No.183771

黙々・恋姫無双 玖黙

TAPEtさん

いつもの話ですが、
戦い事についてはあまり詳しく出てきません。
しかも、今回は完全にネタ話ですね。ごめんなさい。
凪ちゃんとのやりとりでお許しください。

続きを表示

2010-11-10 23:28:21 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3780   閲覧ユーザー数:3068

そんな風に一刀で暫く遊んだ華琳さんは、すっかり機嫌がよくなっていて、春蘭さんたちが秋蘭さんと真桜さんと一緒に戻ってくる頃には、一刀ちゃんを膝の上で抱いて寛いでいました。

 

 

 

 

「城に篭っている敵の数は二十万ぐらいです」

「に、二十万!?」

「そんなにたくさんいるのー?」

 

秋蘭さんの報告に、季衣さんと沙和さんが反応します。

 

「まぁ、最後まで聞きな。数だけじゃあ二十万やけど、その中で実際戦えそうなやつらはまぁ3万ってところかな」

「???」

 

ああ、一刀は知らなくてもいい話ですよ。

略すると、今回戦う黄巾党が見た目はすごそうだけど、実際はすっごく弱いって話です。

 

「……」【やっぱり、戦争はするんだね】

 

はい…こればかりは、私たちでなんとかできることではないのですよ。

 

「……」

「……凪、一刀と外に居てもらえるかしら」

「は、はい」

 

難しい顔になっている一刀ちゃんを見て、華琳さんも気がついたのか凪さんに一刀ちゃんのことを委ねました。

って、よりにもよって凪さんですか?

そうでなくても凪さんのせいで(もちろん凪さんが悪いわけではないのですが)遠足がバーになって先凪さんにだけ意地悪した一刀ちゃんですのに……

 

いや、もしくはそれを承知の上の人選なのでしょうか。

 

「一刀様、どうぞこちらへ」

「………(じー)」

「…………………か、かずと」

「……」

 

二回目の呼びに反応して、一刀ちゃんは凪さんの手を掴んで会議場の外に出ました。

 

 

 

 

外に出た凪さんと一刀ちゃんですが……

 

「……」

「……」

 

二人とも無言。

うわ……

一刀ちゃん、何か言ってください。

場面の空気的にも、尺的にも不味いですから。

 

「……」【え?何?】

 

え?何?じゃなくて……

 

【さっちゃん、こんな時はうるさくしないんだよ。ちょっと静かにしてて】

 

えぇぇ……

 

「……」

「……♪」

「……//////」

 

は?

凪さん、手繋いでるだけで頬赤くしないでください。そうしてると凄く変質者に見えます。

 

「…あ、あの、一刀様。やっぱり、自分は、呼び捨てにするのは……」

「……(むっ)」

「うぅっ……」

 

どうしても呼び捨てが慣れていないような凪さんが色んな意味で泣き顔になっていますけど。

 

どうでしょうね。

他の外史なら、凪の北郷一刀への呼び方は隊長。

でも、ここの一刀ちゃんはそんな位置でもなければ凪さんにそんなに呼ばわれる筋合いもないのですからね。

そんなに考えると、やっぱり凪さんが呼びやすいのは一刀様なんでしょうけどね。

一刀ちゃんとしては様付けだと何か上下関係があるみたいで嫌いな気持ちも分かりますけど、そこまで呼び方に拘ると、逆によくないと思うのは僕だけですか?

 

一刀ちゃんはため息をついて、繋いでた手を放して竹簡と筆を手にしました。

 

『そんなこと言うと、ボクも凪お姉ちゃんのこと凪お姉ちゃんじゃなくて楽進さんって呼ぶよ?』

「ひぃっ!」

 

いや、そこまで嫌なんですか!?(両方に)

 

「そ、そんな……」

『ボクは凪お姉ちゃんにそんなに呼ばれたくもないし、呼ばれる理由もないよ。街の人たちはボクのこと御使い様や御使いのぼっちゃんや散々呼んでるけど、一刀様だと御使い様とそんなかわらないじゃない。凪お姉ちゃんとボクの関係はそんな疎いの?』

「そういうわけでは断じて!!」

 

一刀ちゃんのあまりない長い話に、凪さんは全力で否定しました。

少しだけ、「気」とか漏れてそうです。ってか漏れてる!凪さん!闘気とか漏れてます!ほぼ戦闘中並の緊張状態です!

 

『それにね、ボク、一刀って呼ばれるの好きなの』

「え?」

『ここでボクのこと「かずと」って呼んでくれるのは、華琳お姉ちゃんしかいないから』

 

まあ、そうですね。

春蘭、秋蘭、桂花さんは北郷ですし(春蘭さんは、大体貴様、こ奴とかですが)

季衣、沙和、真桜さんは一刀ちゃんですし。

 

呼び捨てなのは華琳さんだけですね。

 

『凪お姉ちゃんが初めてかずとって呼んでくれた時、なんかすごく新鮮な感じ?嬉しかった。だから、ずっと「かずと」って呼んでくれたら、嬉しい』

「……//////」

「♪」

「あ、あの…それじゃあ、これからも……かずとって呼んだら…いいのですか?」

『だったら嬉しい』

「じゃ、じゃあ……そうします」

『じゃあ、今呼んでみて』

「い、今からですか?」

「……(コクッ)」

「その………か、かずと…」

「♡」

「っ!!」

 

かずとって言われた直後、思いっきり一刀ちゃんに抱きつかれた凪さんは温泉でのぼせてるように顔が赤くなって、手も足も出せないまま立っていました。

僕は一刀ちゃん以外の人の心は読めないのですが、今の凪さんの感情はあまり見たくありません。きっとすごくうるさくて、誰かに聞かれたら社会的に終わってしまうようなこと考えていそうです。

え?僕ですか?あはは、まさかそんな………じゅるっ

 

 

 

 

はい、それじゃあ、一刀ちゃんにも分かるように今回華琳さんたちの黄巾党本拠地攻めの作戦を説明します。

 

先ず、中にいる黄巾党の何人かを金で買収、こっちの命令を聞くようにします。

そしたら、買収された黄巾党の人たちが、密かに城のあっちこっちで火事を起こします。

となると、指揮系通がちゃんと決められていない黄巾党たちは、きっと右往左往して火事は広がり、城内は混乱の渦になります。

その中を華琳さんたちが攻めて、城を落とし、党魁の張角と他二人さんを捕獲する。

これが、この作戦の簡単なまとめです。

何か質問はありますか?

 

「……」【火事って、中に人がたくさんいるのに、火を消すのはあっという間じゃない?】

 

うーん、それはですね。

この時代は消防車がいるわけじゃないし、人力で消化しないといけないのですが、指揮がちゃんとできないと多角的に発生した火を効果的に消すことができずに、広がっちゃうというわけです。

それに、城の中には現在飲む水もろくにない状態でしょうから、消化するために使う水を探すのも一苦労するでしょうよ。そしたら既に火は広がるまで広がっちゃってますよ。

 

【じゃあ、何で早くその指揮系通ってのを決めなかったの?】

 

それは、まず集まるのが早すぎたのがあります。ちゃんとした基盤が無かった状態で、急に何の繋がりもない人たちが集まっても誰が出て「私がお前らの指揮を執る」と言っても、皆聞いたふりもしないのです。

へたをすると、逆に内で喧嘩を始めることになりかねないですしね。だから張角さんたちも簡単に指揮を纏められなかったのでしょうよ。

 

【といっても、あのお姉ちゃんたちはただの芸人じゃない】

 

まあ、そうなんですけどね。でもここまで人たちを集めたのはあくまで彼女たちです。

意図がなんだったのかは後の問題として、ここまで仕事を大きくしておいて手に負えなくてただ見てるだけ、といったらこっちとしては迷惑でしかないのですよ。

確かにただの芸人ですからちゃんと統率できなくてこんな風になってしまったのもありますが、だからといってかわいそうとか言う暇はありません。

あの人たちのせいで、たくさんの人たちが傷ついて、死にましたから。

 

【……】

 

華琳さんとは話をしたのですよね?

何と言ったんですか?

 

【相手がどんな者が自分の目で確かめてから決めるって】

 

まあ、そうでしょうね。

でも、一刀ちゃんが言った通り、あの人たちの素が悪いわけではありませんし、あの場に一刀ちゃんがいたら華琳さんもあの人たちを殺すとかはしないと思います。

 

【そ、そうだよね?】

 

心配することはありません。ただ、僕が心配になるのは、この戦争の途中で誰が一刀ちゃんを守ってくれるかっていう話ですけどね。

 

【僕のことは……華琳お姉ちゃんと一緒にいたら大丈夫だよ】

 

だったらいいのですけどね……

 

【それに、さっちゃんも居るから】

 

あら、期待されちゃってますか?

でも、ごめんなさい。さっちゃんは今回は一刀ちゃんと一緒に居られません。

 

【!!何で?!】

 

ちょっと、戦いの中に入ってやるべきことがあるのですよ……こういったら何ですけど、これも一刀ちゃんのためです。

だから、一刀ちゃんはどうか華琳さんの側から離れないでください。

 

「……」

 

なんですか?その心配そう顔?

僕ですよ?さっちゃんですよ?戦場で死ぬ体もないですよ。一刀ちゃんが心配するようなこと起きませんって。

 

「……」【危険なことしちゃダメだからね】

 

それこっちの話。

ああ、これは念のためです。一刀ちゃんにあげます。

 

そう言いながら、僕は一刀ちゃんに短弓を一つあげました。

 

「……」【何これ?】

 

短弓ですよ?

 

「???」

 

まあ、一刀ちゃんが理解不能って顔をするのも無理はありません。

だって、矢もなければ弦もない弓なんて、単にちょっと曲がった棒ですからね。

 

まあ、それが弓だと考えて元弦があるところを引っ張るって感じにしてください。

 

「………」

 

一刀ちゃんが素直に片手で弓を掴んで、もう片手で弦があるところを掴んだら、

 

「!」

 

そこに無かったはずの光る弦があって、弦には同じく光る矢が一つがあります。

 

うーん、先ずは使う方法を説明します。目に迫ってくる敵を撃つと思ってその弦を引っ張って放したら、一刀ちゃんがどんなに馬鹿な方向で撃っても矢はその相手に飛んで当たります。

どんなに遠くにあっても、最後まで狙う相手をちゃんと心に決めていたら、矢は一刀ちゃんが狙った相手に当たります。

 

【…じゃあ、死ぬの?】

 

はい、死にます。必ず。

 

【…じゃあ、要らない】

 

……持っていてください。ここは戦場です。一刀ちゃんにどんな危険が迫るか、僕にも分かりません。しかも今回は僕が余儀なく一刀ちゃんから離れなければなりません。

だから、本当に死ぬ。このままだと死ぬ、とした時に、その弦を掴んでください。そしたら、その光る矢が、必ず一刀ちゃんを守ってくれます。

撃つ機会は一回だけですけどね。

 

「……」

 

一刀ちゃんがこっちを見ています。嫌なのでしょうね。

だけど、………僕だって一刀ちゃんにそんなことをさせたくはないです。でも……

こっちも命賭けてるのに…

 

ああ、じゃあ分かりました。矢の強度を調整します。

 

 

これで、相手がその場で気絶するだけで済みます。怪我とかもないでしょう。

 

「……」

 

持っていてください。今の僕に出来る、数少ないことの一つですから。

 

「……」【わかった。持っている。でも、やっぱり撃たないかもしれない】

 

わかりました。僕も、一刀ちゃんがその矢を撃つようなことが起きないように祈ります。

 

 

 

 

 

 

その時が、僕の最後ですから。

 

 

 

 

「一刀?一刀どこにいるの?」

「!」

 

あそこから華琳さんが呼んでいますね。

その矢は一応他の人たちの目に見えないようにしておきます。絶対手近に持っていてください。

 

「(こくっ)」【さっちゃんも気をつけて】

 

もうそれ以上言わないでくださいよ。

子供は自分のことだけ心配していればいいのです。

他の人のことまで心配していると、後で自分が損ずることになりますよ。

 

「(にしっ)」【そんなこというさっちゃんは、いつも僕の心配してくれるくせに】

 

………早く行ってください。気をつけてくださいね。

 

「(こくっ)」

 

一刀ちゃんはそう言って、華琳さんのところへ向いました。

凪さんたちは今回左翼で黄巾党を攻めて、張三姉妹を捕まえることまでしなければなりません。一刀ちゃんの護衛までは無理でしょう。

となると、一刀ちゃんが一番安全にいられる場所は中央本隊。つまり華琳さんがいるところです。

僕はまだ華琳さんをそこまで深く信頼しているつもりはないのですけど、まあ、今回は仕方ありません。

 

……華琳さんの姿を見て、一刀ちゃんの言葉を聴いて、決めたのです。

ちょっと激しい方法ですが、やってみせましょう。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

ガーンガーンガーン!!!

 

城内から煙が上がり、銅鑼が鳴かれます。

 

戦争が始まります。

 

 

 

 

「いい、一刀?ちゃんと私の近くにいなさい。絶対私の側から離れたらダメだからね」

『分かってるって。華琳お姉ちゃんったら心配しすぎだよ』

 

馬鹿、今あなたのことを心配しないといつやれって言うのよ。

戦争は子供の遊び場じゃないんだから……

身を動かずに移動できる術を持っていたときはまだマシだったけど、今の一刀はただの子供。

こんなところに置くこと自体が危ないし、それに、こんなところ見せたくもないわよ。

 

「華琳さま。左翼と右翼、号令に従って突撃を開始しました。私たちも…」

「ええ…皆聞け!天下を怪我した獣どもが今目の前にある!神出鬼没に動きながら、地を、人を蹂躙した奴らも、もはやただの烏合の衆!ここで、我らの手でこの乱を終わらせるのだ!」

「おおおおおおおお!!!!!!」

「!!」

 

雄叫びに驚いたのか、一刀ちゃんが私のところにもっと近くくっついてくる。

 

「大丈夫、一刀?これからは馬で移動するから、ちゃんと掴まえていなさい」

「……(こくっ)」

 

見てなさい、一刀。

これはこれから私がやろうとすることの始まりにすぎないわ。

これから私は、もっともっとたくさんの人を殺さなければならない。

たくさんのものを犠牲にしなければならない。

私が望むものはそれたちを犠牲にする価値があるものよ。

 

だけど、約束するわ。

あなただけは忘れない。

あなたのことだけは犠牲しない。

そして、いつかあなたにも見せてあげる。

これが私が望んでいたものだって。

あなたにも見せてあげるわ。

そして、………

 

「………(ふるふる)」

 

今は、今のことだけに集中しよう。

 

「全軍、突撃せよ!!」

 

 

 

 

「ふっ、これであの人たちの役目も終わりですね。おかげで、太平妖術書にも随分と妖力が溜まりました。それではこれを持って私はこれで……」

 

あ、あ、あー、どこにいくんですか?

 

「!お前は……」

 

アハハ、久しぶりですよ、干吉。

 

「どうしてあなたがここに…この外史の北郷一刀の監督をしていたはずでは?」

 

まあ、色々あったのですよ。ところで干吉。悪いですけどその太平妖術書は、まだこの外史に居なければなりません。正確には、僕の手に。

 

「なっ!……ふん、何を言い出すのかと思ったら、あなたも北郷一刀に狂ってしまったのですか?」

 

狂ったのはあなたでしょう?貂蝉よりもあなたの方がキモいですよ。ホモ市ね。

 

「ふん、何と言おうとも、これはやりませんよ。それに、あなたにこれを扱う術もないはずです」

 

僕を侮ったら困りますよ?それに、あなたはそれを僕にわたさなければならないのです。

 

これを見よ!!

 

「……!!それは!」

 

いかにも!

これぞ、その太平妖術書の本当の主、南華老仙からもらった太平妖術書を使ってもいいとの許可書なのです!!

 

ざまぁみろなのです!

 

「くっ…!あの爺…気まぐれなことをしてくれましたね」

 

老いた人たちの気分なんてそんなもんでしょ

 

「ふん、一体どんな話で口説いたのですか?」

 

……そ、そんなことはどうでもいいです!とにかく、太平妖術書はこっちがもらっていきます!

 

「……まあ、詳しい話は、帰って爺に聞けば分かるでしょう。だけど、もしその許可書とやらが嘘だった場合…分かっていますね?」

 

あなたにそんなこと言われても怖くもないです。さあ、早く。

 

「ちっ……仕方ないですね」

 

そう言いながら干吉は、太平妖術書を僕に投げました。

 

おっとと……

 

本は大事に扱いましょうよ。

 

って、もういないのですか。

 

まあ、いいでしょう。

こっちは必要なものをもらいましたし、

あっちが気付くのも時間の問題。

 

となれば、早く探さなければなりませんね………

 

幸い、干吉の言うとおり妖力はたくさん溜まっていますから。

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

その後、一刀ちゃんが矢を使うこともなく、戦争は安全簡単に終わりました。

 

張三姉妹も華琳さんのスポンサー付きで、今後魏の徴兵仕事に手を貸してくれるようになりますが、

 

この後の話は、いつもの拠点話でしようかと思います。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
40
8

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択