流レ星
旧都はいつにも増して華やかで、いつものように騒々しい。
しかし祭りの日ということもある所為か、普段の宴会とはまた違った賑わいを見せている。
誰もが呑み、騒ぎ、笑い合うその光景は実に楽しそうで、とても妬ましいものだった。
「隣、空いてるかい?」
物思いにふけっていると不意に背後から声を掛けられた。
相手の顔は見るまでもない。
こんな場所にわざわざやって来るお節介な者など、思い当たるのは一人だけだ。
「悪いけど他を当たってくれないかしら。今日はあなたに付き合うような気分じゃないの」
「つれないことを言いなさんな。せっかくのお祭りだ、一緒に呑もうじゃないか」
それだけ言うと、彼女はその場に座り込んでしまう。
こうなってしまえば、もう梃子でも動かないだろう。
盃を傾けては語り、夜明けを迎えるのが常だった。
「いつ来てもここは静かなところだね。
たまにはこういう場所で呑むのも悪くない。
大勢でというのも楽しいが、毎回同じ奴らと顔を突き合わせていても面白味がないしな」
今度はお前さんも来るといい、そう付け足すと盃を飲み干した。
「遠慮しておくわ。私は嫌われているから」
※改行は調整済み、画像は表紙と裏表紙
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