No.180985

真・恋姫†無双 たった一つの望み 第四話

第四話更新!
今回はちょっと好みが分かれそうな内容・・・

2010-10-28 23:58:31 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2144   閲覧ユーザー数:1869

物事には枠がある

 

その枠の中でならある程度の誤差は許され

 

枠から少しでも出たなら違うものだと定められる

 

では、この場合はどうなのか

 

人間として在ると自身は思い

 

人間ではないと他者から言われる

 

枠の内と外、その基準とは?

 

華佗としても言い難かったんだろう、その表情に苦渋がみてとれた

絞り出すようにして呟いた言葉は、空腹で倒れそうな者がやっと見つけた食料を横から奪う様なものだったから

 

それを見たからか、感情のままに掴み掛かるようなことはしなかった

代わりに絶望に近い感情が、体中に重く圧し掛かり、浸透していくような感じがしたが・・・

 

そのまま少し時間が経った、華佗としてもこのまま会話を続けるのは心苦しく

一刀としても気持ちを切り替える時間が欲しかった

 

しばらくして何とか気持ちを切り替えた一刀が華佗に疑問を投げかける

 

「華佗、さっきの言葉の意味はどういうことなんだ?

 外気を扱えるようになったとしても力はなくせないっていうのは・・・」

 

この力の原因が外気なら、それを扱えるようになれば力を制御できるとオレは考えた

だけど華佗はそれができないという、だとしたら原因は何か?

それを突き詰めていけば、解決の糸口くらいは掴めるかもしれない

 

「順を追って説明するが、今の北郷は無意識下で外気を扱えていると言っていい

 だからこそ生きているし力がある、まずはこれが前提だ」

「既に外気を扱っている?」

「そうだ、さっき診た限りでは外気は流れ込み溜まるだけでなく消費もされていた

 そこに北郷がいう力のことを考えれば、北郷は外気を"力として"消費している可能性が高い」

 

外気を無意識に使って発現しているのが力の正体・・・?

確かにそれならいろんなことに説明が付く

細胞を移植してもクローンを作っても、自分以外に何も起こらなかったのは当然だ

自分の体が原因じゃなくて、外的要因によって引き起こされていたなら結果が出るはずがない

 

だけどあれだけ検査や実験、研究をしてどうして今までわからなかったのか・・・

あぁ・・・そうか、気なんてものを科学的に調べたってわかるはずもない

 

「だとしたら、その力をなくしたらどうなるか?

 恐らく流れ込む外気に体が耐えられない、だからこそ無意識に外気を消費し続けてると考えられる

 その力は北郷が生きるために自分で作り出した機能なんだと思う、それが・・・俺の結論だ」

 

つまりオレの体はダムみたいな物で、決壊しないように力として放出していて

それを止めたら溜まりすぎた外気が身を滅ぼす・・・

 

じゃあ、どうしたってこの力がなくなることはないのか・・・

 

それから少しだけ話をして、今夜は寝ることにした

気が付けば随分長く話していたようで、外を見ればまだ薄暗い程度だったのにもう真っ暗だった

 

寝台に横になりながら考えるのはさっきまでの話

長年の謎が一気に解けたからか、内容があまりよくなかったのに気分はいつもより少しいい

 

外気と力の関係は恐らく華佗の推論が当たっているんだろう

だとしたら考えることは目的と手段の道筋

根本的なことから考えていけばなにかしらの方法はあるはずだ

 

まずは目的、これは人になること

人になるといっても、実際には他者から人間と認められるようにすること

自分では人間として生まれ、今も人間であると信じているのだから

 

次に手段、他者から人とされるためにはどうしたら良いか?

ここではいろいろなことを考えなければならない

 

――人とは何か?

――人でないとされた理由

――それらの条件を満たすためにできること

 

這い寄るようにくる眠気が意識を奪う頃、考えは少しだけ形になった

今までより少しだけ良い気分で寝たからか、幸せな夢をみれる気がした・・・

 

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

窓から射す日に顔を撫でられて起きた気分はとても晴れやかだ

夢見が良かったこともある、だけどそれ以上に昨夜の考えが纏まったというのが大きい

 

大きく伸びをして、ふと隣の寝台を見るが華佗の姿はない

荷物が残っていることから顔でも洗いに行ったのだろうとあたりをつけて待つことにした

 

昨夜纏まった考えを、誰よりも先に華佗に聞いて欲しかった

 

しばらくして華佗は二人分の朝食を手に戻ってきた、どうやら食堂から持ってきてくれたらしい

話があると伝えると、まずは朝食を摂ることになった

会話もなく静かな朝食だったが、昨日のような気まずい静かさではなくむしろ朝の和やかな雰囲気の中で楽しめた

 

「さて、華佗に聞いて欲しい事があるんだけどなにか今からでも大丈夫かな?」

 

少し長くなりそうなだけに予め了解を得ておく

 

「問題ない、特に急ぐ用事もないからな

 なにより、北郷が改まって話したいということは昨日のことにも関係した大切な話なんだろう?」

「昨日はいろいろあったから、考えを纏めるのに時間がかかった・・・だけど考えは纏まったよ

 ずっと考えてたんだ、オレはなにをしたくて、なにをすればいいのか・・・」

 

今までは漠然とした望みだった

 

"人になりたい"

 

そう願っていた、だけど人ってなんだろうとか、そのためにどうするかなんて考えられなかった

解決するためのきっかけも何もなかったから・・・

だけど手に入れた、最初に考えていた力を消すことはできなさそうだけど、他の方法を考えられる可能性

 

そうして答えは間違いかもしれない、けれど自分が納得できる一つの道

 

「華佗にして欲しいことは一つ、オレに気の扱いを教えてくれ!」

 

「どうしてそういう結論に至ったか、聞いてもいいか?」

 

もちろんそのつもりだった、結論を示したらそこに行きつくまでの過程を説明する

そうでないと、ただ結論だけを聞かされたって訳がわからない

 

「最初に考えたのは人になりたいってこと、だけどその"人"っていうのはどういうものかオレはわかってなかった

 人の形をしていたら人か、生物の機能的に考えたら、それともただそう区分されるからなのか・・・

 オレにはどうしたって答えを出すことができなかったんだ」

 

それが最初の壁、今まで人というものが何かわかっていないのにそれになろうとしてた

それじゃどうやったって辿り着けるはずがない

 

「華佗だって人とは何か、なんて聞かれても答えることはできないだろ?」

「医者としての立場からでも難しいな、形一つとってみても誰もが違う

 依然診た患者の中には指が一本多い人だっていたくらいだからな・・・」

 

そう、人とは何かなんて答えはそれぞれの考えに依存する

オレがいた所だって人の定義は医学的だとかそういった狭義でしか定められていないと思う

なら、オレが考えるオレがなりたい"人"の定義は・・・

 

「人かどうか、それは他者から見た時に他者によって決定される

 それがオレの答えで、オレの望みを叶える為の定義だ」

 

自分が人だと、人間だと言っても誰も認めてくれない

なら人かどうかを決定するのは結局他者だ、他者が人だと認めるなら

他者が人だと判断する範囲内に収まるように振舞うことができれば

 

オレはきっと人になりえる・・・――

 

「それが北郷の結論なんだな?」

「そうだ、その前提で考えた時にオレが今まで人と見られなかった原因は何か?

 単純な力についてはある程度隠せるし何とかなると思う、実際今だってそうしてる

 だとすれば問題は傷付き難い頑丈さとすぐに治癒する回復力、これをどうにかできればいい」

 

単純に怪力なのはいくらだって誤魔化せる、ただ適度に力を抜いてに調節すればいい

だけど厄介なのはあまりにも頑丈な体と傷がすぐ治ってしまう回復力、これは知られたら致命的だ

 

「だが昨日も言ったがそれらは北郷が生きる上で必要な機能として無意識にやっていることだ

 それを制御できたとしても、今度は北郷の命が危険に晒されることになるぞ?」

「そこだよ、要するに外気を使い続けないと体が持たないっていうのが問題なんだろ?

 それについても考えた、だからこそ気の扱いをオレに教えて欲しいんだよ

 外気を制御することができれば、きっとうまくいくと思うんだ」

 

考えついた方法を実行するためにはどうしたって気を扱えること、外気を制御できることが絶対条件になる

 

「外気を扱えるようになったとして、北郷が考える方法はどんなものなんだ?」

 

 

 

「つまりさ、この頑丈さと回復力に使っている分の気を別の形で消費すればいい

 もっとバレにくく、オレが人だと認められるようなカタチで・・・――」

 

 

あとがき

 

 

どうも、へたれキノコです

今回は難産でした・・・、人の人たる所以とは?

コメントにもありましたけどこんなのどうやったって定義付けできるわけないだろうと

そんなわけで一刀君の望みをどうしたら満たすことができるか?といった点から

一刀君の考える人とは、というものを綴ってみました

わかりにくいかなぁ、できるだけがんばってみたんですけどどうでしょうか?

違和感があったり意見があれば是非コメントしていただけるとありがたいです

これからもへたれキノコをよろしくお願いします

 

ではでは、コメント返信のコーナー

 

第四話投稿時のコメントよりいくつか・・・

 

 

Q1.人のつながりによって今後の精神状態が変化するね~

A1.今後誰に会うかで変化しそうですね

 

恋姫の世界の人物は本当に個性的なことが多いですからね~

しかも考え方とか価値観もまったく違うし・・・

やはり人付き合いで精神状態も大きく影響を受けそうです

 

Q2.(略)人がなんであるかを知ることは難しいと私は考えます……

A2.まったくだよ!

 

上の方にも書きましたけど本当に難しい

今回はこんなカタチですけどどうでしょう?

やっぱりちょっと考え方が甘いかなぁ・・・

 

Q3.この世界では力を使わなければならない場面が~結局、力を隠すことはできないと

A3.ですよねー、一刀君は力を隠す方向で行きますけど・・・

実はこの辺はちょっと考えてあったりします

ちょっと希望が見えて余裕ができてきた一刀君がどうしていくのか

これからの行動に注目です

 

Q4.その言葉がどういう意味を持つのか

A4.無意識下の防衛機能だったようです

 

流れ込み続ける水を何らかの方法で放出(消費)しないと体が持たない

これは想像できた人が多いかもしれませんがこの小説ではこんな設定でした

 

Q5.なくす事は出来なくても、制御は出来るだろう。後は、一刀次第だと思う

A5.あまりにも正解過ぎてちょっと震えました

 

このコメント見たときちょっと焦りましたよ・・・

先読みされる小説は読み応えがないかも!ナンテ・・・

 

以上でコメントへの回答は終了です

 

 

それではまた次回の更新で!


 
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