No.177407

恋姫無双~愛しき人~23

黒竜さん

両袁家の攻撃お受けた劉備軍は華琳の領土を通ろうとした。しかし何事にも甘ちゃんな劉備の発言に一刀はついに切れる。はたして劉備の運命はいかに

2010-10-10 08:47:10 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:10445   閲覧ユーザー数:7176

 第二十三章「王の決断と逃避」

 反董卓連合が解散して、劉備達は帝の命により徐州を治める事になった。最初に税の改善から始めて、今では平和な街に成りつつある。これも全て劉備軍が誇る大軍師、臥龍・鳳雛のお陰である。しかし、この平和もそう長く続かなかった。糞州の袁紹が幽州の公孫賛と戦い勝利したのだ。公孫賛はなんとか徐州にいる劉備の所へ行き。そこで将として働いているが、袁紹の行動を根に持った袁術が劉備に戦いを挑んだのだ。そして今、河南の袁術と徐州の劉備が戦をしている。

 「伝令。関羽隊は後ろに後退。代わりに張飛隊を前線へ」

 「はっ」

 「星さんには弓兵を連れて二人の援護に回ってください」

 「わかった。しかし、いつものはわわ軍師も戦となれば素晴らしい指揮振りだな」

 「はわわ・・・」

 超雲はそのまま弓兵を連れて前線へと向かった。

 

 「う~~~~」

 同時刻。袁術が徐州を攻めている報告を受けて袁紹は唸っていた。

 「う~~~」

 「「・・・」」

 「う~~~。決めましたは!!斗詩。猪々子」

 「麗羽様。どうしたんですか?」

 「さっきまで唸っていたじゃありませんか」

 「いいから速く徐州に攻めますわよ」

 「「えぇぇぇぇ!!」」

 「麗羽様。いくらなんでも宣戦布告もないで行くのはちょっと・・」

 「そうですよ。ここは宣戦布告してからでも「お黙りなさい」・・・」

 「このまま徐州を美羽さんなんかに取られてたまるもんですか」

 「はぁ~~。文ちゃん。兵をお願い。私は兵糧をしてくるから」

 「は~~~い」

 顔良と文醜は溜息を何度も吐きながら準備を進めた。

 「華琳様」

 「桂花。どうしたの?」

 「実は、今しがた間者から報告がありまして。袁紹が徐州に向けて出兵したそうです」

 「そう。確か徐州は今・・」

 「劉備と袁術が戦闘中です」

 「そうすると麗羽は、ただたんに徐州を袁術に取られたくないから出兵したようね」

 「どういたしますか?」

 「そうね。桂花。一刀と一刀の軍師、風、郭嘉、万里を呼んできて頂戴」

 「御意」

 桂花は急いで一刀達のいる部屋に向かった。

 

 「(コンコン)一刀さん。います?」

 桂花がノックをして一刀の執務室を覗いた。部屋の中には三つの机があり真ん中の机は一刀が使い。その後ろに椿が立っていた。そして両隣の机には、風と稟が座って政事をしていた。

 「桂花か。どうしたの?」

 「華琳様がお呼びです。あと、風、稟、万里も」

 「わかった。椿。悪いけど万里を呼んで来てくれないか。さっき書庫に向わせたから」

 「わかりました」

 椿は静かに部屋を出て万里を呼びに言った。

 「呼び出しの理由は・・・袁紹か」

 「わかっていましたか」

 「今さっき稟から報告を受けたからね」

 「ただ袁術に徐州を取られたくないだけですね~~」

 「こうゆう行動されるとこちらにとって迷惑なだけです」

 「仕方が無いわよ。あの莫迦は本能で動いているのだから」

 「桂花。それ言いすぎじゃないか?」

 「とんでもないですよ。お兄さん。桂花ちゃんの言っている事は本当ですよ。それは、反董卓連合の時にわかっていた事じゃありませんか」

 「それもそうだな(コン。コンコン)椿か」

 「主。万里殿を連れて来ましたぞ」

 「一刀様。行き成りの呼び出し。どうしたのですか?」

 「袁紹が動いたことは知っているな」

 「はい。先ほど私の間者から連絡が来ました」

 「その事に華琳から呼び出しだ」

 「わかりました」

 「よし。これから玉座に行くぞ」

 「「「「御意」」」」」

 桂花の後に続いて一刀達も玉座へ向った。

 

 「華琳様。一刀さん達を連れてきました」

 「ありがとう。桂花」

 一刀達が玉座に入ると華琳が中央にいて、その隣に秋蘭がいた。

 「一刀達もわかっていると思うけど」

 「袁紹が動いたんだろう」

 「そう。だからこれから私の覇業を達成するためにはどう動くか、ここで話し合いをしましょう」

 「そうだな~~。ここで袁紹の本拠地、業を攻めてもいいが」

 「火事場泥棒みたいですから、華琳さんの風評がわるくなりますし~~」

 「かといって、劉備を袋たたきにするのも曹操殿を悪くなる方でしょうから」

 「だったら劉備に貸しを作らないか?」

 「今はその時じゃないは」

 「『今は』か。そんな事していると劉備に貸しを作れなくなるぞ」

 「なら、それまでの相手だったと言うことよ。救援の要請が来たらまだしも、善意の押し売りをした所で、買い被られるだけでしょうが」

 「それもそうだな」

 「それじゃ、私達はこの戦いには関与しない。でいいかしら」

 「華琳が決めたなら従うだけだよ」

 「私もです」

 「私も一刀と同じです」

 

 華琳達が軍議をしている頃、劉備軍は焦っていた。袁術軍だけでも数が違うのに袁紹軍までも徐州に来たのだから。

 「どうしよう。どうしよう。朱里ちゃんどうしようよ」

 「はわわ。と、とにかく落ち着いてください。桃香様。城の方は白蓮さんと雛里ちゃんがいるので大丈夫だと思いますが。こちらの兵の方が・・・」

 「さっきの戦いで皆疲れているのだ」

 「それに、いくら白蓮殿と雛里がいるからと言っても、今城にいる兵の数だけじゃ守りきれんだろう」

 「・・・む~~」

 「朱里ちゃん。何か良い策は無いの?」

 何かを考えている諸葛亮に劉備が聞いてみる。

 「ある事は・・・あるのですが」

 「ほう。あるのか」

 「・・・ううん。駄目です。この策を実行したら沢山の犠牲が出ちゃいます」

 「しかし・・・この窮地を脱出するためには多少しの犠牲はやもなしとするしかないぞ?」

 「星!!何を言うのだ」

 「しかし愛紗よ。他に手が無い以上、そう判断するしかあるまい」

 「ぐっ・・・」

 「朱里。その策、私が引き受けよう。・・・見事果たして見せる」

 超雲が覚悟を決め諸葛亮も頼もうとしたとき。

 「・・・駄目だよ」

 劉備の一言が辺りに響いた。

 「そんなの駄目!!絶対駄目!皆無事で生き残るの」

 「しかし桃香様。これしか方法が無いのですぞ」

 「・・・あるよ。ひとつだけ」

 「桃香様!!まさか降伏を?」

 「ううん。降伏はしない。袁紹さん達のやりかたは絶対間違っていると思うから」

 「だったら何を?」

 「朱里ちゃん。前に言ったよね」

 「はい?」

 この時の劉備の決断に関羽達は反対したが、『皆が生き残るためにはこれしかないよ』と劉備が言い切り。強引に事を始めた。

 真夜中。華琳が全の将に集合命令を下した。

 「まったく。こんな時間に何だって言うんだ?」

 「本当ですね。風!!何時まで寝ているのですか?いい加減おきなさい」

 「うみゅう~~。もう食べられませんよ。お兄さん」

 「ベタな寝言はいいですから」

 「おぉぉぉ。折角お兄さんといい事をしていたのですが~~・・おそらく徐州で何かあったんだと思いますよ」

 「しっかり話を聞いていたのね」

 「当然です。風は一流ですから」

 「それで、稟は何か間者から聞いている?」

 「劉備が城を捨てて逃げたとしか」

 「万里は」

 「私も稟さんと同じ事しか」

 「そうか。真桜、沙和。いい加減に起きろ」

 一刀達が玉座に来た後に真桜達もやって来た。しかし、凪を残した二人はまだ眠そうである。

 「そない言われたって・・はぁ~~」

 「いくらなんでも、この時間はないの~~」

 「いい加減にしろ!!凪はちゃんと起きているぞ」

 「・・・」

 「・・・凪?」

 「・・・」

 「・・寝とる?」

 「目を開けたまんまか。器用だな~~。じゃなくて。凪、起きろ」

 「おおっ!!」

 「おはよう」

 「おはようございます。一刀様」

 「恋どの~~。いい加減起きるのです~~」

 「眠い・・・ぐぅ~~~」

 「恋。起きろよ」

 「・・・うん。一刀」

 「おはよう」

 「・・・おはよう」

 「もう、大丈夫?」

 「(コクリ)」

 「かずと~~。これ、なんの集合なん?」

 「俺が知っていると思うか、霞」

 「いや~~。一刀ならしっているかな~~て」

 「俺は超能力者じゃないぞ」

 「違う?」

 「よ~~し、霞。今度一緒に酒を飲もう。その時にとことん話してやる」

 「ホンマ!!約束やで」

 「あぁ、約束だ」

 「そこ。五月蠅いわよ」

 「「すいません!!」」

 五月蠅かった一刀と霞を桂花が静めた時に華琳と春蘭、秋蘭が玉座に来た。

 「一刀。何をしている。お前はこっちだろう」

 「あぁ、そうだった」

 秋蘭に言われて、一刀は華琳の真横に行った。

 華琳は何時もの様に平然としているが、春蘭達がピリピリしていた。

 「全員揃ったようね。急に集まってもらったのは、他でもないは。秋蘭」

 「先ほど早馬で、徐州から国境を越える許可を受けに来た輩がいる」

 「何やて!!」

 「はいりなさい」

 「はっ」

 華琳の呼び声に一人の女の子が玉座に入って来た。

 「「「「!?」」」」

 「お前は・・・関羽!!」

 「見覚えのある者もいるようだけど、一応、名を名乗ってもらいましょうか」

 「我が名は関羽。徐州を治める劉玄徳が一の家臣にして、その大業を支える者」

 「なんで関羽がこんな所に?」

 「・・・なるほど」

 「あら、一刀はわかったのかしら?」

 「あぁ。あの劉備の事だからどうせ、仲間の為に戦うのは嫌だから荊州か益州に逃げる為に華琳の領土を通らせて欲しいだろ」

 「さすが我が軍最強の将ね。一刀の言う通りよ」

 「なんと無謀な」

 「けど、袁紹や袁術と正面からぶつかるよりは、マシやと思うで」

 「それもそうだが、我々は劉備殿とは同盟を組んでいるわけではないだろう?」

 「そうゆうこと。それに正直、関羽もこの案には納得していないようね・・・そんな相手に返事をする気にはなれないのよ」

 「・・・・」

 「ほんならなんで、こんな決死の使いを買って出たんや?」

 「我が主。桃香様の願いを叶えられるのが、私しかいなかったからだ」

 「主のためやて。どこかの誰かさんみたいだな」

 「わ、私はそんなに愚直ではないぞ」

 「「「「・・・・」」」」

 「誰か何とか言えよ!!」

 「だからこれから、その返事を言いに劉備の所へ向うと思うのだけど。誰か、付いてきてくれる子はいないかしら?」

 

 「結局全員かよ」

 華琳の問いに全員が「私が」と言ったため。華琳は全将を連れて行く事にした。真夜中の行軍なのに兵は誰一人文句を言わず準備は速やかに行われた。

 「あら。一刀が焼餅なんて、珍しいじゃない」

 「誰が焼餅だって」

 「曹操殿。感謝します」

 「さあ。その言葉は、無事に事が済んでから聞く事にするは」

 「それは、どうゆうことですか?」

 「ふふふ」

 「華琳様。先鋒から連絡が来ました。前方に劉備の牙門旗。劉備の本陣のようです」

 華琳達が先鋒に追いつくと、国境ギリギリの所に劉備軍が陣を引いていた。

 「さて、関羽。貴女が主の所まで案内して頂戴。一刀とあと何人か私に付いてきてくれる?」

 「俺は強制なんだな」

 「あら。相手の陣地行くのだから手持ちの中で一番強い者を連れて行くのは当たり前でしょう。それとも一刀は、これが諸葛亮の策で私が殺されてもいいわけ?」

 「・・わかった。行くよ。だからこれ以上俺が殺される事を言わないでくれ」

 一刀の後ろには、華琳の言葉を聞いて今にも一刀に切りかかろうとする春蘭がいた。

 「それで、一刀以外に誰が守ってくれるの?」

 「はい!」

 「僕も行きます!」

 「私も!」

 「なら、春蘭、季衣、流琉、霞。そして一刀は付いてきなさい。残りの皆はここで待機。異変が合ったら秋蘭、桂花の指示に従いなさい」

 「華琳様、お気をつけて下さい。一刀さん、絶対華琳様を守ってくださいね」

 「私も行くぞ」

 「脳筋は頼りにならないは」

 「なんだとう!!」

 「はい。二人とも喧嘩しない。稟、万里、焔耶。悪いけど付いてきてくれる」

 「「はっ」」」

 「では関羽。案内して頂戴」

 「・・・こちらです」

 関羽の案内にしたがって、華琳達は陣の中央へと向っていた。

 

 「曹操さん!!」

 関羽に案内され一つだけ他とは少し違う天幕の前に劉備玄徳がいた。

 「久しいな、劉備。連合の時以来かしら?」

 「はい。あの時はお世話になりました」

 それで今度は私の領地を抜けたいなどと。また、随分と無茶を言ってきたものね」

 「すみません。でも、皆を無事にこの場を生き延びるためには、これしか思いつかなくて」

 「まぁ、それを堂々と行うあなたの胆力には恐れ入ったわ。・・・いいでしょう。私の領を抜けることを許すわ」

 ・・・やはり即答か。という事は

 ・・・一刀様。宜しいのでしょうか?

 ・・・どうせ華琳の事がから、なにか要求してくるよ

 「本当ですか!!」

 「華琳様!!」

 「はぁ~~~。華琳。まだ劉備には何も聞いていないが」

 「聞かずとも、こうして前にいるだけで劉備が何を考えているのかが分かるのだから」

 「曹操さん・・・」

 「ただし街道はこちらが指定させてもらう。米の一粒でも強奪したら、生きて私の領を出れないと知りなさい」

 「はい!ありがとうございます!」

 「それと通行料は・・そうね。関羽でいいわ」

 「・・・え?」

 「やはり」

 華琳の言葉に一刀以外の者が機能を停止した。

 「何不思議そうな顔をしているの?行商でも関所を通る時は通交渉を払うわよ」

 「え!でも、それって・・・・」

 「あなたの全軍が無事に生き残れるのよ?もちろん追撃してくる袁紹と袁術はこちらで何とかしてあげましょう」

 「でも・・」

 「その代価をたった一人の将の身柄でいいのよ。安いと思わない?」

 「・・・桃香様」

 「曹操さん。ありがとうございます」

 「桃香様!!」

 「お姉ちゃん!!」

 「・・・でも、ごめんなさい」

 「あら。どうして?」

 「愛紗ちゃんは私の大事な妹です。鈴々ちゃんも朱里ちゃんも他の皆も、誰一人欠かせないための、今回の作戦なんです。だから愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ意味がないんです。こんな所まで来てもらったのに、本当にごめんなさい」

 そう言って劉備は頭を下げた。

 「そう。さすが徳を持って政治をなす劉備だわ」

 「桃香様。私なら」

 「言ったでしょう。『愛紗ちゃんが、いなくなるんじゃ意味が無い』て。朱里ちゃん。他に道が無いかもう一度調べて」

 「わかりました。もう一度候補を洗い直します」

 諸葛亮が地図を広げてもう一度安全な道が無いか調べようとした時。

 「劉備」

 ・・・まずい

 「甘えるのもいい加減にしなさい!!」

 「!?」

 「たった一人の将で、全軍を犠牲にするつもり?寝ぼけた事を言うのも大概にすることね」

 「でも、愛紗ちゃんはそれだけ大切な人なんです」

 「なら、関羽一人のために他の将、張飛や諸葛亮。残りの兵が犠牲になってもいいの?」

 「だから今、朱里ちゃんに他の道を探してもらっているんです」

 「それが無いから私の領を通ろうとしたんじゃないの?違うのかしら?」

 「そ、それは・・・」

 「郭嘉!!あなたは旅をしていたから。この規模の軍勢で、ここ以外の道で、袁紹と袁術の追撃を避けながら通れる道は他にあるのかしら?」

 「そうですね。幾つか候補はありますが、追撃を完全に振り切れる道はここ以外ほかにありませんね。曹操軍の精兵に私と一刀様を付けたとしても、戦闘もしくは強行軍で約半分は脱落するかと」

 「朱里ちゃん!!」

 「・・・」

 「そんな・・・」

 「現実を受け止めなさい。劉備。本当に兵を思うのなら、関羽を通行料として私の領を抜けるのが安全に抜けるのが一番なのだから」

 「桃香様。私の事は大丈夫ですから」

 「曹操さん。・・・だったら」

 「『私が関羽の代わりになります』は、なしよ。もし、そのような言葉を言ったら私はこの場であなたを叩き斬る。国が王をなくしてどうするつもりなの?」

 「・・・」

 「どうしても関羽を譲る気は無いの?」

 「・・・・」

 「まるで駄々子ね。今度は沈黙?」

 「・・・」

 「いいわ。あなたと話しても埒が明かない。勝手に通りなさい」

 「え!!」

 「聞こえなかったの?私の領を通っても言いといったのよ。益州でも荊州でも好きに行きなさい」

 「華琳様!!」

 「ただし」

 「通行料・・・ですか」

 「当たり前でしょう。先に言っておくは、あなたが南方を統一した時、私があなたの国を奪いに行く。通行料の利息込みで」

 「・・・」

 「そうされたくなかったら、私の隙を狙ってこちらに攻めてきなさい。そこで、私を殺したら借金を帳消しにしてあげる」

 「そんことは」

 「ない?なら私が攻め滅びしてあげるから、せいぜい良い国を作っておきなさい」

 「曹操殿。これ以上桃香様を侮辱するのなら」

 「私を斬るかしら。そうする前に一刀があなたを斬るわ。一刀の実力はあなたが痛いほど分かっているでしょう。関羽」

 「くっ!!」

 「一刀、霞。劉備達を向こう側まで案内しなさい。街道の選択は一刀に任せる。劉備は一兵たりとも失いたくないから、安全で危険の無い道にしてあげて」

 「せやからウチを呼んだかいな。了解や」

 「いいのか華琳。俺なんかを案内人して」

 「麗羽達なら、一刀なしでも十分にたたかえるはわ。逆にここで一刀を使うほうが無駄ってもんよ」

 「そうか。稟、道の選択を頼む」

 「はい」

 「焔耶と霞は俺と一緒に劉備軍の先頭。椿」

 「ここに」

 「お前は、劉備軍の後ろから脱落者が出たら俺に報告してゆっくり来い」

 「わかりました」

 「それじゃ、私達は戻るわよ。劉備。あなたのした選択が間違ってなければいいけれどね」

 「間違っていません。必ず証明して見せます」

 「良い返事だわ。・・帰るわよ」

 華琳達は自分達の軍の所へ帰って行った。

 「よく我慢したわね」

 「何がだ?」

 「私が気づいて無いとでも思ったの?劉備の甘い言葉に何度自分の得物に手を掛けようとしていたくせに」

 「お見通しか」

 「当然でしょう。けど、一刀があそこまで怒るとはね」

 「正直言って、いつ爆発してもおかしくなかったんだ。劉備の言っている事がどれだけ無謀なのか俺は知っているから。天の世界ですら平和の中に犯罪があった。この世界の人は戦があるから笑顔が無いんだと言うが、それは違う。幸せの反対に悲しみがあるんだ。だから人は明日を生きていけると思うんだよ」

 「まるで仙人のような言い方ね」

 「五月蠅い」

 華琳達が帰ってくると、一刀の部隊と霞の部隊の計二百人は劉備軍の案内に向った。

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・あの、北郷さん」

 「なんですか?劉備さん」

 「北郷さんはどうして曹操さんの所にいるのですか?北郷さんほどの人なら沢山の人を助けられたと思うんです」

 「・・・俺はどうしてこの世界に来たと言うと。華琳の覇業を・・夢を叶えるためです」

 「しかし、曹操さんは武力を持って人を従えようと」

 「力を持つことは、いいことだと思いますよ」

 「いいえ、違います。力を持っても人は笑顔になりません。力を持っているから戦をするのです」

 「なら、どうしろと」

 「皆が手を繋げば平和な世の中になります」

 「なら、どうして劉備さんは武力を手に入れてのですか?」

 「それは・・困っている人を助けたかったらです」

 「それなら武力など要らなかったはずだ。なのき君は黄巾党の時も武力で黄巾党を倒した」

 「違う!!黄巾党は罪も無い人達を襲った。だから・・」

 「なら、反董卓連合の時はどうだった。君は董卓が暴君じゃない事を知っていたのに連合に参加した」

 「それは、董卓さんを助けるために仕方がなく。なら北郷さんはどうなのですか?曹操さんの夢を叶える為に罪の無い人を殺すのですか?困っている人がいても手をさし伸ばさないのですか?そんなのおかしいです。本当なら北郷さんは私の所に来て欲しかった。そしたら沢山の人を助けられた。笑顔になれた。なのに「いい加減にしろ!!」!?」

 「俺や華琳が好きで人を殺していると思うのか?困った人を助けないと思っているのか?大間違いだ!!俺達は神じゃないんだ。全ての人を助けるなんて事はできなんだ」

 「だから、皆が手を取り合っていけば平和で皆が笑顔に「手を取り合ったらいいのか」・・え?」

 「手を取り合ったらいいのか。・・・なら、なぜ琳音さんを曹嵩さんが殺されそうになった時、誰も手を差し伸べてくれなかったんだ」

 「それは・・・」

 「差し伸べてくれたら琳音さんは助かったのか?俺や華琳は復習をしなくてすんだのか?答えろ、劉備!!」

 「そ、それは・・・」

 「ちょっ!一刀。どないしたん?いつもの冷静さはどうしたんや。こんなんいつもの一刀とちゃうで」

 「そうですよ、お館。確かに劉備の言っている事は甘ちゃんですが、それでお館がここまで怒るのはどうかしています」

 冷静さをなくした一刀を霞と焔耶が何とか抑えようとする。しかし、一刀の怒りが膨大な闘気となって二人はなかなか近づけないでいる。

 「・・・悪い。少し風に当たってくる」

 「ちょっ、一刀」

 「お館」

 ドス!

 「「!?」」

 一刀が赤風に乗ってどこか行ってしまった後劉備が倒れた。一刀の闘気にあれだけ間近に受けていたから闘気が消えて緊張が途切れたのである。それを見ていた関羽、張飛、超雲が急いで駆けつけた。

 「桃香様!!」

 「お姉ちゃん!!」

 「・・・駄目だ。完全に気を失っている。しかし、あれほどの闘気を」

 「私と戦った時は手加減されていたのか・・・」

 「違うと思うで」

 「それはどうゆうことだ。張遼殿」

 「今の一刀は昔の自分を見ていたとちゃうか」

 「昔の自分?」

 「一度だけ一刀が話したんや『俺は、昔は甘ちゃんだったんだ。もし、大陸の人が皆手を取り合ったら戦はなくなるんじゃないかって。けど、そんなのはただの夢物語なんだ。だから、俺はあの時あの人を守れなかった。けど、今は違う。だから俺は、華琳を・・皆を助けるために人を斬る。いつか平和な世の中になるように』てな」

 「北郷殿がそんなことを思っていたなんて」

 「一刀はな、根っこはとても優しいんや。だから今の劉備を見て腹がたったんとちゃうかな」

 「だからといって、こんなことが許されることではない」

 「しかしだな、愛紗よ。今回は桃香様の方が悪いと私は思うが」

 「星!!貴様は桃香様を裏切るつもりか?」

 「話を最後まで聞け。人はそれぞれ違う思いを持っている。触れたくない過去も。しかし、桃香様はその過去に触れてしまった。それはどうしようもない事実だ」

 「・・・しかしだな」

 「人には忘れたくても忘れられない過去があるというのだよ。愛紗」

 超雲が悲しい顔をするとそれから関羽は何も言わずただひたすら曹操の領を通った。

 

 一刀が激怒している時、万里は諸葛亮と鳳統と一緒だった。

 「久しぶりだね。万里ちゃん」

 「そうだね。朱里ちゃん、雛里ちゃん」

 「どうして、曹操さんの所に?」

 「正確に言うと私は華琳さんの部下じゃなくて、一刀様の部下なのです」

 「え!!そうなの」

 「私の命を助けてくださったのは、一刀様だったのでね」

 「そうなんだ」

 「それよりも、朱里ちゃん。早く例の件を万里ちゃんに聞こうよ」

 「そうだね。雛里ちゃん。・・万里ちゃん。お願いがあるの」

 「なに?」

 「今からでもいいから桃香様の所に来ない?」

 「・・・」

 「桃香様はとても素晴らしい人なの。民の事を一番に考えている。必ずこの世界を平和な世界にしてくれる。だから」

 「それは、私に一刀様を裏切れといっているの?」

 「それは・・・そうだけど」

 「水鏡先生が言っていたよね。『どんなことがあっても、人を裏切る行為は決してしてはいけません』て、なのに朱里ちゃん達は、私に裏切り者になれと」

 「・・・・だけどね。万里ちゃん」

 「もう、これ以上話すことは無いよ」

 「「万里ちゃん!!」」

 「・・・私はもう二人の真名を呼ばない。二人がここまで愚かだったとは思わなかった。じゃあね」

 万里はそのまま後方の椿の方へ言った。

 「愚か者だね。私達」

 「そうだね。雛里ちゃん。水鏡先生の教えを忘れていたなんて」

 「これから、どうしようか?」

 「とりあえず。蜀を取ろう。そして天下三分をしてから。桃香様に天下を」

 「そうだね」

 劉備に激怒した後の一刀は川辺の大きな石の上に座っていた。

 「はぁ~~~。俺はどうして「一刀様」・・稟か?」

 「はい」

 「どうしてここに?劉備軍の案内していたはずじゃ」

 「それは、霞殿に頼んできましたので、ご安心を。それと(ガサ)」

 「稟?」

 「一刀様はとても優しい人です。だから私は一人の女として貴方を愛した。それは、これからも続く事です。だから・・・んちゅ・・」

 赤風の近くに自分の馬を残して、稟は一刀の背中を抱きしめ耳元でそっと呟き口を付けた。その口付けは唇をそっと撫でるだけだったが、今の一刀には心安らぐ口付けだった。

 「一刀様は、一刀様の思った事を成し遂げてください。例えそれが修羅の道であろうとも、私は一刀様に付いていきます」

 「あいがとう。稟」

 「いえ。私はただ一刀様の事を思って言ったまでです」

 「なら、なおさらだよ。これが終わったら閨においで。ご褒美をあげる」

 「はい」

 そう言うと一刀はすぐさま赤風に乗り、稟も自分の馬に乗ると急いで霞達を追った。

 一刀の覇気で気絶した劉備は、曹操の領土を通り過ぎるまで目を覚まさなかった。目を覚ました劉備の顔は背に重い何かを背負っている様な表情をしていた。

             第二十三章 完

「第二十三章終了で~~す」

「おい。これのどこに戦闘があるんだ」

「戦闘の前書きですよ。それに次回は一刀は余り出ませんし」

「なに!!」

「当然ね。たまには私を主役になってもいいじゃない?」

「華琳!!」

「そうですね~~。どうせ次回はあの袁家との戦いの前半ですから」

「あら、後半もあるのかしら」

「後半は一刀が活躍してもらわないと。読んでもらっている皆様に申し分ありませんからね」

「なら、次回は私が完膚なきほどに麗羽達を痛めつけたら一刀の勇姿が見れないと言うわけね」

「そうゆうことですね~~~」

「おいおい。どうしてそうなる」

「なら、ほどほどにするは」

「華琳さ~~ん。聞いてますか~~~」

「ありがとうございます~~~。ではこの辺でおさらばしましょうか。皆さんまた会う日まで

BY]

「はぁ~~~~。BY]

「バイ」


 
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