No.179846

真・恋姫†無双~江東の白虎~第弐章 12節~黄天崩壊、覇者と白虎~ 後編

タンデムさん

ちわっす!
タンデムです!
今回のお話ですが……天和たち助かりました。
って言うか一刀が助けちゃいました(^v^)
あーあ、またフラグ立てちまったよ(@^^)/~~~

続きを表示

2010-10-23 05:23:09 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:15128   閲覧ユーザー数:10621

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

「……」

 

「……」

 

一刀の文が届いて、直ぐに蓮華たちは軍を率いて出陣した。

 

「…………」

 

「…………」

 

軍全体の5割が古参の者達であったため、その喜びようは凄かった。

 

そして現在、一刀達との合流地点に向けて行軍しているのだが――。

 

「………………」

 

「………………」

 

「……はぁ、お二人とも、少し落ち着いてください」

 

蓮華と思春の二人がそわそわして、全然落ち着きがない為、瑞穂が注意をする。

 

余りにそわそわしすぎていると、兵達が動揺してしまうからである。

 

「う、うむ。 気を付けてはいるのだが、いざお兄様と会えると思うとな」

 

「すまない……」

 

「僕とて、お二人と気持ちは同じですから、分かってはいます。 ですが、どうか落ち着いてください」

 

瑞穂自身も、内心落ち着かないのだが、目の前で二人がそわそわしている為、逆に落ち着いた。

 

だが、それを見て逆に不安そうな

 

者達も居た。

 

『うぅ……』

 

「如何したの、亞莎、明命?」

 

「蓮華様達の様子を見ていたら、若しかしたら孫江様って実は物凄く怖いのかなって……」

 

「……そんな事無いよ。 一刀様はお優しい方だよ」

 

「だ、だと宜しいんですが……何か失敗を仕出かしそうな自分が不安で……はうぁ……」

 

「大丈夫だって」

 

新人達の不安そうな気持ちを静めるべく、一人頑張る瑞穂だった。

本拠地から文を出して、半月。

 

一刀達は、蓮華達との合流地点に向けて行軍し現在、蓮華たちの到着を待っていた。

 

「ふぁぁ~むにゅむにゅ……」

 

「眠そうね?」

 

「何か有ったの? 一刀くん」

 

大きな欠伸をした一刀を見て、冥琳が苦笑気味に、結羽が首を傾げて言った。

 

「ああ、昨日の夜、何処かの誰かさん達に襲われて……な」

 

そう言って、『な』と言うと同時に美蓮、雪蓮の方を睨む。

 

「さぁて、お腹空いたから、弁当食べに行こうっと」

 

「あ、私も行こうっと」

 

そして、睨まれた当の二人は、目茶苦茶棒読みのセリフを残してその場から逃げた。

 

二人が逃げたのを見ると、一刀は溜息をつき、

 

それを見て冥琳は笑いを堪え、結羽は合点がいったのか苦笑をもらしていた。

 

「ったく。 帰ったら搾り取るだけ搾り取るくせに、戦前ぐらい我慢しろよ」

 

「くくっ……だが、男冥利に尽きるだろう? (私としては、少し羨ましかったりもするがな。)」

 

「ま、この戦の間は、我慢してもらうけどね。 (次は、私達の番なんだから。)」

 

冥琳は、一刀の愚痴を笑いを堪えながら、そう問いかけ、結羽は自然を装って帰った後の計画を練っていた。

 

その際、思っている事は表情には出さず。

 

「まぁね、でも時と場所を弁(わきま)えて欲しいけどな。

 

そういや、蓮華が新しい仲間が増えたとか言ってたらしいな」

 

「うむ、名は周泰と呂蒙。 周泰は隠密、呂蒙は元武官の文官だそうだ」

 

「二人とも優秀だそうよ」

 

と、一刀達が話をしていると、

 

「孫江将軍、周竺様、周瑜様! 孫権様御一向様が、到着されました!」

 

蓮華が到着したとの報告が入った。

 

「おう、ご苦労さん。 じゃ冥琳、結羽、後よろ……く……」

 

報告を聞くと、一刀は翳虎で煙のように消えた。

 

それを見て、伝令は驚き、冥琳は溜息をついた。

 

「ご苦労。 もう行って良いぞ」

 

「は、はぁ」

 

伝令の兵は驚きながら戻る。

 

「全く、一刀くんも悪戯が好きね」

 

「全くだ」

 

そう言って笑った後、冥琳と結羽も蓮華達の元に向かった。

一報その頃、一刀が翳虎で姿を消した頃、

 

「お久しぶりです、お姉様」

 

「久しぶりね、蓮華」

 

久しぶりに再会した孫姉妹は、話に華を咲かせていた。

 

「思春と瑞穂も久しぶり、蓮華のお守りありがとね」

 

「お久しぶりです、雪蓮様」

 

「息災なご様子で、何よりです」

 

暫く話をしていると、美蓮が一刀以外の皆を連れてきた。

 

蓮華は、美蓮を見て笑顔を浮かべる。

 

「お久しぶりです、お母様、結羽殿」

 

「ええ、ホントに」

 

「お久しぶりですね」

 

そして蓮華は、挨拶のあと新しい仲間である亞莎と明命を紹介し終えると、何かを探すように視線を泳がしていた。

 

それは蓮華だけでなく、思春、瑞穂も同じ行動をとる。

 

その様子を見て、蓮華がつれてきた者達は首を傾げ、美蓮達は蓮華たちの行動に合点がいった。

 

さらに蓮華たちの後ろの空間を見て、美蓮と雪蓮はニヤニヤしており、

 

蓮華の後ろにいる明命は何も無い眼の前の空間にまるで、何か居るような違和感を覚える。

 

「? 何を見てるんできゃっ!?」

 

「っ!?」

 

「わぁっ!?」

 

すると突然、両側に居た思春と瑞穂が蓮華のほうに引き寄せられた。

 

『えぇっ!?』

 

「あやぁ~?」

 

そして三人を引き寄せた原因が、急にその姿を現す。

 

「よ、蓮華、思春、瑞穂」

 

「お、にぃ……さま?」

 

「一刀様……」

 

「一刀……さま」

 

突然姿を現した一刀に、三者三様の反応を示す。

 

「遅くなったな、ただいま、三人とも」

 

「ひぐっ……ゆる、しません……おにぃさまのばかぁ……。」

 

「……おそ、すぎます。 我らに、心配などさせないでください……」

 

「ばかぁ……か、ずとさま、のばかぁ……!」

 

そして、蓮華達は1年ぶりに見た一刀の姿に涙を流した。

蓮華達と一刀との感動の再会と、新しい仲間との挨拶も終えて、現在曹操との合流地点にいた。

 

「それにしても、さっきの蓮華は可愛かったなぁ♪」

 

「お、お兄様ぁっ!!」

 

その途中で、蓮華を一刀がからかったりもしたが、無事に目的地へとついた。

 

「お待ちしておりました」

 

「まっとったでぇ」

 

「お久しぶりなの~」

 

そして、着くと直ぐ見覚えのある少女達が出迎えをしてくれた。

 

その少女の登場に、見覚えの有る者達は皆が驚く。

 

ただ一人一刀を除いて――。

 

一刀は、三人の前に歩み寄る。

 

「久しいな、凪、真桜、沙和」

 

「はい、師匠。 お変わりないご様子で、嬉しく思います」

 

そういった凪に、一刀は苦笑を交えて返す。

 

「まぁ、一度死に掛けて、名目上死んだがな」

 

「そうや、酷いでセンセ。 最近やで? ウチ等がセンセが、生きてるいうん聞いたんは」

 

真桜がそう言うと、三人が少し悲しそうな顔をする。

 

「そいつはすまん。

 

俺も忙しい身の上でな、本当はお前達の文も死ぬ前に書きたかったんだが時間が無くってな。

 

帰ってきてからも、仕事の関係上、中々文を出せなかった」

 

「先生、死んだって手紙で知らされたとき、沙和……沙和…‥うぅぅ……ふえぇ~ん!」

 

「おっと、もう何時までたっても、沙和は涙もろいんだから」

 

そして、沙和が感極まったのか涙を流しながら、一刀に泣きついた。

 

その沙和の様子を見て、二人も耐え切れず一刀に泣きついた。

師と弟子が久しぶりの再会を果たした後、一刀は雪蓮と冥琳と供に凪達に案内され、曹操が待つ天幕に足を運んだ。

 

「華琳様、孫策殿、周瑜殿、ししょ……孫江殿が、ご到着されました」

 

「ご苦労様、凪。 下がって良いわよ」

 

天幕に入ると、見事な金髪を頭の左右に縦ロールにした少女―曹操―がおり、

 

その後ろに猫耳頭巾をかぶった少女が居り、

 

曹操の両側に艶のある黒髪にアホ毛が跳ねた女性と、水色の髪に右目が隠れた女性の三人が居た。

 

「はっ! では師匠、私はこれで、失礼します」

 

凪は一刀とすれ違うさい、小声でそう言って天幕を出た。

 

一刀は曹操を見ると、あの時の面影を持っていて、本人は気付かなかったが懐かしい眼差しで彼女を見ていた。

 

一刀が曹操と会うのは初めてではないが、あの時の事を覚えている確証はない。

 

だから、一刀は初対面を装う事にした。

 

「……初めまして、私が孫伯符よ。 此方が我が軍の軍師」

 

「周公瑾だ。 お初にお目にかかる」

 

そして、二人が自己紹介をすると、雪蓮から目配せを受け、自己紹介を促された。

 

「夏侯惇殿には会ったことがあるが、お二人は初めてだな。

 

俺が孫王虎だ、よろしくな」

 

と、一刀が自分の紹介をし終わると、真ん中の少女――曹操が口を開いた。

 

「初めまして、私が曹孟徳よ。 よろしく、彼女達は我が軍の将と軍師よ」

 

そう言って、猫耳頭巾の少女に視線を向ける。

 

「私は、荀文若、よろしく」

 

と、荀彧が事務的な挨拶をすると、曹操は黒い髪の女性に目配せをする。

 

「夏侯玄譲だ。 孫江殿、あの時は世話をかけた。 礼を言う」

 

そして、彼女がそういうともう一人の蒼い髪の女性が口を開いた。

 

「私は夏侯妙才。 孫江殿、姉者が世話をかけた」

 

そう言って、小さく頭を下げ探るような視線を一刀に向けていた。

 

その様子を見て一刀は、いつものとこだと受け止め、首を横に振った。

 

「別に、何時か返してくれればそれで良いさ。 んな事より、現状を教えてくれ」

 

そう言って、先ほどとは打って変わり、真剣な表情を作る。

 

先ほどとは打って変わった一刀の様子に、華琳以外の許昌陣営は、内心少し驚きながらも軍議を始める。

 

「簡単に言うと敵は篭城を選択し、此方は責めようにも数が足りないと言った所かしら」

 

「ふ~ん。 だ、そうだぜ、軍師殿?」

 

と、一刀は、冥琳に話をふる。

 

「……敵の総人数と、敵城の図は?」

 

「約20万と言った所だけど、実質野戦で戦えるのは3~4万程度よ、そしてこれが敵城の図よ」

 

冥琳の質問に、澱み無く荀彧が答え、図案を渡す。

 

そして、また冥琳は思考を巡らす。

 

「……ふむ」

 

そう呟いた後、荀彧を見て言う。

 

「荀彧よ、そちらに隠密能力に長けた者は居るか?」

 

「いえ、此方には間諜は居るけど、隠密に長けた者はいないわ」

 

そういう会話をした後、冥琳はまた暫く思考を巡らす。

 

そして、思考を巡らすさい俯いたとき、ずれた眼鏡を治しながら顔をあげて口を開く。

 

「……出来た」

 

そう言って、冥琳が説明する。

 

策の概要は、先ず一刀と祭の部隊と、

 

曹操の夏侯惇と凪の部隊が敵の城門前で暴れまわり、敵の注意を其処に向ける。

 

その隙に、隠密能力に長けた思春と明命を進入させ、火をつけさせ城門を開ける。

 

そして、火の手が上がり城門が開いたら本格的に攻め、敵を殲滅する。

 

と言う物だった。

 

冥琳曰く、急造の連合である自分達は、

 

余り連携が必要としない物、ということを考慮してこの策を考案したらしい。

 

荀彧が思案しやがて頷いている所見ると、どうやら同じような事を考えていたらしい。

 

曹操も雪蓮もその策の内容に異論は内容で、恙無く軍議は終了を迎えた。

明朝、殆ど日の昇らぬうちに一刀は祭や凱や、他の者達の部隊と共に居た。

 

「敵も、着いた早々に攻めてくるなんて思わないだろうな」

 

「全く、ウチの軍師さんには恐れ入るぜ」

 

「その軍師に、幼少の頃は勉学を教えておったくせに、よう言うのぉ」

 

周々に乗った俺に、祭が一刀の呟きに、合いの手を入れる。

 

そうしながら、一刀達は出陣の合図を待つ。

 

暫くすると、銅鑼の鳴る音がした。

 

「さて、いくかぁ!! ガァァァァォォォォォン!!!!」

 

「雄雄ォォォォォォッ!!!!」

 

「――――っ!!!!!」

 

銅鑼の合図と供に、一刀の部隊が雄叫びを上げて侵攻を開始する。

 

その一刀隊に、負けぬように他の部隊も侵攻を開始した。

 

一刀達が侵攻を開始してから一刻後、

 

「ここか」

 

「えっと……はい、間違いありません」

 

隠密行動に長ける思春と明命の二人は、現在火の手を上げる手筈の場所に居た。

 

「急ぐぞ、明命」

 

「はいです」

 

そう二人は互いに確認をとり、腰に巻き付けた多数の小さな瓶の内一本を取り出す。

 

その瓶の中身は、発火作用抜群な粉塵で満たされていた。

 

元々は、火をおこすときの着火に苦労しないように、凱が一刀と供に開発した物だった。

 

故に二人は軍事用としてそれを転用されると言われた時は、少し悲しい気持ちになっていた。

 

二人は、その瓶の栓に火をつける。

 

「思春さん、私はあちらを回ります」

 

「分かった。 では、私は此方に行って、そのまま城門を開けに行く。 終わったら此方に来てくれ……では、散っ!」

 

そう言った後、二人は目の前の建物に思春の散の掛け声とともに、

 

一つずつ火炎瓶を投げ入れ、着火と同時に散開した。

侵攻してから、一刻後火の手が上がったのが分かった。

 

「! 凪! 火の手が上がったぞ!」

 

「はい! あと少しです、春蘭様!」

 

敵の兵士をなぎ倒しながら、二人は会話をする。

 

だが、かなりの頻度で此方に敵が回ってくる。

 

いや、どちらかと言うと何かから逃げている様な切羽詰まった様な感じであった。

 

「あぁ、もう! 何でこんなにも多いんだ!!」

 

あまりにも多すぎる敵の数に、春蘭は叫び声をあげた。

 

凪は賊達が来ている後方に目をやると、何から逃げているのか見当がついた。

 

「あちらには師匠の旗があります。

 

恐らく師匠を恐れて、元江東の賊徒が、此方に敵が雪崩れ込んでいる物と思われます」

 

事実、今まで相手をした者達は、どちらかというと逃げ居ているような風だった。

 

恐らく、江東の賊達が此方に我先にと逃げているのだと、凪は予測した。

 

凪から見ても確かに、一刀の部隊は戦いたくない部隊だ。

 

兵達の錬度もさる事ながら、恐るべきはその攻撃に特化した部隊である事。

 

武器でだけで戦う自分達の兵卒とは違い、身体全てを使って戦う。

 

剣で斬りつけ、盾で殴り、腹を蹴り、必要と有らば頭突きもかます。

 

春蘭などは見ていて、余りの戦い方に驚いて少しの間固まっていたのだ。

 

そして、攻撃に特化しているからと防御が甘いわけではない。

 

なぜなら、孫江隊の通った道すがらに、彼らの部隊装束を着た死体が転がって居ないからである。

 

勿論、怪我人がいない訳では無いが、あれだけ乱闘していれば普通は死者が出ているはずであるのだ。

 

ジャーンッ! ジャーンッ! ジャーンッ!

 

と、暫く思考に耽っていたら両本陣から銅鑼の音が鳴り響いた。

 

城門を見ると、全開になっており、一刀の部隊がなだれ込もうとしていた。

 

「ん?」

 

だが、その部隊から白い服を着た人物と白虎、一刀と周々が全く違う方に走って聞くのが見えた。

 

その先を見ると、なにやら其処から逃げ出したように見える三人組がいた。

 

凪はそれを見ると、春蘭に部隊を任せ其処に走った。

「待ちな、御嬢さん方。」

 

『えっ!?』

 

一刀は、城門が突破されているのを見たあと周りを見ると、

 

全く違う場所から逃げているように見える三人組を見つけた。

 

「君達が、張三姉妹かな?」

 

「……そうだと言ったら?」

 

一刀の質問に、眼鏡をかけた少女が静かに、一刀を見ながらそう答える。

 

「だとしたら悪いが、一緒に来て貰おう。 まぁ、悪いようにはしねえよ」

 

そう言って、一刀が一歩前に踏み出す。

 

「まて!!」

 

「彼女等に指一本触れさせるか!」

 

すると、そう言って、何処から現れたのか二人の黄巾党の兵士が、彼女等の前に壁になった。

 

「ふむ。 その意気や良し。 俺も其れに答えよう」

 

バチン!

 

そう言って、片方にデコピンを喰らわせる。

 

すると、喰らった方は意識が遠のきそのまま眠った。

 

「!……でぇぇやぁぁ!!」

 

デコピン一発で伸された仲間を見ると、我武者羅に突っ込んで来た。

 

「はぁっ!!」

 

ドゴーン!!

 

だが、その兵士は後ろから跳んで来た氣弾に吹き飛ばされた。

 

「! 今のは……凪か?」

 

「はい、師匠……彼女等は?」

 

一刀は首だけ後ろを向けて、後ろから追って来た凪を一目見て、そして少女達に視線を戻す。

 

そして、一刀は溜息を付いて凪にこう言う。

 

「黄巾党の張角達が、己の身代わりにしようとした人質だ」

 

「え?」

 

『!?』

 

一刀のその発言に、凪だけでなく少女達も驚く。

 

「俺が保護しようと思ったが、凪おまえさん等で面倒を見てくれや」

 

「師匠、良いのですか? 若しかしたら、彼女達が――」

 

そう言って、凪が少女達に視線を向けるながら言うが、一刀は其れにこう答えた。

 

「彼女等は、あいつ等に巻き込まれただけだよ。 たとえ乱の原因だとしてもな」

 

そう言って、一刀はその場を離れようとする。

 

「まって!」

 

それを胸の大きな少女が声をかけて止める。

 

「名前を、貴方の名前を教えてください」

 

「孫江、孫江王虎だ」

 

「孫江様、ありがとうございます、私は天和。 何時かまた会いに行きます」

 

その天和の様子を見たのか、一番元気の良さそうな少女が一刀に声をかける。

 

「ちーは、地和。 絶対会いに行くから、覚えててよ!」

 

そして、最後の一人が一刀に声をかける。

 

「私は、人和。 このご恩は忘れません、また何時か」

 

少女達の声を背に受け止めた後、一刀は振り返らず、首だけそちらに向けた。

 

「真名だよな……分かった、次に会った時は一刀と呼んでくれ。 三人とも精一杯生きなよ、じゃあな」

 

そう言って今度こそ、その場から去った。

 

一刀がその場を去ると、凪は三人に向かってこういった

 

「……如何する? このまま私の保護を受けるか、それとも」

 

凪は、もう一つの選択肢を出さずにそう言う。

 

少しの間を置いて、彼女等は凪に保護される事になった。

 

その代わりに、自身の真名以外の名を捨てる事になった。


 
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