No.181970

優等生とバカによる秘密の恋愛模様 第一話 明久と気付いた思い

ガレットさん


 オリジナル設定が含まれます。

2010-11-01 22:39:27 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:10775   閲覧ユーザー数:10357

 

    HIDEYOSHI SIDE

 

  ワシの名前は木下 秀吉、16歳の立派な(←ここ強調)男じゃ。毎朝の日課のランニングと発声練習を終えたワシは帰路についたのじゃ。

 

「フブキ殿、ただいまなのじゃ」

「秀吉様、おかえりなさいませ」

 

  フブキ殿はワシではなく姉上の使用人、ドジっ子メイドさんなのじゃ。フブキ殿が持っておるトレーには、フブキ殿が昨夜姉上のもとに持っていった空の大量のお皿と空っぽのコップが乗っておった。

 

「姉上、今日も朝食を沢山食べる気かのぅ…」

 

  ここ最近、姉上はご飯を沢山食べるようになった。…ワシの双子の姉、木下 優子。文月学園高等部生徒総代表を勤める優等生なのじゃ。

 

「食べると思います。こういう時は魔力ドリンクDを飲むより、食事を沢山取った方が、心身にとって良い傾向になりますから」

「そうじゃのぅ…」

 

  それに、ワシら(フブキ殿とハルトを除くじゃが…)と顔を合わす機会もなくなっていた。

 

「そういえばアインハルト達は如何したのじゃ?」

「朝早く学校に行って、お友達と沢山お遊びになられるそうです。晃一様が付き添わられました」

 

  アインハルト…アインハルト・ストラトス・木下、姉上の子供(といっても養子)なのじゃ。後、姉上の幼馴染が面倒を見ている2人の子供を預かっておる。ハルト同様、学校に通っておる。

  晃一…獄原 晃一(ごくもと こういち)というのは、幼馴染兼家族で物心つく前から一緒に暮らしておるのじゃ。

  ……まぁ、魂胆がとても分り易いのじゃが…。

 

「そうかのぅ……」

 

  ワシは独りで朝食を食べた。

 

 

 

 

    AKIHISA SIDE

 

  僕の前にあるベッドに付いているテーブルの上には山、純白の山。

 

   カリカリカリリィ… ピラララッ…

 

  その純白の山の正体は、書類が積み重なっているもの。

 

   カリカリカリ…

 

  ここ数日分の総代表としての仕事、黒の騎士団としての仕事。

 

   コツコツコツ…

 

  そして今回、僕がたまたま拾った『石』が切欠で巻き込まれ、絶望の淵に立たされ希望も何もかも失いかけた『黒魔導師の遺志』の事件の報告書。

  ベッドを起こして報告書を書いているのは、僕が通う文月学園高等部の総代表で級友の双子のお姉さんで、厳しくも優しい…そして、ボロボロになりながらも…死に掛けながらも、暗く深い絶望の淵の闇の世界から僕を助け出してくれた女性(ひと)。

 

「・・・・・・ひとまず、今回の調書はここまでで良いわ」

「ぅ、うん……」

 

  ベッドの主、木下さん…木下 優子さんは僕が書いてきた[『石』を狙ってきた奴等からの1回目の脅迫とその時の様子]の調書を一通り読むと、何かの用紙に書いていた。それが終わるとハンコを押す…といった作業を僕は見ていた。入院服を着ている木下さん、僕はその下にある、身体に巻かれている包帯が気になっていた。手術と持ち前の回復力で大体回復してきたみたいだけど、僕を助ける為に、深い傷がまだ完全に完治していないことだけはバカな僕でも分かる。

 

 

「……」

 

  僕のせいで木下さんは深い傷を負ったのだと、死に掛けたのだと、今も無理させているのだと、そう思って、凄く辛かった。

 

「……どうかした…?」

「ぅ……ぅん………ぁの…」

「……???」

「ご免っ、僕のせいでこんなことになって。木下さんを、辛い目に合わせて、ご免なさい!!」

 

  僕は謝った。自分の事が情けなくなった。でも、謝る事しか僕には出来なかった。

 

「気にしなくて良いわ」

 

 

 

 

  はっと木下さんを見た。

 

「貴方があれから先、絶望の淵に沈んで苦しみ続ける未来に比べれば安い」

 

  それは、とても…優しい表情で、

 

「それに、この程度の怪我がそんな『最悪』な『未来』へと成り立たせる『現実』を壊す代償になることで、助ける事が出来た」

 

  暖かい言葉で、

 

「なにより、あなたとその周りの人の笑顔を、幸せを…守り助ける事が出来た」

 

  それは、僕の心に暖かいものを溜まらせてくれて…。

 

「だから、そんなに、…」

 

  僕は、ある事に気付かされた。

 

「……っ、…ぅっ……」

「………」 (← 実は急に抱きついてきたので少し驚いている。…まぁ、表情に全然出ていないが…)

 

  僕は今までずっと、何でだろうと思っていたある『気持ち』。認めたらいけない気がした『思い』。

  晃一が木下さんに告白したという話を聞いて、胸が痛くなった。

  紫雲が秀吉の悪気によって木下さんの裸を見たという話を聞いて、凄く苛々した。

  ジュンが事故とはいえ木下さんとキス(しかも唇同士で)した所を見たときは、辛くてたまらなかった。

 

  やっと分かった。僕は…僕は……、

 

「…っ…、…ぅっ……」

 

 

 

   木下さんのことが、好きなんだ…。

 

 

 

    後書き

 

 どうも始めまして、やっと第一話が終った…と思いながら後書きを書いているガレットです。

 

 まず始めに。何じゃこりゃと思っている方々、申し訳ありません。滅茶苦茶な展開から始まって、滅茶苦茶な終わり方です。

 

 設定と世界観については、後で(出来得る限り)分かりやすいフォローと思っております。

 

 キャラの立場や状況も時代背景などにあわせて違っています。とりあえず、この時点で簡単に説明できるものから。

 

 主人公は言わずも無く、今回の台詞が少ない優子さん…もといユウ。

 16歳の現役女子高生ですが、その実天才魔道騎士という顔を持ち合わせています。本名は、ユウ・ペンドラゴン。

 黒の騎士団という部隊の総帥という立場ゆえか、自身の壮絶な過去ゆえか、他人の辛い過去を聞いても『ふぅ~ん』という感じで簡単に受け止めてしまいます。

 病院の特別病室に入院している優子を見た明久は辛い思いをします。ですが、何事も無かったような態度を示し、さらっと言う。その挙動は『事件』を優子なりに受け止めて、処理して…解決しているからです。なので『さらっ』と言えてしまいます。

 

 今回のメインヒロイン(?)となっている、吉井 明久君。

 16歳の現役男子高校生ですが、謎の石を拾ったことにより、今回の『黒導師の遺志』事件に巻き込まれ、中心人物となってしまいます。

 様々な脅迫を受け、苦悩した末、大切な人たちを守る為に『絶望の底』に沈み、苦しみ続ける道を選びました。そんな時に現れたのが優子。優子の身体を張った説得により、諦めていた『助け』を求めた。優子は命を懸けてそれを叶えた、という感じです。

 ちなみに、皆さんが気になっていただろう彼の恋愛感情について。図式でいくと、

明久→姫路 初恋、憧れの人

明久→美波 男友達として付き合える魅力的な女の子

明久→優子 片思い(自覚済み)

 こうなります。

 

 

 とりあえずこの位で…。

 オリキャラ、キャラ紹介などは後日投稿します…。

 

 

 

 


 
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