No.178534

真・恋姫†無双~江東の白虎~第弐章 10節~悲しみに差し込む光明~

タンデムさん

今回は、袁術ちゃんとの対面です。
無事一刀は、美羽と七乃を攻略いたしましたww(マテコラ
この話は、プロットを考えたときにかなり先に思いついちゃった話なんですよね。
美羽をどうやったら、悪者にならないかを考えたとき、こうなっちゃったんです。
御蔭で、七乃も攻略対象になっちゃいましたがwww

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2010-10-16 05:50:33 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:16169   閲覧ユーザー数:11161

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

その点を踏まえて、お読みください。

「……」

 

『かずとぉ……』

 

一刀は、今激しく悩んでいた。

 

今自分に、抱きついて泣いていた二人の女性。

 

どっちが自分の義母で、どっちが義妹なのか。

 

「どっちが、美蓮母さん? どっちが、雪蓮?」

 

「ぐずっ……還っ、て来て、開口一……番が、それ?」

 

「すんっ……普通は、只今、でしょう?」

 

泣き腫らした眼で、二人は一刀を見る。

 

若干一刀の方が身長が高い為、涙目の上目遣いになってしまい、一刀は平静を保つ事が出来なかった。

 

「すん……あら? 一刀、何か当たってるわよ?」

 

「ほんと~。 何かしら?」

 

二人は、ニヤニヤした表情で一刀を見る。

 

今まで可愛い三人の女の子と旅をしていたにも拘らず、禁欲生活をしていたのだ。

 

反応しない方がおかしいと、思った一刀は

 

「しゃあ無えだろ? 綺麗所二人に抱きつかれてるんだ。 反応し無え方が、男としておかしいぜ」

 

勿論胸を張って、こう言い切った。

 

そんな、一刀の様子に、その場に笑いの渦が巻き起こる。

 

久方ぶりに、笑顔を見せた孫呉の皆は心から笑う事が出来た。

 

そして、皆が思う。

 

是が、一刀の『ちから』なのだと。

建業に戻ると、一刀は住人から熱烈な歓迎を受けた。

 

「だんなぁぁぁっ!!! 待ってましたぁ!」

 

「王虎様! おかえりなさいませ!!」

 

「兄ちゃんおかえり!!」

 

と、男女子供や、果ては動物まで関係なく、彼の凱旋を喜んだ。

 

その歓迎のあいさつに、一刀は流れそうなモノを堪えていた。

 

「っく……たくよぉ……此処の奴らは、大げさすぎなんだよぉ……すぅ……皆! 帰ったぞ!」

 

そして、大きな声でその歓迎に応えた――。

わぁぁぁぁ!!!

 

「!? な、なに!?」

 

私室で政務をしていた結羽は、急に城の外から響いてきた大きな声を聞き、飛び上がらんばかりに驚いた。

 

何があったのかと思い、結羽は外まで出ようと広間に行った。

 

「……え?」

 

そして、館の中で結羽と再会した。

 

「……一刀……く、ん?」

 

結羽は、一刀を視界にとらえた瞬間恐怖にとらわれた。

 

これは、自分自身が見せる幻ではないのかと、

 

自分の心が幻視させる夢ではないのかと、思ってしまうのだ。

 

「只今、結羽さん。 ちょっと、遅くなったか?」

 

不安に駆られている結羽を余所に、一刀は結羽に近づき、そっと抱きしめた。

 

「うぅぅ……一刀君……」

 

一刀のぬくもりを肌に感じたその瞬間、結羽は大声を上げて一刀に泣きついた。

 

ここでも、やはり一刀は結羽を冥琳と見間違える所だったが、今は冥琳が隣に居る、

 

そして、自分の事を君付けで呼んでいると言う事で、結羽だと判断したのだ。

 

結羽が泣きやむと、一刀は取りあえずまだ会っていない他の者たちに会いに行こうと、

 

扉の方に行こうと思った矢先に扉が開いた。

 

「お?」

 

『……え?』

 

「はや?」

 

そこには、3人の少女が並び立ち、後ろにもう一人少女が立っていた。

 

3人の少女は一刀を見た瞬間、石のように固まった。

 

ばさささっ!

 

そして、一瞬の後に、竹簡の落ちる音がした。

 

見ると、蒼里、夕陽、廿楽が目を大きく見開いて、一刀の方を見ていた。

 

その後ろで、その様子を不思議そうに見ている胸の大きな女の子、穏がいた。

「? 如何なさったんですか? 皆さん?」

 

「一刀……しゃま?」

 

『一刀、さま?』

 

落ちた竹簡などに、構う事無く、蒼里達は一目散に一刀の元に走り、

 

「一刀しゃまぁっ!」

 

『一刀さまぁっ!!』

 

そして、三人は眼に涙を沢山溜めて、一刀に飛び掛った。

 

それを一刀は機用に両腕で全員抱きとめる。

 

『あぁぁぁっ!!』

 

そして、一刀の腕でまるで幼女のように泣き叫ぶ三人。

 

だが、この涙は悲しみの涙ではない事は明らかだった。

 

「遅くなったな、三人とも、ただいま」

 

「ぐしゅ……お帰りなしゃいましぇ、かずとぉしゃまぁ」

 

「お、いいぃ……つけ、どおり、ちゃん、とぉ待って……ましたぁ……」

 

「ふぇぇぇんっ!!」

 

一刀の言葉に、顔中をぐしゃぐしゃにしたまま答える蒼里と夕陽。

 

廿楽は、泣きながら首を縦に振る。

 

皆が再会の余韻を味わう中、一人取り残されている者が居た。

 

「……あの方が、孫江様ですか……。 う~ん、穏、取り残されちゃいましたね~」

 

「穏、心配せずとも後で紹介してやる。 それに、もうそろそろ……っと噂をすればか」

 

皆が一刀との再会を味わっている最中、袁術の使いが報告に来いと言いに来たのだ。

 

その事に、雪蓮は若干目と眉を吊り上げ、聞き流す程度の返事をする。

 

その様子を見つけた一刀は、自分が戻って来た事は先程の事で伝わったはずだから、

 

挨拶に行こうと雪蓮、美蓮と一緒に袁術の本城へ向かった。

「ただいま、お望み通り倒して来たわよ。」

 

「う、うむ、ご苦労なのじゃっ!」

 

座っている袁術の俯いた顔が、上がり表情が見える。

 

『!?』

 

「……!」

 

雪蓮、美蓮とともに袁術の城を訪れた一刀は、その袁術の表情を見て驚く。

 

眼には涙が溜まり、紅く充血してまるで、今にも泣き出してしまいそうな感じなのだ。

 

一刀が戻って来たことで、若干心に余裕が出来た雪蓮も今の袁術の目を見て大きな違和感を覚えた。

 

まるで、すぐに壊れてしまいそうな物に見えるのだ。

 

少しの静寂がその部屋を支配する。

 

そして、一刀が不意に扉の方に歩きだした。

 

「ちょ、一刀! どこ行くのよ!?」

 

「少し……鼠掃除をしてくる」

 

そう言って、部屋を出る。

 

「よう、糞鼠さん」

 

「な!?」

 

そして、部屋を出てすぐの所に、部屋の中の様子を盗み見る男を発見した一刀。

 

「悪いな、今チョット機嫌が悪い。 あんまして加減が出来ん」

 

「バチンっ!」と、何かを弾くような音がした。

 

「さて、他のネズミも狩るか……」

 

そして、一刀はその部屋の周りにいた怪しい者達の意識を問答無用で刈り取っていった。

 

余談だが、その意識を刈り取られた者達が目を覚ますと、最近までの記憶がすっぽりと抜け落ちていたそうな。

「是で、よしだ」

 

一刀はそう言って、玉座に戻った。

 

そして、今度は袁術の座っている目の前まで行く。

 

「な、なんじゃ、貴様!? ぶ、無礼であるぞ!!」

 

「そうです! 下がってくださいっ!!」

 

「……」

 

二人がそう言っているのも無視して、一刀は袁術を抱きしめ赤子をあやすかのように、背中を撫でる。

 

「もういい、もういいよ。 君は頑張った」

 

「な、何を言って居るのじゃ?」

 

一刀の優しい声と雰囲気に、呑まれそうになる。

 

その証拠に、袁術の答えた声は震えていた。

 

「もう隠さなくていい、自分を出して良い。 全てを、俺にぶつけろ」

 

「うっぐ……妾は、妾は、あぁぁ……あ゛あぁぁあああぁぁぁあぁぁっ!!!」

 

そして、終に耐え切れずに泣き出した。

 

この様子に、美蓮、雪蓮、張勲は目を見開いて驚いた。

 

たった一度。

 

それだけで、一刀は袁術の仮面に気が付いたのだから。

 

そして、一刻の間たっぷり泣き、ようやく泣き止んだ袁術を座り直してやる。

 

「たっくさん、泣いたな。 少しは、落ち着いたか?」

 

「う、うむ」

 

前のように傲慢そうな態度は一切見せず、しおらしい様子を見せる袁術に雪蓮は驚きっぱなしだ。

 

美蓮はその様子に、ほっと胸をなでおろす。

 

あのまま放置していれば、何時か彼女の心が壊れてしまうのは、目に見えていたからだ。

 

そして、その様子をすまなそうに見る雪蓮が居た。

 

「……あたし、目が曇ってたのね」

 

今目の前で、自分は何度もあっているのに、気付けなかった少女の仮面を一刀が剥ぎ取ったのだから。

 

必死に助けを呼ぶ少女の心を見もしなかった自分に、恥ずかしさが、悔しさが沸き上げって来る。

 

美蓮はそんな雪蓮の肩をポンと手を置き、

 

「確かに、貴女は彼女の仮面に気付いてあげられなかった。

 

でも、今回の失敗で学んだ事を生かしなさい。

 

貴女なら其れが出来るはずだから」

 

その母の言葉を、雪蓮は重く受け止め、雪蓮は袁術の方に近づいていく。

 

「……」

 

袁術は近づいて来る雪蓮を視線の端で見つけ、そちらに目をやる。

「……」

 

「あ……」

 

そして、近づいてきた雪蓮は、彼女の頭を優しく撫でていた。

 

「ゴメンね。 全然気付いてあげられなくって」

 

「う、うむ。 構わぬ……ぐすっ、のじゃ」

 

謝る雪蓮に、袁術ははにかんで許す。

 

こんな良い娘を、自分は大人気なく無視していたのかと、本当に腹ただしくなる。

 

何かこの娘にしてあげられる事は無いだろうかと考えると、ある一つの事が浮かんだ。

 

「そうだ! 償いって訳じゃないけど、友達にならない?」

 

「ともだち? わ、妾と、そちがか?」

 

恐る恐る、聞いてくる袁術。

 

「ええ、勿論」

 

「あ……」

 

そんな彼女の手を、雪蓮は優しく両手で握ってやる。

 

袁術は雪蓮の手から、暖かい気持ちが伝わってくるのが分かった。

 

そして、その上から違う手が二つ重ねられた。

 

「おいおい、雪蓮。 美味しいトコばっかり持っていくなよ?」

 

「そうよ? 私たちも、袁術ちゃんとお友達になりたいんだから」

 

勿論、乗せたのは雪蓮と袁術の様子を静観していた二人。

 

最初はきょとんとした表情だった袁術だが、徐々に花咲くような明るい表情に変わっていく。

 

「うむ! 友ならば真名を教えておかねばならぬの! 妾の真名は美羽なのじゃ!」

 

そう最初とは打って変わって、明るい表情と声色で言う美羽。

 

三人は其々、真名を交換し暫くの間、戦後報告と言う名の雑談をする。

 

主に、一刀が還って来た様子とか、呉の時代の話とか色々。

「――――でね、その時一刀が、ってあれ?」

 

「うみゅぅ……」

 

そして、話を聞いていて疲れたのか、雪蓮に抱っこされたままいつの間にか眠っていた。

 

「寝ちゃったわね」

 

安心しきった寝顔の美羽の頬を、美蓮はプニプニと突付く。

 

くすぐったいのか、身じろぎして、寝返りを打つ。

 

「皆さん、ありがとうございます」

 

と先ほどまで、全く喋りもしなかった張勲が行き成りお礼の言葉を述べた。

 

「お嬢様の、このような安らかな表情は、最近は全く見ませんでした。

 

其れも皆さんの御蔭です、本当にありがとうございます。」

 

そう言って、帽子を取り頭を下げる。

 

「頭をあげな。 それに、アンタも辛かったんだろ? 眼の前でこんな姿になって行く美羽を見てるのが」

 

「っく……うっく……ひっく……」

 

一刀のその温かい言葉に、頭を下げたままその場に膝を折り、静かに嗚咽を漏らす。

 

そんな彼女に、一刀は近寄り優しく肩を抱いて、髪を優しく撫でてやる。

 

暫くして、落ち着いたのか赤い顔で、一刀から離れ、美羽を雪蓮から受け取る。

 

「あ、ありがとうございました。 それから、どうぞこれからは私の事は、七乃とお呼びください」

 

「いいって事よ。 何があったかは、また今度じっくり聞かせてもらう事にするぜ。

 

俺は一刀だ、じゃあな七乃」

 

「じゃあね、七乃。 私は、雪蓮。 明日また来るから!」

 

「こら、アンタは王でしょうが! じゃ、またね七乃ちゃん、私は美蓮って呼んでくれて構わないわ」

 

騒がしく、袁術の城を後にする一刀達。

 

それを、笑顔で、ある人物に熱い視線を送りながら見送る七乃。

 

今日は、久々にぐっすり眠れそうだと、晴れやかな気分の七乃だった。

是で終われば良いのですが、そうは作者が卸しません。

 

「さて、還って宴会の後は、ムフフ♡」

 

「そうね……ムフフ♡」

 

馬上で桃色の雰囲気を醸し出す雪蓮と、美蓮。

 

対する一刀は、若干冷や汗をかいている。

 

「……い、言っておくが三人までだからな!! それ以上は相手せんぞ!!」

 

流石にそれ以上の人数で搾り取られては、自分の身が持たないと思った一刀は制約をつけた。

 

雪蓮と美蓮は其れならばと、昔一刀に教わった本気のじゃんけんをする。

 

「最初はグーっ!」

 

「ジャンケン、ポン!!」

 

美蓮グー

 

雪蓮チョキ

 

雪蓮は本気で落ち込み、美蓮は有頂天になった。

 

一応は、今日は美蓮、結羽、祭の三人に決まったようだ。

 

だが、あくまで今日の予定なのだ。

 

ちなみに城に帰ると、女性陣で集まり、

 

一日目:美蓮、結羽、祭

 

二日目:雪蓮、冥琳

 

三日目:孫親娘

 

四日目:周親娘

 

五日目:祭

 

六日目:大小姉妹、蒼里

 

と言う閨のシュケジュールを組まされる事になる事を、この時の一刀は知る由もなかった。

 


 
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