用意してもらったりしたんだ。礼を言うのは俺のほうだよ。」

 

 

 

 

そう言いながら、一刀は母の腰に差してある剣に注目した。

 

 

「(なるほど、母親が里緒を護ってたのか。)」

 

 

 

すると、里緒が一刀に話しかけてきた。

 

 

 

「あの・・・・一刀さん・・・・・」

 

 

「親は帰ってきた。もう、大丈夫だな。」

 

 

夕日を背にして微笑む一刀。

 

 

里緒は、とても悲しかった。

 

 

 

すると、母は「もう一日泊まってはいかがですか?」と提案し、一刀は徐家で最後の夜を過ごすことになった。

 

 

 

 

夜、一刀は外で座っていた。

 

 

「明日でここともおさらばか・・・・。」

 

 

 

「一刀さん。」

 

 

振り返ると、里緒がいた。

 

 

「どうした?夜更かしは美容の大敵だぜ??」

 

 

「なんですかそれww」

 

 

里緒はクスッ、と笑い、一刀の横に座った。

 

 

 

「明日で、お別れですね。」

 

 

「ああ、そうだな。」

 

 

「どうしても、行っちゃうんですか??」

 

 

「ああ。」

 

 

「そうですか。・・・・・・寂しいな。」

 

 

 

膝を抱え込んで呟く里緒。

 

 

 

 

 

 

「漢王朝は、民を救おうとしません。」

 

 

「らしいな。」

 

 

「だが、『天』は見捨てなかった。」

 

 

「おう。だから俺は『ここ』に来た。」

 

 

「一刀さん、どうか―――ご無事で―――。」

 

 

 

 

「おう。」

 

 

里緒はそのまま、一刀の肩に寄りかかって眠った。

 

 

 

 

 

 

 

夜明け前、里緒は目を覚ますと、一刀の姿はなかった。

 

 

寝ている内に、旅立ったのだ。

 

 

 

「サヨナラくらい・・・・・・言わせてくださいよ。」

 

 

 

里緒は涙を浮かべた。

 

 

家に戻ろうとすると、扉の前に『何か』があった。

 

 

 

「これ・・・・」

 

 

 

それは一刀のキャップと、中に入っていた一枚の紙切れだった。

 

 

 

「一刀・・・・さん・・・・。」

 

 

 

紙切れを見た里緒は、涙を流した。

 

 

 

紙には殴り書きで、たったの2文字しか書かれていなかった。

 

 

 

『再会』

 

 

 

それはこの国の文字の読み書きができない一刀が、里緒に送った『約束』だった。

 

 

 

 

 

 

 

―――またいつか、どこかで会おう―――

 


 
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