No.177888

真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん 魏ルートあふたぁ1

恋姫のssで人気があるといえば魏ルートあふたぁ。
っていうことは書けば人気が出る。
これで勝つる!


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2010-10-12 22:35:54 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:14366   閲覧ユーザー数:10715

 

 

三国同盟が結ばれたのは今からちょうど一年前の事。

今では三国の王がそれぞれの国をしっかりと統治しているので平和そのものだ。

しかしここに至るまでの過程はけっして平坦な道のりではなかった。

 

 

黄巾の乱より始まった後漢王朝崩壊の足音は、徐々に加速していき、大陸を混乱の渦に巻き込んだ。

その乱世に乗じて名乗り上げる各地の英雄諸侯。

大陸の覇権を賭けての争いが始まる。

 

 

乱世を生き残ることが出来るのは、ほんの一握りの者だけ。

最終的に魏の曹孟徳。呉の孫伯符。そして蜀の劉玄徳の三人となった。

 

 

強大な力を持ち、大陸に覇を唱えんとする曹操に対し、孫策と劉備は同盟を組み、それに対抗した。

 

 

だが赤壁の戦いでは呉が、成都の戦いでは蜀が魏の前に敗れた。

その後の戦後処理では覇道を歩んできた曹操のまさかの三国同盟の提唱で、一同は度肝を抜かれた。

二人の王はこの提案を受け、ここに三国同盟が結ばれることとなった。

 

 

その日、成都では三国同盟が組まれた事を祝う宴が催された。

先程まで武器を取り、いがみ合っていた者たちも互いを認め、肩を並べ楽しそうに笑い合っていた。

それは本当に争っていたのか疑問に思うくらい自然な光景だった。

 

 

その宴の喧騒からやや離れたところにある小川に、天の御遣いである北郷一刀と魏王である曹操――華琳がいた。

この時ばかりは覇王としてではなく少女として振る舞えた。

そんな時間が華琳は好きだった。

 

 

しかし、その日を境に天の御遣いは姿を消した。

その報せを聞いた魏の将の反応は様々だった。

 

 

泣き叫ぶ者。

唖然とする者。

叫び出す者。

暴れる者。

らじばん――――

 

 

勝利の代償としてはあまりに大き過ぎるものだった。

 

 

 

 

 

 

「華琳さ~ん、聞いてますか?」

「えっ、あっ、ごめんなさい桃香」

 

 

桃香に声をかけられた華琳は現実の世界に戻る。

少し昔の事を思い出していたようだ。

 

 

「もう、これから三国同盟の一周年記念ですよー? しっかりしてくださいよー!」

「…………あなたに言われたくないわよ」

 

 

桃香は一発芸でもやるのかという付け髭と眼鏡を身に着けていた。

 

 

「ところで雪蓮はどこに行ったの? 見当たらないようだけど」

「あっ、雪蓮さんなら退屈だからって冒険の旅に出ましたよー」

「……この二人と対等な立場ってどうなの私?」

 

 

二人の王のあまりの気楽さに思わずため息が出る。

そして自分だけでもしっかりしようと改めて思うのだった。

 

 

「いっそのこと蓮華に王の座を譲ればいいのよね」

「あっ、それ言ってましたよ。『今日から蓮華が王様よ~♪』みたいな感じで」

「ぶっ!」

 

 

華琳としては冗談のつもりだったのだがまさか本当にそうするとは思っていなかった。

 

 

「はぁ……。とりあえず今は置いておきましょう。そろそろ始まる時間だし行くわよ桃香」

「は~い♪ ねえ華琳さん、私どうやって登場するのがいいと思いますー?」

「知らないわよそんなこと」

「ふぇ~」

 

 

たわいもない話をしながら会場に足を運ぶ二人だった。

 

 

 

 

 

 

「ん~、なんにも起きないわね~」

 

 

散歩しながらぶつぶつ文句を垂れるのは雪蓮。

鮮やかな桃色の髪を揺らしながらどんどん歩いて行く。

 

 

やがて雪蓮は小川に辿り着いた。

 

 

「あら、ここは確か天の御遣いが消えたっていう場所ね……」

 

 

そう、ご存じ青姦の森である。

 

 

「あの時の魏の女の子たちの様子はただ事じゃなかったわね。どっちが戦勝国か分からなかったわ」

 

 

敗戦国である自分たちは笑っているのに、勝戦国である魏は天の御遣いがいなくなった事実を聞いた途端に笑顔がなくなってしまった。

 

 

「あの子たちにそれほど愛されていた…………いえ、愛されている天の御遣いか……。一度ちゃんと話してみたかったな……」

 

 

一年前の宴の時は話す機会がほとんどなかった。

そのうち機会を設けようと思っていたのだがそれは叶うことはなかった。

 

 

「華琳ですらあの様子だったしねー。…………ん? 何か光って……きゃっ!」

 

 

無理に強がる華琳を思い出して少し笑っていたところ、雪蓮の視界は光に包まれた。

身体に異変や痛みはない。

何かあれば親友の冥琳にこってりしぼられてしまうのでそれは勘弁してほしいと思いながらゆっくりと目を開けた。

すでに光は治まっており、雪蓮は徐々に視力を取り戻した。

 

 

 

「一体なんだったのかしら?」

 

 

特に変わったことは起こらなかった。

目の前に少年が倒れている以外は。

 

 

 

 

「子供? でもさっきまで誰もいなかったわよね……。……そういえばこのキラキラした服どこかでみたことあるような……」

 

 

雪蓮が必死に何かを思い出そうとしているのを余所に少年は目を覚ました。

 

 

「……知らない天井……っていうか天井すらないじゃん!」

 

 

華麗にボケをかわされた蒼天を睨みつける少年。

そんな痛い少年が起きたことに気付いた雪蓮は何かを思い出した。

 

 

「あー! 君、もしかして天の御遣い!?」

「あっ、美人なお姉さん…………って孫策さん!? ってことは俺戻ってこれたんだ!」

 

 

少年――北郷一刀は目の前にいる美人なお姉さんがかつて会ったことのある雪蓮だと気付いて、自分がこの世界に戻ってこれたことを喜ぶ。

 

 

「そうだ! 華琳やみんな会いに行かなくちゃ!」

「こらこら待ちなさい!」

 

 

自分を放っておくのは許さないといった感じの雪蓮は今にも走り出しそうな一刀の首をヒョイっと掴みあげる。

 

 

「うおっ!? 浮いてる! 浮いてるよー!」

「ちょーっと質問に答えてね御遣いくん♪」

 

 

雪蓮はおもしろいものを見つけたようにワクワクしていた。

 

 

「まずは君の名前は?」

「えーと、北郷一刀です」

「じゃあ君はどうやってここに現れたのかな?」

「筋肉の力です」

「なにそれ? まあいいわ。それじゃあ最後の質問。なんであなたは子供の姿なの?」

「子供? そういえばさっきから目線が低い気がしてたんだよね…………ってなんじゃこりゃーーーー!?」

 

 

ちょっと冷静に考えたら凄い事だった。

慌てふためく一刀を眺める雪蓮は目を輝かせていた。

 

 

 

 

 

 

「あー、あの筋肉が言ってたのはこのことかー!」

「なんでこうなっちゃったか分からないけどちょっとごめんね♪」

 

 

雪蓮は一刀を抱きしめた。

 

 

「むふ! ……これは魏では希少価値の高い爆乳!」

「や~ん♪ 一刀ってばスケベね」

 

 

雪蓮の胸を堪能してしまうのは北郷一刀たる所以だ。

 

 

「ってそれよりここはどこなの?」

「ここは蜀の成都よ。それで今日は三国同盟が結ばれて一年のお祝いなのよ」

「それじゃあ魏のみんなは!?」

「みんないるわよー。張三姉妹も来てるみたいだし」

 

 

久しぶりにみんな会えると分かると胸が熱くなる一刀。

 

 

「それじゃあ孫策さん」

「雪蓮でいいわよー」

「えっとじゃあ雪蓮」

「出来ればお姉ちゃんって呼んでほしいな~」

「それはちょっと」

「きこえな~い♪」

 

 

聞く耳持たない雪蓮に一刀は覚悟を決める。

 

 

「くっ! しぇ、雪蓮お姉ちゃん」

「なーに?」

「そろそろ降ろしてくれないかな?」

 

 

現在絶賛抱っこ中の雪蓮に訴える一刀。

しかし彼女は我がままだった。

 

 

「いやよ。このまま宴に行きましょ♪」

「それは何かと問題があるような気が……」

「とっつげきー!」

「ぎゃー!」

 

 

雪蓮は一刀を抱えたまま走り出す。

その衝撃で胸が顔に当たる一刀。

今は、その柔らかさに溺れることにした。

 

 

 

 


 
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