No.178481

真・恋姫†無双【黄巾編】 董卓√ ~風と歩み~ 拠点 華雄・霞√ ~素直な私~

GILLさん

GILL(ギル)と名乗る作者です。
頑張って前回より早く更新出来たので、読んでもらえたら嬉しいです。
拙く、見辛い文かもしれませんが、見てやってください。


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2010-10-16 00:20:17 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:5011   閲覧ユーザー数:4165

 

 はじめに

 

 GILL(ギル)と名乗る作者です。

 

 この作品は、真・恋姫†無双のみプレイした自分が

 

 『俺は、風が大好きなんだ!!』

 

 と、いう感じでタイトル通り【~IF~】『もし、風達と一刀が同行したら・・・』

 

 という妄想がタップリの作品です。

 

 でも、作者は風以外に目が入っていないので、もしかしたらキャラが変わっている可能性も出てきます。

 

 そして、オリジナルのキャラクターも出すかもしれません。

 

 ですから、『あ、そういう系のSSマジ勘弁』という方はお控えください。

 

 それでも、『別に良いよ』という方は是非とも読んでやってください。

 

 それでは、ご覧ください!

 夕暮れの紅い陽が眩しく見える頃、祭りは中盤に突入といったところであろうか。それでも……いや、それ以上かもしれないこの人の賑わい様。序盤と何ら変わらず、人通りが多すぎて鬱陶しいくらいにとも思える。

 人通りが通る大通りの隅で、ちょっとした悶着があった。

 

 「ええから、早う出て来いっちゅうねん!華雄!」

 

 そこには、浴衣の裾であろう部分を力いっぱい引っ張る霞の姿があった。

 詠とは対象的に、縛っていた髪を下ろしロングヘアにしていた。さらさらと、流れるようにして揺れる霞の髪は、まるで彼女の個性である『自由』を強調しているようにも見えた。

 

 「ええい!離せ、張遼!やはり、私はこのような服装は似合わん!!」

 

 引っ張られている裾を辿って、見えてきた華雄の焦った表情。

 武人として生きてきた彼女に、着飾りなど眼中に無かったのか特にこれといった飾り物は無い。逆に、それが清清しいとも言える。

 しかし、無理に華雄を引っ張るあまりか、肩の部分の頼りない布が徐々に滑り落ちて白い肌が露出している。

 それなのにも関わらず、普段から露出の高い服を着慣れている所為か、恥じらいの一片も見せない彼女には、思わず苦笑を溢してしまいそうだった。

 

 「何言うてんねん!あの鈍感に見せる為に、買ったんやろ!?なら、さっさと行・く・でっ!」

 

 掛け声と共に、腕に込める力をより一層引き出す霞。その表情は、優柔不断な人物に対して苛々するような顔に似ており、決して軽い気持ちでは無いだろうと思わせる。

 そして、力及ばずかそれとも、観念したのか……木陰からひょっこりと華雄の浴衣姿が現れた。

 

 「解った!解ったから、引っ張らないでくれ!……まったく」

 

 裾を引っ張られ、肩から滑り落ちた布を直す華雄。丈の部分を二回叩くようにして払うと、何かに気づいたかのようにして頭を急に上げる。

 

 「ん?何や、かゆ……。おっ!一刀やん!丁度ええとこに……ウシシ。こっちや!こっち!」

 

 華雄の妙な硬直を不審に思った霞は、華雄の向けた目線を辿るようにして同じ方向を向く。……そこには、この悶着の根源とも言える北郷一刀の姿があった。

 

 「……あっ!霞、華雄!良かった、探していたんだ!」

 

 霞と華雄に気づいた一刀は、手を振って小走りに彼女らに近付く。

 霞も、大きく手を振って自分達の居場所を示していた。しかし、華雄は顔を伏せ、目線をわざとずらすようにして目を背けていた。

 その、頬が……夕暮れの陽のように、真赤に染まっている事に一刀は気づくはずもなかった……。

 華雄と霞が一悶着起こしたのには、訳がちゃんと存在していた。それは、華雄の何気ない仕草とつい口を滑らした一言から始まったのだ。

 

 「……はぁ」

 

 祭りの笛と太鼓の音が絶えなく響く中で、この状況に不似合いなほどの溜息が一つ。そこには、前から意気揚々として祭りに取り掛かっていたはずの華雄が居た。

 城壁の上に一人手すりのようなものにもたれ掛かり、祭りの準備で人がせかせかと働く様を静観している。そこへ、ちょっとした風が吹いたことに驚き反射的に目を閉じる華雄。

 再び開いた視野に何気なく入っている木の葉が揺れ終わったのと同時に、空模様の中心に浮かぶ、一刀の笑顔。

 

 「……一刀」

 

 思い出す度に、朱に染まる自分の頬。しかし、直後に吐く溜息がその熱を飛び散らせてしまう。

 

 ……この、鈍感め。

 

 華雄の溜息の最大の原因。それは、この頃華雄は一刀にあまり会えていなかったのだ。顔を合わせていても、その時に限ってはどちらかが忙しかったりする。

 元々、華雄が積極的に祭りに取り組んだのもただ一点、一刀に褒めて欲しかっただけなのである。しかし、一刀と会えないうちに華雄は『自分はもしかしたら、好かれていないのではないか?』考え始めるようになってしまったのだ。

 

 「……はぁ」

 

 「なんや、溜息なんぞ吐きおって。らしくないで、華雄」

 

 後ろから、陽気な声と共に今の華雄にとっては、とても面倒な人物が軽い足取りでやって来た……。

 黄昏中の華雄の後ろからやって来た霞。祭りの開催も近く、相当ご機嫌な様子であった。

 

 「なんだ、張遼か……」

 

 どうでもいい来客に、向ける興味すら湧かない華雄の反応は、当然のように薄かった。そんな華雄の対応に、少しだけムッとする霞。

 

 「なんだ……って、お前さんなぁ……。まさか……便秘か?」

 

 「何処をどうしたら、そんな質問が浮かんでくる!!?」

 

 先ほどの反応の薄さとは打って変わり、勢いがついた華雄の突っ込みを受けた霞。

 

 ……なんや、割と元気やんけ。

 

 そんな心配損に苦笑を浮かべ思わず噴出してしまう霞。少し後に、薄い微笑みを浮かべ目を閉じながら、華雄の横に何気なく居座る。

 

 「何が不安なんや、華雄」

 

 霞の質問を他所に、返答を言わない華雄。そんな華雄を横目で、ジッと見ている観察する霞。やがて、顔すら背けてしまう華雄に、やれやれと言わんばかりの溜息を吐く霞。

 

 「……一刀か?」

 

 「な……!」

 

 「『目は口程に物を言い』……どうして解った?なんて、野暮な事……聞かんといてな?」

 

 一刀の事と解った霞は、それ以上は問い詰めようとはしなかった。

 そう……霞には、何となく解っていた事があったのだ。『何故、華雄が自分の所に修行をつけにもらったか』『何故、ここ最近の華雄が浮かれていたのか』『何故……今の華雄は、そんなにも悲しい目をしているのか』

 最初は無自覚だったかもしれない。『強くなりたいのは、一刀を守る為』『浮かれていたのは、一刀に褒めてもらったから』『……一刀と何かあった。だから、悲しい』

 

 ……華雄は、ホンマに一刀に惚れている。

 

 そんな華雄に、過去の自分と似ていると、照らし合わせながら遠くを見るような目の霞。そんな沈黙の中、夏の涼しい風が吹き抜けた。この風は、自分達の心の隙間を通り抜けるようで、涼しいはずなのに……少し、不愉快だった。

 どうして……どうして、私がこんな目に……。

 

 そう愚痴を心の内で溢しつつ、ドンドンと迫ってくる一刀に目をやる華雄。しかし、何もしらない一刀の笑顔は、今の彼女にとっては眩しい以外の何物でもなかった。

 

 「……ぅ」

 

 華雄本人にとって、気まずいのか、単に恥ずかしいだけなのか。顔を上げては、下げの延々としたループの繰り返し。本当に『らしくない』華雄に呆れたのか、苛々したのか、霞は華雄の背中を膝で蹴った。

 

 「なっ……!張遼、貴様!」

 

 「やっぱ『猪突猛進』が華雄には一番ピッタリや。ほれ、さっさと行け!」

 

 人差し指で華雄をビシッと一刀の方へと指す霞。それに加えて、『猪突猛進』なんていう不名誉な称号を一番ピッタリなんて言われたのだ、普段の華雄なら怒り狂って祭りを台無しにしてしまうだろう。

 しかし、今の華雄の顔は……何とも言えない程、微妙な顔をしていた。何故なら、華雄は霞の言葉の意味を理解していたのだ。

 

 『当たって砕けろ!!』

 

 この一言が、華雄の頭をすり抜けていく。

 

 ……張遼。それでは、まるで……一刀が女で、私が男のようではないか……。

 

 「二人とも、どうしたの?さっきから、固まって」

 

 華雄や霞が気づいた頃には、とっくに一刀はすぐ側まで来ていた。一刀に顔を覗かれた華雄の体温は、沸点を越したようだった。

 

 ……ええい!こ、こうなったら……もう、どうにでもなれ!!

 

 「な、何をしている一刀!ほら、さっさと屋台を見て回るぞ!祭りの時間は限られているんだからな!」

 

 やけくそ。

 一刀の手を取った華雄は、無理やり人混みの中を突き進んでいく。その勢いに負けて、遂には道を開ける者すら出てくる程、今の華雄の威圧感は戦場より強かった。

 

 ……と、後の一刀はこう語ったのだった……。

 華雄視点

 

 楽しい。 嬉しい。 気持ちいい。

 

 ……どれほどの時間が経ったのだろうか。いや、もしかしたらそんなに時間など経っていないのかもしれない。けど、今はそんな事すらどうでも良かった。

 

 どんなに小さな事でも、どんな状態でも、私は……笑い続けていた。

 手の先から感じる一刀の温もり。これを感じるのと、感じないのとでは自分自身の心の在り方が極端に違う事が解る。

 

 「うーん。やっぱり、月のように上手くいかないかぁ……」

 

 『射的』というものをやっている一刀。さっきの言葉から察するに、私より先に董卓様と祭りを回っていたのだろう。もし、普段の私なら、少しは嫉妬するかもしれない。けど、今はそんなのどうだって良い。

 

 「まったく、一刀は扱い方が雑なのだ。貸してみろ」

 

 「……華雄がこんなに器用だなんて。すごいよ……華雄」

 

 ようやく褒めてくれた一刀。たかが、的を当てただけなのに。これも、普段の私なら、どんなに喜んだ事だろう。けど、今はそんな事すらどうでも良かった。

 

 ……何故だろう。今なら、私は……何だって出来そうな気がする。

 

 こんなにも、感情が昂ぶるのはいつ以来だろうか?否。もしかしたら、こんなにも感情が昂ぶるのは初めてかもしれない。

 

 ……これが、私?

 

 『やっぱ、素直になることが一番大切やと、ウチは思う』

 

 あの不愉快な風が吹いて、少しした後。ポロッと溢したかのように呟いた張遼の言葉。

 

 ……これが、素直な私?

 

 女として生きる事を止めた……はずだった。

 けど、こうして今……私は、女としての悦びを感じている。……そうか、今やっと気づいた。今までの、この胸のモヤモヤとした感情が何なのか。

 

 私は……一刀が大好き!

 

 『愛されたい』と考えていた自分が居た。

 『私だけを見て欲しい』と思っていた自分が居た。

 

 ……笑止!

 

 愛されなくても良い。 ならば、私が一刀を愛す。 私は一刀を守る。……そう、大好きだから。

 

 ……こうして、董卓様とはまた違う。『命を懸けてでも守り通すべき存在』が、私の中で生まれた。

 「なんや。ちゃんと……上手くやっていけるやん。バカユウ(バカ華雄)」

 

 祭りの大行列の中に、一人。華雄の様子をゆっくりと見守る一人の女性の影。霞。

 

 「お。今日はエエ月が出とるやんけ。加えて、エエ肴もあるし……今日の酒は最高やな」

 

 クイッと、一杯。酒を飲み干す。

 人々が言う『イイ女』というものは、正にこの人の事を言うのだろうか?

 夜の祭りはまだ、始まったばかり……。

 あとがき

 

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!!

 

 完全に季節外れの、夏祭り拠点の続きでしたよ~っと。サーセン。

 

 ようやく書けた……と、思ったら。たったの6ページ……だと!?

 まぁ、前回の月・詠√は祭りの前準備の為にもページを使ったんだ、と自分で納得・妥協。

 そして、前回の文章形式から少し改造。

 文章の所々にキャラ自身の心の声とやらを入れてみました。

 これで、キャラの現在の心境とかが伝わったら良いな、と思っています。

 

 そしてそして、今回の終わり部分。少し短かったな、と思いますが……断じて手抜きではありません!

 この後、華雄と一刀は状況的にそのまま遊んで、それを霞が見守る……と、このような形で進んでいきますが、なんかそこまで深く書くと逆に鬱陶しいかなぁ、なんて思って終わりの形はあのようにあっさりとさせて頂きました。

 

 今回の拠点では、董卓軍キャラの拠点を全部一つに纏めて『一日』としています。

 つまり、華雄・霞√でも月・詠√と同じく最後のシメは『線香花火』で終わりますが、先ほども書いた通り、そこまで書くと鬱陶しくなりそうですので、終わらせて頂きました。

 

 ……今回の拠点、今更ですが霞さんはあまり一刀と絡んでいません。

 霞ファンの皆様に、心からの謝罪を……。すいませんでした。

 現段階では、まだ霞さんは一刀に対して好意を持っていないという設定です。

 ……後々に我等の種馬が堕としますが!(オイ

 

 それでは、最後に一言……。

 

 『華雄姐さんのオリジナル真名を出そうと思って、考えているんですが……素敵な名前はありませんか?』

 

 それでは、次の投稿まで

 See you again!!

 

 
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