No.177979

恋姫のなにか 24

くらげさん

忘れた頃に焦って投稿。

2010-10-13 14:16:14 投稿 / 全15ページ    総閲覧数:13181   閲覧ユーザー数:7513

新御三家は迷わず草を選びました。なんで草・龍じゃないんだよコンチクショウ。

蟲タイプで良さげな新ポケが増えてて個人的には嬉しい出来でした。

 

秋蘭が出るとあって、程よいエロが含まれます。お嫌いな方は読まれない方が懸命かと思います。

新キャラで星が出ます。何と言う良い釣り針。

(・・・・・・寝違えたか?)

 

普段寝起きは良い筈の自分の身体が妙に重い事に秋蘭は違和感を感じた。

昨晩は凄まじい熱帯夜で、何処のご家庭でも文明の利器・クーラーが大活躍し、秋蘭もそれに漏れず普段一人で居る時は付けない冷房を利かせて睡眠を取った筈だった。

なのにタオルケットに包まった己の身体は妙に温かいし、身動きも取り辛い。

 

(おいおい、クーラー使って即風邪引いたのか私の身体・・・そんな軟弱じゃない筈だが)

 

生まれてこの方一度も。とは流石にいかないまでも、それでも不注意で風邪を引く事など今まで一度たりとも無かった筈だ。

 

(しかし身体は重い・・・不思議な事に胸周りだけ・・・)

 

何とか動く両腕を器用に動かし、兎も角一度立ち上がろうとタオルケットを引っぺがすと、一刀が自分の素肌にホッペをくっ付けてスヤスヤと眠っていた。

 

「夢よ、覚めるな」

 

思わず素で呟いた秋蘭。目の前には彼女のアヴァロンがあった。

薄い布地のパジャマの上着のボタンを全開にし、寝るときは下着を付けない派な秋蘭のたゆん×2でやーらかい二つの膨らみの間に顔を埋める様にして頬を寄せている一刀。

 

(あぁ・・・えっとそう言えば)

 

Oh!!Yes!!とそのまま一刀に襲い掛かる脳内の自分に事の録画をお願いして、自分はケータイを何とか掴んで、程よい距離を測るとカシャーカシャーと二十枚ぐらい連続で撮影する。

 

(デジカメは・・・この距離じゃ流石に無理か)

 

宜しい、ならば撮影だ。とカメラからビデオモードに移行させると、自身の胸に顔を埋めてむにゃむにゃしている一刀をズームアップで撮影していく。

規定の録画時間まで録画し終えると、写メの確認をしてその写りに満足気に笑みと鼻血を浮かべる。

 

(さて、やることはやったが・・・)

 

役所は何時ぐらいから婚姻届を受理してくれるのかを思い出しながら、ついでに何故こんな事態になったかを思い出す。

事の発端は日付が変わる少し前、明日は休みだし、用事の相手は斗詩だし。と夜更かしを決め込もうとした秋蘭に届いた一通のメール。

着メロだけで相手は誰か判ったので速攻でメールを開いて内容を確認すると、『まだ起きてる?』とだけ書かれていた。

起きてる、何か様か?と返信を返し、ソワソワしていると直ぐに電話が掛かってきた。

「今からそっち行っていい?」と妙に機嫌の悪そうな声で尋ねられ、何があったのか問いたかったがとりあえずOKした秋蘭。

家族は皆寝ているし起こすのは一刀とて不本意だろうと玄関を出て待っていると、一刀が眉を顰めて出て来た。

「どうしたんだ?」

「泊めてくれ」

(子供の名前考えるか)「そりゃ構わんが・・・」

「桃香帰って来てんの」

 

あー。と不機嫌に何時もなら『姉さん』と敬称を付ける筈の義姉の名を聞いて大体事情を察した秋蘭。

リビングが寝室な一刀の部屋事情は秋蘭とて知っているし、どうにも我慢出来ない気温の時は桃香の部屋を間借りしている事も知っている。

しかし世間は超大型連休、実家を出て寮住いしている桃香も実家に帰ってくれば、当然一刀はどんな状況だろうとリビングのベッドで寝る事になるだろう。

ぶっちゃけ「一緒に寝させて」と言えばあの姉達は血で血を洗う争いを繰り広げて一刀を寝間に引き摺りこむだろうが、そこは甘え下手の一刀である。

一応は弟のプライドもあるらしく、あまり姉達に甘える事の無い一刀は甘えさせ上手の秋蘭と天然ぽややんな春蘭に頼る事の方が実は多い。

突っ込み所は満載だが、まぁ簡単に完結させると【リビングだと暑くて寝られないけど桃香の部屋で寝る訳にもいかないから部屋で寝させてくれ】といった所だろう。

 

「まぁ入りなさい。シャワー浴びるか?」

「眠い」

「そうか。なら部屋に行こう」

 

不機嫌なのは眠たいだけか。と苦笑しながら秋蘭は自宅に一刀を迎え入れると、後ろ手で玄関の鍵を閉めながら振って涌いた幸運に感謝していたのだが―――

(部屋に入った途端、直ぐに崩れ落ちてそのまま眠ってしまったんだったか)

 

無論、崩れ落ちたのは秋蘭ではなく一刀である。

一瞬で肝を冷やし、冷や汗を流しながら一刀を抱えた秋蘭だったがすーすーと気持ち良さそうに寝息を立てる一刀の寝顔を見るとホッと肩に入れた力を抜いた。

何とか抱き抱えてベッドまで運んで――そのまま自分も眠ったという訳である。

途中一刀がクシャミをして、そのクシャミで眼を覚ました秋蘭はこりゃいかんと冷房の温度を最低にして、このままでは風邪を引いてしまうなぁという問題と直面してしまったので、一刀と自分が互いに風邪を引かない為に少々派手に密着したというのが事の真相である。

 

「うん、仕方がないな。一刀は涼を取りに来たわけだし、一刀を起こすわけにも行かないからクーラーのリモコンを取りに行く訳にもいかなかったしな」

 

普段なら部屋の中央に鎮座するお洒落なガラス張りのミニテーブルの上に置いてあるリモコンは、部屋の片隅に吹っ飛んでいた。

昨日設定温度を少々弄った後にブン投げた記憶も戻ってきたが、あの時は寝惚けていたしなぁと一人でウンウンと納得する。

すると、その動きが原因か一刀が身体と摺り寄せた顔をモゾモゾと動かし、居心地良くなったのかもう一度動きが止まる。

 

「やれやれ、こんなに引っ付かれては起き上がる事も出来ないなぁ」

 

一刀一人ぐらいなら難なく持ち上げられる豪力を棚に上げてシニカルな笑みを浮かべると、先ほど跳ね上げたタオルケットを器用に足の指で摘んで上に放り上げると、一刀の身体に当たる前に腕で空中キャッチして自分達に覆い被せて秋蘭はもう一度眼を瞑った。

今日は休日の真っ只中だし、用事は有るけど相手は斗詩だし。と納得すると、一刀の背中に手を這わせながら鼻歌を静かに歌って幸せな朝の一時を満喫しようとする秋蘭。

そこに、来客を知らせるチャイムの音が聞こえてきた。

ピンポーン。とお決まりの音を響かせながら、星は昨日借りたDVDを胸に抱え直すとふんふんふーん♪と鼻歌を歌って一刀を待つ。

が、待てど暮らせど誰も出てこない。今日この時間に訪問する事は一刀本人も知っている筈なのに出てこない。

痺れを切らした星は、『恥ずかしいから絶対やるな』と一刀に言いつけられたアレを解禁した。

 

「カーズーにー!あっそびーましょー!」

 

が、それでも一刀は出てこない。普段なら直ぐに飛び出して自分の口を塞ぎに来るのに。と思いながら、もう一度大きな声を出す為にすーっと息を吸い込むと、ん!と一回溜め。

 

「カーーーズーーーにーーー!!!あっ!そびーー!ましょーー!」

 

その音量に電線に止まっていた鳥達が驚いて飛び立つ。が、一刀は出てこない。家族の人たちも出てこない。

 

「カズにぃ!!ボクきたよー!!??」

 

右手でDVDを抱え、左手を口の横に当てて一刀に自分の来訪を知らせる星。その星に背後から声を掛ける人が居た。

 

「あの、星ちゃんだよね?」

「ボクの後ろに立つんじゃねぇ!!」

「ひゃ?!ス、ストップストップ!!」

 

ごうん!と風を押しつぶすバックナックルを放った星。それを紙一重で何とか交わすおかっぱ頭の女の子。

 

「はえ、秋ねぇじゃなかった」

「び、びっくりした・・・」

「ごめんねお姉さん。しかし君のお父上がいけないのだよ」

「な、なんで私の父が・・・じゃなかった。えっと、星ちゃんだよね?」

「おーいぇー」

 

マラカス代わりにDVDの入ったレンタル袋をシャカシャカと振って無表情で乗る星。

つい先ほど秋蘭から【変わりすぎたアホの子】という特徴を聞いていた斗詩は、バッチリその条件に適合した星の挙動を見ると納得した。

 

「えっと、秋蘭から伝言で『一刀はウチに居るから勝手に上がってこい』だって」

「てー」

「・・・え?」

「あ、それそれ。えー」

 

無表情でボケるのはやめて欲しい。初対面なら特に。斗詩は切にそう願ったが、聞いた話では年下らしいし、こっちが寛大にならないと。

と気を引き締めると、星に向きなおろうして――誰もいない自分の視線の先に気付く。

背後でバタン。と扉の閉まる音がして、あぁおいてけぼりか畜生。と納得すると、秋蘭から借りた課題の答えを抱えて【ひゅーるりー】と心で熱唱しながら帰路に着いた。

「ふりーず!抵抗するとコイツがバラバラになるぜ!」

「しっかり弁償しろよ」

 

秋蘭の部屋の扉をがばっ!とあけると、左手で銃の形を模し、右手に抱えたDVDを顔の高さぐらいに持ち上げた星は秋蘭に向かって左手を突きつけた。

 

「・・・なんで秋ねぇはおっぱい丸出しなの?」

「一刀が離してくれなくてなぁ」

「あと部屋が極寒なんですけど」

「その辺にリモコン転がってるだろ、弄るなよ」

 

銃口と思わしき左手を突き付けられた秋蘭はニヤニヤと笑いながら、右手で自分の頭を支える体制で星を出迎えた。

 

「DVD見るなら勝手に使え。但しヘッドフォンしろよ」

「おやおや、カズにぃ可愛らしい寝顔だこと。憎たらしいから起こしてやろう」

「蛇拳の餌食になりたいらしいな、お前」

 

下がっていた目尻をいつも通りの位置に釣り上げると、一刀の背に回していた左手をそっと持ち上げて蛇を形作る秋蘭。

普通の女の子なら気圧され、涙を浮かべてその場から逃げるであろう眼圧を受け、星はDVDをデッキの傍に置くと拳をボキボキと鳴らす。

 

「昨日待ちきれなかったんで先にスネーキモ●キーのDVDだけ見ちゃったんだよねーボク。潰すには鷹爪拳だったっけ?」

「今日はボクっ娘か」

「『実際のボクっ娘って可愛い子いなくね?』ってレス見かけたんで、そんなら第一号になってやんぜフゥーハハハー!ってヤツだー」

「お前の思考回路には付いて行けん」

 

やれやれ。と蛇を離すと代わりに右手をヒラヒラさせ、リモコンを寄越せとのジェスチャーを送る。

星もその仕草が何を要求しているかは判ったので、渡す代わりにリモコンを操作して冷房を暖房に変え室内温度を整えだした。

 

「思春はどうした?」

「しらなーい」

 

デッキにDVDを入れるとお気に入りのビーズクッションを抱えて、ミニスカなのも構わずに体育座りで座布団に腰を降ろす星。

キョロキョロと室内を見渡して、当然用意されている筈のない御菓子や飲み物を探す星。

その仕草で何を要求されるか判ってしまった秋蘭は、まぁ写真には収めたしいいか。と理想から出てくる決意を決めると一刀の口と鼻を胸で塞いで起こす事に決めた。

「星、あっちぃんだからくっ付くなよ」

「お尻もぞもぞがよかろうなのだー」「すけべ」

「やれやれ」

 

秋蘭の室内、壁際に設置された大型液晶テレビ。その正面にある三人掛けソファーの真ん中に座る一刀。寝たり無いのか若干眼がトロンとしている。

テレビの画面の中ではスーパースターが若かりし頃に出演したカンフー映画が映し出されているが、見たいと一番に主張した一刀の頭にはその内容は半分も入っていないだろう。

膝の上に星を座らせ、左に思春、右に秋蘭を侍らせるという男子アコガレのこの状況がそうさせている、のではない。

ぶっちゃけこの陣形をつくるのなど何時ものことだし、何を今更な話だった。

 

「ねみぃ」「ボクが抱き枕になったげよっかー」

「どすけべ」「何も言ってねぇだろ」

「眠いなら凭れても構わんぞ?」「俺秋蘭抱き枕にするー」

 

いつも地べたに薄い布団を敷いて寝ている人間が、身体の沈み込むような柔らかベッドで寝ると疲れが全く取れない事が多々ある、らしい。

一刀の状態は『リラックスしすぎて身体が起床を拒否している』といった所か。その所為で猛烈な眠気に襲われているのだった。

ガクンガクンと時折船漕ぐ一刀。その膝の上で一刀の顔の左隣の直ぐ傍に頬を寄せるようにして座っている星としても、耳元で囁かれているというシチュエーションと時折触れる頬に実はドキドキしっぱなし。

一刀の左隣に座っている思春は擦り寄りたくても星の無自覚ブロックで近づけない。

右隣の秋蘭は一刀と二度目のラブタイムを心待ちにしている。

と、一刀だけでなくこの場にいる四人はそれぞれの事情で映画など余所見程度にしか見てなかった。

誰かさっさと『映画見るの今度にしよう』って言い出さないかなぁとそれぞれ思う四人だったが、それで一抜け扱いされても困る。と迂闊に動けない乙女達。一刀はそんな考えを思いつく余裕すらなかったりする。

と、其処に割って入るのはノックの音。控えめに、しかししっかりと伝わる木の扉を叩く音に一刀以外の注意が向けられる。

「秋蘭ちゃん?そろそろお昼だけど・・・」

「おや、もうそんな時間か。映画は一旦中止して、昼にしようか」

「入りますね~」

 

がちゃっと音を立てて顔を覗かせたのはワンピースに身を包んだ春蘭。今まで庭で土いじりをしていたのか、綺麗に着飾っているのに頬に泥が付いていた。

 

「ちゃお~」「・・・ども」

「はい、いらっしゃい二人とも」

 

知り合って何年にもなるのに未だにビクついて返事をする思春と、知り合って何年も経ってないのにフレンドリーな返事を返す星。

しかしそんな二人にニコニコと返事を返す春蘭が、近づいていた足を止めた。

 

「星ちゃん?」

「今日の御飯なに~?」「・・・素麺希望」

「女の子がそんなはしたない格好するんじゃありませんって、お姉ちゃん何度もお説教してるわね?」

「カズにぃがはげしいの~」

「ふざけてると前歯ぶっこ抜きますよ~?」

 

そそくさと席を立って隅に避難する思春。春蘭が恐ろしいのではなく、単に人と距離を取っただけであるのだが。

やれやれと嘆息し、しかし星を助ける様子の無い秋蘭。部屋に被害が出たら一円単位で姉を取り立てる気満々である。

 

「ふしゃー!!」

 

昨日見た映画の内容で気が大きくなった星は、互いの力量の差を忘れて猫の鳴き声を真似て春蘭に飛び掛る。

が―――

「お姉ちゃんと張り合おうなんて十年早かったですね~♪」

「タンコブ・・・」

 

電光石火の早業とて、所詮は付け焼刃。普段から霞のパンチを食らい続けている春蘭にとっては、飛び掛ってきた星の頭頂部に踵落しをぶち込むぐらい造作もない事だった。

 

「カズにぃ~春ねぇがいじめるよ~」

「あら?あらあらあら?!お姉ちゃんドツボ踏んじゃったのかしら?!」

「かーずーにー」

「ZZZzzz」

 

睡魔にあがらえず、一刀は本格的に寝ていた。

星が飛びのき、その反動で押されて倒れこんだ先には秋蘭の胸。

結果として、まだソファーに座ったままだった秋蘭の太股にポスンと着地し、身動ぎして本格的に寝に入った。

 

「メルヘンゲット」

「あーまた秋ねぇばっかずりーんだー!」「・・・また?」

「あら?!あらあらあら?!」

 

わーきゃー頭を抑えながら涙目で騒ぐ星、部屋の隅から恨めし気な視線を秋蘭に送りながら、星の発言に首を傾げる思春。

妹へ予期せぬプレゼントを上げてしまった事に動揺する春蘭。

そんな三人を尻目に、秋蘭は膝の上で丸くなる一刀の頭を優しく撫でながら、しかしこの騒乱じゃすぐ起きるんだろうなぁと嘆息した。

「んまー」「ずるずる」

「あーあ、寝たりねぇ」

「御代わり沢山ありますからね~♪」

「ほら一刀、船を漕ぐな」

 

秋蘭の予想通り一刀は直ぐに眼を覚まし、けれど寝足りないと言った表情で欠伸を連発していた。

春蘭が増え五人になった一行は昼食を取るべく二階の秋蘭の部屋から一階の縁側へ。

大人数でのバーベーキューでも難なく行える半端無い広さの庭を見ながら、風鈴の音と共に大きな桶に入った素麺をズルズルと啜っていた。

一刀としては昼飯いらないから寝たい。と主張したい所だったのだが、満面の笑みで「今日のお昼はお姉ちゃん作ですよ~」と小鉢に入った素麺汁を差し出してくる春蘭を見て、それを言ったら泣くんだろうなぁと昼寝の時間を諦めた。

 

「ずるずるずる」

「どんだけ腹減ってたんだよお前」

「思春は思春はくいしんぼ~」

「星、食いながら喋るな、汁が飛ぶだろうが」

「あらあら、これはお姉ちゃん素麺茹で職人の才能があるのかしら」

「どんだけ無駄な才能だよ」

「カズちゃんがお姉ちゃんの素麺は不味いという・・・」

 

何時もの軽口、何時もの日常。

食器を床に置いていじけてしまった春蘭の頭を、箸を口に咥えて良し良しと慰める星。

一刀の小鉢に入ったピンク色の麺をシュパッ!と奪い食べる思春。全く、と呆れて自分の器にあった緑色の麺を一刀に差し出して「はいあーん」と進める秋蘭。

思春の素麺強奪にも、秋蘭のはいあーんにも眠たさのあまり碌な反応が出来ない一刀。

何時もなら思春と取っ組み合いのじゃれあいを繰り広げているし、秋蘭のは恥ずかしがって口を開かないのに素直に食べた。

 

(あー無理。飯とかマジ無理。眠い)「ごめん、マジ寝るわ俺」

「ふむ、部屋に行くか?」「カズにぃの分もーらいっ!」

「そこまで歩く気力がねぇ」「あ、こら!それはカズちゃんにと丹精込めて作ったんですよ?!」

箸を置いて板張りの廊下に寝転んでしまった一刀。そのすぐ傍でギャーギャーとじゃれあいを始める春蘭と星。

思春は何か言いたそうに口を開いて、音に出来ずに口篭りを繰り返している。

普段なら一刀が言いたい事を察して言ってくれるのだが、当の一刀は半分夢の世界に旅立とうとしているからフォローはない。

今日既に良い思いを二回ゲットしている秋蘭は本格的に眠ったら部屋に運ぼうと決め、睡眠を取るにはいただけない音量を奏でる二人を摘み出そうと口を開いた。

 

「おいそこのアホ二人、公園まで行ってから騒げ」

「だって星ちゃんが・・・」

「お前は幾つだ・・・星も、あまり姉をからかわんでくれ」

「へーい」

 

それがいけなかった。巧い具合に両者を止めて、さて一刀を運ぼうかと振り向けば、女の子座りした思春の膝枕に顔を埋める様にして眠る姿が飛び込んできた。

(●´ω`●)と満足そうな顔でまどろんでいた思春だったが、秋蘭ら三人の視線を集めているのを感じた瞬間頬に火がついて俯いてしまう。

が、慌てているのは上半身だけで下半身は全く揺れていない辺りに慣れが見て取れる。

 

「思春ちゃん、どうでしょうそのポジションはお姉さんキャラな私が相応しいと思うんです」

「や、やです」

「ボクもカズにぃと寝るー!」

「やめんか二人とも。姉よ、飯作ったなら片付けまでやれ。星は此処の掃除だ」

「「えー」」

「しばくぞお前等。あと思春は10分したら私と交代するように」

「ちょ「ほれ、テキパキ動け」

 

パンパンと手を叩いて皆を動かす秋蘭。渋々自分が散らかした廊下を拭きに雑巾を取りに良く星。

肩を落として食器を抱える春蘭。はぁ。と溜息を吐いて、息苦しかったのか横顔を覗かせた一刀のホッペをツンツンする思春。

結論だけいえば、一刀はまたしても満足な睡眠が取れなかった。

理由は秋蘭とバトンタッチした星が頭を持ち上げた手を滑らせて思い切り床とぶつかったためである。

もう家で寝る。と一刀は自宅に帰り、マイベッドなリビングのソファーに向かってフラフラと家の中を歩いていた。

 

「か、一刀!!」

「なに、眠いから後にしてくんない」

 

リビングに入ると、大層驚いた面持ちの凪が出迎えてくれた。

何をそんなに驚いているのか聞きたい所ではあったが、本当に限界が近かった一刀は凪の脇をすり抜ける様にしてソファーに飛び込もうとして、足を縺れさせた。

 

「危ない!!」

 

危うく床と二度目の衝突をしそうになった一刀だったが、凪は難なく一刀の身体を抱きとめる。

 

(やわらけぇ、良い匂い)「・・・・・・」

「一刀?一刀!?」

 

凪は必死に、昨日の夜忽然と姿を消した弟に呼びかけるが一刀は抱き止められた凪の柔らかさに負け、瞬時に瞼を下ろす。

 

「一刀・・・?」

 

いくら呼びかけても全く反応しない一刀にまさか?!と口元に手をやれば、息はしていたらしく手にくすぐったい感触。

気絶しているのかそれとも眠っているのか判断に苦しむ凪は、兎も角横にさせてあげようと腕に力を入れて一刀を抱き上げる。

本当に、偶々だった。一刀の首が抱き上げられた時の振動で揺れ、凪に甘えるかの如くコテンと預けられる。

 

「・・・鼻血でそう・・・」

 

心地良い重み、あどけない寝顔。もうこれだけで御飯三杯ぐらい余裕でいける。

チラッと降ろすべきソファーに眼をやるが、凪とて人の子。欲望に負ける時だってそりゃああるさ。

 

「ちゃ、ちゃんと寝かせてあげないと。うん。ベッドに」

 

頭から湯気を吹き上げながら、焦っている様な早足でリビングを出て、誰も居ないのを確認しながら自分の部屋へ一刀を連れ込む事に成功した。

凪が神様に感謝を捧げている頃、他の姉達は町中を必死に探し回っていた。

そりゃ『探さないでください』としか書かれていない紙が弟の筆跡で弟が寝ている場所にあったら心配ぐらいするだろう。

その後、姉妹に連絡するのを完全に忘れて一刀を独り占めしていた事を散々桃香になじられ、霞の拳骨を戴く凪だった。

一刀も姉達に代わる代わる怒られ、暫くの間寝る時は姉の監視下におかれる事になった。

反省。ポケモン堪能してました。

 

星出ました。書いててキャラが掴めない事この上ないです。

コンセプトは一応『読んだ漫画に影響されやすい子』というのがあったんですが、何故かボクっ娘にしたくなったのでしてみました。

ただ、キャラ紹介の時の一人称が『私』だったので、どうしたもんかなぁと弄ってたら不思議ちゃんになってしまいました。

書いてて「これ風じゃね?」と何度も思ったのは内緒。

 

秋蘭メインだとネタは作りやすいんですが、代償として華琳様の召喚が難しくなるのでオチが大変になる事に気付きました。ホント華琳様は偉大です。

 

丸々一月放置してからの投稿とかホントにマヌケにも程がありますよね。反省しております。

何度も何度もやべーなーと思っちゃいたんですが、公開する気もないのに何故かマジコイのSSとか書いてました。

百ねぇさんカワユス。あと釈迦堂さんは萌えキャラだと思い出した私を誰か止めてください。

 

次回こそは『半挿し伝 6』とプール完結編、出来れば一刀の文化祭編を上げたいと思ってます。

前言撤回に定評のある作者の発言なので、話半分程度に見ていただければ有り難いです。

 

追伸。応援メッセージ下さる皆様、続きの催促してくださる方、本当にありがたく思ってます。

あと、これの投稿にあわせて「なにか 23」の誤字を修正しました。連絡下さる皆様ありがとうございます。

お礼返信(なにか 23

 

ポセン様  華琳様は一刀がどのルート辿ってもちゃっかりと良いポジションキープできると思います。なんという魔性の女。

 

風籟様   ほんと、華琳様様です。生まれてくれてありがとう。

 

happy envrem様  ぽっと出キャラなのに、もはや準レギュラーですよ。

 

リッチー様   鷹●さんVS一●の腕相撲のシーンをご参照ください。作者の脳内イメージはアレ準拠ですんで。

 

mighty様    秋蘭は美味しい思いしても痛い目に遭わないキャラになりました。

        パッチ適応・・・だと・・・?

 

よしお。様   案外呼び方それでもよかったかなぁとか思ってます。

 

割箸様    華琳は強い子負けない子!! 文化祭編では一歩どころか一周回ったリードを見せられるかと思います。

 

zero様    華琳逃げて!!  家族旅行とか言ってましたねそういや。口は災いの元やでぇ・・・

 

Ocean様     タイタ●ックのアレで

        雪蓮「見て、飛んでるみたい」 月「上下逆さですけどねー」 ですね、わかります!!

 

りばーす様   雪蓮の中に一割でも理性が残っているのか、ソレが問題だ。

 

Will-Co21様  華琳あふたーは何度も妄想しています。何度妄想しても姉'sからフルボッコされてますががが。

 

yui様     (・3・)~♪

 

ちきゅさん様  やっぱ、これがあっての華琳様ですよね。

 

叢 剣様    雪蓮頑張れとか何という胸熱。

 

付和雷同様   「なにか」で翠を出すと、皆様からものっそ「ざけんな」コメントつきそうでガクブルです。

 

tyoromoko様   そういふ人に、私もなりたい。

 

みっちー様   質量を持った残像を出しながら走って!!

 

HIRO様     華琳様+死亡フラグ=いつもの事ですね!

 

tanpopo様   此処までネタキャラ扱いされる華琳様も他にいないと思います。何という暴挙。

 

sai様     凪ねぇコメントあって本当に嬉しかったです。

 

武中様    正規華琳に違和感とか何という俺。

       私もプレイ最中に「あれ、苛められてない」とか思ってました。死ねば良いよ俺。

 

水上桜花様  皆からのフルボッコは愛され上手な証だと思うんです。

 

悠なるかな様  ( ゚Д゚)アーアー ( ゚Д゚)ニーゲーテー  いつも誤字指摘ありがとうございます。

 

イリヤ・エスナ様  半挿しの方では軽くじゃれあいましたが、「なにか」の方でも絡ませたい組み合わせです。

 

はりまえ様    つまり一刀は劇薬だったんだよ!!  Ω<な、なんだ(ry

 

景様      巨星堕つ!! 次回、恋姫ウソン第135話「強敵よ安らかに!」ご期待下さい!!

 

U_1様    綺麗な顔してるだろ・・・?

 

よーぜふ様   機会があったら一刀が雪蓮へのアタックを諦めた話とか書きたいです。

 

t-chan様   もう華琳が勝ちでいいよ。そんな気分に多々なります、ごめん翠。

 

320i様    アレがワザとだったら華琳様本気で灰にされちゃいますよ、きっと。

 

jackry様   華琳様にお似合いのすたんどは「ザ・●ール」だと思うんです、愚者だけに。

 

KATANA様   どうせなんちゃって外史なんですから、そうしてりゃ良かったです。反省。

 

poyy様    一刀もいい加減腹括ればいいのに(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

 

2828様    誤字指摘ありがとうございます。雪蓮にはヤンデレな眼のコントラストが似合うと思うんだぜ?

お礼返信(ばんがいのさん

 

萌香様   お待たせしました。

 

月蛍様   男の子だからしかたない。

 

Kito様   亞莎出すと贔屓しすぎると思ったのであえて投入は控えました。

 

happy envrem様  萌将伝での凪の忠犬っぷりにはニヤニヤさせていただきました。

 

よしお。様   月という発想が出てこなかったのは、きっとわたしのせいじゃない。

 

リッチー様   雛里は存在を素で忘れてました。だって出番が(ry

 

mighty様   次回は魏の秋蘭、蜀の星、呉の祭さんの悪乗り三闘神で何か思いついたらいいなぁ。

 

Ocean様   忠犬は凪と明命、亞莎のイメージが強すぎて蜀ではパッと出てこなかったです。

 

Will-Co21様  「なにか」のメンツだと、恋のフリーダムに勝てるのは翠ぐらいだと思います。巧く操縦できるのは秋蘭辺りですかね。

 

叢 剣様   凪の心中は完全に「なにか」のノリでした。コンペ出さなくて正解だったと思います。

 

sai様    ありがとうございます。凪可愛いよ凪。

 

景様    深読みすると萌将伝で一刀が風邪を引いた話の思春は終始デレてますよね。妄想しっぱなしでした。俺キメェ

 

武中様   完全に「なにか」スタイルになりますが、それでもよければ書き足しますです。

 

よーぜふ様  愛紗の凄いトコは、原作準拠でも犬耳が似合う所だと思います。

 

悠なるかな様  「なにか」のメンツは、忠犬だけど牙持ちですからねぇ・・・

 

320i様     種馬言語に全俺が吹いた。

 

jackry様   10万ペリカでフィニッシュです。

 

KATANA様   多少の無茶なら飲み込んでくれる、熱血素直クール属性・・・やべぇ、最強じゃん。

 

2828様    声を大にして言いたい!桔梗さんは忠犬の素質十分だと!!  以上、熟女スキーな作者のたわごとでした。

 

poyy様   個人的には一刀が陣営に入る事をすんなり飲み込んだ明命が一歩上手です。しかし凪の追随は凄まじい。

 

 

感想、ありがとうございました。


 
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